産業労働企業委員会視察報告
調査日
令和7年11月19日(水曜日)~20日(木曜日)
調査先
(1)東京都水道局研修・開発センター(東京都世田谷区)
(2)シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー(甲州市)
調査の概要
(1)東京都水道局研修・開発センター
(水道事業における人材育成・技術開発について)
【調査目的】
■本県の課題
- 水道インフラの老朽化や自然災害への対応が求められる中、安心・安全な水を安定的に供給するため、技術者育成や技術革新への対応が必要である。
■視察先の概要と特色
- 東京都水道局は研修・開発センターを設立し、安全でおいしい水を安定的に供給し続けるため、研修部門と開発部門が連携し、技術の継承と職員の能力向上や多様なニーズに的確に対応するための研究開発に取り組んでいる。
- 同センターは、水道専用の研修と研究・開発を行う国内最大規模の施設であり、各種設備を有する庁舎のほか、体験型の研修を通じ実践的な技術を身に付けることができる研修フィールド、現場ニーズを踏まえた水道技術の開発を行う開発フィールドを有している。
- また、水道事業を取り巻く環境の変化に対応するため、アンケートなどを踏まえた人材育成の取組を実施するとともに、企業、大学の発想や最新技術を活用した技術開発を推進している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同センターは、平成17年4月に開設され、今年で20年を迎える国内最大規模の水道研修施設である。
- 研修部門と開発部門のコラボレーションが大きな特徴であり、開発の成果を研修に活用し、受講生の声を開発部門にフィードバックするなど、双方向連携によるシナジー効果を創出している。
- 研修においては、VR等のデジタル技術、政策連携団体である東京水道株式会社との共同研修等を通じて、技術継承と現場対応力を強化している。
- 研究開発においては、委託研究・共同研究の手法により、職員研修プログラムや利便性、安全性を高めた製品の開発を行っている。
- 同局は東京水道株式会社と連携し、東京水道グループとして一体的な人材育成方針を策定するとともに、研究成果の活用により災害対応力、安全性、セキュリティを総合的に底上げしている。
■質疑応答
Q:東京都水道局が管理する最も太い水道管のサイズはどの程度か。
A:朝霞上井草線の2,700mmの送水管が最大のサイズである。
Q:今後、首都直下地震が想定される中で、水道局が所管する配水管の耐震継手率の現状と今後の見込みはどうか。
A:令和6年度の配水管の耐震継手率は52%であり、令和12年度61%を目標に掲げている。
Q:同センターの組織構成において、年齢層が比較的高い職員が多いが、どのような理由なのか。若手職員を増強していく考えはあるのか。
A:研修や研修開発は単独では実施できず、関係各署と連携して実施していくため、職位の高い者が対応を行っている現状がある。今後は若手職員への世代交代も検討したい。

東京都水道局研修・開発センターにて
(2)シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリー
(地域資源を活用した産業振興の取組について)
【調査目的】
■本県の課題
- 本県の魅力向上や地域経済活性化のため、地域資源のブランド力を向上させ、地域特性や特産品を活用した産業振興を行うことが必要である。
■視察先の概要と特色
- 山梨県では、ぶどう農家、ワイナリーへの支援を進めるとともに、平成28年に「山梨ワイン産地確立推進計画」を策定し、国内外から更に多くの人を呼び込み、日本を代表するワイン産地ブランドを確立することを目指している。
- 同県は、明治時代からワイン醸造の歴史を持つ日本のワイン発祥の地であり、ワイナリー数、日本ワインの生産量は日本一を誇る。同県産のワインは、国際コンクールで金賞を多く受賞するなど、品質を高く評価されている。
- シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーは、同県を代表する伝統的なワイナリーの一つであり、同県を含む日本産ぶどうの活用と地域との連携を通じて地域経済の活性化に寄与している。また、ワイナリーツアーなど、観光資源としての役割も果たし、地域ブランド力の向上に貢献している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 同県では、山梨ワインの代表的品種である「甲州」及び「マスカット・ベーリーA」が国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録され、EUに輸出する際に品種名を表示することが可能となったことから、その認知度が飛躍的に向上にした。また、地理的表示(GI)についても、ワインに続き日本酒が指定されたことが「美酒美県やまなし」の地位確立につながっている。
- 「山梨ワイン産地確立推進計画」は今年度が第2期の最終年度であり、第1期と比較して特に消費拡大を目指し、産業振興の観点に加えて観光や6次産業化の視点を取り入れ、部署間の連携による横断的な取組を推進している。
- 同県は、国際コンクール出品の補助を行い、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)では「シャトー・メルシャン 岩出甲州きいろ香キュヴェ・ウエノ 2023」が金賞及びトロフィーを取得するなど、数々の賞を受けている。
- 同ワイナリーでは、多彩な研究による成果を他のワイナリーにも提供し、自社のワイン作りだけでなく産地ブランドや文化の創出を見据え、山梨ワイン及び日本ワインの価値を高めることに寄与している。
■質疑応答
Q:行政と業界団体が連携した施策推進を行なった経緯はどういうものか。
A:ワイン業界においては、供給(農家)と需要(ワイナリー)のミスマッチや意見交換の機会がないという事情があり、構造的な擦り合わせを行う目的で実施に至った。
Q:山梨県の観光消費単価が低いと聞いたが、要因分析と改善策はどうか。
A:東京から近く、日帰りの観光客が多いことが一番の原因と考える。滞在の魅力を高め、食やお酒も楽しんでいただけるようPRしたい。
Q:シャトー・メルシャン 勝沼ワイナリーのぶどう選定は、機械化しているのか。
A:人の手で行っている。おいしいワイン作りのためには、おいしいぶどうを作り収穫するという農業の部分が大切であり、収穫の時期は社員を総動員して実施している。