トップページ > 埼玉県議会トップ > 委員会 > 委員会視察報告 > 自然再生・循環社会対策特別委員会視察報告

ページ番号:141368

掲載日:2018年11月26日

ここから本文です。

自然再生・循環社会対策特別委員会視察報告

期日

平成30年8月29日(水曜日)~31日(金曜日)

調査先

(1) ウトナイ湖野生鳥獣保護センター(苫小牧市)
(2) 室蘭市役所[産業振興課](室蘭市)
(3) 北海道電力(株)森地熱発電所(北海道森町)
(4)   知内町役場[地域創生推進室](北海道知内町)

調査の概要

(1) ウトナイ湖野生鳥獣保護センター

(自然環境保全及び野生鳥獣保護の取組について)

【調査目的】

 ウトナイ湖は、周囲9km、平均水深0.6mの淡水湖であり、周辺の原野、湿原などを含めた約510mが、国指定ウトナイ湖鳥獣保護区になっている。また、同湖は渡り鳥の集団渡来地としてラムサール条約登録湿地となっている。
 ウトナイ湖野生鳥獣保護センターは、同保護区について、鳥獣の良好な生息地としての保全・維持や、人と野生生物との共生を図る適正な管理と自然教育を行うため、環境省により建設され、苫小牧市と共同運営されている。同センターは、自然環境や野生鳥獣についての展示、野生鳥獣との適正な触れ合い方や自然保護思想の普及啓発、自然環境教育・学習のほか、同湖と周辺を対象に傷病鳥獣の救護・リハビリを実施している。
 同センターの自然環境保全及び野生鳥獣保護の取組を視察することで、本県の取組の参考とする。

【調査内容】

 ウトナイ湖野生鳥獣保護センターは、平成14年に環境省が「野生鳥獣との共生環境整備事業」により全国で初めて建設し、苫小牧市と共同運営する施設である。総事業費は全額国費負担であり、11億4千万円。内訳は、土地代が2億3,000万円、建物の建設費は5億3,000万円、自然観察路等の外構整備費が2億3,000万円、展示施設が1億5,000万円である。平成23年度から、常駐職員は苫小牧市職員4人(館長、獣医師、臨時職員2人)のみとなっている。なお、開館日には、日本野鳥の会のレンジャーが見学者の対応に当たっている。年間の来館者数は5万人から6万人であり、今年度中に累計来館者数が100万人に達する見込みである。
 ウトナイ湖には、美々川をはじめトキサタマップなどの清流が注ぎ、湖の周辺には、原野、湿原などの豊かな自然が形成されている。このことから、ウトナイ湖は、動植物の宝庫、野鳥の楽園ともいわれ、現在まで270種を超える鳥類が確認され、バードウオッチングや自然散策、自然観察など、四季折々の自然や野鳥とのふれあいが楽しめる環境にある。特にガン、カモ類やハクチョウなどの渡り鳥にとっては重要な中継地であり、マガンやハクチョウの集団渡来地として国際的に知られている。ラムサール条約は、国際的に重要な湿地及びそこに生息する動植物の保全を進めることを目的に定められたものであるが、ウトナイ湖も日本を代表する水鳥の中継地として、平成3年にラムサール条約登録湿地に日本で4番目に登録されている。
 同センターは、ビジターセンター的機能を有し、自然環境や野生鳥獣についての展示や解説、情報提供などを行うほか、野生鳥獣との適正な触れ合い方や自然保護思想の普及啓発、自然環境についての教育、学習なども行っている。こうした取組により、児童、生徒をはじめ一般客、観光客など子供から大人までが気軽に楽しめ、自然に触れ合い、親しみを持つことができる施設を目指しているとのことであった。
 同センターの展示ホールには、ウトナイ湖の自然や野鳥を紹介する多数の学習展示物が並び、また、屋内から野鳥を観察できる観察コーナー、自然観察の方法を学ぶ自然観察の手引きコーナーなどがある。レクチャールームには、150インチの大型スクリーンが設置され、ウトナイ湖の四季を紹介している。そのほかに、ボランティアやレンジャー手作りの「ウトナイ湖野鳥パズル」、「野鳥ぬりえ」、「実物大ハクチョウのぬいぐるみ」など実際に手で触れたり、考えたり、親子で楽しめるような体験型の展示物も設置している。湖畔沿いには、国管理分と日本野鳥の会管理分を合わせて4kmの自然観察路が整備されており、野鳥や草花などの自然と触れ合うことができるようになっている。
 また、同センターは、国指定鳥獣保護区ウトナイ湖とその周辺の苫小牧市を対象に、傷病鳥獣の救護・リハビリを行っている。保護対象は、建物・自動車への衝突、釣り針の誤飲、油汚染など原則、人為的原因で傷病を負った鳥獣のみである。ここ数年の保護個体数は年間140から150程度であり、種類は60から65種類である。平成15年からの累計総種類は189種類である。内訳は、陸棲鳥類が80%、水棲鳥類が18%、ほ乳類が2%となっている。収容原因については、衝突事故が50%以上を占めているほか、海があることから釣り針や釣り糸に関する原因も多いとのことであった。
 概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「鳥獣を保護するに当たり、人為的な原因であるかどうかをどのように確認しているのか」との質問に対し「例えば、翼の骨折など明らかな外傷があっても、現場を誰も見ていないため、何に衝突したのかは推測するしかない。あくまでも原則論として対応している」とのことであった。
 同センターによる自然環境保全及び野生鳥獣保護の取組について視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

