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掲載日:2018年2月6日

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環境農林委員会視察報告

期日

平成28年11月7日(月)~8日(火)

調査先

(1) 中央葡萄酒㈱ 明野・ミサワワイナリー(北杜市)
(2) 国立大学法人山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター(甲府市)

調査の概要

(1)中央葡萄酒㈱ 明野・ミサワワイナリー

(農産加工品の研究開発について)

【調査目的】

中央葡萄酒㈱は、大正12年(1923年)に日本のワイン発祥の地である山梨県勝沼町(現甲州市)で創業した。同社は創業以来、ワインの香りや味わいを決定付けるぶどう栽培に力を注いできた。同社では、海外のワイン生産地で行われている栽培方法を取り入れて独自に研究を重ね、日本の固有品種である「甲州」の糖度を高める栽培技術を確立することに成功した。また、ワインの醸造でも、ぶどうの酸化防止にドライアイスを使うなどの工夫をしている。同社のワインは、世界最大級のワインコンクールである「デカンタ・ワールド・ワイン・アワーズ」でプラチナ賞を受賞するなど高い評価を得ており、イギリスやフランスなど海外への輸出も行っている。
同社の取組を視察することで、本県の農産物の研究開発に係る施策の参考とする。

【調査内容】

中央葡萄酒㈱は、大正12年に創業された老舗のワインメーカーで、本社は山梨県甲州市にあり、従業員は25名である。
日本のワインメーカーは農家や農協などから購入したぶどうを原料としてワイン醸造を行うのが一般的である。しかし、同社ではワインの味わいの8割以上を決定付けるといわれるぶどうの品質を高めるため、自社栽培に力を入れており、平成14年には同県明野村(現北杜市)の土地を賃借して三澤農場を開園した。同農場は、標高680m~700mに位置し、日照時間は年間約2,600時間で日本一長いなど、気象条件がワイン栽培に最適であるという。同農場には、傾斜を設けてあり、地下30cmに石灰岩を敷くなど、水はけを良くするために様々な工夫がされている。また、高品質なワイン用ぶどうを栽培するために、棚式栽培ではなく垣根式栽培を行っており、防鳥のためのテグスやネット、ジャパン・スマート方式という雨除け用アタッチメントなどを使って、ぶどうを保護しているとのことである。
同農場では、世界中の産地に知見があり、ワイン醸造に適している欧州系のぶどう品種のほか、1,000年以上前から日本に自生する「甲州」の栽培も行っている。「甲州」は、生食用として棚式栽培されてきた品種であり、樹勢が強くて栽培が難しい。また、ワインの原料としては糖度が低いため、アルコール度数の低い薄くて水っぽいワインしか作れなかったという。しかし、同社では、世界中の知見を応用して様々な試行錯誤を重ね、最終的にぶどうの枝を垂直に伸ばす「垣根栽培」と土盛りをする「高畝栽培」を採用することで水分を減らし、糖度が20%以上になる栽培方法を確立したという。なお、同社では、ぶどうの品質を高めるだけではなく、収穫したぶどうを搾る際に、ドライアイスや窒素ガスを使用して酸化を防ぐなど、加工面でも工夫をして、高品質のワインを生産しているという。
同社のワインは、数々の世界的な賞を受賞するなど国内外で高く評価されており、イギリス、スウェーデン、ベルギー、香港などに高価格帯のワインを輸出している。しかし、同社の現在の生産規模では、増大している需要を満たすことができないため、12haの同農場を拡大していきたいとのことである。なお、ワインの産地としての地位を確立するためには、最低でも200~300ha以上の面積が必要であるため、実現は難しいかもしれないが、広大な県有林の一部をぶどう畑に転用することも考えられるのではないかとのことである。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「ぶどうの収穫は地域の人が総出で行うのか」との質問に対し、「15年以上前からぶどう作りの講習会を行っていたが、その参加者たちにより、ボランティア組織が作られた。年間5,000円の会費を自己負担する必要があるが、東京都や地元を中心に200人以上が所属しており、毎回50人以上が収穫などの作業を手伝ってくれる」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、今後の本県における農産加工品の研究開発を推進する上で、大変参考となるものであった。


中央葡萄酒㈱明野・ミサワワイナリーにて

(2)国立大学法人山梨大学 燃料電池ナノ材料研究センター

(燃料電池技術の研究開発について)

