トップページ > 埼玉県議会トップ > 委員会 > 委員会視察報告 > 地方創生・行財政改革特別委員会視察報告

ページ番号:77853

掲載日:2018年2月6日

ここから本文です。

地方創生・行財政改革特別委員会視察報告

期日

平成28年8月17日(水)~19日(金)

調査先

(1) ノーザンホースパーク(苫小牧市)
(2) むろらん広域センタービル(室蘭市)
(3) ゆいま~る厚沢部(北海道厚沢部町)
(4) 函館市役所[まちづくり景観課](函館市)

調査の概要

(1)ノーザンホースパーク

(地域資源を活用した観光事業者の取組について)

【調査目的】

ノーザンホースパークは、苫小牧市にある体験型テーマパークで、競走馬の育成を手掛ける「社台グループ」の㈱ノーザンホースパークが運営している。平成元年7月に開園し、広さは47万8,982㎡と広大な敷地を有する。「馬と大地と、人との絆」をテーマに、馬という地域資源を活用し、乗馬、馬車、軽スポーツ、蹄鉄に装飾するホースシュースタンド作りなどの体験プログラムのほか、家族で楽しめる各種イベント、レストラン、馬グッズを集めた売店などが用意されている。毎年7月に行われる競走馬のセリ市場、セレクトセールの会場でもある。平成23年からはノーザンホースパークマラソン(ハーフマラソン)といったスポーツイベントを開催するなど集客の取組も進めている。また、同施設は旬刊旅行新聞による第36回プロが選ぶ観光・食事・土産物施設100選にも選ばれている。
同施設の取組を調査することで、本県の地方創生の施策の参考とする。

【調査内容】

ノーザンホースパークは平成元年に開園した「馬と大地と、人との絆」をテーマにした馬のテーマパークである。パークで飼育されている馬の頭数は約80頭で、乗馬用の馬から現役を引退した競走馬もいる。
同園では、道内、道外、海外から年間で約30万人の来園者を迎えている。来園者のうち旅行業者を通じて来園する客は約8~9割となっている。個人で来園する客は、レンタカーでの来園が多い。
同施設では、開園当初2年間は、旅行業者の手を借りずに独自にテレビコマーシャル等でPRしていた。しかし、想定以上に来客は少なく、現在の10分の1以下だったため、経営者の判断により旅行業者の力を借りることとなった。同施設は基本的に屋外の施設であり雨などの天候に左右されやすいが、雨の日でもある程度安定した集客を見込めるようになった。旅行業者のコースに入れてもらわないと、雨の日の個人の来客はほとんど見込めない。旅行業者によるPRは、手数料はかかるが限られた経費でも全国にPRできるというメリットがある。もともと乗馬などの体験プログラムやイベントに力を入れてきた同施設であったが、旅行業者の情報も活用することで、旅行者が更に魅力を感じるプログラムづくりにもつながったとのことであった。
近年、新たに始めた集客の取組としては、毎年5月の第3週の土・日曜日にマラソンと駅伝を開催している。それ自体は収益を考えてのものではなく、全国的に同施設を知ってもらうための取組として行っている。親会社で培われたほかでやらないこと、ほかでできないことをやろうという企業風土の下で、牧場の中を走り抜けるようなコースを設定している。
また、北海道の観光業は亜寒帯気候のため、5月から10月までの半年間に集中する傾向があり、同施設ではその期間で年間入園者の約7割を占める。そのため、11月から4月までの集客策として、馬そりや、スノーモービルなどの冬期体験プログラムの充実を図り、観光客の増加を進めているとのことであった。しかし、同施設は馬という生き物を扱うため、毎日の世話が欠かせず年間を通じて人手や経費がかかり、運営は厳しい。親会社が同パークを設置した目的の一つでもある牧場へスタッフを供給するための教育施設ということもあり、親会社からの支援(資金、馬、人材等)もあって運営している。
委員からは、飲食・アトラクション・お土産などの売上げ構成比、新たなアトラクションの計画、個人旅行者に対する旅行業者を通じてのPR、宿泊施設の検討の有無などの質問が活発になされた。
以上のように、同施設の取組を調査できたことは、本県の今後の地方創生施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(2)むろらん広域センタービル

(官民協働による取組について)

【調査目的】

室蘭市では、JR室蘭駅周辺整備事業の核となっていた道支庁舎の移転新築が平成9年に凍結され、地区の活性化推進が停滞していたことから、地元主導で道支庁舎整備事業を図ることが大きな課題となっていた。そこで、同市や地元産業界は平成18年に特別目的会社「むろらん広域センタービル㈱」を設立し、官民協働による施設整備の取組がスタートした。建設の資金調達は社債、貸付、市民公募債(らんらん債)及び少人数私募債を活用し、平成19年に基本計画を策定、平成21年2月に道支庁舎をはじめ官民が複合入居するむろらん広域センタービルが完成した。この取組は、平成21年度に(財)都市みらい推進機構が主催し、国土交通省が後援する土地活用モデル大賞審査委員長賞を受賞した。
同市の取組を調査することで、本県の行財政改革の施策の参考とする。

