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掲載日:2019年11月11日

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決算特別委員会視察報告

期日

 平成30年10月17日(水曜日)

調査先 

 (1) 元荒川水循環センター(桶川市)
 (2) 埼玉県立がんセンター(北足立郡伊奈町)

調査の概要

(1)元荒川水循環センター

 (元荒川水循環センターの運営状況について)

【調査目的】

 元荒川水循環センターは、熊谷市、行田市、鴻巣市、桶川市及び北本市の下水処理場として、昭和56年に処理を開始した流域下水道施設である。平成29年度末における諸元は、処理面積5,363ha、処理人口33万693人、汚水量(日平均)14万9,613立方メートル、管きょ延長53.6kmである。維持管理については、(公財)埼玉県下水道公社に委託している。
 同センターでは、施設の耐震化と被災時の減災対策を推進するとともに、老朽化した施設の改築・更新を実施している。
 また、人口減少社会においても安定的な経営を図るため、県内の水循環センターでは初となる下水汚泥の消化ガスを利用したバイオガス発電事業の導入に取り組んでいる。現在、消化タンク、ガスタンク等の整備を進めており、発電開始は平成31年4月を予定している。
 そこで、同センターの運営状況について調査する。

【調査内容】

 元荒川水循環センターにおける下水処理工程は、水処理施設の工程と汚泥処理施設の工程に大別される。市町の公共下水道からの下水は、流域の幹線やポンプ施設を経由して元荒川幹線から同センターに流入し、約12時間かけて水処理が行われる。
 同センターは、標準的な下水処理方式である標準活性汚泥法により下水処理を行っている。まず沈砂池において、重い土砂類を沈めるとともに大きなごみをスクリーンで除去する。次に、最初沈殿池では、汚水をゆっくり流すことで、沈みやすい比重の大きな浮遊物を除去する。次に、水処理の中心的な役割を果たす施設である反応タンクにおいて、流入した下水と微生物を多く含んだ活性汚泥を空気の泡で混合(エアレーション)させ、微生物の働きで有機物を分解し、最初沈殿池で除去しきれなかった浮遊物を、微生物を多く含む活性汚泥の塊(フロック)に取り込んでいる。次の最終沈殿池では、下水をゆっくり流すことにより、反応タンクで生じた活性汚泥の塊を沈殿させ、上澄みの水とに分離する。最後に、消毒施設において上澄みの水を次亜塩素酸ソーダにより消毒し、放流口から元荒川へ放流している。放流水の平成29年度の平均BODは2.1mg/リットルである。
 一方、水処理施設から引き抜かれた汚泥は、汚泥処理棟に送られ、まず含水率96%程度まで水分を減らす濃縮処理が行われる。その後、濃縮された汚泥を消化タンクに送り、消化菌により、汚泥中の有機物を分解してバイオガスを発生させる。この処理で残った消化後の汚泥については、タンク下部から引き抜き、汚泥処理棟で濃縮及び脱水処理を行い、焼却に適した含水率77%程度まで水分を減らした後、隣接する焼却炉においてダイオキシンの発生の抑制に寄与する約850℃の高温で焼却される。現在、1日約80トンの汚泥を焼却しており、発生した焼却灰はセメント原料として処分している。
 同センターは、下水道資源である有機分を含んだ下水汚泥の有効活用を図るため、これまでの汚泥処理の工程に消化工程を導入することでバイオガスを生成し、それを燃料として売却し、民間事業者に発電させる事業の導入を進めている。汚泥消化施設は、容量5,000立方メートルの鋼板製の消化タンク3基、容量2,100立方メートルのガスタンク1基、汚泥消化棟1棟で構成されている。汚泥処理施設において濃縮された汚泥は、送泥管により消化タンクの上部から投入される。消化タンクは、約36℃に常時暖められており、消化タンクの中心にはかくはん用のプロペラが3段設置され、ゆっくりとタンク内をかくはんしてバイオガスを発生させている。汚泥は、消化タンクに毎日投入されるとともにタンク下部から引き抜かれており、計算上約25日間タンク内に滞留することになる。発生したバイオガスは、脱硫施設により有害な硫化水素を除去され、ガスタンクに一時貯留された後、民間発電事業者への売却や焼却炉の補助燃料に活用されることになる。現在、建設及び設備関係の工事はほぼ終了しており、メタンガスを発生させるための消化菌を増殖させる馴致作業を3基の消化タンクにおいて順次行っているところである。民間事業者によるバイオガス発電施設は、出力50kWhの発電機8基の設置工事が11月から始まり、平成31年4月からの発電が予定されている。年間発電量は270万kWh、二酸化炭素削減量は年間1,300トンの見込みである。
 概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「水処理センターに流入してくる下水の水質は改善傾向にあるのか」との質問に対し、「最近は、他の水処理センターも含めて流入水質は良好な状況にあり、施設への負担も少なくなってきている。当センターでは河川への放流水質が大変良好になっている」との回答があった。ほかにも、使用電力量の状況などについて質問がなされた。
 概要説明や施設見学を通じて、元荒川水循環センターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。

