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ページ番号:77855

掲載日:2018年2月6日

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公社事業対策特別委員会視察報告

期日

平成28年9月7日(水)~9日(金)

調査先

(1) (公財)北九州市どうぶつ公園協会(北九州市)
(2) (公財)アクロス福岡(福岡市)
(3) (公財)水素エネルギー製品研究試験センター(糸島市)
(4) (公財)福岡県産業・科学技術振興財団有機光エレクトロニクス実用化開発センター(福岡市)

調査の概要

(1)(公財)北九州市どうぶつ公園協会

(出資法人による施設の運営について)

【調査目的】

(公財)北九州市どうぶつ公園協会は、指定管理者として、到津の森公園、ひびき動物ワールドなどの管理運営を行っている。到津の森公園では、自然・動物・人にやさしい施設づくりを整備方針として、展示動物の生息環境や空間のすみ分けなどを、自然に近い形に再現して動物を飼育することにより、自然環境のすばらしさや自然の多様性、動物と自然との関係が理解できる展示を行っている。また、同公園には、市民が立ち上げたボランティア組織「森の仲間たち」があり、100人ほどのボランティアが飼育の補助、園内のガイド、環境教育活動などを行い、同法人と協働することで地域に根ざした公園運営を行っている。
本県の出資法人における施設運営の参考とするため、同法人の取組を視察する。

【調査内容】

(公財)北九州市どうぶつ公園協会は、駐車場や埋立地等の管理業務を行うため、昭和48年に(財)北九州市都市整備公社として設立された。その後、北九州市の外郭団体の改革によって、他の出資法人の吸収や業務移管などを経て、平成18年度からは公園の管理運営や維持管理などを専門に行う法人となった。平成25年に公益財団法人へ移行し、平成26年からは、到津の森公園に特化して運営を行う団体として、現在の名称に変更した。
同公園は、西日本鉄道㈱が運営していた到津遊園が前身である。到津遊園はレジャーの多様化や少子化などにより入園者の減少が続いて平成12年に閉園したが、閉園の決定が発表されると、存続を求める署名運動が起こり、市民のおよそ4分の1に当たる約26万人の署名が集まった。そこで、同市は、約84億円をかけて用地取得と施設の再整備を行い、平成14年に同公園として再オープンした。その際、同市では、同公園を「市民の支える公園」と位置付け、指定管理制度の活用に当たっては、利用料金による独立採算を基本とし、指定管理料の支払いは最小限にしているという。
そのため、同法人では、市民や企業などからの寄附を受け入れたり、特徴的なボランティア制度を導入している。寄附については、動物の購入や特色ある運営を支援する「到津の森公園基金」、好きな動物を選んでえさ代を支援する「動物サポーター」、動物たちの快適な生活環境の維持管理など公園の運営に充てられる「友の会」の3種類がある。これらの寄附は、種類や金額に応じて入園料の優遇や刻銘版への名前掲示などの特典を用意しているという。
ボランティアについては、自ら活動内容を企画・立案して活動している「森の仲間たち」というボランティア組織がある。保険料500円を含む年間1,000円の会費を自己負担する必要があるが、108人の市民が登録しており、1日平均7.1人が飼育、清掃、ガイド、教育、広報などのボランティア活動をしているという。同法人では、無理に活動を依頼するのではなく、自主的に楽しんで活動してもらうためのサポートを行っており、ボランティアから単に支援を受けているということではなく、ボランティアをする市民を育て、共に公園を運営しているという視点で取り組んでいるという。
また、同法人では、同公園をストレスの多い現実から解放される非日常の場と位置付けており、動植物を見ていやしを感じながら、知見を得られる場とするとともに、線香花火大会など様々なイベントを行い、リピーターを増やそうとしている。同法人としては、同公園が市民生活の質を高め、ひいては同市の質を向上させる存在でありたいと考えているという。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「リピーターが増えたかどうかは、どのように把握しているのか」との質問があり、「入場者アンケートも行っているが、1,000円で3か月間入場できるパスポートの販売数を一つの指標と考えている」との説明があった。
今回視察先を調査できたことは、本県における出資法人による効率的な施設の運営を推進する上で大変参考となるものであった。

