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掲載日:2025年6月5日
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1956年の創業以来約70年、株式会社川口スプリング製作所(http://www.kawaguchi-spring.co.jp/)は、極小から太物までのバネ・スプリング製造と自動塗装機の設計・製造を軸に、塗装治具、特機、プレス加工品まで、多種多様な製品をグローバルに展開しています。タイや中国の工場で生産力を高め、「スプリング」と「塗装機」という異なる事業を同時に行うことで安定した経営を可能にしています。
地域との連携を深めるため、2024年度埼玉県「彩の国工場」の指定を受けました。この他、埼玉県SDGsパートナー、埼玉県多様な働き方実践企業、埼玉県シニア活躍推進宣言プラス企業等の認定を受け、各取組を積極的に行っています。2025年、川口商工会議所の「第4回川口の元気経営大賞」を受賞しました。
今回は、2025年1月27日に本社・工場を訪問し、お話を伺いました。
株式会社川口スプリング製作所本社・工場
■事業について
川口スプリング製作所は、お客様ごとに異なる要望の一つひとつに応えるオーダーメイドを強みとしており、高品質なスプリングや最先端の自動塗装機を日本はもとより世界の国々へ届けています。スプリング製作で創業した同社ですが、当時は周辺に多くのおもちゃの製造工場があり、頼まれてプラモデルにメッキを施す治具等を作っていたところ、さらに塗装機の要望があり、チャレンジ精神旺盛な初代社長が開発して、1975年から自動塗装機の本格的な製造が始まりました。
■スプリング事業
スプリングは、あらゆる機械製品の重要な機能を担う部品であり、それだけに技術力・精度・品質が厳しく求められます。川口スプリング製作所では、極小精密バネから太物コイルバネまで金属バネの全てを網羅し、塗装・プレス一貫生産も対応可能です。
同社のバネは普段気付きにくい場所やものに使われており、例えばシャンプーボトルのノズルポンプ部分のバネがそうです。ボトルをひと押しすれば毎回決まった量が出てきますが、同社が製造した精密なバネのなせる業であり、国内80パーセントのシェアを誇ります。コロナ禍で必需品となった消毒液のボトルのバネも製造しました。
スプリング製造機 スプリングテンパー炉 両側に大小様々なバネの製造機が並んでいる
◆製品例
➀シャンプーボトル用のコイルバネ(線径 0.35~1.6mm、最小線径 0.1mm) ※線径とは、バネの材料の直径のこと
大手日用品メーカーが販売するシャンプーボトル用のコイルバネは非常に小さなバネですが、毎日の使用に支障のない耐久性と精度が求められます。
②機械用途の押しバネ(線径 2~3.5mm)
お客様の仕様により、外径や自由長公差(コイルスプリングの全長の許容差)が決められています。
➀コイルバネ ②押しバネ
➂機械用途のトーションバネ(線径 ~8.0mm)
両端のスプリング線の角度等の精度が求められます。
④パイプ固定用の板バネ(板厚 ~1.5t)
金型を使用しての切断や曲げ加工があります。また、細部のバリ(金属等の加工時に生じる突起物、ギザギザ)を取るためにバレル加工をし、後仕上げにメッキを施しています。
➂トーションバネ ④板バネ
◆太物・大型・特殊スプリング(線経 10.0~20.0mm、最大外径 250mm)
大型車輌や建設機械、工作機械など、耐久性と特殊機能が求められる大型スプリングは、国内外での需要が近年ますます増加しています。大型スプリングの精密加工に特化した最新型コイリングマシン「自動量産機E-6200W」を導入し、成形から塗装まで一貫対応しています。
太物・大型・特殊スプリング
◆海外での取組
タイのスプリング工場では、細線製品をメインに、日本国内と同等品質の製品を、海外ならではのコストで製造しています。また、AEC諸国(東南アジア経済共同体)のほぼ中心に位置している地理的利点を生かし、世界各国へのスムーズな出荷が可能です。
■FA設備製造事業
