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掲載日:2025年11月21日

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地方創生・行財政改革特別委員会視察報告

調査日

令和7年7月24日(木曜日)~25日(金曜日)

調査先

⑴白川村役場(岐阜県白川村)
⑵金沢美術工芸大学(金沢市)

調査の概要

(1)白川村役場

(持続可能な地域づくりについて)

【調査目的】

■本県の課題

  • 県民が暮らしやすく、住み続けられる地域づくりを行うためには、「持続可能な成長」を目指した取組が必要となる。

■視察先の概要と特色

  • ユネスコ世界遺産登録を機に、観光客が急激に増加し、地域活性化につながった反面、景観の悪化や交通渋滞等の問題が発生し、地域住民の生活に影響が生じていた。
  • これらの問題の解決に向け、同村では、観光車両の進入制限、集落内にゴミ箱不設置、村営駐車場の維持経費確保のための料金改定など、様々な視点での取組を行なっている。
  • 令和5年12月からは、観光庁の「サステナブルな観光に資する好循環の仕組づくりモデル事業」の助成を活用し、地域・旅行者・住民が良好な関係を育むレスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)を推進している。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 同村の令和6年の観光入込客数は、日本人観光客が969,197人、外国人観光客が1,114,245人であり、初めて外国人観光客が日本人観光客を上回った。主に中国をはじめとしたアジアからの観光客が多い。
  • 50年以上前から、「売らない・貸さない・壊さない」の保存3原則に基づき、外部資本に頼らず、地域住民の力のみで保存維持が進められてきた。また、駐車場収入の一部を基金として積み立て、茅葺き屋根の葺き替え経費に充てることで集落の維持を行うなど、地域内で観光収入を循環させる仕組みを構築している。
  • これらの取組が評価され、令和5年には、国連世界観光機関が実施している、観光を通じた文化資産の促進や保全、持続可能な開発に取り組んでいる地域である「ベスト・ツーリズム・ビレッジ」に認定された。
  • その他、海外向けのマナー啓発のため、独自の規制により、村ホームページでの周知が難しい中国については、中国国内の大手旅行会社のホームページ内に特設ページを設けることで情報発信に努めている。

■質疑応答

Q:駐車場収入の一部を基金として積み立てているとのことだが、全体の観光収入はどの程度か。

A:約2億円である。今後予定される駐車場料金の改定により、約2億円程度増額する試算であり、更に対策を進めていくことができると考えている。

Q:後継者の不足など、保存3原則の維持にも課題があると思うが、どのように解決しているのか。
A:少子高齢化に伴い、特に後継ぎの問題は非常に深刻化している。今後は、保存3原則が目標とする「世界遺産集落や保存維持」を確保した上で、外部の力を活用できるような土壌づくりを、地域住民自身が主体的に進められるよう、村としては支援していきたい。

(2)金沢美術工芸大学

(産学官連携による地域活性化の取組について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 人口減少・高齢化が進む中、県民生活をより一層豊かで便利にしていくため、企業、教育機関、個人といった民間がそれぞれの立場で連携していくことが重要である。

■視察先の概要と特色

  • 築40年を経過していたキャンパスは、老朽化や建物の耐震性、制作スペース不足等多くの課題があったため、令和5年10月に金沢大学工学部跡地への移転及び新キャンパスの整備が行われている。
  • 同大学は、社会貢献を教育と研究に並ぶ大学の使命と位置付け、社会共創センターを拠点に、以下の理念を掲げ、企業や研究機関・公共団体等と、デザイン企画等に関する連携活動を推進している。
    (1)大学の持つ美術工芸分野の専門知識や技術、社会連携で得られた成果を広く社会に還元
    (2)地域の産業と積極的に連携を図り、地域社会の活性化に貢献
    (3)社会との連携活動を体験することで、より実践的に社会に寄与できる人材を育成

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 旧キャンパスの課題を踏まえ、移転整備基本構想及び基本計画が策定され、キャンパス整備のコンセプトを「開かれた美の探求と創造のコミュニティ」に決定した。このコンセプトの下、垣根を超えて交流する教育研究を推進し、地域や世界に開かれたキャンパス整備が進められた。
  • 学生が専門の枠にとらわれず創作活動が行える「共通工房」や展示・合評スペースとなる「アートコモンズ」を配置することで、垣根を超えた交流を促進している。また、地域にも開かれた空間である「アートプロムナード」で情報発信を行う一方、創作に集中できる空間である「創作の庭」を配置することで、学生が創造と向き合いながら、美が連携する街のようなキャンパスが整備されている。
  • 社会共創センターでは、企業や金沢市を中心とした自治体との連携事業を行っており、学生にとっても貴重な体験の場となっている。令和6年度は36件の事業を行なった結果、約4,000万円の収入が得られており、大学の自主財源の一つとして大きな役割を果たしている。

■質疑応答

Q:全国でも様々な社会共創の取組はあるが、優れた取組を継続していると感じた。そのモチベーションの高さの要因はあるのか。

A:大学設立時から、学問研究だけではなく、地域産業の振興への寄与も、大学の在り方として描かれてきた。現在の社会共創センターは、民間経験のある教員が中心となっており、机上だけではなく、学生に実地で体験させることで、卒業後すぐにその体験を生かせるようにしたいと考えている。これが、多くの取組を継続できている要因の一つである。
Q:金沢市との連携事業でも、デザイン料等の収入は得られるのか。

A:本大学は、以前は金沢市の一部局であったが、現在は公立法人化され別会計となっているため、市からもデザイン料等を頂いている。

                                                                                        金沢美術工芸大学にて議員とスタッフの集合写真

金沢美術工芸大学にて

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