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掲載日:2023年5月23日

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県土都市整備委員会視察報告

期日

平成29年5月30日(火曜日)~6月1日(木曜日)

調査先

(1)   モノレール旭橋駅周辺地区(那覇市)
(2)   国営沖縄記念公園「首里城地区」(首里城公園)(那覇市)
(3)   古宇利大橋(一般県道古宇利屋我地線)(沖縄県今帰仁村)
(4)   沖縄県下水道事務所宜野湾浄化センター(宜野湾市)

調査の概要

(1)モノレール旭橋駅周辺地区

(市街地再開発事業の促進について)

【調査目的】

モノレール旭橋駅周辺地区第一種市街地再開発事業は、沖縄初の再開発会社施行による市街地再開発事業で、モデルケースとして全国的にも注目を集めている。平成15年にモノレール駅の開通に合わせ、施行主体として再開発会社(旭橋都市再開発(株))が設立され、沖縄の玄関口にふさわしい都市空間の形成を図ることを目的に事業に着手した。
当該地区は、国が定める都市再生緊急整備地域に指定されており、沖縄21世紀ビジョン実施計画及び第4次那覇市総合計画に位置付けられ、沖縄県と那覇市の支援を受けて事業を展開している。平成24年3月、南工区約2.7haが完了し、北工区が来年度の竣工を目指して事業中である。
本県でも、所沢市所沢東町地区など市街地再開発事業を促進していることから、同事業を視察し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

モノレール旭橋駅周辺地区は、モノレール旭橋駅と沖縄県最大規模の那覇バスターミナルが近接する地域である。平成15年の旭橋駅の開業に伴い、交通の要衝としての重要性が増し、交通結節点としての機能強化が求められるとともに、駅前にふさわしい業務、商業、宿泊等の多様な都市機能の導入や安全・快適な歩行者空間の整備が必要とされた。
そこで、県都那覇の玄関口としての「顔」となる風格と豊かでゆとりある都市空間の形成を図ることを目的に、平成15年4月に市街地再開発法に基づく市街地再開発事業として当該地区の都市計画が決定され、事業が着手された。施行者は、地元の地権者や事業参加者等が出資して設立した再開発会社(旭橋都市再開発(株))で、沖縄県初の再開発会社施行による市街地再開発事業となり、モデルケースとして全国的にも注目を集めることとなった。
事業の施行面積は全体で約4.5ha、総事業費は約444億円の計画で、南北の2工区に分かれて段階的に整備されている。平成19年度に着工した南工区約2.7haは、平成24年3月に事業が完了している。同地区は、沖縄県南部合同庁舎や自治会館などの公共施設、オフィス、ホテルを集約したビジネス・コンベンション拠点を形成しているほか、高層住宅や屋上庭園なども整備されており、「職・住・憩」が調和した複合都市を創出している。
もう一方の北工区は、バスターミナル機能の再整備をはじめ、市街地再開発事業としては全国初となる県立図書館や商業施設が集積した地上11階の複合施設を中心に、交通結節や交流拠点形成を図ることを目的として、来年度の竣工を目指して事業中である。
概要説明後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「施行者である株式会社の出資構成はどうなっているのか」との質問に対し、「地権者が中心だが、開発事業に対する補助金支出で起債を活用する関係もあり、地方財政法等に基づき沖縄県が50.5%の株式を保有している」との回答があった。また、「バスターミナルが狭あいで利用しにくいのは全国的にみられる課題だが、今回新たに整備するバスターミナルではそうした課題に対応しているのか」との質問に対し、「観光客の増加に伴い貸切バスが増えているが、法令上、バスターミナルは路線バスと定期観光バスは利用できるものの、貸切バスは利用できないのが実情である。そのため、貸切バス用の乗降場所を別途確保して整備している」との回答があった。
質問終了後は、南工区を視察するとともに、事業中の北工区の建設現場を併せて視察した。
このように、同事業を調査できたことは、市街地再開発事業を促進している本県にとって大変に参考になるものであった。

  モノレール旭橋駅周辺地区にて

(2)国営沖縄記念公園「首里城地区」(首里城公園)

(地域特性を生かした公園の整備及び管理について)

【調査目的】

国営沖縄記念公園「首里城地区」は、「貴重な国民文化遺産の回復」、「新たな県民文化の創出」、「伝統技術の継承と発展」、「歴史風土探訪の場の形成」を目的に復元整備が進められている。また、平成12年12月に史跡「首里城跡」は「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の中の一つとして世界遺産に登録された。
平成27年度に、首里城を描いた古地図や古絵図及び伝承に基づき往時の植栽を再現する形で「北城郭東地区」(0.4ha)の復元整備に着手し、今年の3月31日からオープンしている。
本県でも、地域の特性を生かした県営公園の整備・活用などを推進していることから、同公園を視察し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