決算_元荒川水循環センターにて

元荒川水循環センターにて

(2)埼玉県立がんセンター

 (埼玉県立がんセンターの運営状況について)

【調査目的】

 埼玉県立がんセンターは、埼玉県がん医療の中核である「都道府県がん診療連携拠点病院」として、地域の医療機関と連携し、県内のがん医療の向上と均てん化を図っている。
 平成25年12月に最新の医療機器を導入した新病院に移転した同センターは、現在503床を有しており、がん治療の3つの柱である手術、放射線、化学療法と併せて、診断や情報、ケアなど先進のがん医療を提供している。具体的には、PET-CTの導入や治験、臨床試験で進む新規化学療法及び治療法の開発及び導入、遺伝子診断によるがんゲノム医療の推進などに力を入れているほか、臨床腫瘍研究所では発がん機構の解明によりがんの予防・治療につながる研究を行っている。また、患者を中心としたチーム医療を進めるとともに、病院を挙げての医療安全の取組を行っている。
 そこで、同センターの運営状況について調査する。

【調査内容】

 埼玉県立がんセンターは、「患者さん中心のチーム医療」、「高度・先進的な医療」、「地域医療連携の推進」、「職員の教育・育成と質の向上」、「診療情報等の適正管理」、「患者と職員が宝物」の6つの基本方針のもとに、「先進的ながん医療を実践する進化する病院」、「日本一患者と家族にやさしい病院」を目指している。
 同病院の特徴の一つ目は、先進的ながん医療を実践し進化する病院を目指し、がんの診断機能と3大治療(手術・放射線治療・化学療法)を強化していることである。
 がんの診断は、迅速かつ精密に行うことで、早期の治療に結び付けていくことができる。そのための検査方法として、全身を検査し、がん細胞の活性度も把握できるPET-CTや、がん細胞を遺伝子レベルで解析し最適な治療方法を見出すためのゲノムシーケンサーが開発されている。
 手術による治療は、がんの病巣を外科的に切除・摘出する根治的な治療法である。最近では、内視鏡などを用いた患者の負担の少ない手術も多用されており、その最先端の技術として、ロボットによるサポートを用いた手術方法が開発されている。同病院は、内視鏡手術室のほか、実施する手術の内容に合わせた専用手術室を含め、12室(旧病院7室)の手術室を有している。内視鏡手術室は、術中のモニターを見やすくするため、室内を青色に統一している。内視鏡手術を精密かつ安全に実施するため、支援ロボット(ダ・ヴィンチ)を設置しており、最高で10倍に拡大できる3次元の画像を見ながら、2人の術者が協力し、ロボットアームを使って手術を行っている。
 放射線治療は、放射線を照射することでがん細胞を死滅させる治療法である。放射線治療の最大の利点は、正常臓器を残せることから、結果として正常機能を温存できる可能性が高いことである。現在は、正常細胞への影響を抑え、効率的に治療できる最新機器が開発されており、当病院は、IMRTに特化したTomoHDシステム、定位放射線治療に優れたNovalis TX、全てのがんの通常治療に有効なElekta Synergyを導入している。
 化学療法は、抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑制し、死滅させる治療法である。遺伝子診断を用いると、最適な抗がん剤を迅速かつ正確に診断でき、患者の負担が少ない治療を行うことができる。
 同病院の特徴の二つ目は、明るく開放的な空間づくりと心のケアへの配慮である。病院のエントランスから約85mにわたって2層吹き抜けの開放的なホスピタルストリートを設置しているほか、コミュニティラウンジ等、随所に患者と家族のだんらんスペースを設けている。また、診療から在宅まできめ細やかながん相談を充実させているほか、病室は小川産和紙や秩父産杉などの自然素材を使用した落ち着きのある空間とするなどの配慮を行っている。
 同病院の特徴の三つ目は、災害に強く省エネの施設であることである。非常用発電機2台の設置のほか、飲料用の井戸水浄化設備を有しており、災害発生後、おおむね3日間自立できる。また、省エネ対策にも取り組んでおり、LED照明や遮熱ガラスを採用しているほか、太陽光発電やコジェネシステムの導入を行っている。
 概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「事業収支差引の赤字額が平成28年度の約16億3,000万円から平成29年度は約9億8,000万円に改善しているが、どのように分析しているか」との質問に対し、「材料費が高いこと、高度医療は採算性が余りよくないことなどから、診療実績の増加に伴い経費も大幅に増加している。材料の共同購入など様々な合理化で費用を圧縮している」との回答があった。ほかにも、病床利用率の課題などについて質問がなされた。
 概要説明や施設見学を通じて、埼玉県立がんセンターの運営状況について理解を深めることができ、決算審査の参考となった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 予算決算特別委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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