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掲載日:2018年9月13日

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福祉保健医療委員会視察報告

期日

 平成30年5月21日(月曜日)~23日(水曜日)

調査先

(1) (株)国際電気通信基礎技術研究所(石黒浩特別研究所)(京都府精華町)
(2) 永守記念最先端がん治療研究センター(京都市)
(3) (地独)大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(大阪市)
(4) 理化学研究所(生命機能科学研究センター、計算科学研究センター)(神戸市)

調査の概要

(1) (株)国際電気通信基礎技術研究所(石黒浩特別研究所)

 (介護ロボットの活用について)

【調査目的】

 (株)国際電気通信基礎技術研究所は、脳情報科学、生活支援ロボット、生命科学等の研究開発に取り組んでいる株式会社組織の研究所である。
 同研究所内の石黒浩特別研究所は、日本を代表するロボット工学者であり外見や動きが人間そっくりのアンドロイド等の研究で著名な同氏が代表を務めている。同氏は、人と共生する自立対話型アンドロイドの研究や遠隔操作型アンドロイドによる高齢者の活力を高める研究を進めている。開発された様々なアンドロイドのうち、小型の遠隔操作型アンドロイドである「テレノイド」は、認知症高齢者のコミュニケーション改善を目的に高齢者施設に導入が進められている。
 同研究所を視察することで、本県における高齢者福祉推進の参考とする。

【調査内容】

 (株)国際電気通信基礎技術研究所は、昭和61年に当時の郵政省、NTT、経済団体連合会、大学等による準備会の構想に基づき、NTT民営化時の政府保有株式を使った出資や民間企業の出資により、電気通信に係る先端的な基礎研究を行うために設立された株式会社組織の研究所である。21世紀の高度情報社会を人間性あふれる真に豊かな生活の場とすることを目的とし、競争的研究資金への応募や国、民間企業からの受託により情報通信分野の基礎から応用まで幅広く研究を行っている。研究組織は、6つの研究所と3つの特別研究所から構成されている。
 同研究所内の石黒浩特別研究所では、遠隔対話サービス研究、存在感メディア研究、ジェミノイド研究及び音環境知能研究の4つの研究を行っている。遠隔対話サービス研究の分野では、アンドロイドの遠隔対話に基づいて、高齢者・障害者などの認知症防止、介護負担軽減などに貢献する新原理・コア技術を研究している。開発されたアンドロイドのひとつである「テレノイド」は、男性とも女性とも、子供とも大人とも見えるニュートラルなデザインが特徴の小型の遠隔操作型アンドロイドである。全長70cm程度で高齢者でも容易に抱きながら対話を楽しむことができる構造となっており、認知症高齢者等のコミュニケーション改善を目的に高齢者施設への導入が進められている。
 存在感メディア研究の分野では、人の存在を感じる最低限のデザインとして人の形をしたクッションのような通信メディア「ハグビー」を開発した。この抱きかかえた状態で対話することのできる抱き枕型の通信メディアを活用し、触覚情報と遠隔対話が連動した接触体験によるストレス軽減の効果などを研究している。
 概要説明を受けた後、活発な質問が行われた。その中で、「テレノイドを高齢者施設に導入するメリットは何か」との質問に対し、「導入した施設では、認知症によって自閉傾向が強くなり周囲との交流が激減した高齢者がテレノイドに強い興味を持った。テレノイドを本物の子供だと感じているようで、語りかけたり、一緒に歌を歌ったりとコミュニケーションの改善傾向が見られた」との回答があった。その後、施設内を視察した。
 今回の視察は、本県における介護ロボットの活用を検討していく上で、大変参考となるものであった。

(2) 永守記念最先端がん治療研究センター

(がん治療に関する取組について

【調査目的】

 永守記念最先端がん治療研究センターは、平成29年11月に京都府立医科大学の敷地内に建設されたがん治療研究施設である。日本電産(株)代表取締役社長の永守重信氏からの寄付により建設されたもので、陽子線治療(腫瘍部周辺の正常組織への影響を低減できる治療法)装置と呼吸で動く臓器に対応する動体追尾機能を備えたX線治療装置を1か所に集約した全国初の施設である。
 京都府は同センターとの連携により、がんの予防・診断・治療までの一貫した医療提供及び高度ながん治療研究を推進することとしている。
 同センターを視察することで、本県におけるがん対策の施策の参考とする。

