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掲載日:2023年1月18日

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企画財政委員会視察報告

期日

令和4年11月8日(火曜日)~9日(水曜日)

調査先

(1) 株式会社東急コミュニティー大阪府営住宅千里管理センター(豊中市)
(2) 公益財団法人大阪観光局(大阪市)

調査の概要

(1)株式会社東急コミュニティー大阪府営住宅千里管理センター

(指定管理者の取組について)

【調査目的】

 公営住宅の管理については、住民サービス及び費用対効果の向上が求められている。大阪府では、府営住宅の管理について民間の能力を活用し、入居者のサービス向上を図るとともに経費の削減を目的として、公募により指定管理者を選定している。同社は指定管理者として全国の公営住宅を管理するなど公営住宅の管理運営を積極的に行い、豊富な実績と卓越した管理ノウハウにより、安定的かつ継続的なサービスの提供を行っている。
 当該取組を調査することにより、本県における指定管理者による取組の参考とする。

【調査内容】

 株式会社東急コミュニティーは、平成18年から公営住宅の管理を開始し、現在、全国で約25万戸の公営住宅を管理している。その中でも最大戸数である大阪府営住宅の管理センターの一つ、千里管理センターでは、統括責任者である所長の下、45名の専任職員が配置されている。「募集・駐車場チーム」、「施設チーム」、「収納・巡回チーム」のチーム制を設け、様々な事項について組織的に対応している。また、同センターの営業時間外も「時間外緊急連絡センター」にて、入居者からの緊急の修繕依頼に24時間365日対応し、入居者の安心安全な住生活をサポートしている。
 民間事業者が公営住宅を管理するメリットについては、業務効率化等による管理費用の縮減のため、公営住宅管理専門部署を組織し業務監査等を効率的に実施している。例えば、再委託事業者との発注契約業務や技術者が必要となる業務を組織的に集約して実施すること、専門事業者へ委託する維持管理業務の仕様再検討及びメーカーなどへの複数業務発注によりスケールメリットを発揮することで委託費を縮減しているとのことであった。また、入居者等へのサービス向上については、単身高齢者を対象とした職員による見守りを実施し、他者とふれあう機会の創出や孤独死の防止、また、全入居者を対象とした24時間365日、看護師等が相談対応するフリーダイヤルを開設し、健康等の不安や疑問解消、ストレス緩和などにつなげているなど、定められた管理費用内で付加サービスを行っている。あわせて、同府営住宅以外の事例として、家賃等の収納率の目標にインセンティブ・ペナルティ等を設定することにより、家賃等の自治体収入増加につなげていたり、駐車場に利用料金制度を導入し空き区画の稼働率を向上させ、収入の安定化を図っていたりしている。
 概要説明後、委員からは活発な質疑が行われた。その中で、「住宅の管理経費について指定管理者制度導入前と比較すると12年間の累計で136億円の経費縮減とのことだが、縮減された理由は何か」との質問に対し、「同府営住宅の管理は地区ごとに公募が行われるが、どの地区でも複数者が申請する。そこで、民間企業同士が縮減を目指すことにより、競争が働いたことが大きいと考えている」との回答があった。
 質疑後、同市内の豊中新千里北住宅を視察した。当該住宅には専用の巡回管理事務室が設置され、入居者は敷地内での一部の事務手続が可能となっており、本県の公営住宅では取り入れられていない取組であった。
 今回視察先を調査できたことは、本県の公営住宅における住民サービス及び費用対効果の向上に大変参考となるものであった。

視察の画像

株式会社東急コミュニティー
大阪府営住宅千里管理センターにて

(2)公益財団法人大阪観光局

(地域の魅力創造発信について)

【調査目的】

 地域活性化のためには、多様な主体との連携・協働による魅力の創造・発信と観光客の誘致・回遊の促進が課題となっている。公益財団法人大阪観光局はオール大阪体制で観光集客に取り組むため、観光戦略策定、戦略的マーケティングなどを行っている。また、府域内・広域連携として、来阪観光客に、市内中心部はもとより府内各地域への回遊促進、消費増を図るため府内自治体等と連携を図っている。同局の取組を調査することにより、本県の地域の魅力創造発信と観光振興の取組を進める上での参考とする。

【調査内容】

 公益財団法人大阪観光局は、大阪府と大阪市の観光を一本化し、観光による地域経済の活性化、交流促進による府民生活の向上を図るためのプラットフォームとして、平成27年に設立された。職員56名で組織されており企業や府下自治体からの出向者も含まれている。事業費は大阪府、大阪市及び堺市からの分担金、府内市町村や観光事業者などからの賛助会費及びスポンサー企業からの協賛金で賄われている。
 従来の観光行政は、各自治体及び当該自治体の観光協会等がそれぞれに取組を実施しており、府域内や広域連携にはつながっていない。また、数年ごとに人事異動があるため、観光を専門とする人材育成がされず、さらに、予算も単年度であることから、事業の継続性が担保されていない。これらの課題を解決するためには、司令塔となる組織体制が必要であり、同局がその役割を担っている。同局に独立性と実効性を持たせることで、観光戦略のノウハウやネットワークが蓄積され事業の継続性が図られている。
 同局では、目指す都市像を「世界が憧れる『住んで良し』『働いて良し』『学んで良し』『訪れて良し』の世界最高水準、アジアNo.1の国際観光文化都市」としている。このような都市像を基に各事業を展開することが重要であるとのことである。
 主な事業としては、まず、観光DXを推進している。観光全体のストレスフリーを目指し、観光施設や飲食・宿泊事業者等と「大阪観光アプリ」を開発している。次に、留学生の支援である。留学生は長期的に滞在するため、インバウンドよりも地域に根差した安定的・長期的な経済効果をもたらす。そのため、海外では観光局が留学生支援事業を積極的に推進している国もある。留学生が発信する情報は将来のインバウンド増加に大きく貢献する。同局では、産官学民の連携組織「留学生支援コンソーシアム大阪」を設立し留学生を支援している。さらに、データに基づく観光戦略の強化を図っている。従来の観光戦略では、各地域の特性や観光客のニーズ等のデータ分析をしないまま議論をしていた。そこで、同局では、シンクタンク等のデータに基づき、各地域の強みや改善すべき点の特定、現在の立ち位置を理解した上で、各市町村にコンサルティングなどを実施して市町村単位の観光戦略を立てようとしている。
 概要説明の後、活発な意見交換を行い、その際、本県は、充実した交通網、都市部や自然豊かな地域など多様な地域性、人気スポーツチームや大人数を集客できるイベント施設など観光資源が豊富である。それらを生かし本県を観光の目的地とするためには、本県を中心とした周辺自治体との連携や県内各地域の特徴を捉えてゾーニングし、エリアブランディングを確立させ、一定時間周遊滞在が可能な観光戦略を立てることが重要であるとの提案を受けた。
 今回、同局を調査できたことは、本県における地域の魅力創造発信と観光振興の取組を進める上で大変参考となるものであった。

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議会事務局 議事課 委員会担当

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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