自然_ウトナイ湖野生鳥獣保護センターにて

ウトナイ湖野生鳥獣保護センターにて

 

 (2) 室蘭市役所

(低炭素都市形成の取組について)

【調査目的】

 室蘭市は、鉄鋼業を中心に高度技術や物流基盤、研究開発機関を持つ「ものづくりのマチ」として発展する中、環境産業を振興してきたが、新たな低炭素都市形成を目指し、平成27年2月に「室蘭グリーンエネルギータウン構想」を策定した。同構想は、水素や再生可能・未利用エネルギーなどの地産地消、新たな技術などの地域社会普及等を通じ、「環境産業の推進」、「地域経済の活性化」、「低炭素なまちづくり」の実現を目的としている。
 同構想に基づく、バイオマス発電事業等の促進、道内初の水素ステーションと燃料電池自動車の一体的導入などの先導的取組や、市民と産学官の連携による取組は高く評価され、国土交通省主催の平成28年度「第1回先進的まちづくりシティコンペ」において、同構想は国土交通大臣賞を受賞している。
 同市の低炭素都市形成の先進的な取組を視察することで、本県の取組の参考とする。

【調査内容】

 室蘭市は、平成15年に同市の産業基盤を活かした「室蘭地域環境産業拠点形成実施計画」を策定し、産学官の連携により廃棄物処理等、リサイクル資源循環型都市形成や低炭素都市形成を進めるなど環境産業振興を図ってきた。同実施計画は平成22年度に終了し、その後、同市は「今後の環境産業拠点形成の方向性」を打ち出したが、この間、世界的な地球温暖化対策の必要性や東日本大震災以降のエネルギー問題への対応が求められるようになった。
 こうした中で同市は、地域でエネルギーを創り利用するエネルギーネットワークの構築により、地域の自立性、地域経済の活性化、産業振興、災害時の防災機能の強化などが期待できる新たな低炭素都市形成につながるエネルギー構想が必要と考えた。そこで、水素エネルギー、再生可能・未利用エネルギーなどを利活用した「エネルギーの地産地消」と、新たな技術やシステムなどの地域社会への実装に向けた開発・実証・事業化及びその先進性の発信を通じ、「環境産業都市としての新たな成長基盤の創出による地域経済の活性化」、「北海道の次代のエネルギー社会構築に向けた先導的役割」、「環境負荷の低減と、子どもからお年寄りまで市民にやさしく住みよい低炭素都市の創造」の3項目を実現することを目的とした「室蘭グリーンエネルギータウン構想」を策定した。同構想は、従来、行政主導の視点になりがちであった構想に初期段階から住民が参画する「パブリック・インボルブメント」により創り上げ、前記3項目の実現を産学官「民」の連携により目指すものとのことであった。
 同構想に基づき、同市は、風力や太陽光、バイオマスによる発電事業の促進、LED照明の導入による省エネルギー化、水素エネルギーについて早期に着目し、道内初となる水素ステーションと燃料電池自動車の一体的導入、公共施設へのエネファームの導入、水素関連産業への参入促進など、寒冷地における環境・エネルギー対策を先導的に進めているとのことであった。
 具体的な取組として、同市の入江運動公園の市営プールにおいては、パナソニック製の家庭用エネファームを6基設置して温水に利用している。エネファームは1基当たりの発電量が低いため、その分、設置基数を増やして公共施設で使用するという発想は画期的とのことで、メーカーの開発部門が視察に来たほどである。家庭で使用する場合、電気を使用する時間帯はおおむね決まっていることから、エネファームの動作・停止が頻繁になり負荷がかかってしまう。しかし、同プールにおいては都市ガスを使用して24時間稼働しているため、エネファームへの負荷がないとのことであった。
 同市における低炭素都市形成の取組を視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(3) 北海道電力(株)森地熱発電所