【調査内容】

むろらん広域センタービルの建設経緯は、平成9年に北海道が胆振支庁合同庁舎の移転改築場所を室蘭市入江地区に決定したことが元となっている。それに伴い平成11年に室蘭市土地開発公社が、移転改築予定地として土地区画整理事業により生じた旧国鉄跡地約2haを先行取得した。しかしながら、その後、北海道の財政悪化や支庁制度の見直しなどにより移転計画は凍結された。そうした中で、室蘭市や地元経済会は、新たなまちづくりや地域の活性化に向け、平成13年に「胆振支庁合同庁舎早期改築期成会」を立ち上げ、移転に向けた手法の研究を行い、北海道への提案を行うこととした。その結果、平成17年に民間が建設した施設に賃貸で入居する案を北海道へ提案し、翌平成18年2月に北海道が正式に提案を承諾した。それを受けて、市や商工会議所、地元企業などの出資により、平成18年4月に特別目的会社「むろらん広域センタービル㈱」を設立し、同ビルの建設に着手した。建設においては市内企業を中心に39社が建設事業に参加し、地域力の結集により平成21年2月に同ビルは完成した。
また、建設のための資金調達は、少人数私募債による社債発行及び室蘭市と金融機関からの貸付金を活用した。室蘭市からの貸付金においては、その原資として市民参加型ミニ公募債(らんらん債)を発行することで、市民も参加したものとなっている。
同ビル建設による地元への効果であるが、官民の複合入居によって、一箇所で様々な手続きが可能なワンストップサービスの提供ができるようになり、市民の利便性の向上を図っている。同ビルでは、就業人口約800人を確保し、地元雇用の増加及び地元居住の増加にも寄与している。また、利用者や出入りの業者を合わせると、1日2,000人以上の往来があり、昼間人口の増加によって新しい人や車の流れが発生し、周辺では店舗の新築や空き店舗を活用した新規出店なども見られることから、周辺商店街の活性化やにぎわいづくりの創出に効果をもたらしている。
委員からは、同ビルの収支状況、地元事業者に対する波及効果、PFI手法の活用、定期借地の期間、建築時における多数のJVとの調整方法などについて質問がなされた。
以上のように、同市の取組を調査できたことは、本県の今後の行財政改革施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3)ゆいま~る厚沢部

(CCRC事業の取組について)

【調査目的】

CCRC(Continuing Care Retirement Community)は、高齢者が元気なうちに移住し、介護が必要になっても継続的なケアを受けながら生活していける共同体のことである。日本における先駆的事例として、平成25年5月に北海道の南に位置する美しい大自然とその豊かな恵みに囲まれた厚沢部町にゆいま~る厚沢部が誕生した。同施設は㈱コミュニティネットが運営しており、役場、学校、図書館や体育施設等が設置されている町の中央部に位置する。「世界一素敵な過疎の町」の実現を目指す厚沢部町と連携し、「安心して暮らせる終のすみか」をつくるのはもちろん、そこに暮らす人たちのコミュニティの拠点として雇用の創出等過疎地の活性化を進めている。
同施設の取組を調査することで、本県の地方創生の施策の参考とする。