(2)(公財)アクロス福岡

(出資法人による文化振興の取組について)

【調査目的】

(公財)アクロス福岡は、指定管理者として、文化振興事業、情報提供事業、施設サービス(貸館)事業を行っている。文化振興事業では、クラシック音楽を中心とした音楽公演、オペラ、バレエの舞台公演を実施し、広く県内外の人々に優れた芸術鑑賞の機会を提供している。また、青少年や音楽を志す人の育成事業や、県内の文化施設と連携した音楽公演等を実施しているほか、国際的学術文化の交流として、中国、韓国などアジア諸国との文化交流事業や国際シンポジウムを行うなど、福岡県の文化振興の拠点となっている。
本県における出資法人による文化振興の参考とするため、同法人の取組を視察する。

【調査内容】

(公財)アクロス福岡は、平成6年に福岡県、福岡市、民間企業20社からの拠出によって設立され、平成24年度には公益財団法人に移行した。同法人は、国際・文化・情報の交流拠点として平成7年に開館した福岡県国際文化情報センター(愛称:アクロス福岡)の管理運営を行っており、平成18年度からは、同センターの指定管理者となった。アクロス福岡は、同県が庁舎跡地を賃貸して、民間企業が建物を建設したもので、床面積の40%については、公共部分として使用するため、同県が買い取った。建物南側のステップガーデンには、約120種類、約5万本の植栽が施されている。その緑化面積は約5,400㎡で、日本で最大級の規模だという。
同法人の主な事業は、文化振興事業、情報提供事業、公共部分の貸館を行う施設サービス事業の3つである。文化振興事業については、「グローバルな感動体験」、「芸術文化を支える人の育成」、「参加・交流と地域文化の発信」の3つに区分して、毎年100前後の事業を行っている。直近2年間の入場者数は約18万人であるという。
グローバルな感動体験としては、国内外の芸術性の高いオーケストラ、室内楽、バレエ・オペラ公演等の鑑賞機会を提供している。芸術文化を支える人の育成については、広範な聴衆や次世代の演奏家、ホール運営等文化を支える人材を育成するための事業を実施している。事業は、客層を意識して企画しており、託児を無料化したランチタイムコンサート、未就学児を主対象とした親子で楽しめるオペラ公演、子供たちを対象とした小中学校への楽器演奏体験の出前授業など、これからの文化を支えていく若い親世代や子供向けの事業に力を入れている。今後は、来場していただく事業だけではなく、アウトリーチ型の事業も更に充実していきたいという。参加・交流と地域文化の発信については、身近に文化に触れる参加・交流の場を提供し、多彩な地域文化を紹介している。特に人気が高かったイベントとしては、「アクロス・クラシックふぇすた」が挙げられ、2日間で1万5,000人もの人が来場したという。同イベントでは、楽器を持ち込んでオーケストラで演奏できる自由演奏会が人気であり、1日で吹奏楽で300人、弦楽で150人の参加者が演奏を楽しんだという。
情報提供事業については、文化観光情報広場において、九州各県、沖縄県、山口県の文化・観光等のパンフレットを約950種類提供するとともに、インターネットで情報を発信している。また、外国人旅行者へ対応するため、通訳ボランティアによる観光相談・案内サービスを提供している。また、館内の「匠ギャラリー」において、国及び県指定伝統工芸品を常設展示するほか、地域工芸家への支援として企画展を実施している。
施設サービス事業では、1,870名収容できる音楽専用の福岡シンフォニーホール、900名収容の多目的イベントホール、6か国語同時通訳ブースを持つ国際会議場のほか、セミナー室など28の施設を貸し出しており、施設利用者は年間約80万人前後である。施設利用率は、国際会議場が60%台だが、それ以外の施設は70%から80%台と高くなっているという。しかし、ここ2、3年は、競争が激化しており、利用率が低下傾向にあるため、インターネットによる検索連動型広告、一部施設における一日複数催事の予約への取込み、利用者サービスの向上を行っているという。
概要説明の後、委員からは貸館事業の競争激化の原因などについて活発な質疑が行われた。
今回視察先を調査できたことは、本県における文化振興の取組を推進する上で、大変参考となるものであった。


