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掲載日:2018年2月6日

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経済・雇用対策特別委員会視察報告

期日

平成28年8月17日(水)~19日(金)

調査先 

(1) 徳島大学研究支援・産官学連携センター(徳島市)
(2) バンドー化学㈱(神戸市)
(3) 阪神友愛食品㈱(西宮市)
(4) こと京都㈱(京都市)

調査の概要

(1)徳島大学研究支援・産官学連携センター

(産学官の連携について)

【調査目的】

徳島大学研究支援・産官学連携センターは、同大学の研究力の向上とその研究成果の地域社会への還元を大きな目的としている。
この目的を達成する効率的な組織を構築するため、従来あった産学官連携推進部とプロジェクトマネジメント推進室を合併して平成27年度に同センターが設置された。同センターは、産学官連携活動に関して、特許権実施等収入が大きく増加した機関第5位、特許権実施等収入第11位(前年は第30位以下)、特許権保有件数のうち実施許諾中の特許件数の割合第2位など、全国の大学の中でも上位に位置する成果を上げている。
今後の本県における産学官の連携の参考とするため、同大学の取組を調査する。

【調査内容】

徳島大学は、昭和24年(1949年)に、新制大学として設立後、学部・大学院の設置や教育研究施設設置などの改革発展を経て、現在の6学部、大学院7教育部、4研究部、病院、附属図書館、共同教育研究施設等からなる総合大学に発展を遂げてきた。
研究支援・産官学連携センターは、研究支援活動と産学連携活動の連携を図り、同大学の研究分野及び産学連携分野を強化していくことを目的に平成27年4月に設置されており、「リサーチ・アドミニストレーション部門」「イノベーション推進部門」「知財法務部門」で構成されている。
リサーチ・アドミニストレーション部門は、主に、地域のニーズを踏まえた異分野融合を強力に推進し、研究大学として持続的発展するための研究支援体制の構築を目的として、研究開発に関する外部資金獲得の支援などを実施している。イノベーション推進部門は、社会人を対象に、ものづくり企業における現場力と経営戦略構築力を兼ね備えた人材を育成・強化することを目的として、中小企業の技術職員の人材育成、技術教育プログラムの開発、講演会の実施等を行っている。知財法務部門は、同大学で生じた知的財産権の取扱いに関わる窓口として、各種相談、知財管理、契約締結等の活動や、国際社会における大学の責任として安全保障輸出管理規則を制定し、安全な環境下で活発に教育・研究活動ができるよう安全保障輸出管理を行っている。さらに、利益相反管理、教員及び学生の研究成果守秘義務契約の管理等を行うとともに、研究支援・産官学連携センターの総合窓口としての役割も担っている。
産学連携活動の重要なポイントとして、平成24年から同大学を含む四国5大学(徳島大学・鳴門教育大学・香川大学・愛媛大学・高知大学)による四国5大学連携による知のプラットフォーム形成事業に取り組んでいる。同事業は、広域的な研究成果の利用・マネジメント経費削減などのスケールメリット、大学の存在感の増大・大学発イノベーションの創出などの大学への効果、大学技術の産業界での利用促進・地域の活性化などの産業界への効果が出ている。また、同事業の中で、同大学を本部とする四国産学官イノベーション共同推進機構(SICO)を発足させ、産学連携業務を統合・一元化して活動している。同機構では、産学連携支援マッチング情報システムを運営しており、大学の研究者の成果を集約して、企業のニーズと容易にマッチングすることができる。このシステムで、平成26年から共同研究が6件成立している。
同大学の特許権実施等収入は、平成25年度の353万1千円と平成26年度の3,445万7千円を比較すると約10倍に伸びており、全国の大学中11位に位置しているとのことであった。
概要説明の後、委員から外部資金の獲得、産学連携支援マッチング情報システムなどについて活発な質疑が行われた。


徳島大学研究支援・産官学連携センターにて

今回、同センターを視察できたことは、本県における産学官の連携に関する施策を推進していく上で大変参考になるものであった。

(2)バンドー化学㈱

(先端産業分野における企業の取組について)

【調査目的】

バンドー化学㈱は、明治39年に神戸で創業し、ゴム・プラスチック製品メーカーのパイオニアとして、新技術や新製品の開発を行ってきた。現在は、世界中に拠点を持ちグローバルに事業を展開している。
同社は、埼玉県先端産業創造プロジェクトの「ナノカーボン信州大学プロジェクト」に参加している。ここでは、信州大学カーボン科学研究所が開発した高強度・高耐熱・高耐久性を持ち合わせた樹脂を工業技術に発展させ、自動車部品・産業用部品・資源開発用部品等を製品化する役割を担っている。
今後の本県における先端産業分野の参考とするため、同社の取組を調査する。