【調査内容】

厚沢部町は函館駅から西北へ向かって車やバスで約90分、日本海に面した江差町までなら十数分(約13km)という場所にある。主な産業は農業と林業で、じゃがいものメークイン種発祥の地として知られている。アユやヤマメなど渓流釣りが楽しめる清流や豊かな森に囲まれた自然環境は、どこか懐かしい里山の雰囲気に近いものがあり、町内には昔から地元の人に親しまれている露天風呂のある温泉旅館を含む4件の宿泊施設もある。一方、過疎化は深刻で、ピーク時の昭和35年に1万人以上いた人口は現在4,400人余り、高齢化率は35%弱である。8年後には約1,400人が高齢者となり、全人口の約40%が高齢者となるとの見込みである。こうした中で厚沢部町は、「世界一素敵な過疎の町」を目指している。
ゆいま~る厚沢部を運営する㈱コミュニティネットは、①元気なときは、車を運転したり、自転車を使ったり、歩いたりして、どこでもいける、②体が弱ってきたとき、気軽に外出することが困難な方々こそ、便利な場所である町の中心に住んでほしい、③そこには、子どもから大人までいろいろな人(多世代)が集まり、ご飯を食べたり、和んだり、笑ったりとそんな交流の場所であってほしい、と考え、この地にゆいま~る厚沢部を設置した。介護施設は一般的には町の中心から離れたところに設置される傾向があるが、ゆいま~る厚沢部の目の前には町役場、図書館、消防署、国保病院がある。隣は小学校、町民プール、そして町民に大人気のパークゴルフ場。さらに、近くに商店街がある。生活しやすいというのはもちろんだが、役場や病院に来たついでに立ちったり、パークゴルフ場やプールでスポーツを楽しんだあとで立ち寄ったりするという地域の拠点となることも目指している。
居室は20戸あり、木材をふんだんに使った居室にはトイレと洗面所、収納が付いている。建物内に24時間365日介護スタッフが常駐しているので、心地よい見守りの下、今まで通りの自由な暮らしを送ることができる。また、同施設は建築において、林野庁の「森林・林業・木材産業づくり交付金(約1億円)」、厚沢部町の「入居者支援対策事業に係る補助金(1億円)」を活用することにより、入居に係る家賃を6万円から2万円に下げる工夫が行われている。暮らしに係る費用は、1人入居のモデルケースでは、月額約143,000円(家賃、共益費、食費、光熱水費、医療・消耗品等、交際費)となっている。
なお、同施設の収支であるが、見込んでいた介護報酬が、入居者の健康状態が改善したことで要介護の等級が下がったことなどにより減少し、赤字になっているとのことであった。
委員からは、厚沢部町における今後の施設誘致の計画、東京の移住促進センターへの相談件数や来てもらうためのPR方法などに関する質問が活発になされた。
以上のように、同施設の取組を調査できたことは、本県の今後の地方創生施策を推進する上で、大変参考となるものであった。


ゆいま~る厚沢部にて

(4)函館市役所

(伝統的建造物の保存と有効活用の取組について)

【調査目的】

函館市では、昭和63年に函館市都市景観条例の前身である函館市西部地区歴史的景観条例を制定し、歴史的な建造物を数多く保存してきた。同市は、西部地区を都市景観形成地域として指定し、伝統的建造物群及びこれと一体をなしている地域を文化財保護法に基づく伝統的建造物群保存地区として決定している。
同地区は、南西側に函館山、北東側に函館港がある山と海に囲まれた地域で、「函館発祥の地」として函館が最も繁栄した明治末期、大正、昭和初期に建築された和風、洋風さらには和洋折衷様式の建築物が多く残されている。これらが坂道、街路などと融合しながら特徴ある町並みの景観を形成し、北海道内で屈指の観光資源として活用されている。
同市の取組を調査することで、本県の地域創生の施策の参考とする。

【調査内容】

函館市には、函館山の麓一帯に幕末から昭和初期にかけての諸外国との交流が伺える歴史的町並みが残っている。同市では、この地域を都市景観形成地域として指定し、さらに、この地域の中で景観形成を進める上で重要な建築物等を景観形成指定建築物等として指定している。特に、元町地区や末広町地区などには歴史的、文化的に重要な建築物も多く、これらは、文化財保護法に基づく伝統的建造物として指定されており、これらの周辺地域を伝統的建造物群保存地区として指定している。同地区は、旧函館税関(現海上自衛隊函館基地)敷地に近い港際から元町公園に至る幅36m、長さ270mの坂道である基坂から、旧函館区公会堂の一画、さらにハリストス正教会の一画を経て大三坂を下り、港際のれんが倉庫群の一角に至る延べ約1.5kmのコの字形の道筋に沿った町並みである。旧市街地である同地区は、明治、大正、昭和初期に建築された和風、洋風、和洋折衷様式の建築物が多数残されており、これらが坂道、街路等と融合しながら、特色のある町並みを形成している。また、明治から昭和にかけての都市の近代化の変遷過程を端的に表す地区ともなっており、この地区が函館の中心的な役割を果たしてきたことを伺うことができる。
平成28年8月1日現在で、この伝統的建造物は建築物及び工作物を合わせて84件となっている。同市では伝統的建造物を維持していくため、基金を積んで修繕等の補助制度を設けている。補助内容は、①外観の修理に対する補助、②建築物を活用するための補助となっている。今年度、補助対象を一部見直し、外観の修理に対しては、耐震補強への補助を新設するとともに、建築物を活用するため、バリアフリーや防災設備などを設置する費用について新たに補助することとした。
なお、補助制度の財源であるが、基本的に市の積立金となっている。これまでの状況は、積立金約3億6,000万円、同事業に対する寄附金約6,800万円に対し、取崩し金額は1億1,500万円であり、積立残高は約3億1,300万円となっている。
委員からは、伝統的建造物を見学するための交通手段の取組、伝統的建造物の所有者が変わったケースの件数、函館市を訪れる観光客の調査、伝統的建造物の観光PRの方法などに関する質問が活発になされた。
以上のように、同市の取組を調査できたことは、本県の今後の地方創生施策を推進する上で、大変参考となるものであった。


函館市役所にて

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?