【調査内容】

 永守記念最先端がん治療研究センターは、日本電産(株)代表取締役社長の永守重信氏からの約70億円の寄付により建設されたがん治療の最先端施設である。施設は、地下1階地上4階の鉄筋コンクリート造で、京都府立医科大学の敷地内に立地している。施設内には、陽子線照射装置・治療室やPET検査室、外来化学療法センター、温熱療法室などが整備されている。
 1階に設置された陽子線照射装置は、陽子線を曲げる部品等で構成され、内径が約3m、重さ約200トンにも及ぶ巨大なガントリーを搭載している。この装置を回転させることで、腫瘍に合わせて360度どの方向からも陽子線を当てることが可能になり、正常な組織を傷つけにくい方向を選択して治療を行うことができる。進行していない限局したがんや、がんの周りに重要な臓器や放射線に弱い組織がある場合に有効で、副作用が少なく治療中の痛みを軽減させることができる。陽子線照射装置に併設された加速器室は、直径約5m、1周約18mのリング状の装置で、ライナック(直線加速器)で加速した陽子線を取り込み、最大で光速の60%まで加速させた陽子線を陽子線照射装置に送り込む役割を担っている。
 2階に設置されたPET-CTでは、がん細胞だけに目印をつける検査薬を点滴で人体に投与し身体を撮影することにより、従来の検査に比べてより小さな早期がん細胞まで発見することを可能としている。また、外来化学療法センターでは、がん治療のエキスパートによる化学療法(抗がん剤療法、分子標的薬療法、ホルモン剤投与など)や特殊な管理を行っている。専用のリクライニングシートやベッドが設置されており、患者が治療中も快適に過ごせるように配慮されている。
 同センターでは、府民に予防・診断・治療の一貫した最先端のがん治療を提供するとともに、高度ながん治療研究を推進し、世界トップレベルの医療の提供を目指している。
 概要説明を受けた後、活発な質問が行われた。その中で、「陽子線治療はX線治療とどう違うのか」との質問に対し、「陽子線治療は、がん病巣に放射線を集中させることが可能で、正常組織への影響を低く抑えることが可能である。また、副作用もX線と比べ軽度なことが多い」との回答があった。その後、施設内を視察した。
 今回の視察は、本県におけるがん対策を推進していく上で、大変参考となるものであった。

(2)永守記念最先端がん治療研究センター
永守記念最先端がん治療研究センターにて

(3) (地独)大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター

 (公立病院の経営改善について)

【調査目的】

 (地独)大阪府立病院機構は、平成18年に高度専門医療の提供と安定的な病院経営の確立等を目的として、大阪急性期・総合医療センターをはじめとした5病院を地方独立行政法人化して設立した。同機構では、設立当初から多額の不良債務の解消が大きな課題となっていたが、経営改善の取組により解消することができ、以降、高度専門医療を行うための医療機器の整備等、積極的な投資を行っている。
 同センターは、救命救急医療や循環器医療などの急性期医療と、がんや腎移植などの高度専門医療を行う35の診療科が連携し、良質な医療を提供している。また、深刻な外傷患者の救命に必要な緊急処置が1か所でできる「ハイブリッドER」など最先端の医療機器が整備されている。
 同センターを視察することで、本県における県立病院の経営改善に関する取組の参考とする。

