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掲載日:2018年2月6日

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警察危機管理防災委員会視察報告

期日

平成28年7月25日(月)~27日(水)

調査先

(1) 大型放射光施設SPring-8及びX線自由電子レーザー施設SACLA(兵庫県佐用町)
(2) 大阪市立阿倍野防災センター(大阪市)
(3) 大阪府警察学校(大阪府田尻町)
(4) 京都府警察本部(京都市)

調査の概要

(1)大型放射光施設SPring-8及びX線自由電子レーザー施設SACLA

(最先端の科学捜査技術について)

【調査目的】

SPring-8は、最先端の光「放射光」を用いた世界最大の研究実験施設である。放射光により先進的な科学捜査が可能であり、この技術が平成10年に発生した「和歌山カレー毒物混入事件」の容疑者特定にも寄与した。
同施設は兵庫県警察による科学捜査において利用されているほか、警察庁の指導の下、全国の重大事件の捜査にも利用されている。
平成23年には、高品質な電子ビーム「X線自由電子レーザー」により原子や分子の瞬間的な動きを観察することのできる研究施設・SACLAがSPring-8に隣接するかたちで設置され、両施設の連携により更に高度な科学捜査に対応できる体制となった。
最先端の科学捜査技術の調査により、本県における犯罪対策の参考とする。

【調査内容】

SPring-8は、播磨科学公園都市内に位置する研究施設であり、電子を加速・貯蔵するための加速器群と発生した放射光を利用するための実験施設及び各種付属施設から構成されている。同施設では、輝度・エネルギー・指向性などの点で世界最高クラスの放射光を発生させることができ、この技術を用い、様々な科学分析が行われている。
また、平成23年にSPring-8に隣接して設置されたSACLAにおいては、高品質な電子ビーム「X線自由電子レーザー」により原子や分子の瞬間的な動きを観察することが可能である。両施設が連携することにより、更に高度な科学分析に対応できる体制となった。
両施設は、国内の各大学及び研究所による学術利用のほか、製薬会社、製鉄会社など、30社以上の産業利用や海外の研究機関の利用もあり、科学捜査、生命科学・バイオテクノロジー、エネルギー・環境をはじめ様々な分野で活用されている。
犯罪捜査の分野では、平成10年の「和歌山カレー毒物混入事件」において、使用された毒物の組成を調べるためにSPring-8が利用され注目を浴びるなど大きく貢献している。兵庫県警察本部では、科学捜査研究所に大型放射光研究科を設置し、警察庁の指導の下、全国の重要凶悪事件の証拠物件についての鑑定を担当し、種々の事件解明に寄与している。
昨今の科学鑑定では、証拠資料等をナノレベルで超微量分析することが求められる場合がある。両施設では、世界最高性能を持つ高輝度X線を用いた先端計測技術により、ナノレベルの極微量の試料からも元素の種類を特定することが可能である。平成23年には、これら技術を活用し、先進的分析科学・鑑定科学を行う「ナノ・フォレンシック・サイエンスグループ」を他の放射光施設に先駆けて創設した。同グループでは、新しい分析手法やデータベースの開発などを行い、鑑識科学における分析精度と放射光の利活用に革新をもたらし、安全・安心な社会の実現に貢献することを目的としている。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「犯罪捜査における科学分析をはじめとし、様々な分野の多様な主体において活用されているとのことであるが、利用料はどのような仕組みとなっているか」との質問に対し、「分析の結果として得られる成果を公開する場合(成果非専有利用)は基本的に無料である。公開しない場合(成果専有利用)は、1シフト(8時間)当たり48万円を基本とする利用料が発生する。犯罪捜査における科学分析については、その性質上、非公開の内容のものであるため、後者での利用である」との回答があった。その後、施設内部の視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、本県における犯罪対策の推進のために大変参考となるものであった。

(2)大阪市立阿倍野防災センター

(防災の体験学習及び研修訓練について)

【調査目的】

大阪市立阿倍野防災センターは、西日本屈指の防災学習・研修施設である。市民向けに、防災意識の啓発、知識の習得、初動技術の習得を目的とした体験学習を行うほか、地域の防災関係者向けに、専門的な防災技術の習得を目的とした研修訓練を行っている。
館内は、映像・振動・効果音を駆使したリアルな体験学習により災害発生時に必要な行動を関連付けて習得できる「防災体験学習エリア」と、各種学習設備等により防災関係者向けに総合的な研修訓練を行う「防災研修訓練エリア」に分かれる。
先進的な防災学習施設を調査することで、本県における自然災害への対応、災害対応関係者の知識技能向上や防災学習施設の整備の参考とする。

