環境農林委員会視察報告
調査日
令和7年11月18日(火曜日)~19日(水曜日)
調査先
(1)株式会社山翠舎(長野市)
(2)富士見町役場(長野県富士見町)
調査の概要
(1)株式会社山翠舎
(サーキュラーエコノミーの実現について)
【調査目的】
■本県の課題
- 循環型社会実現のため、「作る、使う、捨てる」というリニアエコノミーから脱却し、廃棄物を出さないことを前提に製品などを設計し、利用や再利用を繰り返すとともに、リサイクルなどで資源を循環させて最大限活用するサーキュラーエコノミーへの転換が必要である。
■視察先の概要と特色
- 同社は、古民家が取り壊され、廃棄される現状を「もったいない、活用したい」という思いから、古民家から得られる上質で入手ルーツが明確な古い木材を「古木」と名付けて商標を取得し、古民家解体から商業施設内装の設計、施工まで手掛けている。
- 「モノ」「コト」「トキ」の三つを循環させ、付加価値を高めることで、循環型経済で最も重要な「利益」を生み出す仕組みを作っている。これにより、古民家の所有者よし、利用者よし、事業者よし、社会よしの「全方よし」のシステムで環境への負荷も軽減させ、自然の循環による持続可能性も見出している。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 古民家の解体が進んでしまうのは、古民家の所有者が自ら投資、運営することが大変なためである。同社が古民家を借り、投資家と事業者をマッチングさせるプラットフォームとなることで、うまく古民家そのものを活用させている。
- 今後の展開として、首都圏などで活用されていない施設の活用や建物を新築をする際の素材の一部に、古木を活用する古築という取組を進めており、CO2削減効果もあるため有効と考えている。
- 時間を価値に変える考え方から、背景にあるストーリーが明確な古木は、価値がこれからどんどん高まっていくと感じている。そのような古木を活用することは、スクラップアンドビルドで、壊してまた新しいものを作るよりも地球にやさしく、経済を回していけると考えられる。
■質疑応答
Q:事業に対し、いろいろと柔軟に取り組んでいると感じたが、立ち位置はどうなっていると考えているか。
A:今までの事例では、古民家等の所有者から依頼を受けて施工することが多かった。一方で、事業をドライブさせていくためには、主体的に取り組むことが必要と考えており、山翠舎が投資家や事業をする人を結び付けることで、結果的に工事を当社で受注するようなビジネスモデルを考えている。
Q:古民家を活用する際に、相続の問題で活用が進まないようなことはあるのか。ある場合、そういう部分には踏み込むのか。
A:実際にトラブルになっていた事案もあったが、そこを解決しないと次のステージに進めない、逃げていては空き家のままになってしまうと考えている。そこで、適切な士業の方に相談するなどアレンジしながら解決を図るようにしている。
(2)富士見町役場
(企業と連携したほ場整備について)
【調査目的】
■本県の課題
- 農地の細分化や都市化、担い手不足などから農地面積が減少を続ける中、農地の有効利用や生産性の向上を図るため、意欲ある担い手への農地の集積・集約化やほ場整備などの生産基盤の整備が必要である。
■視察先の概要と特色
- 同町では、地域の高齢化が進み、荒廃農地が増加していた。そこで、農地を集積・集約化するため、狭小だった水田の区画を拡大するとともに、汎用化に向けた暗きょ排水の整備に合わせて用排水路及び農道を整備し、生産コストの低減、高収益作物の導入を可能とした。
- 基盤整備後、周年型の大型ハウスを設置することで、年間約600トンのトマトの生産が可能となった。また、地区内の農地の7割を新たな農業生産法人に集積することで、高収益作物の栽培面積は整備前の約2倍に増大し、農業生産額が増加した。
- 町内に工場があるカゴメ株式会社と連携し、農業・工業・観光が一体となった体験型「野菜のテーマパーク」構想を実現した。
【調査内容】
■聞き取り事項
- 基盤整備は地元の集落に大きな負担を与えることになるため、様々な調整を町主
- 土地改良事業では、地元集落に負担金が生じることになるが、事業着手時にちょうど農地中間管理機構を通じて、担い手への農地集積が始まる時期でもあった。そこで、同機構からの集積協力金及び国の農業経営高度化促進事業の補助金を充当する形で、地元負担金をゼロとした。
- 事業を実施した効果として、カゴメ野菜生活ファームと、八ヶ岳みらい菜園で多くの雇用が創出されている。また、町の主要な観光施設として、カゴメ野菜生活ファーム等に多くの観光客が訪れることで、町の活性化に大きく貢献している。そのほか、農業体験のイベントやワークショップの実施による食育推進や、荒廃農地がなくなることによる農村景観の保全にもつながっている。
■質疑応答
Q:カゴメ野菜生活ファーム構想では、カゴメ株式会社から遊休農地の有効活用の相談があったとのことだが、当初の富士見町と同社のつながりはどうだったのか。
A:工場ができた当時から、周囲の耕作放棄地が増えている状況で、工場長がどうにかしたいという話を町にしたところからスタートしている。そこから同社の本社が動き、地域貢献が主体というような形で構想が進んでいった。
Q:農業者の高齢化が進む中で、このような取組を始めてから新規の若い農業者が富士見町に来るなど効果はあったのか。
A:町では新規就農ということで、県内外の就農相談への参加や法人の誘致等を進めている。町の大きな農業法人から独立するような新規就農者も出てきている。

富士見町カゴメ野菜生活ファームにて