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掲載日:2025年11月21日

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少子・高齢福祉社会対策特別委員会視察報告

調査日

令和7年7月23日(水曜日)~24日(木曜日)

調査先

⑴福井大学子どものこころの発達研究センター(福井県永平寺町)
⑵金沢市農業協同組合(金沢市)

調査の概要

(1)福井大学子どものこころの発達研究センター

(多様なこどもへの支援について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 少子化社会においては、子育て環境の整備はもとより多様なこどもへの支援が重要である。

■視察先の概要と特色

  • 子どものこころの発達研究センターは、福井大学大学院医学系研究科の附属センターとして、子どものこころに関する基礎・臨床研究を推進するとともに、得られた成果等の社会還元を担っている。
  • 平成21年に前身の大学院医学系研究科附属子どもの発達研究センターが設置され、平成24年度、大学全体で研究を進めるためにセンターを全学化し、現在に至っている。
  • ギフテッドやこどもの発達障害に関する研究を数多く行っており、本年2月には、他の大学と共同でADHDの症状緩和に効果的な技法を発見するなど実績を上げている。
  • また、ギフテッドに関する幼稚園から小中学校までの12年間の追跡研究など、先進的な研究も進めている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 診療部門の「子どものこころ診療部」では、精神科や小児科と独立した形で、児童精神科医、小児科医、公認心理師が、それぞれの得意分野を生かして診療を行っている。
  • 認知行動療法(以下、CBT)は、ADHDにも有効性が証明されているが、専門的に行える医師や心理師が少なく、多くのこどもや保護者がその治療を受けられないという問題があった。今回、CBTのプログラムを作成し、広くインターネット上で公開するプロジェクトの中で、CBTのどの技法がADHDに対して特に有効かが判明した。
  • 最近は、研究に患者等が参画することを重要視しており、患者にプログラムを利用してもらい実際に有効であったかアンケートやヒアリングをしているが、その取組には埼玉県の医療機関も参加している。
  • こどもに対する大人からの良くない関わりや避けたい子育て、いわゆるマルトリートメントは、様々な心の病気の原因となり、脳機能低下を招く。マルトリートメントは、親世代から繰り返されることも多く、近年は育児の孤立化等も増えているため、親を非難して終わりではなく、親だけでなく社会で子育てをする「とも育て®」が重要である。
  • 福井県との連携では、寄附講座を開設し児童精神科医療を担う医師の養成を行っている。児童相談所などの行政機関では、医務業務担当職が一人の場合が多く、誰にも相談できない等様々な課題があるが、寄附講座であれば、高度な知識・経験を有する人を行政部門に定期的に派遣し、養成・相談にも対応できるため非常に有効と考えている。

■質疑応答

Q:福井県では、発達障害の診断前の支援が普及していると聞いた。全国的にはまだ普及していないように感じるが、普及させるための課題等は何か。

A:1歳半検診で言語発達遅滞があればフォローアップを行い、診断がなくても言語の訓練につなげる状態にしておくことが重要である。全国のピックアップ率は2、3%だが、福井県は10%近くである。福井県では、越前市がこどもの発達を支援するセンターを以前から有しており、フローが既にできていたため、それを全県的に広げていった形である。対象者全員を診断してからとなると、支援までに数年がかかってしまう。

福井大学子どものこころの発達研究センターにて議員とスタッフの集合写真

福井大学子どものこころの発達研究センターにて

(2)金沢市農業協同組合

(農福連携の取組について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 高齢化・人口減少が進む中、農家等の人手不足を解消するとともに、農業分野での活躍を通じて、障害者の自信や生きがいを創出し、社会参画を実現する必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 金沢市農業協同組合では、農家・集出荷場と障害福祉サービス事業所との農福連携のマッチングを行い、双方のパイプ役として、作業内容や労働条件の確認、日程調整、作業指導などの支援を行っている。
  • 平成28年から組合内に専門の担当室「担い手支援室」を設置し、平成30年から労働力不足に悩む農家や障害者福祉サービス事業所へ、農福連携を提案している。
  • マッチング数の増加に伴い、農家・集出荷場の繁忙期にまとまった労働力の確保が可能となる一方、障害者に多様な作業を紹介できるようになり、労働意欲増進も実現している。
  • 農林水産省等が設立した農福連携等応援コンソーシアムにおいて、「ノウフク・アワード2022フレッシュ賞」を受賞した。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 農家への聞取り調査では、労働力や後継者問題が一番の課題となっており、その課題解決策の一つとして農福連携を始めたのがきっかけである。初めの1、2年は、全く成果がなかったが、短期間の場合や雨天時に中止となる場合でも、対応が可能なことなどを強みとして、通常のアルバイトでは難しい部分を切り口に、農家に提案していった。
  • どの農家も一度目は半信半疑だが、リピート率はほぼ100%である。満足度は高いが、利用までの敷居が非常に高い。障害者にとっても、ふだんは事業所の中での箸詰めやタオル折り等が多いが、屋外での作業が楽しいという声も聞こえてきている。
  • 障害者は、一つの動作を繰り返すことに集中力があり、農家のかたより若い方が多く、動きはやや遅いが、力仕事もできる。一方、複雑な動作への対応は難しい。また、大声を出すと動きが止まってしまうので、その点は気を付けるよう伝えている。
  • 同組合の役割は、間に入りマッチングすることである。農家は、農作業について「見れば分かる」感覚のかたが多いので、代わりに細かな作業内容を支援員に伝えたり、工賃など直接言いにくいことを間に入って伝えることで、トラブル等を少なくできていると考えている。作業内容の説明は、支援員を通じて行っており、支援員の業務理解度が高いと障害者のかたの理解度も高くなる。

■質疑応答

Q:作業は繁忙期中心とのことだが、野菜によって時期が違う。そういう意味では、1年間何らかの仕事はあるのか、あるいは全く何もない時期が数か月続くのか。

A:12月から3月まで農家自体全く仕事がない。産直所の袋詰め等はあるのでその都度入れているが、来てほしいときだけ来てもらう形が、ほぼ100%である。

Q:支援員のかたの教え方が上手くなれば、障害者のかたの効率がよくなると思うが、支援員への取組について、どのように行っているのか。

A:支援員への教育などはできたら良いが、機会がない。作業を行う際に、あらかじめ見に来ていただいている。来ていただくかどうかでも全然違ってくるので、事前にいかに丁寧に説明し、理解していただくかが重要と考えている。

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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