【調査内容】

大阪市立阿倍野防災センターは、災害に関する知識及び防災技術の普及向上並びに防災意識の高揚を図ることを目的とし、様々な体験学習や防災訓練が行える施設である。
大阪市の地域防災計画では、大規模地震の発生直後に全ての災害応急対応を防災関係機関だけで実施することは困難であることを前提に、「自らの命は自らで守る」「自らの地域は自らで守る」ため、防災関係機関と市民組織や企業・団体などが分担、協力した災害対策や、地域における高齢者や身体障害者などの救護を要する者への助け合いの精神を重点とした防災教育を実施することとなっている。同センターは、このような考え方に基づき、災害に強い「人と組織づくり」の一環として、防災教育環境の整備を掲げ、様々な体験学習が行えるとともに、地域の防災関係者に研修訓練ができる施設として平成16年に整備された。平成27年度には、15万人以上の来館者を迎え、リアルな体験を通じて多くの人の防災意識を高めることに貢献している。
同センターは、地震発生直後の初動措置等をリアルな体験装置等により学習できる防災体験学習エリアと、地域や事業所における防災活動関係者などに各種学習設備等により総合的な研修訓練を行う防災研修訓練エリアとに分かれる。防災体験学習エリアでは、バーチャル地震コーナーにおいて過去に発生した大地震の揺れを体験することができるほか、被災した街並みを再現したコーナーにおいて看板の崩落等の危険な箇所を学ぶことなどができる。防災研修訓練エリアでは、防災に関する映像の上映、講義の実施や応急救護の訓練が行えるほか、グラフィックパネルを用いて地震・火災・風水害など防災に関する様々な情報を得ることなどができる。
また、同センターが入居するあべのフォルサは、大阪市の「阿倍野防災拠点」として位置付けられており、地震などで市役所本庁舎が被災し、災害対策本部が設置できない場合などに、重要となる初期初動体制を確保するため、災害対策本部機能を代替・補完する施設となっている。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「大変立派な施設であるが、どのような位置付けで整備されたものか。また、整備費用はどれくらいであったか」との質問に対し、「本センターをはじめとする公共施設が集約されたあべのフォルサは、阿倍野エリアの再開発事業に伴い整備されたものである。事業費は、あべのフォルサ全体で約82億円で、そのうち阿倍野防災センター部分のみでは約26億円である」との回答があった。その後、防災体験学習エリアの視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、本県における自然災害への対応、災害対応関係者の知識技能向上や防災学習施設の整備のために大変参考となるものであった。


大阪市立阿倍野防災センターにて

(3)大阪府警察学校

(警察学校の運営について)

【調査目的】

大阪府警察学校は、従前施設の老朽化等により、りんくうタウンの一角に移転開設した、先進的設備を備える警察学校である。
同施設は、約6万㎡の敷地に、本館、講堂、術科棟1棟、寮2棟などを備えており、生徒らの移動時間短縮のため、主要施設を本館中心のL型配置としている。また、大地震発生時に災害活動拠点として利用できるよう免震構造を採用しているほか、学生寮中央に通風を促進するエコボイド(吹き抜け空間)を設置するなど、随所に設備上の工夫が凝らされている。
最新の警察学校施設の調査により、本県の施設整備や学校運営の参考とする。

