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掲載日:2025年6月20日

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環境農林委員会視察報告

調査日

令和7年1月22日(水曜日)~23日(木曜日)

調査先

(1)株式会社堂島取引所(大阪府大阪市)

(2)コスモ石油株式会社堺製油所(大阪府堺市)

調査の概要

(1)株式会社堂島取引所

(米の価格形成について

【調査目的】

■本県の課題

  • 食生活の変化や人口減少による消費量の減少、異常気象の頻発などにより、今後の米価の動向が不透明な状況の中、米生産者の経営安定のためには、実需者ニーズを的確に把握した生産を推進し、米価の安定を図ることが重要である。

■視察先の概要と特色

  • 江戸時代の大坂堂島にあった、先物取引発祥の地「堂島米会所」の流れを汲む商品先物の取引所である。米穀指数の本上場について国の認可を受け、2024年8月から将来の米価を予測して取引を行う指数先物「堂島コメ平均」の取引を開始した。
  • 主食用米の価格は、集荷業者と卸売業者の相対で決まるのが主流となっているが、先物取引はオープンな場で価格が決まるため、透明性の高い将来価格の指標として利活用されることが期待されている。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • 日本において、オフィシャルデータとなる米の価格は、農林水産省が公表している「相対取引価格」のみであるが、これは前月のデータであり、よりタイムリーな価格指標として取引の際に利活用できるよう、同社はこの価格をベースとして当月価格を予測し、「現物コメ指数」として発表している。
  • 従来のコメ先物は、新潟コシヒカリ等、特定の産地品種銘柄を取引対象としており、現物を受渡しする決済が可能であったが、「堂島コメ平均」は、日本全国の主食用米の平均価格を取引対象としており、現物受渡しのない現金決済取引であることから、従来に比べ、どの地域の生産者等でも参加しやすい設計となっている。
  • コメ指数先物は、日々の生活の中で参照できるものであり、米の将来価格の動向を把握するツールとして、計画的な生産により生産者の経営安定・拡大につなげてもらう、生産者・消費者双方にとって、将来の価格変動リスクを軽減する手段として活用してもらうなどの利用方法がある。

■質疑応答

Q:取引量は客観的に見て低調なのか、想定どおりなのか。

A:開始当初は、価格を探るような状況が続いて価格が乱高下し、市場に参入しにくい状況だったため、想定より低調な取引だった。現在は、流動性供給を目的とする専門学者を採用し、取引を活発化する手立てをしている。売買したいタイミングでそれができる、また、世の中のトレンドをフォローできていたと感じてもらえれば、今後、取引量は少しずつ増えていくと想定している。

Q:先物市場は投機による価格の不安定化が危惧されるが、市場の流動性を高めるための対策など、どう考えているか。

A:生産者、卸売、小売、個人の投資家など、種類の異なる方々が参加することで流動性は高まる。また、「相対取引価格」という公正な価格をベースにした指数先物であるため、現物価格と乖離して価格形成されることがない設計となっている。

                                                                                        株式会社堂島取引所にて議員とスタッフの集合写真

                                                                                                                    株式会社堂島取引所にて

 

(2)コスモ石油株式会社堺製油所

(カーボンニュートラルの推進について

【調査目的】

■本県の課題

  • 温室効果ガスの排出と吸収の均衡を実現するためには、県民や事業者、自治体などが一体となって、バイオマスなど多様な再生可能エネルギーの普及拡大に取り組むことが重要である。

■視察先の概要と特色

  • 同社が所属するコスモエネルギーグループは、日々の生活に欠かせないエネルギーを安全・安定的に供給し続ける公共的な使命を担う企業として、石油開発事業、石油事業、石油化学事業、再生可能エネルギー事業などを展開しており、「地球と人間と社会の調和と共生」を理念に掲げ、カーボンニュートラル実現を目指している。
  • 航空セクターの脱炭素において、SAF(持続可能な航空燃料)の需要が高まっており、日本国内において大規模でのSAFの生産・供給が実現していない中、同社は廃食用油を原料としたバイオジェット燃料製造サプライチェーンモデルの実証・構築を目指している。

【調査内容】

■聞き取り事項

  • SAFは従来の航空燃料と比べて大幅にCO2排出量を削減でき、エンジン、貯蔵、給油設備といった既存のインフラが使える点で有効である。
  • 国内で発生する廃食用油のみを原料とした年間約3万キロリットルのSAFの供給を目指しており、同社堺製油所内においてSAF製造装置の建設を進め、2024年に完工、2025年度に供給開始を見込んでいる。
  • 国内廃食用油の発生量は年間50万トンと言われ、家庭系廃食用油10万トンの大部分が廃棄されている。また、事業系廃食用油40万トンのうち、20万トンが飼料原料に、12万トンが海外に輸出されており、家庭系廃食用油の資源化と事業系廃食用油の国内資源循環が課題となっている。
  • 外食関連企業と連携して事業系廃食用油の回収を進めるとともに、自治体とも連携して、ガソリンスタンドやショッピングモールに家庭系廃食用油回収ボックスを設置し、廃食用油の回収を進めている。

■質疑応答

Q:ガソリンスタンドでの廃食用油の回収は、埼玉県でも行っているのか。

A:東京都の3か所のみで実証的に行っており、今後は大阪府堺市下でのガソリンスタンドへの展開も計画している。廃棄物の処理及び清掃に関する法律の関係上、通常は廃棄物としての取扱いとなるが、東京都や堺市とは連携協定を結ぶことで資源であるという実態を認めてもらったため、有価物としての引取りが可能となっている。他自治体とも話を進めているところである。

Q:自治体と連携することでどういったことがスムーズに進むのか。

A:回収拠点までの距離が課題となっている。拠点まで距離があり、住民が手間と感じてしまうと持って来てくれない。自治体との連携により、家庭ごみの収集箇所で回収するなど、回収拠点までの距離を何とか縮められないか、検討しているところである。

お問い合わせ

議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

ファックス:048-830-4922

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