ページ番号:141364

掲載日:2018年11月26日

ここから本文です。

文教委員会視察報告

期日

平成30年7月17日(火曜日)~18日(水曜日)

調査先

 (1) MOA美術館(熱海市)
 (2) 山梨県立富士山世界遺産センター(山梨県富士河口湖町)

調査の概要

(1) MOA美術館

(先進的かつ特色ある美術館の運営について)

【調査目的】

 MOA美術館は、(公財)岡田茂吉美術文化財団が管理運営し、国宝3件、重要文化財66件、重要美術品46件を含む約3,500件を所蔵している。同美術館は昭和57年に開館したが、平成28年にリニューアル工事のため休館し平成29年2月に新装開館した。リニューアルした同館では所蔵品の写真撮影を全面的に可としており、展示品を囲うガラスケースについては、照明やフラッシュなどを反射しにくい特殊素材を使用している。また、子供の創作活動を奨励する児童作品展や同館美術品を用いた学習指導要領に基づくスクールプログラムを実施し、子供の豊かな成長を支援している。
 民間美術館による来館者を呼び込む先進的なノウハウ、子供の豊かな感性を刺激する取組を視察することで、本県施策の参考とする。

【調査内容】 

 MOA美術館は、箱根美術館等の創立者岡田茂吉の生誕100年を記念して昭和57年に熱海市の高台に建設された美術館であり、戦後間もない頃、多くの優れた美術品が国の内外に四散するのを憂えて、同氏が収集した日本及び中国の絵画、彫刻、書跡、陶磁器、漆工芸品などの作品を展示している。
 同館の活動方針は3つあり、1つ目は日本の文化を発信していくことである。茶道の三千家の一つ武者小路千家家元後嗣の千宗屋氏による講演会や茶席、同館所蔵の唐物茶道具の展示を実施したり、同館所蔵の組み立て式の「黄金の茶室」を地元の掛川市へ持ち運び復元する館外展を実施するなど日本の伝統文化を広く伝える取組を行っている。
 活動方針の2つ目は、まちづくりに資する美術館となることである。同館は観光のまちである熱海市に立地し、同市の観光政策にいかに寄与できるかを念頭に置き活動しているとのことであった。取組例として、同市が平成29年4月に市制施行80周年を迎える際、その記念式典を同館の能楽堂で開催するとともに、記念芸術祭と題して熱海サンビーチの特設会場で夜に「月の路の薪能」という能楽鑑賞会を開催した。また、平成24年から同市の成人式を毎年同館の能楽堂で開催している。
 活動方針の3つ目は、学校と連携した情操教育を推進していることである。東日本大震災の被災地の小学校を対象としたワークショップを開催し、被災地の子供の心の支援を行っている。石巻市では(公社)日本工芸会の協力を得て、蒔絵や木竹工の人間国宝の先生方に教壇に立ってもらう貴重な体験の場を3年間継続して実施した。このワークショップ実施による効果として、児童間のいじめ等のトラブルがなくなるとともに、学力についても向上しており、将来の夢や希望を持つようになったという。また、同館では平成元年から全国規模で児童作品展を開催しており、昨年度の応募数は約47万点、参加小学校は8,900校に上っている。これに併せて、奨励賞を受賞した児童の父兄に3年間アンケートを実施し、児童の変化について調査している。作品展での受賞という形で褒められ、認められたことが自己の価値観となり、社会や人のために貢献したいという気持ちを喚起している傾向があると分析しているとのことであった。
 館内視察では、リニューアル工事により改修した箇所を主に視察した。新しい展示スペースは、様々な美術館の改修等を行っている新素材研究所が設計を手掛けている。「美術品が最も美しく映える空間」を演出する前近代の柔らかい光で美術品を照らしているほか、屋久杉や行者杉、黒漆喰、漆、畳などにこだわって改修することで、昔からの伝統素材である新しく魅力的な美術館へと変えている。国宝「色絵藤花文茶壺」の展示スペースでは、鑑賞時のガラスへの照明等の映り込みを避けるため、低反射で透明度の高いガラスや、闇の中に質感を感じる黒漆喰の壁を整備することにより、展示品の美しさを際立たせている。そのほか、柔らかな自然の光をつくりだす光学設計した照明空間などにより、美術品が美しく輝く展示スペースとなっている。
 今回視察先を調査できたことは、子供たちの感性と創造力の育成を目指す県立近代美術館を運営する本県にとって大変参考となるものであった。

