県土都市整備委員会視察報告
調査日
令和7年11月18日(火曜日)
調査先
(1)国道4号東埼玉道路、越谷野田線交点(北葛飾郡松伏町)
(2)荒川水循環センター(戸田市)
調査の概要
(1)国道4号東埼玉道路、越谷野田線交点
(道路事業の推進について)
【調査目的】
■本県の課題
- 本県では各方面を結ぶ高速道路網の形成が進んでおり、この優れた環境を最大限に生かす道路ネットワークの整備を進める必要がある。
■視察先の概要と特色
- 国道4号東埼玉道路の一部が令和7年6月1日に開通した。それに合わせて、本県が整備を進める主要地方道越谷野田線(田島工区)の一部区間も供用を開始した。
- 田島工区は、東埼玉道路の浦和野田線IC(仮称)につながるものであり、この整備により、周辺道路の渋滞緩和だけでなく、防災機能向上や地域経済の活性化などの様々な効果が期待される。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 現道の国道4号では、冠水による通行止めが過去発生しており、東埼玉道路が整備されると、浸水想定エリアを避けた道路ネットワークとして機能することが期待される。
- 令和7年度に着手した東埼玉道路(専用部)の橋りょう下部工事は、軟弱な地盤に対応する難しい工事となっている。そこで、施工会社の優れた技術力・ノウハウの活用を図る、技術提案評価型SI型という新しい試行制度を利用している。
- この橋りょう下部工事を行っている場所では、インターチェンジを設ける計画であり、アクセス道路として県道蒲生岩槻線(都市計画道路蒲生柿木川戸線)が計画されているため、今回同様、県の事業と連携しながら進めていく。
- 越谷野田線の本工区は、関係者や地域の協力もあり、他の路線に比べ比較的短期間で完成した。特に国道との交差部では、国や施工業者と定期的な工程会議の実施や、共同で現場を確認するなど、課題を共有しながら事業を進めた。
- 本工区の工事では、ICT機械を用いた施工管理を一部で導入した。結果として品質向上とともに、作業効率や安全性が向上した。
- 職員の自走結果であるが、レイクタウン北側交差点から産業団地まで、供用開始後は約4分間の短縮が確認された。産業団地までのアクセス性が向上し、物流の効率化による企業活動の活発化にもつながると考えられる。
■質疑応答
Q:国道4号東埼玉道路の整備について、一般道と専用道が並走したり、セパレートとなったりしているのは、何か基準があるのか。
A:専用部で地域が分断されてしまうため、左右から一般部に入れるよう流れを作る意味でセパレートにしている。一方、例えば中川が並走するような場所は、中川で地域が分断されてしまっているため、構造を簡略化し、並走する形の片寄せとしている。
Q:越谷野田線の今後の延伸について、野田橋付近は以前から混雑が激しく、整備された国道とつながると、さらに悪化するのではと懸念があるが、渋滞対策はどのように考えているのか。
A:野田橋の渋滞が継続していることは認識している。これは野田橋が2車線であることが大きな要因であると考えられる。野田橋は千葉県が整備することになっている。埼玉県側が4車線であるので、千葉県側も4車線の設計をしているが、様々な課題があるようである。引き続き、4車線化については協議を進める。
(2)荒川水循環センター
(下水汚泥の有効利用について)
【調査目的】
■本県の課題
- 下水道事業においては、下水道資源を有効活用し、持続可能な社会の構築に貢献することが求められている。
■視察先の概要と特色
- 令和6年4月に地方公共団体として全国で初めて、下水汚泥焼却灰を菌体りん酸肥料「荒川クマムシくん1号」として登録をした。
- 登録されたことにより、肥料会社が荒川クマムシくん1号を原料とした混合肥料を製造することが可能になった。
- 従来は、発生する汚泥の大半を焼却し、焼却灰をセメント利用等で再資源化していたが、これにより、汚泥処理の多様化を図るとともに、循環型社会形成への貢献を目指している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 下水汚泥は肥料成分のりん酸を多く含有しているため、化学肥料の代替になり得る存在として注目されている。燃焼灰の肥料利用は、薬品を使用する下水からのリン回収方法よりも、安価に利用できるメリットがある。
- 全ロットで有害成分の分析を実施しており、これまで有害成分の基準超過はない。
- 肥料会社に供給された荒川クマムシくん1号は、肥料成分や性状が調整され、付加価値の高い複合肥料として販売されるスキームを想定している。
- 現状は試験販売という形で、基本的には10kg未満の少量を、検討用に業者に販売している。令和6年度には、朝日アグリア株式会社が「クマムシくん888」を試験製造し、花き、植栽を対象に試験販売中である。野菜を対象にした販売は、農業技術研究センターにおける栽培試験の終了後を予定している。
- 県農林部、肥料会社、民間企業と連携し、農業関係者、県民等にPRをしている。メディアを活用したPRとして、テレビ埼玉、J:COMの番組でPRをした。
- 今後は、成分分析体制を委託から下水道公社における内製化に切り替える。また、本格的な生産に向け、肥料メーカーから要望が多い、フレコンバック充填設備の整備に向けて検討を進める。さらに、他流域において燃焼灰の登録ができるかモニタリングを進めており、登録が可能であれば展開していく。
■質疑応答
Q:燃焼灰を肥料として利用することで、どのくらいの収入が見込まれるのか。
A:肥料は1トン当たり100円と安価であり、収入というよりは処理費用削減の面が大きい。安定的に肥料販売ができると、処理費用として1トン当たり約35,000円かかっているものが削減される。
Q:安定供給体制を構築するための設備の整備に、どのくらい費用がかかるのか。
A:現時点では金額の算定までは行っておらず不明である。現在は、既存設備でどの程度燃焼灰を肥料利用できるのか、試験的に見ている段階である。順調に推移すれば、フレコンバック出荷の設備導入などの費用の検討が、必要になると考えている。

荒川水循環センターにて