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掲載日:2025年9月17日

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環境農林委員会視察報告

調査日

令和7年5月28日(水曜日)~29日(木曜日)

調査先

(1)株式会社エクシィズ(岐阜県多治見市)

(2)愛知県農業総合試験場(愛知県長久手市)

調査の概要

(1)株式会社エクシィズ

(循環型社会形成への取組について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 「大量生産・大量消費・大量廃棄」型の経済社会から脱却し、生産から流通、消費、廃棄まで、資源の効率的利用やリサイクルへの取組が必要となり、実効性のある持続可能な生産消費形態を確立する取組を推進することが求められている。

■視察先の概要と特色

  • リサイクル技術を生かしたタイル製造を通じて、地球環境に優しい社会モデル「循環型社会」の実現を目指し、リサイクルタイルのプロジェクト「ecorevo(エコレボ)」を立ち上げ、自治体や企業とタッグを組み、リサイクルタイルの研究・開発を推し進めている。
  • 長年の研究で培われた技術を生かし、家庭や工場から排出されたゴミを高温で溶かす溶融炉によって、減容化、無害化されたリサイクル原料「溶融スラグ」をはじめ、廃ガラスやセラミック廃材、バイオマス発電所から排出されるばいじんなどを基にリサイクルタイルを製作し、リサイクル率95%を実現している。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 都市から出てきたゴミを溶融し、リサイクルタイルにして、道路や建物に使用してもらう。これをぐるぐる回すことで循環型社会の構築ができる。そして、溶融するメリットとして一番大きいことは、ゴミの減容につながることである。
  • 行政との連携として、豊田市の溶融炉から出る溶融スラグや鉱山から廃棄される粘土を使うなど、豊田市から出てきた廃棄物を100%原料にした、100%リサイクルタイルを作成している。
  • 今後も、昔から積み上げてきた実証実験を続けながら、リサイクルタイル事業を展開することで、ゴミをうまく活用すれば、新しい価値を生み出すことができることを知ってもらいたいと考えている。

■質疑応答

Q:焼却と溶融は別のプロセスなのか。

A:溶融は、1,300℃の高温で一気に廃棄物を溶かしている。自治体は焼却炉か溶融炉のどちらかを所有しているが、ほとんどが焼却炉であると思われる。焼却では、廃棄物が製品の原料になり得ないが、溶融から出てくる溶融スラグは製品の原料になる。

Q:コスト面について、鉱山から採れた粘土で作るタイルと溶融スラグを原料にしたタイルだとどちらが高いか。

A:現状は、溶融スラグを原料にした方が高い。一般的に大量生産をすることによってコストダウンを図るが、現在は小ロット対応で原料を作り、タイルを生産しているため、コストアップになっているが、粘土で作るタイルと同じ価格で販売している。それは市場を作ることが目的であり、主原料として使用される日が来たらコストダウンにつながると考える。

(2)愛知県農業総合試験場

(スタートアップ等と連携した農業技術研究について)

【調査目的】

■本県の課題

  • 競争力と適応力を持つ品種・系統の育成、環境変化対応技術や持続的生産技術、省力・低コスト・高品質生産技術の開発等の試験研究を行う必要がある。

■視察先の概要と特色

  • 同県では農業従事者の減少や高齢化に加え、気候変動やカーボンニュートラルへの対応、コロナ禍で浮き彫りになった新たなサプライチェーンの構築など、刻々と変化する情勢に柔軟に対応し、持続可能な食料生産の実現が課題となっている。
  • 課題に迅速に対応するため、同試験場と専門的な知見を有する大学の技術、フィールド、ノウハウと、スタートアップの新しいアイデアや技術を活用した共同研究体制の強化を図り、新しい農業イノベーション創出を目指す「あいち農業イノベーションプロジェクト」を実施している。
  • スタートアップなど様々なプレーヤーと革新的な技術や品種を共創する農業イノベーションの拠点としての役割を果たしている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 同試験場では、生産安定技術として、ドローンで空撮した光のデータを利用して、小麦の生育状況を省力的に把握し、生育状況に応じたマップを作り、そのマップに合わせて追肥量を自動で調整する技術を開発した。この技術により、余分な肥料を削減した上で、生育むらがなく、品質・収量ともに向上させることができた。
  • あいち農業イノベーションプロジェクトでは、六つのテーマのうち「テクノロジーで魅せる愛知ブランドの実現」という課題に対して、2社の民間企業と共同研究を行っている。一つが遺伝子解析を使ってDNAマーカーを開発していくもの、もう一つがゲノム編集を利用した新しい品種の育成であり、期待される成果に向けてそれぞれ研究が進んでいる。
  • 令和7年度は、現プロジェクトの成果を整理し、現場の課題解決につながるシーズ研究を開始するとともに、新たな技術提案を企業等から募集し、更なるイノベーション創出につなげていく。

■質疑応答

Q:プロジェクトの共同研究において、研究の相手を募集した際、同じ課題への企業の競合や、本当は株式会社が良かったなど、想定外のことはあったのか。

A:競合はほぼなく、企業からのいろいろな提案の中から、今、試験場として行っていくのはどれかということを研究側の重要度も合わせて決めている。対象は、大企業、スタートアップ及び大学といった観点では絞っていない。

Q:IoT関連で、モニタリングデータ収集の電波は何を使っているのか。

A:通信するデータ量自体はそこまで重たくないため、軽いものを想定しているが、なるべくコストをかけない通信方法を考えたときに、プライベートLoRaであれば、通信コストはほぼかからず、遮蔽物がなければ3、4kmは届く通信であり、現在実用化を見極めるために運用している。

愛知県農業総合試験場にて議員とスタッフの集合写真

愛知県農業総合試験場にて

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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