塗料の種類、乾燥時間、温度、ワークサイズ、生産量、設置スペースなど、お客様の要望に合わせ、塗装設備メーカーのパイオニアとして、オーダーメイドで環境にも配慮した理想的な塗装条件・塗装環境を創造します。家電製品、日用品など精密機器の塗装から自動車関連の大型塗装やデザイン性を追求した漆器類の塗装まで、年々高まる「より精彩に」というニーズに応える自動塗装ラインを設計・提案しています。設計からアフターサービスまでトータルコーディネートしワンチームで対応するため、コスト削減や短納期を実現できます。
社長自ら出向いてお客様の要望を聴き、設計や見積りの概要をまとめるため、月の3分の2は国内外に出張しています。納入した設備が故障すると、お客様の工場のラインが止まってしまうため、海外であっても技術者を派遣して早期解決を図ります。
ロボット自動塗装ライン(スピンドルタイプ)
◆ロボット自動塗装ライン(パレットタイプ)
限られた塗装設備スペースの中で自由に組立設計が可能。塗装時間と搬送時間を分け、乾燥時間も保てることが特徴です。移載・移送の設計自由度の高さから、特に自動車の外装部品・内装部品で高い需要があります。
ロボット自動塗装ライン(パレットタイプ) 自動車関連の大物塗装
ロボット自動塗装ライン(同タイプ)
◆自動小型スピンドル塗装機 SPシリーズ
自動車関係の小型リフレクター、車載ボタン、メーターリングからお椀などの漆器類、携帯電話、カメラ、化粧品容器など、さまざまな分野で精彩かつカラフルな仕上がりを実現し、しかも省スペースで誰でも扱うことができるのが特徴です。
自動小型スピンドル塗装機 SPシリーズ 塗装後の製品
◆コイン塗装設備
独立行政法人造幣局本局(大阪市)に続き、東京工場のさいたま市への移転に伴い、造幣局さいたま支局へ記念コイン防錆塗装設備を納入しました。クリーンルーム内で徹底的なゴミ対策がなされ、温度・湿度もコントロールされています。
防錆塗装設備
◆海外での取組
海外に工場を設置する企業も珍しくない中で、この30年間、「アジア」「アメリカ」「ヨーロッパ」主要大陸において塗装設備を納品しています。いかなる地域でも「スピード」にこだわり、日本企業にしかできない、品質・納期の管理、納品後のアフターサービスに力を入れ取り組んでいます。
【過去30年の海外納品実績】
中国・台湾・韓国・タイ・インドネシア・ベトナム・フィリピン・マレーシア・インド・シンガポール・パキスタン・米国・メキシコ・ブラジル・ハンガリー・フランス・マルタ共和国
◆お客様の課題に応えるための研究開発・展示実演施設「D&Tセンター」
川口スプリングの自動塗装機を実際に見学し、お客様のワークを試験塗装出来る施設です。お客様の要望に応えられるよう研究開発拠点としての活動も行っています。栃木県の関連会社内にあります。
■今後の展望について
◆環境関連事業
これまでスプリングと自動塗装機の2本柱でやってきましたが、今後はそこに環境設備製造を加え、3本柱にしたいと考えています。塗装機は環境負荷の高いものを排出するため、既に環境設備を附帯した塗装機を提供しています。例えば、塗装カスを完全に燃焼し、VOC(揮発性有機化合物)の排出や悪臭の問題を解決する「ジェットスクラバー」や霧化された塗料を大気に逃がさない「ミストキャッチャー」などです。また、橋梁メンテナンスの現場で発生する有害物質を最小化する自動走行塗装ロボットも開発しました。今後は、これまで培ってきた技術に加え、技術承継などで得た技術なども活用しながら、環境に配慮した製品の開発に力を入れていきたいと考えています。
◆100年企業を目指して
今回、現社長である鬼塚博幸氏と息子さんの新二氏お二人からお話を伺うことができました。新二氏から、初代の祖父がバネ・スプリング、二代目の父が塗装事業と続いたので、三代目の自身としては今の事業を大事にしつつ、時代の変化を読み取りながら新たな事業にも挑戦していきたいとのお話がありました。
川口スプリング製作所は、これからも100年続く企業を目指して、さらに邁進していきます。
ご対応いただきました鬼塚博幸代表取締役社長、鬼塚新二取締役、総務部の橋口様、ありがとうございました。
左から鬼塚博幸代表取締役社長、鬼塚新二取締役、総務部の橋口様
株式会社川口スプリング製作所
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