(地熱発電及び地熱水の活用等の取組について)

【調査目的】

 森地熱発電所は、我が国の8番目の地熱発電所として昭和57年11月に運転を開始した。カルデラ盆地に設置された世界的にも類を見ないものであることなどが特徴として挙げられる。
 エネルギーの大部分を輸入に頼る我が国において、地熱は純国産のクリーンで再生可能なエネルギーとして重要な役割を担っている。同発電所においては、地熱エネルギーで作られた高温の蒸気と熱水のうち、蒸気のみを発電に利用し、熱水は地下に深部還元しているが、その際に水道水を温め、地熱水利用ハウスにおける野菜栽培のほか、発電所内道路のロードヒーティングや事務所の床暖房に有効利用している。
 同発電所の地熱エネルギー利用の取組を視察することで、本県の取組の参考とする。

【調査内容】

 森地熱発電所の当初の認可出力は5万kWであったが、その後、地熱資源量の低下に伴い確保できる蒸気量が減少し、近年では発電出力が1万5,000kW程度になった。このため、平成24年7月の定期自主検査に合わせ現状の蒸気量に見合った適切な容量のガス抽出器に取り替えを行った。これにより設備容量が小さくなったことから認可出力を2万5,000kWに変更している。これは北海道の約6万世帯分の発電量である。

    同発電所においては、地下1,000mから2,000mの地熱貯留槽と後から開発された地下3,000m以上の地熱貯留槽から自噴する熱水を利用している。生産井は10本あり、毎時1,000トンから1,200トンの熱水をくみ上げている。この熱水から分離した約2割の高温の蒸気のみが発電に利用され、分離後の約8割の熱水は、地下の地熱貯留層に影響を与えないよう深部還元されているとともに、冷却水も地下に還元されている。また、発電に伴う騒音や蒸気に含まれる硫化水素等のガスにより、周辺の民家及び住民生活に影響を与えないよう、同発電所は生産井がある平地から離れた山合に建設されているだけではなく、環境モニタリングを24時間実施しており、環境保全に万全の体制が敷かれている。

    地熱発電の方式として、同発電所の場合は、周辺の地層が石灰岩を豊富に含むことから、石灰成分が溶け込み飽和した熱水を利用せざるを得ない。熱水のうち2割を蒸気として利用すると、その分の石灰成分は生産井の中に付着することになる。それが成長して生産井が塞がるのを防止するため工事で除去するが、実際には、生産井を新規に掘削するのとほぼ同様の経費がかかってしまうとのことであった。

    同発電所は、昭和57年より営業運転を開始しているが、同年より熱交換システムと園芸ハウスを整備するための地区再編農業構造改善事業に着手し、昭和59年より農業利用を開始してきた。当事業は、地域農業者をはじめとして、民間企業・町・道・国等の総力を挙げた取組によって実現に至っており、今日では、発電所と地域が共存共栄する先進事例となっている。

    地熱水を利用するシステムは、65度前後の温水を、園芸ハウス施設に供給するものである。ハウス内にチューブで温水を回すことによって、厳冬期でも室温は15度を下回ることはない状況である。

