トップページ > 埼玉県議会トップ > 委員会 > 委員会視察報告 > 公社事業対策特別委員会視察報告

ページ番号:275349

掲載日:2025年11月21日

ここから本文です。

公社事業対策特別委員会視察報告

調査日

令和7年7月23日(水曜日)~24日(木曜日)

調査先

⑴ジムコミ(旧金山町立明安小学校)(山形県金山町)
⑵山形クラス「香澄町の家」(山形県住宅供給公社)(山形市)

調査の概要

(1)ジムコミ(旧金山町立明安小学校)

(出資法人による共創型地域課題解決のモデルと多主体連携による地域づくりの取組について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 本県出資法人において、様々な資源が限られている中、地域課題を単独で解決するには限界があるため、組織の枠組みを越えて、効果的・効率的に課題解決するための手法を検討する必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 公益財団法人やまがた産業支援機構が事業主体であるYamagata yori-i project (山形県地域課題解決型ビジネス創出事業)では、地域課題の解決に取り組む団体(自治体、企業、NPO、政府、財団など)が垣根を越えて課題解決を目指す事業であり、現在18事業を創出している。
  • その取組の一つとして、旧明安小学校の廃校施設であるジムコミでは、ドローン、メタバース、3Dプリンタなどの専門的な技術を若者に教えるIT機器の体験教室や、健康増進を目的としたトレーニングジム、地域住民が集まれる漫画図書館を設立するなど、若者の技術力の向上と地域への定住促進に取り組んでいる。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 山形県では、創業率が全国的にも低いことから、創業支援体制を整えており、創業から経営まで一貫した支援に取り組んでいる。
  • ハードの支援だけでなく、事業を生み出すためのソフトの支援が必要だと考え、事業創出の支援としてYamagata yori-i project を立ち上げた。
  • 既に人口減少が始まっており、地域課題を解決するプレイヤーが少ないなど解決のリソースは先細りしていくため、一つの組織の力だけではなく、強みを持った関係者が組織の枠組みを越えて、効果的・集中的にリソースを投じることで課題解決を行っていく。地域課題解決のために集まった関係者のリソースをコーディネートし、ビジネス化することが重要である。

■質疑応答

Q:令和5年度の創出事業の中に「空き家・移住アソシエーション」とあるが、どういった事業なのか。

A:空き家は市町村ごとの管理だが、地元の不動産事業者と連携することで、市町村の枠にとらわれず、良い物件の情報を集約し移住者に案内する。また、移住者が行いたいイノベーションや移住後の事業もサポートすることにより、空き家を移住者に流通させる事業である。

Q:18の事業を創出しているが、関係者はどういった方が多いのか。

A:会社同士が集まって事業を創出するケースや学生起業など様々である。地域課題を起点にして事業を創出している点は共通している。

Q:地域課題解決型のソーシャルビジネスと理解したが、多くの利益を上げることができないイメージがある。行政が資本を投じる以上、利益を上げて、税金を納めていただいた方が、利益率の低いビジネスを行うよりも良いという意見も出てくると思うが、どうか。

A:ソーシャルビジネスは公共性の視点も大事になってくるため、事業を立ち上げてすぐに利益化することが難しいが、地域課題に対して先見性を持って続けていくうちニーズが増え、スケールメリットが出てくると考えている。また、公共性が高いということを考えれば、公的な資金を投じる意味もあると考えている。

ジムコミ(旧金山町立明安小学校)にて議員とスタッフの集合写真

ジムコミ(旧金山町立明安小学校)にて

(2)山形クラス「香澄町の家」(山形県住宅供給公社)

(出資法人による空き家の利活用の取組について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 本県出資法人において、空き家問題の解決のために様々な取組が検討されている中、公社が行う行政以外のセクターとの協力・連携は、問題解決につながる取組となるか検討する必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 同公社では、山形県、山形市、山形大学、東北芸術工科大学と連携し、空き家をリノベーションし、準学生寮「山形クラス」を整備した。
  • 男子学生寮2棟・女子学生寮3棟を管理しており、共用の冷蔵庫、洗濯機などの設備や世帯の収入状況に基づく賃料の減額制度など学生寮の利用に関するハードルを低くしている。
  • 空き家を学生寮として活用することにより、隣県から通学する学生の県内への定着及びまちなか居住人口の増加に伴う中心市街地の活性化なども期待できる。本取組に携わる団体の課題解決も下支えしている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 山形県は全国的にも持ち家率が高く、高齢化も進んでいるため、高齢者のみが居住する住宅が非常に多い。将来的に空き家が増える懸念があるため、空き家対策をより重点的に進める必要があった。
  • 空き家対策の一環として、住宅セーフティネット制度を活用した準学生寮「山形クラス」(5棟58戸)の取組を始めた。
  • 同公社の事業を見直した際に、新たに街中の住環境改善を目的に加え、空き家対策として準学生寮の事業に協定を結んで携わるようになった。
  • 住宅セーフティネット制度の対象者は住宅確保要配慮者であるが、同県は独自に若者単身者を住宅確保要配慮者に位置付けている。そのため、学生を同制度の対象者とすることで、空き家のオーナーには改修費補助、学生には家賃補助が行えるようになった。

■質疑応答

Q:セーフティネット住宅の改修費に県が補助金を出している事例は全国的には少ないとの説明があったが、その理由は何か。

A:補助金は、基本的に市町村が主体となって実施している。本県としては、住宅セーフティネット制度を市町村に普及させるべく、「住生活基本計画」に位置付けて取り組んでいる。

Q:他の都道府県の実施状況はどうか。

A:東京都など全国で5都県が実施と認識している。

Q:学生と定期借家契約を2年間結ぶが、途中で退去した場合にも柔軟に対応しているのか。

A:途中解約でも違約金はない。敷金もなく、学生が利用しやすいよう配慮している。

Q:同制度は、大学生を想定していないと思うが、制度を適用できた経緯はどういうことか。

A:若者単身者を住宅確保要配慮者に位置付けることは、県の裁量の範囲である。大きく住宅施策という観点から見れば、学生も対象になると整理した。

Q:民間のアパートやマンションを借り上げて、学生に貸し出すサブリース契約の形を採ることもできたかと思うが、なぜ準学生寮という形を採ったのか。

A:本事業のスキームは一般的にサブリース契約に近い形と思われる。本事業を行う際、国土交通省と調整を行っており、同制度は民間事業が対象であり、単なるサブリース契約では国庫補助の対象とならないことが分かったため、サブリース契約ではない現在の形で行っている。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?