国営沖縄記念公園「首里城地区」は、沖縄の本土復帰を記念する事業の一環として、昭和61年より首里城の復元が進められている公園である。来園者に分かりやすく利用しやすい名称として、「首里城公園」と呼ばれている。
「首里城公園」は、本土復帰20周年目の平成4年11月3日に一部開園し、今年で25年目を迎えた。琉球王国の中心であった首里城の遺構発掘調査の成果や絵図資料・古写真などの根拠資料に基づき、全面開園に向け順次復元整備を進めているところである。
平成29年3月31日には、国営公園区域の「北城郭東地区」(0.4ha)が新たに供用開始された。この区域は、首里城を描いた古地図や古絵図及び伝承に基づき、往時の植栽空間を再現する形で整備されている。この区域の完成により、国営公園区域4.7haのうち約75%に当たる約3.6haが一般供用されることになった。
また、同公園では、琉球王国の往時をしのばせる儀式や宴が再現されたイベントなども行われ、復元された首里城正殿を中心として、歴史・文化の拠点となっており、沖縄県の観光拠点の一つとして大きな役割を担っている。平成27年度の入園者は267万人で、平成4年の一部開園以来の入園者総数は5,000万人を超えている。
なお、国営公園区域の周辺は、沖縄県が県営事業として駐車場などを整備しており、その区域も合わせ、公園内の植栽、清掃等の日常の施設維持管理並びに利用者案内、イベント、広報などの運営管理は、(一財)沖縄県美ら島財団が一括して行っている。
概要説明後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「琉球王国が滅亡し、一度は途切れてしまった当時の儀式を復元するのは難しいと思うが、どうしているのか」との質問に対し、「琉球舞踊や伝統芸能などの形でかなりの部分は継承されているが、歴史的な資料が発見された際に、専門家などを交えた検討会を開くなどして、当時を再現して実施している。ちなみに、1月の『新春の宴』は、史実に基づき中国語で執り行われている」との回答があった。「復元整備に当たり、課題は何か」との質問に対し、「城壁の石組みの造形などは高度な技術が必要であり、技術者を確保するのが課題である」との回答があった。また、「国営と県営の区域を一括で維持管理するのは難しいと思うが、どのように工夫して行っているのか」との質問に対し、「月に1回、関係者が集まり会議を開催しており、安全管理やサービスに対する考え方など、全体のバランスを見ていろいろ調整しながら進めている」との回答があった。
質問終了後は、「首里城公園」を視察した。
このように、国営沖縄記念公園「首里城地区」を調査できたことは、地域の特性を生かした県営公園の整備・活用などを推進している本県にとって大変参考になるものであった。

(3)古宇利大橋(一般県道古宇利屋我地線)

(道路、橋りょう整備による地域活性化について)

【調査目的】

古宇利大橋(一般県道古宇利屋我地線)は、沖縄本島北部の今帰仁村古宇利島と名護市屋我地島を結ぶ全長約2kmの橋りょうで、平成17年2月に開通した。
その後、周辺の県道屋我地仲宗根線や県道110号線バイパス等が整備されたことにより、地域間の連携・交流が促進され、特に、古宇利島から今帰仁村への通学・通勤時間が大幅に短縮されるなど、島の振興発展につながった。さらに、観光面においても、国営沖縄記念公園や今帰仁城跡方面から屋我地島、古宇利島を訪ね、国頭地域をたどる、新たな観光周遊ルートが形成され、より魅力ある北部観光の発展にも寄与している。
本県では、地域の活性化に役立つ道路等の整備に取り組んでいることから、同事業を視察し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

古宇利大橋(一般県道古宇利屋我地線)は、今帰仁村古宇利島と名護市屋我地島を橋りょうで結ぶことにより、古宇利島の医療・教育・福祉等の生活環境の向上を図るとともに、地域の産業の活性化及び観光資源の開発等を支援することを目的に建設された県道である。
平成5年に事業着手し、平成8年に県道認定され、平成17年2月に供用開始された。延長は4,050m(うち橋りょう部1,960m)で、事業費は約270億円であった。
橋りょう部の建設に当たっては、独自の施工管理式を確立して基礎杭を短くしたことで約19億円の建設費用を縮減するほか、塩害対策を施すこと等で従来の50年耐用から100年耐用となるよう長寿命化を図るなど様々なコスト削減に取り組んでおり、技術的にも非常に特徴的な橋りょうとなっている。
古宇利大橋の整備により、離島であった古宇利島が屋我地島を経由して沖縄本島とつながることとなった。これにより、(1)天候や時間帯に左右されずに安全かつ容易に移動できることで、人々の行き来が活性化し、通学、通勤等生活圏の広域化が促進された。(2)通院・急患搬送において船が欠航するような高波、波浪に制約されずに目的地へ移動可能で、移動時間も短縮されるため、より高い医療サービスが利用可能となり、島民の医療環境が改善した。(3)架橋前は生活・教育・雇用環境の不利・不便さ等から、過疎化が進行していたが、架橋を契機に人口減少に歯止めが掛かった。(4)架橋による輸送コストの低減等により、島の基幹産業である農業、漁業の振興が図られ、特に観光客やレジャー客が増加し、観光産業の充実は島の活性化につながり、新たな雇用の機会も創出されたなど、地域の活性化に資する様々な効果があった。
なお、地元の区長の話では、当初は、島民約300人のために多額の費用をかけるのかとの非難もあった。橋りょうの整備により様々な恩恵がある一方、本島への通学が便利になることで、古宇利島の学校が閉校するなど教育環境の整備では課題もあるが、新しく住民となった移住者と地元住民とが一緒に島づくりに取り組んでいるとのことである。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「基礎杭の長さを従来の3分の1にできたのはどうしてか」との質問に対して、「基礎杭を打つ際は基盤層の評価が難しいが、試験施工を行い、地盤基礎検討委員会において、そのデータや杭を安定させる周辺摩擦をより正確に評価するなどにより、従来より短くても問題ないことを確認できたためである」との回答があった。また、「橋を架けるルートはいくつか選択肢があったと思うが、どのように決めたのか」との質問に対して、「地盤の安定性や、海流、また大型船の航路を避けるなど様々な要因を検討して決定した」との回答があった。
概要説明の後、古宇利大橋(一般県道古宇利屋我地線)を視察した。
このように、同事業を調査できたことは、地域の活性化に役立つ道路等の整備に取り組んでいる本県にとって大変参考となるものであった。

