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掲載日:2018年2月6日

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少子・高齢福祉社会対策特別委員会視察報告

期日

平成28年9月12日(月)~14日(水)

調査先 

(1) 日赤安謝福祉複合施設(那覇市)
(2) 名桜大学健康・長寿サポートセンター(名護市)
(3) うるま市立みどり町児童センター(うるま市)
(4) 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県南風原町)

調査の概要

(1)日赤安謝福祉複合施設

(総合的福祉施設の運営について)

【調査目的】

日赤安謝福祉複合施設は、平成10年に、少子高齢社会に向けて、地域と福祉が一体となった施設として那覇市が設置した。平成25年度に民営化したが、設置当初から指定管理者として運営を受託していた、日本赤十字社沖縄県支部が運営している。
同施設は、特別養護老人ホームを中心に、老人デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、ショートステイが設置されている。また、老人憩いの家、児童館、保育所、児童クラブ等も施設内で運営されている
さらに、隣接する市立安謝小学校との囲いも取り除き、利用者、地域、世代間の交流とボランティアの育成を行いながら地域に開かれた施設運営を行っている。
同施設を視察することで、本県における総合的福祉施設の運営に関する施策の参考とする。

【調査内容】

日赤安謝福祉複合施設は、平成10年に那覇市が設置し、日本赤十字社沖縄県支部が指定管理者として運営していた。しかし、数年ごとに管理者を公募する指定管理者制度では、継続的かつ安定的な運営になじまないことから、日本赤十字社沖縄県支部が同市に対して要望を行い、平成25年度から民営化し、直接運営することとなった。
同施設では、複合施設の特性を生かして、世代間交流を積極的に行っている。視察当日は敬老会が開催されており、会場の集会室では、保育所の子供たちが高齢者たちの前で歌や踊りを披露し、大いに盛り上がっていた。最後に子供たち全員が元気な声でお祝いの言葉を伝え、高齢者たちからもお礼をするやり取りからは、ふだんから世代間交流が盛んに行われていることが強く感じられた。
また、地域交流の取組の一つとして、隣接する市立安謝小学校との境界にあった塀を取り除いており、施設職員が児童から名前で呼ばれ、声を掛け合うような関係ができているとのことである。学校側と塀を取り除くための話し合いをした当初は、学校側は「児童の安全面で心配であり責任が取れない」と消極的であったが、粘り強く交渉し実現したという。部外者が入り込むこともあったが、顔見知りの関係性が確立されているため、大事に至ったことはないという。
これらの取組を行ってきた同施設は、施設利用者や地域住民からの評判は良好だという。地域住民の結び付きが強いと言われている沖縄県であっても、那覇市などの都市部は、核家族化が進み、結び付きも弱くなってきている。そのような中、同施設は、高齢者と子供たちが、最初は遠慮するものの仲良くなったり、イベントなどを通じて地域住民も交えた交流の核となる施設として利用されている。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「大変充実した施設運営を行っているが、特別養護老人ホームなど各種施設の人員は十分に足りているのか。また、どこの施設も収益を出すために腐心しているが、どのような状況か」との質問に対し「人員は基本的に日本赤十字社沖縄県支部の職員であるため、その中で異動をしており、必要な人員は確保できている。また、日本赤十字社の性格上、利益追求をしていないので、収支のバランスを見て運営できており、現在のところ運営に支障を来すような問題はない」とのことであった。
同施設による総合的福祉施設の運営について視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(2)名桜大学健康・長寿サポートセンター

(地域と連携した健康増進活動支援の取組について)

【調査目的】

名桜大学は、スポーツ科学、看護、国際交流関係の学部で構成される公立大学である。平成24年、地域貢献の一環として県北部12市町村を中心とした行政と連携し、大学の健康科学に関する知見を応用して健康福祉活動を提供するため、健康・長寿サポートセンターを設立した。
同センターでは、看護学科を中心に、健康相談活動を行政と共同で実施するとともに、CGコンテンツを利用して楽しく参加できる運動プログラム「JOYBEATプログラム」を活用し、運動活動支援を行っている。
同センターの取組を調査することにより、本県における地域と連携した健康増進活動支援の施策の参考とする。

