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ページ番号:60135

掲載日:2018年2月6日

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地方創生総合戦略・行財政改革特別委員会視察報告

期日

平成27年9月1日(火)~3日(木)

調査先

 (1) 松江市役所[まつえ産業支援センター](松江市)
 (2) ㈱吉田ふるさと村(雲南市)
 (3) 中村ブレイス㈱(大田市)
 (4) 広島県庁[業務プロセス改革課](広島市)

調査の概要

(1)松江市役所

(Rubyによる地方創生の取組について)

【調査目的】

松江市は、コンピュータのプログラミング言語の一つである「Ruby(ルビー)」の開発者が在住していることから、「Ruby City MATSUEプロジェクト」として行政、大学、IT業界が連携してRubyによるまちづくりに取り組んでおり、今日では、世界のIT技術者から「Rubyの松江」と認知されるまでになっている。同市は、JR松江駅前にRubyの研究開発と技術者交流の拠点である「松江オープンソースラボ」を整備したほか、大学と連携した公開講座の実施、市内中学校でのRuby授業の実施などに取り組んできた。また、島根県と連携してRuby関連のIT企業の誘致を進め、市内に多くの新規雇用を創出している。
同市の取組は、地方に独自のIT文化を根付かせた地方創生の好事例であり、同市のRubyを活用した取組を調査することで、本県の地方創生の施策の参考とする。

【調査内容】

2712地方創生総合戦略・行財政改革特別委員会視察報告(1)

松江オープンソースラボにて

Rubyは、松江市に在住しているまつもとゆきひろ氏が平成5年に開発した日本発祥のプログラミング言語(コンピュータに対する動作の指示を記述するために使われる人工言語)である。Rubyは、日本で開発されたプログラミング言語としては初めて、ISO/IEC(国際標準化機構と国際電気標準会議)の国際規格に認証された。Rubyは無償で公開されており、誰でも利用することができることから、世界では400万人以上の技術者がいる。多くのソフトウェアやホームページの作成に使用されているRubyは、同市や島根県のホームページをはじめ、楽天やクックパッドなどの大手企業や、海外の多くの企業が採用しており、情報技術分野における重要な基盤の一つとなっている。
「Ruby City MATSUEプロジェクト」とは、同市が行っている「Rubyの街」としての地域ブランドの創出を目指す取組であり、Rubyを核とした技術者の情報交換の場の提供や人材育成を行うことで、優秀な技術者が存在するというブランド力を向上させ、企業の集積や雇用創出につなげていこうとするものである。同市では、技術者の情報交換の場として「松江オープンソースラボ」を整備したほか、中学生Ruby教室の開催、市立中学校でのRubyの授業化、Ruby学習のためのeラーニングサイト「まなるび」の開設などに取り組んでいる。
市立中学校でのRuby授業は、現在市内10校で行われている。授業では、「スモウルビー」といわれる、画面上でブロックを組み合わせて視覚的にRubyによるプログラミングを疑似体験できるツールを用いて、論理的思考を育んでいる。また、この授業はRubyを知るという郷土学習の一環にもなっているという。平成28年度には、Ruby授業の対象を市内の全市立中学校に広げていくとのことであった。
さらに、同市では、情報発信の取組として「Ruby World Conference」というイベントの支援を行っている。このイベントは、Rubyを使ったビジネスの在り方や技術の最新動向などを議論するもので、平成26年度は6回目の開催となり、米大統領イノベーションフェローのサラ・アレン氏をはじめ、国内外からおおよそ1,000人の技術者が参加したという。
そもそも、同市がRubyを地域資源として活用することとなった理由は、平成17年の国勢調査で、市の人口が初めて減少に転じたことによる危機感があったためとのことである。大都市圏の真似ではないオンリーワンの地方の強みを模索するうち、Rubyのユーザであった同市職員が、当時一気に普及が進んでいたRubyに着目し、同市にRubyの情報を集め、発信していくことで、同市がRubyの中心になれると考えた。同市職員の熱意に触れた開発者も協力し、同プロジェクトが動き出すこととなった。同市の取組は、オンリーワンの地域づくりの好事例として、「地域づくり総務大臣表彰」の「自治体表彰」を受賞するなど注目されている。
委員からは、市立中学校でのRuby授業の狙いや「Rubyの街」としての海外との交流などの質問が活発になされた。
以上のように、Rubyによる同市の地方創生の取組を調査できたことは、本県の今後の地方創生施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(2)㈱吉田ふるさと村

(地方に雇用を創出する取組について)