(4)沖縄県下水道事務所宜野湾浄化センター

(官民連携による下水道資源の有効活用について)

【調査目的】

沖縄県下水道事務所宜野湾浄化センターは、宜野湾市、沖縄市、浦添市をはじめとする3市2町2村の下水処理を行っている。平成28年10月1日から、下水の処理過程で発生するバイオガスを利用し、民間事業者が自ら発電設備を設置してFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)により発電事業を展開している。
国内では約2,200か所ある下水処理場のうち、約90か所でバイオガス発電が実施されているが、同センターと同様に民設民営でFITを活用したバイオガス発電が行われているのは13か所のみとなっており、官民連携の取組として全国的にも注目を集めている。
本県でも、平成31年度から民設民営によるバイオガス発電事業を開始予定であることから、同センターを視察し、今後の施策推進の参考とする。

【調査内容】

沖縄県には3つの流域下水道と4つの浄化センター(那覇浄化センター、宜野湾浄化センター、具志川浄化センター、西原浄化センター)があり、それぞれ微生物を利用した活性汚泥法により下水処理を行っている。
今回視察した宜野湾浄化センターでは、下水処理の過程で発生する消化ガス(バイオガス)を施設内の燃料脱臭や浄化槽の加温に利用していたが、その利用率は50%にとどまっており、更なる有効利用が課題となっていた。そうした中、下水道汚泥の流入量とそれに伴う消化ガスの増加も見込まれていた。そこで、同センターでは平成25年度から消化ガスの有効利用の検討を開始し、平成28年10月から、民設民営方式によるFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)を活用したバイオガス発電事業を開始するに至った。
この事業では、沖縄県は、民間事業者に消化ガスを有償提供するとともに、下水処理場内の敷地を有償貸付して収入を得る一方、民間事業者は、自らバイオガスの発電設備を整備して管理運営を行いながら、消化ガスを燃料に発電し、その電力をFIT活用により電力会社に売却することで収益を得ている。
沖縄県としては、民間事業者が発電設備の建設及び管理運営を行うため、資金調達の必要がなく、早期に事業着手できるほか、発電設備の建設費・維持管理費を負担しないため、発電事業に対するリスク低減やコスト削減のメリットがある。一方、民間事業者としては、発電した電力を、FIT活用により電力会社に売却するため、安定的な収益を得ることができる。そうしたことから、同センターの官民連携の取組は、下水道資源を有効活用したWIN-WINの取組として、全国的にも注目が集まっている。
なお、バイオガス発電の事業開始後6か月間で、民間事業者が発電した総電力量は1,887KWh、一般家庭約524世帯分の1年間の電気消費量に当たるとのことである。
概要説明を受けた後、委員から活発な質問が行われた。その中で、「消化ガスの売却益が出ていることで下水道料金を安くしているのか」との質問に対し、「売却益は施設の維持管理費に充てており、下水道料金に反映させてはいない」との回答があった。「施設内で発生する消化ガスのうち、どの程度をバイオガス発電用に売却しているのか」との質問に対して、「消化ガスの一部は施設内の脱臭などにも活用しているため、販売できる量を事前に調査して決めている。その結果、1日の発生量10,000立方メートルのうち、5分の3に当たる6,000立方メートルを販売している」との回答があった。また、「消化ガスの売却でどの程度収入があったのか」との質問に対し、「販売単価は1立方メートル当たり32円で、半年間で3,200万円程度の収入があった」との回答があった。
質問終了後は、沖縄県下水道事務所宜野湾浄化センター内のバイオガス発電設備を視察した。
このように、官民連携による下水道資源の有効活用の取組を調査できたことは、民設民営によるバイオガス発電事業を実施予定の本県にとって、大変参考になるものであった。

宜野湾浄化センター

宜野湾浄化センターにて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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