【調査内容】

名桜大学は平成6年、県及び名護市を中心とする北部12市町村の出資による公設民営大学として設立され、平成22年に公立大学法人となった。
大学創設の趣旨の一つに「沖縄県北部の地域活性化」があり、同大学で蓄積された知見や学生の力を健康増進の観点から地域に還元するため、平成24年、同大学内に健康・長寿サポートセンターを設立した。
沖縄県が長寿県と言われたのは過去の話で、都道府県別の平均寿命の順位は低下している。とりわけ、食生活の変化による生活習慣病の増加は40代から50代の世代に顕著であるため、今後更なる低下が懸念されている。厚生労働省の統計によると、全国の65歳以上の医療費の割合は全体の5割以上を占める。また、要介護となった原因の多くは生活習慣病や運動不足によるけが等によるものである。これらを改善するため、県北部地域では専門的な人材の確保、継続的な支援体制が課題であるという。
そこで、同センターでは、2040年までに男女共に平均寿命全国1位を取り戻すことを目標に、沖縄県に適した実現可能な健康プランを打ち立て、「健康問題を解決する」、「地域の人と人がつながる」というプロジェクトを展開している。
同センターの取組の一つに、地域住民の健康を支援する学生団体「ヘルサポ」との連携がある。具体的には、自治体・企業と連携して同センターが健康測定を定期的に実施し、これを基に運動教室を展開、併せて「ヘルサポ」による「ゆんたく(座談会)」を通じて意識の向上や継続性を育み、結果を「健康手帳」として一人一人に配布し現状を可視化することで健康支援を推進している。
また、ほかの特徴的な取組としては、運動教室に、専門的知識がなくとも誰もが気軽に取り組めるツールとして「JOYBEATプログラム」を導入している。これは、通信カラオケのシステムを活用し、3Dの映像を見ながらエクササイズをするもので、着座での運動から負荷の高いものまで各種プログラムがある。トレーナーを派遣する必要もなく、毎月新しいプログラムが配信されるので陳腐化することもないというものである。
これらの取組について、同センターが専門人材の育成、自治体がコーディネートする人材の育成や連絡・調整を担っており、得意分野を生かし連携することが、成果を上げるためには重要であるとのことだった。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「事業を長続きさせるために、連携する自治体に求めるものは何か」との質問に対し、「いろいろあるが一番重要なものは理解と本気度である」とのことであった。
同センターにおける地域と連携した健康増進活動支援の取組を視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。


名桜大学健康・長寿サポートセンターにて

(3)うるま市立みどり町児童センター

(「こども食堂」運営の取組について)

【調査目的】

沖縄県では、共働きやひとり親の比率が高いため、孤食や満足な食事を摂れない児童が多く、うるま市でも問題となっている。
これに対応する形で、児童に無料又は低額で食事を提供する「こども食堂」が全国的に広がりを見せているが、同市でも平成28年、児童センター内に、こども食堂「スマイルカフェ」を設置した。毎週土曜日に活動し、栄養バランスの取とれた食事の提供を行っている。また、平成27年度には同県の「子どもの貧困実態調査事業」を受託し、食事の提供とともに、子供の貧困の実態把握、ノウハウの蓄積を行ってきた。
同センターの取組を調査することにより、本県における児童福祉、子供の貧困対策に関する施策の参考とする。

