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掲載日:2019年2月13日

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危機管理・大規模災害対策特別委員会視察報告

期日

 平成30年11月19日(月曜日)~20日(火曜日)

調査先  

 (1) 東日本旅客鉄道(株)大宮支社(大宮総合車両センター)(さいたま市)
 (2) 仙台市役所[危機管理室減災推進課](仙台市)
 (3) 福島県庁(福島ロボットテストフィールド)(南相馬市)

調査の概要

(1)東日本旅客鉄道(株)大宮支社(大宮総合車両センター)

 (大規模災害に備えた取組について)

【調査目的】

 東日本旅客鉄道(株)は、東日本大震災をはじめとする過去の災害を教訓として、今後高確率で発生すると考えられている首都直下地震に備えた対策を進めている。
 同社は、平成24年から5年間を重点的な整備期間と定め、総額約3,000億円の耐震補強対策等に取り組んだ。また、災害発生時に乗客を救助・救命するために必要な資機材や、乗客を安全な場所に避難誘導するための設備の整備、対応する社員の能力を向上させる教育・訓練にも力を注いでいる。
 同社の大規模災害に備えた取組を調査することで、本県における施策の参考とする。

【調査内容】

 東日本旅客鉄道(株)は会社発足以来、「安全」を経営の最重要課題と捉え、安全性の向上に取り組んでいる。東日本大震災をはじめとする過去の災害を教訓とし、リスクの低減に向けて、施設整備などのハード面と人材育成などのソフト面の両面から対策を進めている。
 まず、ハード面における地震対策として、「構造物が壊れないようにする(耐震補強対策)」、「走行している列車を早く止める(列車緊急停止対策)」、「脱線後の被害を最小限にする(列車の線路からの逸脱防止対策)」という3つの観点から、様々な対策が講じられている。平成24年から重点的に取り組まれている耐震補強対策では、今後発生が予想されている首都直下地震に備え、盛土や切取り、レンガアーチ高架橋や電化柱等の耐震補強、駅やホームの天井・壁落下防止対策などを実施するとともに、従来から取り組まれていた高架橋柱、橋脚の耐震補強を前倒しで実施している。平成28年度末には当初計画の8割以上の対策を完了させており、現在、計画の完了に向けて着実に施工を進めている。更なる耐震補強対策として、首都直下地震の想定震度の変化や最新の活断層の知見に基づき、設備ごとの損傷リスクや線区における地震の影響等を考慮しつつ、これまで実施している対策のエリアの拡大にも着手しているとのことであった。
 次に、ソフト面における対策としては、安全を担う人材の育成に力が注がれている。同社では「JR東日本総合研修センター」、「総合訓練センター」、「技能教習所」及び各職場におけるOJTによる教育・訓練により、社員の安全意識や技術を高めている。大宮総合車両センターには、車両検修社員を対象とした「検修技能訓練所」や、危険な行動を体験することで安全な行動を学ぶ教育施設である「安全作業訓練所」等が設置され、実際の機器や装置のカットモデルを用いて実践的な訓練を積んでいる。
 概要説明の後、委員からは活発な質問が行われた。その中で、「近年のテロ情勢を踏まえると国内でテロが発生するおそれもあるが、被害想定や備えはあるのか」との質問に対して、「今年6月、東海道新幹線内で乗客3人が切りつけられて死傷する事件が発生したこともあり、社内でも対策を検討している。先日は、警察官を講師として招き、犯人を落ち着かせる技術などに関して、社員向けの講習会を実施した。また、新幹線の車内や停車駅に刺又などを配備する予定である」との回答があった。
 施設内では、新幹線の高架橋柱に施された耐震補強の状況や、検修技能訓練所、安全作業訓練所等を見学した。
 今回視察先を調査できたことは、大規模災害への備えについて、本県における施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

危機管理_東日本旅客鉄道大宮支社(大宮総合車両センター)にて

東日本旅客鉄道(株)大宮支社
(大宮総合車両センター)にて

(2)仙台市役所

 (減災に向けた取組について)

【調査目的】

 東日本大震災を経験した仙台市では、都市が多様な災害の脅威にさらされているという教訓を踏まえて、将来の災害や気候変動リスクなどの脅威にも備えた「しなやかで強靭な都市」に向け、「防災環境都市づくり」を進めている。
 同市では、避難所の運営において発生した様々な不便や困難を糧として、住民や施設関係者からの声を取り入れ、より現場に即した避難所運営マニュアルへの見直しを行っている。また、自主防災組織の活性化と市内全域での地域防災力の底上げを図るため、震災後の平成24年度から本格的に「仙台市地域防災リーダー」の養成を開始している。
 同市のノウハウの詰まった減災対策を調査することで、本県における減災対策の参考とする。