文教_MOA美術館にて 

MOA美術館にて

(2) 山梨県立富士山世界遺産センター

(芸術文化施設の管理及び運用について)

【調査目的】

 富士講などの信仰や浮世絵など様々な芸術を育んだ普遍的価値が評価され、平成25年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」が世界文化遺産に登録された。その後、将来へ受け継がれるべき資産として富士山を紹介する、山梨県立世界文化遺産センターが整備され、平成28年6月に開館した。
 館内のシンボルオブジェ「冨嶽三六〇」は、白い和紙に光を当て富士山を疑似体験できる展示で、平成29年に「COOLJAPAN AWARD」を受賞している。最新の映像設備による新幹線並みのスピードでの登山や、山頂からの風景の疑似体験ができる。また、小学校を主な対象として、座学による富士山教室などの教育プログラムを整備し、校外学習や総合的な学習の時間などで利用されている。
 山梨県による富士山という文化資産の保護、保存、整備のための拠点施設の運営手法や、教育プログラムを整備し学校団体の学習活動を支援する取組を視察し、本県施策の参考とする。

【調査内容】

 山梨県立富士山世界遺産センターは、富士山が世界文化遺産に登録されたことを受け、富士河口湖町にある既存の山梨県立富士ビジターセンターに隣接して、富士山の世界文化遺産登録が決定した日からちょうど3周年に当たる平成28年6月22日に開館した。新館となる南館を新設するとともに、既存の富士ビジターセンターはリニューアルし、北館として開館した。同センターは、富士山を訪れる多くの訪問者に対して、富士山の普遍的な価値を情報発信し、保存管理の中心的役割を担うとともに観光振興を担う山梨県の施設である。
 同センターの北館は、富士山の自然環境に関する展示のほか登山者向け案内所、観光案内所としての機能を有し、新設された南館は、世界遺産としての価値や人と自然との関わりなど文化的価値に関する展示のほか、ライブラリー、企画展などが開催できる多目的ホールなどの機能を有している。同センターのシンボル的な展示物として、「冨獄三六〇」という富士山のオブジェがあり、直径15mの鉄製の枠組みに和紙を張り付けて直径15m、実際の約1月1日,000スケールで富士山を再現している。季節の移り変わりや気象の変化、富士山の自然と人との関わり等をイメージした照明を和紙に投影し、印象的な演出を行っている。同センターの整備に当たっての事業経費は約16億5,000万円で、「富士の国やまなし県民債」という県民参加型市場地方債を10億円発行したほか、一般財源を建設に充てている。
 同センターでは、富士山を次の世代に引き継いでいくため、若い世代が富士山について学ぶことが重要であると考え、県外生徒の修学旅行や校外学習、総合的な学習の時間の場で取り組むことができる教育プログラムを用意している。各学校などの団体の対象や滞在時間、学習目的などの要望に応じた学習スタイルを用意し、提案している。例えば、ガイド付きでの館内案内、ワークシートを用いた館内の自由見学、冨獄三六〇を観察して描絵や缶バッジづくりをするワークショップ、座学、映像学習などのプログラムである。県内の児童生徒についても市町村教育委員会へ情報提供しながら富士山に関する学習の普及啓発を実施している。
 今回視察先を調査できたことは、ユネスコ無形文化遺産に登録された「細川紙の和紙手漉き技術」などの文化資産を持つ本県において、文化施設の運営や取組を推進していく上で大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?