図書室委員会視察報告
調査日
令和7年11月10日(月曜日)
調査先
(1)前橋市立図書館(前橋市)
(2)群馬県議会図書室(前橋市)
調査の概要
(1)前橋市立図書館
(公立図書館の管理運営状況について)
【調査目的】
■本県の課題
- 議員の調査研究に資するように資料を収集活用し管理運営していくに当たり、常に提供サービスの在り方について改善・充実する必要がある。
■視察先の概要と特色
- 前橋市立図書館は大正5年からの歴史を持つ中央図書館であり、現在の建物は昭和49年に開館した。
- 多様な学習要望に応えるため、時代のニーズに沿った高度情報化社会に対応した環境の整備に努めている。
- 定期的に企画展を開催するなど、郷土資料の利活用を推進している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 前橋市立図書館本館の蔵書数は約330,000冊であるが、市には、本館のほかこども図書館をはじめ各地区に16か所の分館があり、機能を分担しながら一体的に運営している。また、本館、各分館は「どこでも借りられ、どこへでも返せるネットワーク」で結ばれている。
- コロナ禍における移動制限や三密回避のニーズに応えるため、令和5年3月に電子書籍サービスを導入した。現在では、約11,000点の電子書籍をはじめ、読み放題の雑誌・児童書など計約30,000点を提供しており、来館しなくても利用できるようになっている。
- 現在の本館は開館から51年が経過し老朽化が進んでいるため、中心市街地への移転が決まっている。新本館は図書館、商業施設、オフィスが入る複合施設に設置され、従来の貸出中心から「滞在型」へと大きく方針転換する予定である。管理運営は指定管理ではなく直営とし、現在実施している窓口の業務委託については、効率的な運営を目指し、直営と業務委託の双方で検討していく。
- 地域資料については、前橋に関する地域資料を収集しており、貴重資料室には群馬県指定の重要文化財である「前橋藩主松平大和守家記録」や、前橋市指定重要文化財の「祇園祭礼絵巻」、「酒井家史料」などを所蔵している。これらの資料は前橋市が城下町として発展してきた歴史を後世に伝えることを目的として本館の展示室にて特別展示で公開している。
■質疑応答
Q:資指定管理者制度を採用する図書館が多い中で、なぜ直営を選択しているのか。
A:直営の方が利用者ニーズに対して柔軟に対応でき、専門性を維持できるからである。
Q:電子書籍サービスを今後どのように展開していくのか。
A:体験イベントでのPRや英語の授業での活用など教育分野との連携を深めて電子書籍の利用拡大を図っていく。
Q:目の見えない利用者が電子図書館の存在を知る方法はあるのか。また、そういう利用者は電子書籍を操作できないのではないか。
A:障害福祉課を通じて障害者手帳等の交付時などに、目の見えない利用者のためのアクセシブルライブラリー(音で操作する電子書籍サービス)のサービス案内をしている。
(2)群馬県議会図書室
(専門図書館の管理運営状況について)
【調査目的】
■本県の課題
- 議員の調査研究に資するように資料を収集活用し管理運営していくに当たり、近県の議会図書室の管理運営状況を視察し、本県の参考とする。
■視察先の概要と特色
- 群馬県議会図書室は、地方自治法の規定に基づき議員の調査研究のため昭和23年に設置された。現在の議事堂は平成11年に本庁舎とともに完成し、図書室は1階政策広報課内にある。
- 蔵書数は約28,000冊で、議員の利用を妨げない範囲で一般の人も利用することができる。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 資料の保管については、閉架書庫に移す基準は図書の種類により異なる。定期刊行物は最新版到着後、雑誌は発売後1年で閉架に移している。一般的な図書は近年では新着図書は問題なく配架できているので、閉架に移していない。除籍基準は「群馬県議会図書室運営事務処理要領」で定めており、保存年限が満了したものをリスト化した後、保存年限を適用すべきか個別に判断し除籍・廃棄している。廃棄された紙資料は古紙としてリサイクル処理となる。
- 図書・資料の電子化の状況については、電子書籍は高価なため所蔵していない。議員からの希望もない。定期刊行物の中には紙からCD-R形式に形態を変えて発行されているものがあるが、図書と同様の扱いで管理している。また、議員は議案書や会議資料のデータについては、クラウドで常時閲覧することが可能である。
- 図書は、職員が候補を挙げた中から議会事務局職員で構成される選書会議で選定し毎月購入している。選定図書は「議会図書室からのお知らせ」、メール、ウェブサイト、SNSで周知している。新着図書は1か月間は議員のみ貸し出し可能である。また、「議会図書室からのお知らせ」等には、「図書広報委員のおすすめする一冊」のコーナーがある。これは、平成31年第1回定例会で図書館振興議員連盟が発議した「群馬県民の読書活動の推進に関する条例」の施行を受けて令和元年7月から始まったものである。委員10名が交代で情報発信を担い、県民の読書活動を推進している。
- 議員の利用状況については、年間の延べ利用者は179人となっている。図書室には議員向けに個室が用意されており自由に利用できる。主に新聞記事調査、書籍調査、県議資料調査等のレファレンス利用がある。
■質疑応答
Q:「図書広報委員がおすすめする一冊」のコーナーを委員である議員が分担する頻度はどれくらいか。
A:委員は年度の最初の委員会で1年間の分担を決め、各々年1回程度担当している。
Q:図書の電子化は進んでいないとのことだが、資料についてはどうか。
A:予算が限られているので、紙のもので効率的により多くの資料を購入することを重視している。
Q:議員がクラウドで議会資料を閲覧するシステムは何を使っているのか。
A:サイドブックスである。

群馬県議会にて