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掲載日:2024年2月20日
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令和5年11月20日(月曜日)~21日(火曜日)
(1)社会福祉法人茨城補成会(茨城県東茨城郡茨城町)
(2)栃木県那須学園(栃木県矢板市)
(複合的福祉施設の取組について)
本県において、障害者が希望に応じて能力や適性を発揮できる社会の実現のため、更なる障害者福祉の推進が課題となっている。
社会福祉法人茨城補成会は、令和4年7月に多機能型福祉モール「HUMAN SOLUTION TOWN」をオープンし、基幹相談支援センター、障害者支援施設、就労支援事業所、児童発達支援センター、児童養護小規模グループケア施設を一つの区画に整備した。
同法人の取組を、本県における障害者福祉推進の参考とする。
社会福祉法人茨城補成会は、昭和40年11月に定員30名の知的障害児施設「涸沼学園」として茨城県の認可を受け開設して以来、障害者支援施設の開設や、障害者就労支援事業、障害児通所支援事業などの展開により、障害者ニーズに対応した事業を広く行っている。
組織としては昭和14年に設立した農業訓練所を出発としており、同県において最も古い社会福祉法人の一つである。地域に根差した法人として、茨城町から委託された基幹相談支援センターを中心に子供から大人まで、様々な困り感、困りごとに少人数で迅速にワンストップ対応できる地域の福祉拠点センターとしての役割も担っている。
「HUMAN SOLUTION TOWN」は、「一人ひとりが主役のまち」をテーマに建設を進め、「人が支え合う社会=まち」を具現化した取組である。一人ひとりに必要なサービスを選択し、組み合わせることで、ワンストップで対応できる施設として注目を集めている。
同施設は、地域の安心、福祉の向上への貢献や益々進行していく少子高齢化の中で地域コミュニティの活性化の一助になることを目指している。そのために、子供から大人まで幅広い年齢の相談対応、そして緊急対応に至るまで迅速なサービスを担う施設であることや、カフェや多目的ホールの利用、イベントの開催等により誰もが立ち寄れる環境を整えたとのことである。
また、法人として、幼年期から高齢期まで、個々に必要なサービスを柔軟に選択、提供することを目指している。さらに、今後不足する管理者の育成、教育にも力を入れていきたいとのことであった。
概要説明及び施設見学後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「障害者福祉における国の流れは、地域分散化、小規模化である。
HUMAN SOLUTION TOWNは、大規模化、集中化の方向であると考えるが、いかがか」との質問に対し、「小規模化すれば全てが解決できるわけではない。同じ属性の方がいるという意味での量の安心感というものもある。大規模なスペースと小規模なスペースを、個人に合わせ、時間軸、場所、量によって使い分けて運用をしている。大きな受皿で、細かく運用していくのが重要である」との回答があった。
今回、視察先を調査できたことは、本県における障害者福祉の推進に大変参考となるものであった。
(児童自立支援施設の取組について)
本県において、児童自立支援施設入所児童の、進学、就労支援、退園後の居場所づくりなど社会的養育の充実が課題となっている。
本県の児童自立支援施設である埼玉学園は、夫婦である職員が児童と一緒の寮舎に住み込み、生活を共にしながら支援する「夫婦制」であるのに対し、栃木県那須学園は職員が交代で対応する「交替制」となっている。
また、総面積71,000平方メートルに及ぶ全国有数の広大な敷地と地域自治会との交流が長期にわたり継続されているのが特徴である。
近県の県立児童自立支援施設の取組を視察することで、本県の施設運営及び社会的養育の充実の参考とする。
栃木県那須学園は、児童福祉法に基づいて同県が設置した児童自立支援施設である。家庭や学校、地域で問題行動を起こした児童(不良行為をなし又はなすおそれのある児童)のほか、家庭環境などの環境上の理由により生活指導が必要な児童を入所させ、社会生活に適応できるよう指導を行って、自立を支援することを目的としている。また、退所した児童に対しても相談・援助を行っている。
入園している児童は、ほとんどが学齢期にあるので、施設内に設置された矢板市立矢板中学校沢分校および矢板市立東小学校沢分教室に通学する。学校では、少人数の授業で児童の習熟度に応じた指導を行っており、高校進学を目指す児童も少なくないとのことである。また、勤労の尊さを学ぶため、職員と児童が一緒になって汗を流し敷地の整備や農作業等に努める。中学校卒業後は、児童の適性を見ながら園外の事業所や園内で「職業実習」を重ね、社会人として自立できるよう指導している。
施設における一つの特徴として部活動が活発である。野球(男子)、水泳、バレー(女子)、吹奏楽、卓球がある。それぞれの部において活動時期が異なっているが、時期ごとに児童全員が全ての部活に取り組むことで、達成感、協調性を養う。対外的な活動も行っており関東地区の大会に参加するとのことである。バレー部については今大会で優勝する実績を挙げている。
また、隣接する沢地区自治会と交流が40年以上続いている。合同運動会は伝統行事となっており、ここ数年はコロナ禍の影響もあって実施できていなかったが、今後再開を目指し調整していくとのことである。ほかに、環境保全活動として用水路における生き物調査を夏、秋の年2回行っているなど、コロナ禍においても地域と継続した交流が図られてきた。
概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「勤務体制について、交替制のメリット、デメリットは何か」との質問に対し、「勤務計画が立てやすい、バックアップがしやすいという点にメリットがある。一方で、情報共有の難しさ、経験の差、職歴による考え方の差が生じてしまうのがデメリットである。いかに職員間の擦り合わせをしていくかが重要である」との回答があった。質疑後、施設見学を行い、その中においても活発なやり取りがあった。
今回、視察先を調査できたことは、本県の施設運営及び社会的養育の充実の参考となるものであった。
那須学園にて
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