【調査目的】

㈱吉田ふるさと村は、自治体等の出資のみならず、住民による住民のための会社として住民出資を募り設立された会社である。地元農産物の加工、道の駅の運営等を行っており、卵かけ御飯専用しょうゆ「おたまはん」は全国的ヒット商品となっている。また、水道事業やデマンドバスの運行事業なども行っており、地域になくてはならない企業となっている。近年は、耕作放棄地を再生させ、加工品の原料となる農産物の生産にも乗り出している。
同社は第三セクター法人であるが、今では地域一番の雇用主に成長し、70名近い雇用を創出しており、安定的な経営を続け、出資した住民に株主配当も行っている。
同法人の取組を調査することで、地方における雇用の創出に係る施策の参考とする。

【調査内容】

中国山地の山村である旧吉田村(平成16年に雲南市に合併)は、古くは日本古来の技術で作られた非常に純度の高い鋼鉄で、多くの日本刀や鉄砲の原料となっていた「たたら製鉄」の生産地であり、近代製鉄が隆盛して製鉄業が衰退した以降は薪炭や製材などの林業が盛んであった。しかし、木炭から石油等へのエネルギー転換や低価格の外国資源の輸入といった産業構造の変化とともに林業が衰退していき、昭和30年代後半から人口の流出が進んだ。最盛期には5,000人ほどだった人口は、昭和60年代には3,000人を下回り、現在は2,000人を下回るまで減少している。
林業の衰退とともに雇用の場が失われたことで急激な人口減少が進み、強い危機感を感じた旧吉田村の一部の村民は、地域の雇用の場の創出と地域経済の活性化のため、昭和60年に自治体と地域住民が共同で出資する第3セクターとして㈱吉田ふるさと村を設立した。当初、同社の出資者集めは不安視されていたが、住民に1株5万円で出資を募ったところ、結果的に多くの希望者が殺到し、設立直後に増資を行うほどであった。同社は、設立当初こそ赤字ではあったものの、現在は累積赤字を解消し、出資者に対して継続して配当しているという。
同社は、地域の農産物を主原料とした加工食品の開発製造販売を主軸に、農業、地域住民のインフラである雲南市民バスの運行事業、水道施設管理業務、水道工事業、温泉宿泊施設の経営、第三種旅行業などの多彩な事業を行っている。
同社の名が全国に広まることになったのは、卵かけ御飯専用しょうゆ「おたまはん」がきっかけである。日本初の商品としてヒット商品となり、ピーク時には年間50万本以上を売り上げたという。また、同社がスポンサーとなり、地元自治体や商工会と協力して卵かけ御飯をテーマにして行われる「日本たまごかけごはんシンポジウム」は、平成17年から毎年開催されている。このイベントでは、全国の卵かけ御飯の食べ比べやレシピのコンテストなどが行われ、毎年多くの参加者が集まっているという。このイベントは、地産品の消費拡大といった経済的効果をもたらすとともに、小さな村でも全国に情報発信ができるという好事例となっている。
委員からは、同法人の経営体制や多品種少量生産である調味料の生産管理の取組についての質問がなされた。
以上のように、地方に雇用を創出する取組を調査できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3)中村ブレイス㈱

(地域と共に歩む企業の活動について)

【調査目的】

中村ブレイス㈱は、義肢装具の研究開発・製作を行う企業であり、「メディカルアート」といわれる独自の技術を用いて本物のような見た目と手触りを持つシリコーンゴム製装具を製作している。同社は、交通至便とは言えない地域にありながら世界中から発注を受ける企業として注目されている。また、世界遺産がある地元を盛り上げたいとの気持ちから、会社を挙げて地域の振興に力を注いでおり、「石見銀山文化賞」の創設や、歴史的建造物の改修など、企業活動の枠を超えた地域貢献活動を積極的に行っている。
同社の取組を調査することで、地域を活性化する多様な担い手の支援に係る施策の参考とする。

【調査内容】

2712地方創生総合戦略・行財政改革特別委員会視察報告(2)