    約65度の温水を利用できることにより、温泉熱と比較して高い室内温度が維持できるため、道内外で野菜が品薄となる端境期に出荷することが可能となっている。地熱水利用ハウスは農家に安定した収入をもたらしており、発電所の地熱水は欠かすことの出来ない熱源となっているとのことであった。

    概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「火山に由来する地熱貯留層を利用して発電しているが、噴火した場合に被害を受けることはないのか」との質問に対し「同発電所は火山である駒ヶ岳からは20km以上離れている。地熱貯留層はマグマの直上などにあるわけではなく、地中におけるマグマの熱伝導により熱せられている。駒ヶ岳が噴火しても同発電所に被害はない見込みである」とのことであった。

    同発電所の地熱発電及び地熱水の活用等の取組を視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

(4) 知内町役場

(バイオマス産業都市形成等の取組について)

【調査目的】

 知内町は、その面積の8割を森林が占める農林水産業を中心とした町である。同町は、平成27年度に環境省の「低炭素・循環・自然共生」地域創生実現プランのモデル事業に選定された。さらに、平成28年度には、地域のバイオマスの生産から利用までの経済性が確保された一貫システムを構築し、バイオマス産業を軸とした環境に優しく災害に強いまち・むらづくりを目指す地域として、内閣府ほか6省によってバイオマス産業都市に選定された。
 同町の取組は、地域木材を原料とした木質バイオマスによる熱利用が中心である。役場敷地内にバイオマスボイラーを設置し、庁舎の暖房のほか、夏季は隣接する町民プールの加温に使用しており、公民館等にも対象施設を拡大している。また、特産品であるニラの出荷残さを農業系バイオマスとして再資源化する取組等も進めている。
 同町によるバイオマス産業都市づくりの取組を視察することで、本県の取組の参考とする。

【調査内容】

 知内町は、町面積の約81%が山林、約9%が田や畑などの耕地面積となっている。産業は農林水産業が中心である。同町の林業において特徴的なのは、人口約4,400人と小規模でありながら、植栽、育林、伐採、運搬、製材、利用という木材の生産から利用までの一連の業種が町内にそろっていることである。同町においては、農業、漁業に加え、林業も活用したいとの機運が高まり、平成25年度に森林資源量調査を実施するなど、地域資源である木材の利用促進の取り組みを始めた。
    同町は、平成26年度に木質バイオマスボイラーを導入し、役場庁舎の暖房と町民プールの加温に年間を通して活用するようにした。そのためには燃料供給の安定化が必要なため、約1億円を投じて約4,000平方メートルの広さの木質資源貯蔵施設(チップ工場)を整備した。その運営については、指定管理者制度を採用しており、町内及び周辺町の森林整備から発生する木質バイオマスを利用して木質チップを製造・販売している。平成27年度には、「低炭素・循環・自然共生」地域創生実現プランのモデル事業に選定された。この取組を契機に、農業系等のバイオマス活用にも視野を広げ、ニラの茎下の活用を研究することになった。平成28年度には、国からバイオマス産業都市に選定されている。選定のメリットとしては、バイオマスを活用した事業に対する制度面・財政面の支援があり、選定地域のみが受けられる熱利用設備の導入等の補助金を活用している。平成29年度には、2基目の木質バイオマスボイラーを導入し、木質チップ利用の拡大に努めている。
 成果としては、公共施設での木質バイオマス活用促進、知内型低炭素住宅の推進、ニラ茎下の商品化等が挙げられる。一方、課題としては、農業等における木質バイオマス活用の促進において暖房や融雪設備が高額であることからモデル事業も開始できていないこと等が挙げられるとのことであった。
 概要説明の後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「暖房等の熱利用だけではなく、発電も行ってはどうか」との質問に対し「発電も検討したが、少なくとも2,000kWの発電量にしないと割に合わない。これを満たす木質チップ量は、本町の森林の成長量全てとなってしまい、持続性が確保できないため断念した」とのことであった。

自然_知内町役場にて

知内町役場にて

 同町によるバイオマス産業都市形成の取組について視察できたことは、本県の今後の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?