(公財)アクロス福岡にて

(3)(公財)水素エネルギー製品研究試験センター

(出資法人による水素社会実現に向けた支援について)

【調査目的】

(公財)水素エネルギー製品研究試験センターは、水素エネルギー新産業の育成・集積を目的として設立された。民間企業が水素エネルギー新産業へ新規参入するためには、水素ガス環境下での製品試験により、製品の性能・信頼性を証明する必要があるが、高額な初期投資が必要となる。そこで、同法人では、九州大学水素材料先端科学研究センターの世界最先端の研究成果を基に、今まで国内で実施できなかった水素関連の素材や製品等の研究試験を行うことで、産業界の製品開発を支援している。
本県における出資法人による水素社会実現に向けた支援の参考とするため、同法人の取組を視察する。

【調査内容】

(公財)水素エネルギー製品研究試験センターは、中小・ベンチャー企業等が水素エネルギー産業に新規参入しやすくなるよう、研究開発・製品試験を支援することにより、水素エネルギーの実用化、新産業の育成を推進することを目的に設立された法人である。同法人が設立された当時の平成21年頃は、国内の水素エネルギーの利用に対する理解が低く、企業が製品開発を行う際の製品の性能・信頼性の試験を行う第三者機関が国内に存在せず、海外の試験機関を利用するしなかった。水素関連製品の性能評価試験を行う全国初の公的施設として同センターが整備されたことにより、国内で試験が可能となり、製品開発期間の短縮や開発コストの低減という成果が出ているということであった。
同法人による支援実績のある製品開発としては、水素ステーションで水素を充填するための樹脂製ホースや、水素貯蔵タンクなどがある。充填用ホースは、-30℃でも柔軟性を失わない素材が必要であり、耐久試験を繰り返して開発された製品は、全国の水素ステーションで採用されているという。また、貯蔵タンクは、破裂試験を繰り返すことで高圧に耐える丈夫な容器を開発することに成功した。破裂試験の結果は、水素貯蔵タンクの認可取得のためのデータとしても活用されたとのことであった。ほかにも多くの製品開発の実績があり、特に中小企業にとっては、高額な試験設備を導入する必要がないことから、水素エネルギー産業への進出企業が増え、産業自体の活性化につながっているということである。
同法人が行う試験実施件数は年々伸びており、昨年度は295件の試験を実施した。特に燃料電池自動車関連の試験依頼が増えている。これは、燃料電池自動車の開発が初期型から普及型に移行しつつあり、様々な車種向けの多様な部品の開発が進んでいるためであるとのことである。受注金額についても順調に伸びており、当初は年間1億円あった福岡県からの補助金も、現在は半分となっており、法人設立10年後に独立採算を目指すとしていた目標も前倒しができる見込みとのことである。
また、平成24年には新たに新試験棟を整備し、大型水素貯蔵タンクの試験に対応できるようになった。これにより、ほぼ全ての容量の水素貯蔵タンクに対応する試験が可能となるアジア唯一の試験施設となった。新試験棟を活用することで、燃料電池自動車の普及に向けた水素ステーション整備が加速していくことが期待できるとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「試験の安全性確保はどうしているのか」との質問に対し、「試験室は250mmの鉄筋コンクリート壁で囲まれ、さらに試験体を耐爆カバーで覆っている。また、人間は試験室外の別室から遠隔操作で試験を行う」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県の出資法人による水素社会実現に向けた技術的・財政的支援を推進する上で、大変参考となるものであった。