【調査内容】

バンドー化学㈱は、ゴム・プラスチック製品メーカーのパイオニアとして、時代のニーズに沿った新技術や新製品の開発を推進し、現在は、世界15か国22拠点でグローバルに事業を展開している。同社は、ゴム・プラスチックの高い加工技術を基に発展を遂げ、自動車のエアコンやウォーターポンプなどを動かす補機駆動ベルト、プリンタなどに使用される伝動ベルトなどで世界トップクラスのシェアを有している。
現在は、自動車部品事業、伝動ベルトなどの産業資材事業、精密機能部品や機能フィルムなどの高機能エラストマー製品事業などを進めている。さらに、様々な素材をブレンドしてゴムや樹脂の機能を高めるという同社のコア技術に新たな技術を融合させて事業領域を拡大している。特に、新たな事業領域として、重点市場と位置付けた「オプトエレクトロニクス」「交通/自動車」「エネルギー」「ロボット」の4つの市場に求められる高機能製品を開発している。
また、先端産業分野では、パワーエレクトロニクス、ディスプレイ、カーボンナノチューブの製品開発を行っている。
パワーエレクトロニクス向けの製品では、従来より技術的に多くの電力を使う流れになってきており、電力を効率よく使い、発生した熱をいかにして逃がすのかが省エネの一つのポイントになる。このため、高熱伝導シートや半導体を基盤に接続するためのナノ粒子を使った接着剤などの製品開発に取り組んでいる。ディスプレイ向けの製品では、スマートフォンなどのタッチパネルディスプレイ製品の各部材を貼り合わせるために用いられる透明の粘着ゴムシートを開発し、秋から量産に入る予定である。カーボンナノチューブの製品開発では、埼玉県先端産業創造プロジェクトの「ナノカーボン信州大学プロジェクト」に参加し、自動車に使用される電動パワーステアリングシステムで使用されるギアなどを開発している。ギアは、樹脂製が多いが、様々な環境で使用される車では、樹脂が変形してしまうことが問題となっている。同社は、これをカーボンナノチューブと樹脂の複合体で解決しようと考えており、現在はギアの機能における全体のバランスを検討しているとのことであった。ほかにも、カーボンナノチューブの優れた電気的な特性を活用して、伸縮性ひずみセンサなどを開発している。同センサは、製品の伸縮による電気的な特性を計測することで、ひずみが計測できるもので、人体にセンサを貼ることで筋肉の収縮などを計測できるとのことであった。


バンドー化学㈱にて

 

概要説明の後、ナノカーボン信州大学プロジェクトについて、カーボンナノチューブの市場などについて委員から活発な質疑が行われた。
今回、同社を視察できたことは、本県における先端産業分野の施策を推進していく上で大変参考になるものであった。

(3)阪神友愛食品㈱

(障害者雇用の取組について)

【調査目的】

阪神友愛食品㈱は、働く意思と能力を持ちながら就職の機会に恵まれない重度の障害のある方々の職場を確保することや、自立した生活が営めるように障害者雇用を促すことを目的として、昭和61年に第3セクター方式(兵庫県、阪神7市1町、コープこうべ)で設立された、コープこうべの特例子会社である。
同社の業務内容は、食品の製造・加工、リサイクル事業であるが、併せて、知的障害のある方のための「能力開発センター」を併設し、一年間の訓練の後、公共職業安定所と連携しながら、阪神7市1町の各企業への就職サポートも行っている。
今後の本県における障害者雇用の取組の参考とするため、同社の取組を調査する。

【調査内容】

阪神友愛食品㈱は、自立と共助、そして社会貢献を経営理念に、働く意思と能力を持ちながら、就職の機会に恵まれない重度障害者に職場を確保し、自立した生活が営めるようにすることを目的に、昭和61年に設立された。同社は、兵庫県、阪神7市1町(尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、宝塚市、川西市、三田市、猪名川町)、コープこうべの共同出資による第3セクターで、「障害者の雇用の促進等に関する法律」に基づくコープこうべの特例子会社である。また、知的障害者を対象とした「能力開発センター」を併設し、1年間の訓練の後、公共職業安定所と連携しながら、主として、阪神7市1町の各企業への就職を支援している。
同社は、タケノコなどの農産水煮製品、レトルト製品の加工や包装を主な事業としており、現在は障害者22名が雇用されている。ここで生産された商品は、コープこうべをはじめ、学校や病院の給食用材料としても出荷されているほか、他社の受託生産も行っている。同社では、作業をより安全に行うために、細やかな打合せを欠かさず行うとともに衛生面においても万全を期している。また、社員一人一人が自分の能力を最大限発揮できるようにワンランク上の目標を持って仕事に取り組んでおり、仕事内容は、固定化せずにローテーションを組んで各人ができることを積極的に任せるなど、仕事の幅を広げていけるシステムとなっている。さらに、同社で働く障害者が同様の重度障害者多数雇用事業所を見学するなどの社会的活動を行っている。
また、同社に併設された能力開発センターでは、特別支援学校の15名の生徒が、社会に適応・生活する力や企業へ就労するための基本的な技能・体力など、働くための力を伸ばすカリキュラムに従って訓練を受けている。授業では、社会常識やマナー、栄養学や食品衛生学の基礎知識も学んでいる。昨年までに400名が修了しており、うち約350名を就職に結び付ける実績を残している。同センターが他の訓練センターと大きく異なるのは、同社の工場内で実際の生産ラインに参加して実習が受けられるところであり、品質管理や生産性を学べる生きた職業訓練となっている。また、就職はゴールではなく長い職業生活のスタートと考え、通信誌の発送や同窓会の企画など修了生のネットワークづくりにも取り組んでいる。
同社は、設立から30年が経過し施設の老朽化の進行や、労働者も高齢化により今までと同様の仕事ができにくくなるなどの課題を抱えている。また、親会社の業績と連動するため、独自に生産量を増やせないことから、新たな雇用を創出できないことも課題であったが、この課題に対応するため2年前に就労継続支援A型事業所を立ち上げたとのことであった。
概要説明の後、自治体からの支援や社員の採用などについて委員から活発な質疑が行われた。
今回、同社を調査できたことは、本県における障害者雇用の取組を推進していく上で大変参考になるものであった。

