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掲載日:2023年2月1日
環境科学国際センター研究課題(水環境担当/H29~R1)
埼玉県内の親水空間における大腸菌数の現状把握
(水環境担当:渡邊、池田、見島、木持、田中;土壌・地下水・地盤担当:柿本/H29~R1)
環境水中の病原微生物(赤痢菌、疫痢菌やチフス菌など)は、人が水に接することで感染する恐れがあり、そのリスク管理は重要な課題です。水環境におけるそれら病原微生物の主な感染源は人畜の排泄物です。これまで、ふん便汚染の指標として大腸菌群数が用いられてきたが、ふん便汚染に全く関係のない細菌も同時に検出されてしまうという問題点が指摘されています。このような背景から、近々、大腸菌群数からより直接的なふん便汚染の指標である大腸菌数への環境基準の移行が予定されています。本研究では、大腸菌数測定に関する手法についての基礎的検討及び埼玉県内の公共用水域水質測定地点を含む親水空間における大腸菌数の現状把握とその排出源に関する情報を広く集積することを目的としています。
平成29年度第1回研究審査会コメント
研究課題
埼玉県内の親水空間における大腸菌数の現状把握
研究審査会コメント
- 本研究では、環境基準が大腸菌群数から大腸菌数に変更されることに際して、大腸菌数の測定法に伴う特性の把握、遺伝子検出法との比較、県内親水空間の大腸菌数の現状の把握、排出源の把握が目的となっており、いずれも十分な進展がみられることで全く問題はない。大腸菌数といった視点で水質自浄作用は考えられてこなかった中、極めて有用な研究になると考えられる。
- 他の自治体などでは、同じ手法はまだ使われていないと推測されるが、どのような手法が用いられているのかを比較考察していただけると、本課題の独自性・有用性がより明確になると思われる。
- 水環境の新たな指標の導入に対して、方法の検討などに参加し、現場の情報を公定法などにフィードバックすることは重要である。今後、データの取得によりさらに、改良などが必要になると思われるが、先進的に行なった研究が重要になるために、ここでの研究を進めておくことが、より良いモニタリングにつながると思われる。
- 本研究の成果として得られるであろう、試薬・器具など、公定法では規定しにくい項目に由来する検査結果の変動についての情報を積極的に発信し、多くの自治体で情報共有できるよう期待する。