ページ番号:275140

掲載日:2025年11月21日

ここから本文です。

環境農林委員会視察報告

調査日

令和7年8月18日(月曜日)

調査先

(1)埼玉工業大学クリーンエネルギー技術開発センター(深谷市)

(2)株式会社はせがわ農園(行田市)

調査の概要

(1)埼玉工業大学クリーンエネルギー技術開発センター

(脱炭素社会モデル構築の研究推進について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 太陽光やバイオマス、地中熱など多様な再生可能エネルギーの地域の実情に応じた普及拡大、県民のライフスタイルの転換や低炭素住宅の普及促進は重要である。

■視察先の概要と特色

  • 同大学では、「工業大学ならではの先端的な技術革新による地域振興の実現」という目標を掲げて、社会ニーズにマッチした様々な研究開発を推進している。
  • 同センターは、学長直轄の新たな研究部門として、バイオマス部門、脱炭素技術開発部門、電池技術開発部門の3部門に、学内の環境・エネルギー関連を専門とする8名の研究者が所属・連携して研究を推進している。
  • 地球温暖化の進行による気候変動の深刻化に加え、資源とエネルギーの価格が高騰し、安定的な供給が懸念される中、クリーンエネルギー技術の開発に向けて、知的資源を地域の特色と融合させて新たな価値とブランドの創成を図っている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 地域と連携するメリットは、地域の問題を解決することを目標にすると、身近で目に見えたことを解決することになり、高い目的意識を持って研究ができ、社会実装に向けての取組が加速できることである。また、学生の意欲向上や地域住民の人材育成にもつながると考えられる。
  • 研究は8名の研究者のほか、プロジェクトによっては、関係するほかの研究者も参加するため、いろいろな知見を取り入れることができる。
  • 深谷市では畜産業が営まれているが、どうしても悪臭が起きる。その原因はアンモニアが空中に漂うことであった。アンモニアは水に溶けて畑に入ると肥料として使えるため、畑に作物残さ等を混ぜて臭いを閉じ込め、雨によって水と混ざることで肥料とする研究を進めている。これは地域の課題を、バイオマスを用いることで解決し、基幹産業である農業に還元している事例である。

■質疑応答

Q:破棄されるネギの葉から生成したバイオプラスチックを使い、深谷ネギをモチーフにして作成した箸置きについて、とてもすばらしい取組だと思った。事の発端は農家のかたからなのか、それとも詳しい人が活用について教えてくれたのか。

A:最初は農機具メーカーのかたに教えてもらった。もともと、ネギの葉が畑の片隅に山積みにされ、腐って悪臭がひどいという相談を農機具メーカーが農家から受けており、燻製するためのスモークチップに用いるなど試行錯誤されていたがうまくいかず、本学に相談があった。

Q:峠の釜めしの釜からタイルを製造する際のコストは、どれくらいかかっているのか。

A:タイル製造については、現在、実験室規模の少量の作成という段階であり、まだ大量生産の技術ができていないため、見積りがまだできていない。価格面については、材料として釜と一部化学薬品を用いているのみとなっているため、大量生産の技術が確立できれば、ある程度抑えられるのではないかと考えている。

(2)株式会社はせがわ農園

(農業経営の多角化について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 消費者ニーズを的確に把握して農産物の生産拡大を図るとともに、県産農産物などの高付加価値化やブランド化、地産地消の推進による需要拡大や農業の収益力を高めることは重要である。

■視察先の概要と特色

  • 同社は、業務用主食用米、米粉用米、有機米、二条大麦、もち性二条大麦、なしなど、様々な農産物を組み合わせ、安定した農業経営に取り組んでいる。
  • もち性二条大麦キラリモチについては、国や県と連携した品種特性の把握、産地品種銘柄への登録、県学校給食会と連携した需要の創出などを進め、地域での作付面積拡大に大きく貢献している。
  • なしは、全個体に糖度測定を行い、基準以下のものは販売しないという徹底した商品管理により、顧客満足度を高めている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 農業の多角化は、規模が大きくなってくると、何をメインにして何をサブにするかというような見極めや、異常気象のように今後起こり得るような事象にも対応できるような方向性を考えていくことが難しいと感じている。
  • 県の支援を受けながらスマート農業にも取り組んでいる。例えば、非破壊糖度計は、1秒くらいでなしの糖度を測定できるため作業効率が上がる。
  • RTK基地局を仲間たちと行田市内に2基設置し、自動操舵のトラクターを運用している。農業には同じような内容を繰り返す作業もあり、人が行うとだんだん作業効率が落ちてくる作業を、自動操舵の機械が補ってくれることで作業効率が上がることが実感できる。

■質疑応答

Q:果樹や水田など幅広く取り組まれているが、県などに対して、こうしてもらいたいというような要望はあるか。

A:普及指導員が指導する際は、良いことだけではなく、悪いことについても本音で指導してほしい。また、農業収入保険について、なかなか加入しない人もいる中で、品目別に加入できるような制度があっても良いと思う。

Q:現在、農業者の状況を見ると、後継者がいなくなってきており、土地を預かることがどんどん増えているのではないかと思うが、現状はいかがか。

A:周辺でリタイアする農家が増えてきているので、土地が集まってきている。農地をどうやって維持していくかというのは、一番の課題である。一度農地を預けてしまった農家は自分の農地に対して、余り関心がなくなってしまう現状がある。自分の経営状況を鑑みると、これ以上農地を預かることは厳しく、頼まれたからといって簡単に受け入れられるものではない。地域に残ったメンバーで、どのように補っていくのかが大きな課題だと考えている。

株式会社はせがわ農園にて集合写真

株式会社はせがわ農園にて

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?