【調査内容】

 仙台市は、東日本大震災において地域での平常時からの支え合いが被害を抑える上で大きな役割を果たしたことを踏まえて、地域による「共助」の強化に向けて様々な取組を推進している。
 具体的な取組としては、避難所運営マニュアルの見直しが挙げられる。東日本大震災では、市内に多くの避難所が開設され、多い日では10万人を超える避難者を受け入れた。こうした状況の中で、行政の人的支援が滞った反面、地域団体、避難者、避難所の施設管理者等が互いに助け合う「共助」の力が発揮された。しかし、震災後に実施された市民アンケートの結果からは、避難所ごとに運営方法にばらつきがあり、避難所間で良否の差が大きいことが課題として浮き彫りになった。そこで、運営がうまくいった避難所に関して、その理由を分析すると、日頃から避難所と地域のつながりが強かったことが明らかとなった。このため同市は、避難所間のばらつきを抑え、両者の顔の見える関係が構築されるよう、地域防災計画の全面的な改正や新たな避難所運営マニュアルの作成に取り組んだ。また、避難所ごとに担当課(災害対応がない部局)を割り当て、地域団体や避難所施設管理者とともに、円滑な避難所運営に向けて事前協議を行うよう定めた。こうして運営に携わる関係者が顔を突き合わせながら、各地域の実情に合った地域版避難所運営マニュアルを策定し、震災に備えている。
 また、東日本大震災後の平成24年度からは、仙台市地域防災リーダーの養成が本格的に開始され、現在約600人が活動している。地域防災リーダーは、地域で行われる防災訓練の支援、避難所運営協議への参画、地域における防災意識・知識の普及啓発など、専門的な知見を生かして活躍している。同市は、バックアップ講習会の開催による知識習熟度の向上や、地域防災リーダー同士の情報交換による活動内容の共有の場の提供など、育成支援を行っている。課題としては、高齢化や固定化が進んでいること、次世代リーダーが地域に定着できていないこと、女性防災リーダーが少ないことの3点が挙げられるが、課題の解消に向けた取組に力を注いでいるとのことであった。
 概要説明の後、町内会に加入していないマンション居住者の避難所利用の取扱いや女性防災リーダーの育成支援などについて委員から活発な質問が行われた。
 今回視察先を調査できたことは、本県における減災対策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3)福島県庁(福島ロボットテストフィールド)

 (大規模災害からの復興に係る取組について)

【調査目的】

 福島県は、福島イノベーション・コースト構想に基づき、福島ロボットテストフィールドを整備している。
 同フィールドは、大規模災害、インフラ点検、物流などに活用が期待される屋外活動ロボットを主対象に、実際の使用環境を再現しながら、研究開発や実証実験等が行える、世界に類を見ない一大研究開発拠点である。今年度から施設が順次開所されており、平成31年度末の全面開所を目指して建設が進められている。
 同県の大規模災害からの復興に係る取組を調査することで、本県における災害復興に関する施策の参考とする。

【調査内容】

 福島県は、福島イノベーション・コースト構想に基づき、福島ロボットテストフィールドを整備している。福島イノベーション・コースト構想とは、東日本大震災及び原子力災害によって失われた浜通り地域等の産業を回復するため、当該地域の新たな産業基盤の構築を目指す国家プロジェクトである。廃炉、ロボット、エネルギー、農林水産等の分野におけるプロジェクトの具体化を進めるとともに、産業集積や人材育成、交流人口の拡大等に取り組んでいる。
 同フィールドは、平成31年度末の全面開所を目指して、南相馬市の復興工業団地内で整備が進められている。東西約1,000m、南北約500mの敷地内に「無人航空機エリア」、「インフラ点検・災害対応エリア」、「水中・水上ロボットエリア」、「開発基盤エリア」の4エリアを設ける計画である。さらに、無人航空機の長距離飛行試験のために、約13km南下した浪江町の棚塩産業団地内にも滑走路等を整備する予定である。
 各エリアには、陸・海・空の屋外活動ロボットを主な対象とした、様々な施設が整備される予定である。無人航空機エリアは、無人航空機向けとしては国内最大となる飛行空域、滑走路、緩衝ネット付飛行場を有し、基本的な飛行から衝突回避、不時着、落下、長距離飛行など、多様な試験が行える。インフラ点検・災害対応エリアは、トンネル、橋りょう、プラント、市街地、道路等の構造物が整備され、想定されるほぼ全ての災害環境や老朽化状況を再現できる。平成32年夏には、ロボットの国際競技大会である「ワールドロボットサミット」の開催が予定されている。水中・水上ロボットエリアは、ダム、河川、水没市街地、港湾等の水中で発生する状況を再現できる。開発基盤エリアは、同フィールドの本館としての機能を持ち、各試験の準備、加工、計測に加えて、風、雨、防水、防じん、霧、水圧、温湿度、振動、電波に対する試験を行うことができる。
 なお、各種ロボットの実証試験に関して、同県はフィールドの整備に先駆けて福島浜通りロボット実証区域事業を展開している。同事業では、ロボットに関連した事業に取り組む企業・大学・研究機関等の要望に基づき、浜通り地域を中心に県が試験場所のあっせん、仲介を行っている。平成27年の夏以降、延べ500日間以上にわたって140件以上の試験が実施されているとのことであった。
 概要説明の後、同フィールド内を見学した。見学中は委員から活発な質問が行われた。その中で、「無人航空機の長距離飛行に関して、現在行われているものはあるのか」との質問に対して、「南相馬市から浪江町までの約9km区間で、日本郵便(株)が無人航空機を用いた郵便局間配送を行っている。配達員の不足を背景に、先端技術を活用した事業効率化に資するため、検証を重ねていると聞いている」との回答があった。
 今回視察先を調査できたことは、本県における災害復興に関する施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

危機管理_福島ロボットテストフィールドにて

福島ロボットテストフィールドにて

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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