(4)こと京都㈱

(雇用の創出・確保について)

【調査目的】

こと京都㈱は、㈲竹田の子守唄を前身とした農業生産法人で、社員の増加や経営規模の拡大から平成19年に株式会社へと組織変更している。
同社社長が農業に参入した平成7年当時は、個人経営の野菜生産で年間約400万円の売上げであったが、九条ねぎの産地出荷リレー体制の構築による周年供給を実現させるとともに、平成12年から飲食店用に九条ねぎのカット販売を開始した。今では、九条ねぎの生産・加工・卸売や京野菜の生産などで年商15億円を目指すまでに事業が拡大し、農場や加工工場などで地域に多くの雇用を生んでいる。
今後の本県における雇用の創出・確保の取組の参考とするため、同社の取組を調査する。

【調査内容】 

こと京都㈱では、京都伝統野菜である九条ねぎの生産・加工・販売を一貫して行っている。
社名の由来は「京都をテーマに『古都』(古都京都の昔ながらの良いところを発信)、『事』(ものだけの販売でなく、事(ストーリー)を提供)、『言』(売ることだけでなく、伝えることに重点)の3つの『こと』を発信する」ということであり、同社は地域に根ざして農業を発展させ、伝統を維持・伝承しながら地域の発展に取り組んでいる。
同社の設立は、大学卒業後アパレル企業で営業マンとして働いていた現代表取締役山田敏之氏が、平成7年に急きょ実家の農家を継いだことに端を発している。自ら年商1億円という目標を課して就農したが、1年目は米、九条ねぎ、ほうれん草などを少量多種で栽培した結果、年間の売上は約400万円ほどであった。その後、九条ねぎだけに栽培を絞り込み、季節の推移に関わりなく年間を通じて栽培する周年栽培の開始により、安定して供給できる体制を整えた。また、平成12年から九条ねぎのカット販売を開始し、東京のラーメン店を中心に、カットねぎ商品の営業活動を行った結果、取引の拡大につながり、今では九条ねぎの生産・加工・卸売や京野菜の生産などで年商15億円を目指すまでに事業が拡大し、農場の拡大や加工工場の新設などで地域に多くの雇用を生んでいる。
同氏は、最近10年ぐらいの間に農業には大きな環境の変化があったが、就農当時から農業をビジネスと捉え取り組んできたことが現在の経営規模につながったと考えているとのことである。また、同氏は(公社)日本農業法人協会の副会長として若手育成にも力を入れている。同氏によれば、いまだに農業は家族での経営という概念があるが、現在の農業従事者が65歳くらいになり、次の世代が育っていない状況を考えると、企業というスタイルで農業を行い、雇用を創出する道もあるのではないかと考えているとのことである。
同社の特徴的な取組として、平成21年に地域の生産者とともに発足した「ことねぎ会」がある。この会を通じて、九条ねぎの伝統継承や栽培技術の更なる向上、次世代の農業者や新規就農を応援しているとのことである。また、京都、日本の農業を担う「農業経営者」の輩出を目的に独立研修制度を設けており、研修期間は4年から5年で現在15名が研修を受けている。研修1年目から3年目は、現場で農作物と向き合う体力を養うと同時に、毎日変化のある畑でその季節感を実際に目や耳で感じ、適切な判断の基準や対応を学んでいる。3年目からは現場での実務と並行して、就農する地域や経営規模などの事業計画を検討し、4年目には事業計画を基に金融機関や行政との相談を進め独立することとしている。同制度では、農業の技術を学ぶだけでなく、独立後の経営やねぎの販路をサポートしている点が最大の利点であるとのことであった。
概要説明の後、委員から今後の事業展開について、事業拡大に伴う雇用数の展望などについて活発な質疑が行われた。
雇用の創出・確保については、本県にとっても重要な課題であり、同社の取組を調査できたことは、今後の施策を推進していく上で大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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