【調査内容】

大阪府警察学校は、警察官及び警察職員の養成、教育を目的に設置された機関である。交野市に所在していた従前施設の老朽化や周辺への騒音問題等を受け、現施設は、最新鋭の設備を備え、平成25年にりんくうタウンの一角に移転開所した。
施設や設備には、規律ある学校運営を円滑に行うための、様々な工夫が随所に施されている。施設の全体配置としては、主要施設である本館を中心に各施設がL字型に設置されていることで、教職員や生徒が効率的に移動できるようになっており、移動時間の短縮に寄与している。学生寮は南棟と北棟に分かれており、その中央にはエコボイドが設けられている。自然通風による空気循環を促す構造とすることで、快適な生活や能率の高い訓練が可能となっている。
また、同校は、大災害の発生時に災害活動拠点として利用できる施設構造となっている。施設全体が新耐震基準に適合しており、本館及び厚生棟は免震構造を備える(他は耐震構造)。また、2基の自家発電装置を備え、停電時に72時間の電源供給を可能としている。
これらの施設整備は、PFI方式により民間の活力を導入して行われた。施設の建設、整備、管理及び運営の一部を民間に委ねる本方式は、全国でも幾つかの県警察が導入し始めている先進的な手法であり、コスト削減や、効果的・効率的な運営を実現している。運営の一例として、校内の売店等で電子マネーの利用が可能となっており、会計の迅速化に寄与しているとのことであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「同校が備える防災拠点機能について、基本となる考え方や対策の詳細について知りたい」との質問に対し、「基本的な考え方として、大規模災害等によりライフラインが途絶してから復旧までに想定される3日間の期間に対応できる備えとしている。対策としては、施設の耐震構造や発電設備の設置のほか、ガスについては災害に強い中圧タイプのもので供給を行っていること、上下水道について浄化水槽に常時貯水することで必要な水資源を確保していること、アルファ米の貯蔵を行っていることや自動販売機は災害時に自動で品物を供給する機能を備えたものとしていることなどが挙げられる」との回答があった。その後、校内の視察を行った。
今回視察先を調査できたことは、本県における施設整備や学校運営のために大変参考となるものであった。


大阪府警察学校にて

(4)京都府警察本部

(先進的なサイバー犯罪対策について)

【調査目的】

京都府警察本部では、深刻化するサイバー犯罪への対応のため先進的な取組を行っている。
対応の体制として、所管課であるサイバー犯罪対策課に、産学官連携による対策拠点となる「ネットセキュリティ・サポートセンター」を設立し、ネットトラブル対策、ネットセキュリティ対策に専従している。また、サイバー捜査に関する能力検定を実施するなどして、専門捜査員のみならず全警察官を対象とした捜査能力の向上に取り組んでいる。
本県においても相談件数や検挙件数が増加しているサイバー犯罪への対応のため、先進的な取組を調査し、犯罪対策の参考とする。

【調査内容】

近年、インターネットの普及に伴い、生活の利便性が向上する一方で、サイバー空間における脅威が増大しており、個人や企業がサイバー犯罪被害を受ける危険性も高まっている。京都府警察本部サイバー犯罪対策課は、複雑・巧妙化するサイバー犯罪への対応として、産学官が一体となった、全国的にも先進的な様々な取組を行っている。
取組の一つは、青少年に対する情報モラルの啓発の推進である。ネット関係に精通する大学の研究者、IT企業社員、司法書士等を「ネット安心アドバイザー」として登録し、サイバー犯罪被害防止講演や自主勉強会を実施したり、立命館大学との連携により学生チームによるサイバー犯罪対策ソフトウェアのアイデアを出し合う「アイデアソン」(アイデアとマラソンを掛け合わせた造語)を実施したり、京都精華大学や関係企業・機関等との連携により学生の視点を取り入れた漫画防犯マニュアルを制作したりといった取組を行っている。
また、社会の情報セキュリティ意識の醸成にも注力している。「京(みやこ)サイバー犯罪対策シンポジウム」として、青少年に対しては、グループワーキングやパネルディスカッションによるスマホ利用の問題点の討論や発信を行っているほか、企業に対しては、有識者による講演や標的型メールのデモンストレーションなどを行うことでネット上の問題について啓発を図っている。
さらに、情報セキュリティ人材の育成も推進している。京都府立すばる高校、京都大学及び立命館大学との連携により、将来、サイバー犯罪捜査官や企業情報管理担当者等、情報セキュリティ分野で活躍できる高い情報技術と倫理観を持った人材を発掘・育成するための学習プログラムを研究開発している。
これらの各種施策はサイバー犯罪対策課が所管しているが、産学官連携による対応を強力に推進するため、平成26年3月に、同課内に「ネットセキュリティ・サポートセンター」を設置し、府民のネットトラブル対応能力の向上や被害防止対策に専従している。同課及び同センターによる様々な先進的な施策は高い評価を得ており、国内はもとより海外からも多くの視察団を受け入れているということであった。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「全国でも群を抜いた先進的な取組が行われていることが分かったが、警察職員の人材配置や育成はどのように行われているのか」との質問に対し、「本課に配属されている職員は、元々特殊な技能を持った者というわけではない。配属後に研修や職務遂行等により力量を高めている。また、他部局から職員をサイバー特別対策員として受け入れて養成することで、府警察全体の対応力を高める取組も行っている」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、本県においても相談件数や検挙件数が増加しているサイバー犯罪への対応のため大変参考となるものであった。

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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