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掲載日:2025年6月20日

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自然再生・循環社会対策特別委員会視察報告

調査日

令和7年1月29日(水曜日)~ 30日(木曜日)

調査先

(1)株式会社東芝 研究開発センター(神奈川県川崎市)

(2)環境通信輸送株式会社牛久リサイクルセンター(茨城県牛久市)

調査の概要

(1)株式会社東芝 研究開発センター

(脱炭素社会の実現に向けた取組について

【調査目的】

■本県の課題

  • 2050年のカーボンニュートラルの実現を目指し、温室効果ガスの排出量を削減するため、従来の企業支援等の取組に加え、新たな視点での取組の拡充が必要である。

■視察先の概要と特色

  • 同社は、研究開発センターの前身となる中央研究所を1961年に設立、1992年に研究開発センターへ改称し現在に至る。同社グループは、「カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミーの実現」「誰もが享受できるインフラの構築」「つながるデータ社会の構築」を目指し、かつてない地球規模の課題解決に向け取り組んでいる。
  • 同研究開発センターでは、カーボンニュートラルの実現に向け、軽量薄型で曲げることができ、多様な場所に設置可能なことから次世代太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた研究を行っている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 同社では、運輸部門の電動化、発電部門の再エネ主力電源化を新型太陽電池で狙うターゲットとして取り組んでいる。
  • 今年度は2050年カーボンニュートラル(CN)実現に向け、次世代太陽電池の導入拡大と産業競争力強化に向け検討を行うため、産官学から構成される官民協議会の会議に参加した。
  • ペロブスカイト太陽電池は従来設置できなかったところに設置可能であり、変換効率の高効率化に向けた研究も進み、ポテンシャルの高い電池である。
  • 同社は、産学連携活用による発電コスト低減、理論解析による開発を推進しており、企業や地方自治体等からのヒアリングによるニーズ分析を行い、実証に向けた協議を進めている段階である。

■質疑応答

Q:既存のシリコン型メガソーラー(以下、「シリコン型」)がフィルム型ペロブスカイト太陽電池(以下、「フィルム型」)に置き換わるのは、いつ頃をイメージしているか。

A:フィルム型の社会実装に向けては耐久性やコスト面の課題がある。コスト面については、生産量を増やしていく必要があるが、シリコン型が中国を中心に550ギガワット生産されているのに対し、フィルム型は最も研究が進んでいる企業でも2030年に1ギガワット生産するかもしれないという状況である。耐久性についても、海外での研究は進んでいるものの、社会実装に向けては課題が残ると考える。そもそも我々が開発するフィルム型ペロブスカイトのコンセプトは従来シリコン型が設置できなかった場所への展開であり、用途は異なるものと考えている。

Q:他社や大学と連携し、研究開発を進めているとのことだが、一方で同様に海外も研究を進めている。こうした状況の中でどのようにして国際競争力を確保していくのか。

A:フィルム型を主軸にしていくという国は少ない。太陽電池のボリュームゾーンは、アメリカ、ドイツ、中国といった国だが、これらの国はシリコン型で発電量を賄えているためである。フィルム型の開発が進んでいるポーランドでも日本と同様にシリコン型との差別化を図るという観点で開発を進めている。競争力の確保のためには、企業単位ではなく、政府の枠組みの中でこうした観点から開発を進めていく必要があると考える。

                                                                                       株式会社東芝 研究開発センターにて議員とスタッフの集合写真

                                                                                                          株式会社東芝 研究開発センター

(2)環境通信輸送株式会社牛久リサイクルセンター

(サーキュラーエコノミーの推進について

【調査目的】

■本県の課題

  • 大量生産・消費型の経済活動(リニアエコノミー)から、資源が循環する経済システム(サーキュラーエコノミー)への転換を推進し、社会課題を解決する必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 同社は、昭和45年10月に前身となる関東通信輸送株式会社として創業し、一般貨物輸送事業を開始した。その後、産業廃棄物処理業、倉庫業と事業拡大していき、平成6年6月に牛久リサイクルセンターを設立した。
  • 平成28年に本社を東京都大田区から、さいたま市大宮区へと移し、令和4年1月から使用済太陽光パネル処理事業を開始した。物流・環境サービスをワンストップで提供するプロフェッショナル企業を目指している。
  • 同リサイクルセンターでは、専用のマシンにより太陽光パネルの100%再資源化を行っている。また、法令に基づく受入基準に則り、通常受入が困難な自然災害等により変形したパネルの処理も実施している。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 同社は、物流サービス(一般貨物輸送、倉庫保管)と環境サービスをお客様のニーズに合わせて幅広く展開している。特に、環境サービスは、HDD・SDD物理的破壊処理、PCB・アスベスト収集運搬、太陽光発電設備・LED設置工事、使用済太陽光パネル処理、使用済PC等IT機器類の金属マテリアルリサイクル処理等と多岐にわたる。
  • 国は2030年代後半に、年間約50万~ 80万トンの太陽光パネルが排出されると推計している。同社では、これまで埋立処分に回っていた使用済太陽光パネルの受入れを開始し、高度循環利用を推進している。
  • 同センターの専用処理プラントは、太陽光パネルを1枚当たり約2分で処理が可能(1日当たり240枚)であり、パネルの各部品について100%再資源化を目指している。

■質疑応答

Q:使用済太陽光パネル(以下「パネル」)の廃棄量は2030年代後半にピークを迎えるとのことだが、これに対応するため行政としてどのような制度や仕組み、インフラなどを整備していくことが望ましいか。

A:まずは、パネルの排出事業者に対し、適正に処理ができる処理事業者の紹介を徹底していただきたい。また、住宅用のパネルを個人で処理する場合においてパネルの処理先がなく放置されてしまうということがないよう、受入環境整備・住民周知に取り組んでいただきたい。

Q:東京都は、この住宅用のパネルの処理の問題への対策として、2023年6月から都が指定する処理施設で、リサイクル処理依頼を行う排出事業者に対するリサイクル費用の一部を補助する制度を開始したとのことだが、この制度で住宅用パネルの処理の問題は担保されるものなのか。

A:現在は、このルートに乗り適正に処理されるケースは少ないと考えている。国は、産業廃棄物処理業者が一般廃棄物を処理できないという法令上の仕組みについて、柔軟に処理できるよう見直していく必要があると考える。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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