文教委員会視察報告
調査日
令和7年11月18日(火曜日)
調査先
(1)栃木県立学悠館高等学校(栃木市)
(2)小山市立絹義務教育学校(小山市)
調査の概要
(1)栃木県立学悠館高等学校
(多様な学習機会の提供について)
【調査目的】
■本県の課題
- 学校外での活動に力を入れている生徒や学校生活上の困難がある生徒等が、自らの希望や状況に応じて柔軟な学び方を選択できるよう、時間や場所に捉われず学ぶことができる通信制、複数の時間帯の中から学ぶ時間を選択できる定時制の役割が増している。
■視察先の概要と特色
- 同校は、定時制課程と通信制課程が併設され、定時制課程は、1部(午前)・2部(午後)・3部(夜間)を選択できる「フレックス・ハイスクール」である。
- 約100科目・360講座の授業から自分の進路に合わせて時間割を作成する単位制であり、3年以上在学し、74単位以上を修得することで卒業できる。
- 通信制課程では、週1回の面接指導(スクーリング)とレポートで学習を進め、そのほかレポート作成支援日、学びの時間、進路講座の三つの取組で、学習を支援している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 開校から21年、学びのセーフティネットとして学び直しができる学校、多様な生徒の学習を柔軟に支援する学校として、生徒にとって居心地の良い学校を目指してきた。
- 生徒に最初から選ばれる学校となり、令和7年度定時制課程の出願倍率は、全平均が1.34倍となっている。在籍生徒数は定時制課程、通信制課程ともに500名を超えている。
- 中学時に不登校を経験した生徒の入学も多いため、担任、養護教諭、相談部担当教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等のチームで教育相談に対応することで、学校が生徒の居場所として定着するよう支援している。
- 通信制課程では、担任と生徒は「生活と学習の記録」を用いることで、心身や学習の状況を把握し、生徒自身にも自己管理をする大切さを意識付けている。卒業後の進路実績は近年増加傾向にあり、就職に臨める心身の成長が見られている。
- 定時制課程では、自部の授業だけでなく、他部の授業や通信制課程の科目を受講することで、3年間で卒業に必要な単位を修得することも可能である。
- 健康面の不安や、入学後の学習方法の不一致等から、定時制課程と通信制課程で転籍するなど、それぞれの特徴を生かして、多様な生徒に丁寧に向き合う教育を行っている。
- 令和8年4月、同校舎内に県立夜間中学「栃木県立とちぎ学びの夢学園」が開校予定である。現在、個別面談では30名を超える入学希望がある。学習状況、日本語能力によって五つのコースに分かれて学習する。
■質疑応答
Q:福祉課題や生活課題を持つ生徒に対応する際、福祉行政、NPO等の支援団体との連携や役割分担はどうなっているか。
A:学校にスクールソーシャルワーカーが配置され、支援が必要だという判断の場合、市の福祉課等につなげている。スクールカウンセラー1名が県から配置されているが、サポートの充実が必要であるため、PTAと相談しながら学校でも2名雇用している。
Q:卒業後は、どのような進路先で、どのように活躍しているのか。長く勤めるなど、定着状況はどうか。
A:自ら組み立てる学習方法を選択して本校を希望する生徒も増え、弁護士や学校の先生となった卒業生等も輩出している。社会での自立は本校の課題であるため、来年度から、生徒と企業の双方向理解を進め、マッチングを図るような実習を準備している。

栃木県立学悠館高等学校にて
(2)小山市立絹義務教育学校
(小中一貫教育の取組について)
【調査目的】
■本県の課題
- 小学校から中学校へ進学する際の円滑な接続により、9年間の学びと育ちの連続性を重視した教育を行うことで、児童生徒の学習意欲の向上と、いわゆる「中1ギャップ」の解消が求められている。
■視察先の概要と特色
- 同校は、平成29年に福良小学校、梁小学校、延島小学校、絹中学校の4校を統合再編し、栃木県初の義務教育学校として開校した。
- 9年間を「基礎・基本期(1~4年生)」「成熟・接続期(5~7年生)」「充実・発展期(8・9年生)」として捉え、学びや育ちをつなぐ教育を展開している。旧福良小校舎を「東校舎」、旧絹中校舎を「西校舎」として改修・整備し、1~4年生が東校舎、5~9年生が西校舎で生活している。
- 地域に根差した伝統的産業「本場結城紬」を題材として、探究的・協働的なふるさと学習を展開している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 平成29年の開校に向け、平成26年に小中一貫校推進委員会の設置、アンケート調査、説明会等を経て、平成27年に基本計画を策定、統合が決定された。平成28年には校名が決定し、東校舎と西校舎をつなぐ渡り廊下「シルクロード」が設置された。この渡り廊下は、児童生徒、職員の校舎間の移動と、9年間の教育活動をつなぐ役割を持つ。
- 前期課程が45分、後期課程が50分だった授業日課を、全学年50分にそろえた。前期課程は45分授業と残り5分は準備時間等に活用している。
- スクールバス4台は、片道約2km以上通学距離のある前期課程の児童を対象として運行し、広い通学区域の登下校を支援している。
- 前期・後期の教員の乗り入れを行い、1年生から一部で教科担任制を取り入れている。
- 開校とともにコミュニティ・スクールを導入し、地域と連携した特色のある取組として、全学年で系統的に実施するふるさと学習がある。地域のボランティアとともに学ぶことで、地域の良さを実感することはもちろん、人間関係の広がりにもつながっている。
- 児童生徒への意識調査を定期的に実施しており、開校から5年目で、義務教育学校で良かったと思う児童生徒が全体9割を超えている。最も良かったこととして、1学年から9学年まで共に生活する中で、交流、経験を通じて学べることと回答されている。
■質疑応答
Q:スクールバスについて、児童生徒253名のうち利用者は何人なのか。下校時間が学年によって異なることへの配慮はどうか。
A:前期課程生徒の3分の2程度の100名弱である。帰りはバスが2往復している。
Q:9年間を3期に分けているが、従来の小中学校の卒業のような切替えはあるのか。
A:卒業は9年生終了時となるが、6年生は一つの区切りとして、前期課程修了式という名称だが、卒業式と同じ形式で実施している。実質2回の卒業式を実施している。
Q:小中一貫校ではなく、義務教育学校という校種を選んだ理由は何か。
A:9年間で区切りがない柔軟なカリキュラム編成が組める点、一人の校長の下で教職員が一体となって連携できる点から、義務教育学校としたという経緯がある。