(公財)水素エネルギー製品研究試験センターにて

(4)(公財)福岡県産業・科学技術振興財団 有機光エレクトロニクス実用化開発センター

(出資法人による先端産業の研究開発について)

【調査目的】

(公財)福岡県産業・科学技術振興財団は、同県の産業構造の転換や経済活性化のため、地場企業や大学等の産学官連携を図り、基礎研究から実用化研究までを一貫して支援している。平成25年4月には、有機光エレクトロニクス研究分野の産業化を図るため、「有機光エレクトロニクス実用化開発センター」を開設し、九州大学等で創製され、脱レアメタル、高効率、低コストである世界最先端の有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)発光材料を用い、ディスプレイや照明、太陽電池等の製品化を目指した実用化研究を行っている。
本県における出資法人による先端産業の研究開発の参考とするため、同センターの取組を視察する。

【調査内容】 

(公財)福岡県産業・科学技術振興財団は、平成元年に設立され、平成26年に公益財団としての認可を受けた。産学官の共同研究による創造的研究開発を推進することにより、科学技術の振興を図り、産業構造の高度化や新たな産業の育成に貢献し、産業の活性化に寄与することを主な事業目的としている。同財団の主な事業としては、ロボット・システム開発関連産業の拠点化、有機EL産業の振興などがあり、県内4か所に5つのセンターを置いている。ロボット・システム開発関連産業の拠点化事業については、3つのセンターで役割を分担している。「ロボット&システム開発センター」が設計開発、人材育成支援、大型プロジェクト推進を、「三次元半導体研究センター」が試作ライン等を用いた半導体実装技術支援を、「社会システム実証センター」が新製品やデバイスを用いた社会実験支援を担当し、三位一体となって事業開発プロジェクトのための一貫体制を構築しているという。
同財団は、平成25年に有機EL産業振興のため、「有機光エレクトロニクス実用化開発センター」を開所した。有機ELとは、発光層が有機化合物からなる発光ダイオード(LED)を構成する素子のことで、有機ELディスプレイは、液晶ディスプレイと比べて、薄い、軽い、曲げられるという長所がある。今後、スマートフォンやテレビなどでの利用が増えると見込まれており、韓国や中国では、数兆円の投資が計画されている。同センターは、周辺地域を次世代の有機光エレクトロニクスを支える研究開発拠点にすることを目指しており、九州大学などと連携している。同大学が、最先端の有機半導体材料の基礎研究を行うことで技術シーズの創製を担い、同センターは、実用化や技術の橋渡しのため、同大学との共同研究や民間企業からの受託研究などを行っている。
同センターの特徴としては、有機デバイス作製装置や駆動寿命評価システムなど、試作・評価のための各種先端装置を保有していること、研究員などの専門の人材を確保していることが挙げられる。デバイスの最適化、材料の評価・解析、実用化に向けた技術提案、地域企業への製品・ビジネス提案など幅広い要望に対応できるため、顧客から高く評価されており、施設のフル稼働が続いているという。
また、同センターでは、同大学教授(同センター長を兼務)の研究室が開発した第3世代の熱活性化遅延蛍光材料(TADF)の実用化を目指すため、同大学が平成27年に設立した㈱Kyuluxの支援も行っている。同社は、既に15億円もの資金調達に成功しており、当初10人であった社員も18人まで増えているという。また、平成30年の実用化へ向けて事業を行っているが、新材料を発見するため、ハーバード大学が持つ人工知能を用いた「分子スペースシャトル」利用ライセンス契約を締結しているという。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「なぜ有機EL事業を行おうと考えたのか」との質問に対し、「全国のトップ30の研究を支援する内閣府の最先端研究支援開発プログラム(FIRST)に選定され、事後評価でも高く評価されたため、県が産業化を支援することになった」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県の先端産業の研究開発を推進する上で、大変参考となるものであった。

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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