中村ブレイス㈱「なかむら館」前にて

中村ブレイス㈱は、中村俊郎現社長が昭和57年に創業した義肢装具メーカーであり、人口400人余りの地域で80人もの義肢装具士を雇用している。同社が開発・製作した義肢装具は、日本国内のみならず、世界各地で使用され、世界中から毎日のように感謝の手紙が届いているという。平成3年には「メディカルアート研究所」を設立し、シリコーンゴム製の乳がん術後用人工乳房や、身体の欠損や損傷を補正する装具の研究開発・製作を行っている。「メディカルアート」とは、従来の義肢装具製作の視点にアートの概念を取り入れたもので、リアルで美しい装具を作り、肌への当たりや通気性などの機能性との融合を目指すものである。本物のような見た目と手触りを実現するために高い技術力が要求されるが、同社は臨床の最前線で装具の適合を行ってきた実績と、高い志を持った多くの義肢装具士が製作に当たることで実現しているという。見学した義肢装具は、指紋や皮膚から血管が浮き上がって見える様子まで再現されており、近くで見ても本物としか思えないほどよく作られていた。同社は、このようなオンリーワンの技術を持つことで、都市部から遠く離れた地域に立地するにもかかわらず日本有数の企業となり、地域に雇用を創り出している。
また、同社は、事業を通じた社会貢献活動が高く評価されており、多くの賞を受賞している。平成20年には、過疎地域で若者を育てながら、独自技術による義肢装具製作の分野で世界的な優良企業となっていること、世界遺産に登録された石見銀山の街並み再生や資料館の整備など様々な社会貢献活動を行っていることが評価され、渋沢栄一賞を受賞するなど、本県ともゆかりのある企業である。
同社では、石見銀山が世界遺産に登録される前から、会社を挙げて地域活性化や定住支援に力を注いできた。同社がある大田市大森町は重要伝統的建造物群保存地区に指定されているが、同社は地区内の約50件の古民家を改修し、改修した建物は社宅や外部からの若者定住促進のために使用されているという。これらの建物には多くの若者が定住し、子育てをしているため、人口400人の地域にもかかわらず保育園の待機児童が出る可能性もあったとのことである。また、にぎわいの創出のために、改修した建物のうち物販店、オペラハウスなどとして活用されているものもあり、街並みの保存・整備に大きく貢献している。
また、石見銀山に関連する歴史的資料を展示した「なかむら館」を開設するなど、石見銀山の世界遺産登録に同社と現社長の貢献は大きい。ほかにも、石見銀山に関する研究や文化活動を行っている個人や団体を独自に表彰する「石見銀山文化賞」の創設等も行っている。
委員からは、社是である「THINK」に込めた思いや歳の若い義肢装具士に定住してもらうためのポイントなどに関する質問が活発になされた。
以上のように、同社の地域と共に歩んできた取組を調査できたことは、本県の今後の地域を活性化する多様な担い手の支援に係る施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(4)広島県庁

(ICTを活用した職員の働き方の改革について)

【調査目的】

広島県は、「クール&スマート」をコンセプトとし、ICTを駆使してほかの地方自治体の模範となることを目標に電子行政の実現に取り組んできた。民間のコンサルティング会社から招へいしたCIO(情報化総括責任者)が中心となり、ICTを活用した職場環境の整備として、Web会議システムの導入、パソコンのシンクライアント化を進めてきた。平成26年には、人を中心としたワークスタイルの確立を目指し、一部の職場にフリーアドレスを導入した。
同県のICTを活用した職員のワークスタイルの改革について調査することで、本県の施策の参考とする。

【調査内容】

広島県は、平成22年に行政経営刷新計画を策定し、オフィス中心の働き方から人中心の働き方に転換して改革を進めていくこととした。これは、業務を行うのは人であり、人を中心として職場環境を見直していくためにICT(情報・通信に関する技術の総称でITと同義)を活用するという視点であった。また、現在の仕事をそのままICTで効率化するのではなく、業務プロセス自体を見直すという改革を進めてきた。情報システムの総括責任者についても、民間からノウハウを有する専門家を採用していたが、平成23年度からは民間へ業務委託することに改め、受託者を同県におけるCIO(Chief Information Officer:情報化総括責任者)とした。平成26年度から、業務プロセスの改革を更に進めるため、CIOは情報化総括責任者としての役割に加え、業務プロセス改革総括責任者(Chief Innovation Officer)の役割も担い、ICTを最大限に活用した働き方の改革に取り組んでいる。
CIOは、平成23年度に着任して以降、Web会議システムの導入、リモートアクセスの導入、パソコンのシンクライアント化等を進めた。働き方を変革することで、場所や時間に捉われない柔軟な勤務が可能となり、生産性の向上や業務能率の向上に効果が出てきている。これらの取組を導入するに当たっては、職員が実際に機器を利用できる「デモ体験会」の開催や、モバイル型端末を配備する前に机上を整理する「クリアデスク運動」などを行い、職場意識を高めるといった工夫も行った。
また、平成26年には、人を中心としたワークスタイルの確立を目指し、職員の使用するPCをモバイル型端末に変更するとともに、一部の組織にフリーアドレスを導入した。フリーアドレスとは、職員一人一人に固定した席を割り当てず、仕事の状況に応じて空いている席やオープンスペースを自由に使って業務を行う職場形態のことである。フリーアドレスの導入により執務スペースの削減が可能となり、オープンスペースに打合せスペースを設けることで、日々のコミュニケーションの活性化や若手職員を中心とした議論の活発化につながっているという。
委員からは、リモートアクセスにおけるセキュリティ対策やフリーアドレスの職場での職員の勤務状況などに関する質問が活発になされた。
以上のように、同県のICTを活用した職員の働き方の改革の取組を調査できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

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