【調査内容】

 (地独)大阪府立病院機構は、平成15年に制定された地方独立行政法人法を受け、平成18年に安定的な病院経営の確立等を目的として設立された。「大阪急性期・総合医療センター」、「大阪はびきの医療センター」、「大阪精神医療センター」、「大阪国際がんセンター」、「大阪母子医療センター」の5病院を運営する法人組織であり、高度専門医療の提供と府域の医療水準の向上等を基本理念として病院運営をしている。同機構本部の業務としては、中期目標計画の作成や組織・人事の管理等の法人統括、府との調整、各病院共通事務の集中処理などを行っている。独立行政法人化して以降、5年間サイクルの中期目標計画を作成し経営改善に取り組んでおり、設立当初は多額の不良債務を抱えていたが、第1期中期目標計画期間(平成18年度から平成22年度)中に解消することができた。新入院患者数、入院診療単価、病床利用率ともに順調に推移しており、医業収益の改善が図られている。独立行政法人化する前の平成17年度当時は、府から約124億円の運営費の負担金を受けていたが、平成28年度には約60億円まで減少させることができたとのことであった。
 同機構の大阪急性期・総合医療センターは、救命救急医療や循環器医療などの急性期医療と高度専門医療を行う合計35の診療科がある。また、高度救命救急センターと大災害に対応する基幹災害医療センターの2つの重要な役割を担っている。平成24年8月には救命領域において世界で初めて、X線により体内部をリアルタイムに撮影する血管造影装置と体内部の断層画像が撮影可能なCTが一体となった装置「IVR-CT」を外来初療室に導入した。患者の移動なしに初期治療、CT検査、手術が可能となり、診断と治療という異なる作業が同時に行える初療室という意味から「ハイブリッドER」と呼ばれている。これにより出血が原因となる死亡率も8%から3%に改善したとのことであった。
 概要説明を受けた後、活発な質問が行われた。その中で、「独立行政法人化したことによるメリットは何か」との質問に対し、「各病院に予算執行や職員配当の権限を委譲し医療需要や患者動向に迅速に対応できることや、人事制度面や財務制度面で弾力的に対応できることなどが挙げられる」との回答があった。その後、施設内を視察した。
 今回の視察は、本県における県立病院の経営改善の取組等を推進していく上で、大変参考となるものであった。

(3)(地独)大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター

  (地独)大阪府立病院機構
大阪急性期・総合医療センターにて

(4) 理化学研究所(生命機能科学研究センター、計算科学研究センター)

 (最先端医療に関する取組について)

【調査目的】

 理化学研究所が立地する神戸ポートアイランドは、研究機関や大学、医療・バイオ関連企業が集積し、国内最大級のバイオメディカルクラスター「神戸医療産業都市」を形成している。同研究所の生命機能科学研究センターでは、この立地を最大限に生かし近隣の病院と共同して、平成26年にiPS細胞由来網膜細胞の移植手術を世界に先駆けて実施するなど、再生医療をはじめとした次世代医療の開発を進めている。
 また、同研究所の計算科学研究センターでは、スーパーコンピューター「京」の運用を行っている。「京」は、コンピューター上でシミュレーションを行うことにより医薬品の開発や研究などに利用されている。
 同研究所を視察することで、本県における最先端医療の施策の参考とする。

【調査内容】

 理化学研究所・生命機能科学研究センターは、「生命システム研究センター」、「多細胞システム形成研究センター」、「ライフサイエンス技術基盤研究センター」の各センターを統合する形で平成30年に設置された。個体の誕生から死までのライフサイクルの進行を、分子・細胞・臓器の連関による調和の取れたシステムの成立とその維持、破綻にいたる動的な過程として捉え、個体の一生を支える生命機能の解明を研究している。また、これまでの3つのセンターで培われてきた先端的なイメージング技術や、大規模データ統合・解析技術の高度化を進め最大限に活用することで、身体の中で起きている現象を可視化する技術開発に取り組んでいる。これらの研究を通じ、人間の健康・正常状態の理解と、老化・寿命制御メカニズムの解明を推進することで、健康寿命の延伸に貢献している。また、同センターでは、神戸市立医療センター中央病院との協力の下、平成25年に、網膜の難病である加齢黄斑変性を対象に患者本人のiPS細胞由来網膜シート移植に関する臨床研究を開始し、平成26年9月には世界初となる移植手術を実施した。
 同研究所・計算科学研究センターは、計算科学の先導的研究開発機関として、スーパーコンピューター「京」を運用するとともに、ポスト「京」の開発を推進している。スーパーコンピューターは現代の科学技術の発展にとって不可欠なツールであり、生命科学の研究などの基礎科学はもちろんのこと、遺伝子治療の基礎となるヒトゲノムの解析やタンパク質の解析によるドラッグデザインなどにも利用されている。さらには、物理的・生理的に本物と同じ動きをする人の心臓を「京」の上に再現し、心筋の収縮弛緩から心臓の拍動を経て血液の流れに至る全ての現象をシミュレートするなど、医療分野の研究も積極的に行われている。
 概要説明を受けた後、再生医療の今後の展開や「京」を用いた研究成果などについて活発な質問が行われた。その後、施設内を視察した。
 今回の視察は、本県における最先端医療推進のために、大変参考となるものであった。

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