【調査内容】

沖縄県における子供を取り巻く環境は、一人当たりの県民所得が全国最下位で、かつ母子世帯の出現率が全国1位であるなど深刻な状況である。また、うるま市では、認可保育所や公立幼稚園に通う児童の保護者のうち、生活保護受給者や住民税の非課税世帯が約3割を占めるほか、失業率が全国市町村でワースト5位であり、市町村民所得が県内41市町村中39位であるなど、特に厳しい状況にある。
「こども食堂」は平成24年頃から民間発の取組として始まり、全国に広がっている。同市では、みどり町児童センターの指定管理者である「(一社)りあん」がもともと自主的な活動としておやつづくり事業を実施していたことから、これを発展させる形で、市の事業として、こども食堂「スマイルカフェ」をオープンした。経費については、平成27年度は県事業を受託し、平成28年度は国の「沖縄子供の貧困緊急対策事業」の「子どもの居場所づくり事業」として実施している。
「スマイルカフェ」は、児童館内に設置しているため、貧困とは関係なく様々な子供たちが集まることができる場所である。「こども食堂」という名称にすると、貧困家庭の子供が行く場所だとのイメージがあり、行きにくいとの声があったことから、誰でも気軽に行ける場所であることをアピールすることにしたという。また、児童館に訪れる機会がないため、情報が届かない世帯の児童にも存在を知ってもらうようスマイルカフェカードというチラシを作成し、自治会、学校、民生委員、各種行政機関に配布を広く呼びかけたという。
貧困の定義である「相対的貧困」は、親の仕事が非正規の割合が高く、低収入ではあるが、食事に事欠いたり、穴の開いた服を着ているといったものではない。一見普通に生活しているが、食事がカップラーメンばかりであったり、服がまめに洗濯されていないなど見つけにくく理解されにくい。また、子供の教育やしつけに関心の低い親が多く、子供自身も意欲が低下し、学力低下や非行などに至る場合が多く支援が必要である。「スマイルカフェ」での子供たちとの触れ合いを通じて、課題のある子供たちと直接交流して支援に結びつけたり、子供たちから間接的に課題のある子供たちの情報を得て関係機関と連携し支援の方策を探るなど、課題のある子供たちの支援の場として意義ある活動であると感じた。
概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「この活動を通じて課題のある子供の状況を知ることはできたか」との質問に対し、「こども食堂で食事をしながら話すことで、初めて子供の課題を知り学校と相談したり関係機関につなぐことができた」とのことであった。
同センターの「こども食堂」運営の取組を視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(4)沖縄県立南部医療センター・こども医療センター

(高度多機能病院の運営について)

【調査目的】

沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは、平成18年、こども病院と成人部門の両方の機能を併せ持つ全国でもユニークな病院として開院した。全病床数は434床(うち小児病床106床)、総合周産期母子医療センターとして位置付けられ、また、平成28年3月には小児救命救急センターとしても認可されるなど、沖縄県の小児医療の拠点として重要な役割を担っている。胎児期から成人まで、あらゆる疾病に対応することが可能であるほか、離島・へき地医療支援なども担う高度多機能病院として注目を集めている。
同センターの取組を調査することにより、本県における高度多機能病院の運営状況等に関する施策の参考とする。

【調査内容】 

沖縄県立南部医療センター・こども医療センターは、小児と成人部門の機能を持つほか、高度医療にも対応、臨床研修機関として医師の研修も行い、へき地医療の拠点となるなど高度多機能病院として運営されている。
小児部門と成人部門との連携のメリットは、胎児の段階で疾患が発見された場合や母親に何らかの疾患があった場合、妊娠期は成人部門でケアし、出産後、子供はすぐに小児部門に引き継ぐことができ、母親に対する産後のケアも連携しながら行える点である。また、沖縄県では出生率が高いが、その中には中高生の妊娠、出産も多いことから、連携しながら妊娠期から出産するかしないかを含めたカウンセリングを行い、出産後の生活設計も含め、行政機関とも連絡を取りケアすることも少なくないという。
小児部門の課題としては、NICUを12床から18床に増床したが、増床後でも稼働率が常に100%であるなど、設備、人員にほとんど余裕がないことがある。一般病院である成人部門を合わせた予算枠のため、小児部門の集中的な強化はなかなか認めてもらえないという実情はあるが、専門病院として先進的な機器や十分な人員の確保を要望しているとのことであった。
臨床研修については、初期研修と後期研修を受け入れている。初期研修は同センターだが、後期研修は別の医療機関で受ける医師もいるため、一貫して受け入れることで人員の確保、定着を進めることが課題であり、魅力あるセンターづくりが求められている。また、へき地医療拠点病院としては、8か所の離島の診療所を管轄し、現場の医師等への支援を行っている。離島の医師は、自治医科大学から派遣される医師のほか、離島を希望する医師でやりくりしている。離島の医師は幅広い知識や対応能力が求められるが、最近では地元住民のほか、外国人観光客が増加しており、多言語対応や診察料の徴収などが課題となっている。
概要説明の後、委員から活発な質疑が行われた。その中で、「へき地医療について、少ない人員で対応するのは大変であると考えるが、看護師については、どういった対応をしているのか」との質問に対し、「離島の看護師が休暇や研修等で診療所を離れる場合は同センターの担当の看護師と交代し、欠員が生じないようにしている。また、現場へのアドバイス等の支援を通じて日常的にやりとりをしているので、引継ぎもスムーズに行われている」との回答があった。
同医療センターによる高度多機能病院の運営について視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。


沖縄県立南部医療センター・こども医療センターにて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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