【調査目的】

国立大学法人山梨大学燃料電池ナノ材料研究センターは、燃料電池の本格普及に資することを目的として、山梨県及び関係省庁の支援により、平成20年4月に設立された世界トップレベルの先端設備を備えた研究施設である。経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が委託するプロジェクト「劣化機構とナノテクノロジーを融合した高性能セルのための基礎的材料研究」(略称HiPer-FCプロジェクト)に採択され、高性能・高信頼性・低コストを同時に実現可能な基礎技術を確立してきた。現在、燃料電池の本格・大規模普及に向けて、高耐久・高性能・低コストの電極触媒、電解質材料の機能を極限まで発揮させるための研究開発を進めている。
同センターの取組を視察することで、本県のエネルギー分野における施策の参考とする。

【調査内容】

国立大学法人山梨大学は、昭和53年(1978年)に工学部の附属機関として燃料電池実験施設、平成13年にクリーンエネルギー研究センターを設置し、燃料電池の研究で多大な業績を上げてきた。同大学は平成20年4月に山梨県、NEDOと共に、国立大学法人山梨大学燃料電池ナノ材料研究センターを設立した。同センターの主な施設としては、平成21年8月にしゅん工した特殊実験棟(約3,000㎡)があり、世界最先端、最高性能の実験装置が設置されている。同センターは、クリーンエネルギー研究センターの燃料電池部門(約2,300㎡)と連携しており、両センターを合わせて、教員29名、学生45名(うち大学院生37名)、研究員10名の人員を擁する世界最大レベルの燃料電池研究拠点であるという。
燃料電池の原理は、水の電気分解の逆で、水素と酸素を化学的に反応させると、電気と水が発生するというものである。燃料電池は「燃料極」と「空気極」という2つの電極とその間にある「高分子膜(電解質)」から成り立っており、同センターの課題は、電極の触媒や電解質の材料の研究開発を行うことである。なお、燃料電池は、内部に反応物質を保持している乾電池や充電式電池とは異なり、水素と酸素を供給して電気化学反応で電気を得る発電機である。
燃料電池の利点としては、省エネルギー、環境負荷の低減が挙げられる。火力発電が、燃料を燃やして水蒸気を作り、蒸気タービンを回して発電機を回す、という多段階の工程があり、二酸化炭素や大気汚染物質を排出するのに対し、燃料電池は水素と酸素の化学反応だけで電気を取り出せるため効率が良く、有害物質を排出しない。家庭用燃料電池を1台導入すると、年間の一次エネルギー削減率は26%(18リットルの灯油缶18.7缶分)、CO2削減率は41%(2,301㎡の森林が吸収する量に相当)に上るとのことである。また、水素は未利用資源や再生可能エネルギーを含む多様な一次エネルギー源から製造でき、地政学的リスクの低い地域等から安価に調達できる可能性があることから、燃料電池の普及が進むことにより、エネルギーの安定供給につながるという。
国では水素社会の実現を目指しており、その一環として、同センターでは、昨年5月から、他大学や電機メーカー、触媒メーカーなどと共にNEDOの「SPer-FCプロジェクト」を推進している。同プロジェクトの目標は、自動車用燃料電池の高出力・高耐久・低コスト化のための材料コンセプト創出であり、耐久性を高めつつ、吹き付け方を工夫することなどにより、触媒として使用する貴金属の量を現在の10分の1以下に減らしたいと考えているとのことである。この目標の達成により、燃料電池自動車の本格・大量普及や商用車など高耐久性が必要な適用先の開拓が期待できるという。
また、同大学では昨年6月、県、県出資法人のやまなし産業支援機構とともに、「やまなし水素・燃料電池ネットワーク協議会」を設立した。同協議会では三者で連携し、同大学の世界レベルの研究成果を活用し、同県を燃料電池関連産業の集積地・情報発信地「燃料電池バレー」とすることを目指しており、大学シーズと県内企業とのマッチング、実用化支援、技術課題の把握、人材養成などの活動を推進しているという。
概要説明の後、委員からは活発な質疑が行われた。「これだけの先進的な研究をするために、年間どのくらいの費用がかかっているのか」との質問に対し、「プロジェクトからは、本大学を中心に約5億円のお金を頂いている」との回答があった。
今回視察先を調査できたことは、今後の本県におけるエネルギー分野の施策を推進する上で、大変参考となるものであった。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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