1.概要
「医療費の公費負担」とは、法律等に基づき、医療費の全部または一部を国や地方自治体が「公費」で負担する制度で、医療費助成制度のひとつです。
令和5年5月8日に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されることに伴い、新型コロナウイルス感染症患者等の公費負担についても変更となりました。
令和5年5月7日までの制度については以下のページをご確認ください。
2.公費負担の内容
2-1.公費の種類
令和5年5月8日より、公費の種類は、次の2種類のみとなります。
- 【治療薬公費】新型コロナウイルス感染症治療薬(※)の薬剤費の保険適用後に残る自己負担額の全額または一部を補助する公費
- 【入院公費】新型コロナウイルス感染症に係る入院診療に要した費用(【治療薬公費】に係るものを除く。)の一部を補助する公費
※特定の治療薬のみが対象となります。
- 検査の公費は、令和5年5月7日で終了いたしました。
2-2.【治療薬公費】新型コロナウイルス感染症治療薬の薬剤費の保険適用後に残る自己負担額の全額または一部を補助する公費について
1 対象者
新型コロナウイルス感染症の患者(外来患者及び入院患者)であって、対象となる新型コロナウイルス感染症治療薬の処方を受けた者
2 対象となる医療
次の新型コロナウイルス感染症治療薬の【薬剤費】のみ
- 経口薬「ラゲブリオ」、「パキロビッド」、「ゾコーバ」
- 点滴薬「ベクルリー」
- (中和抗体薬「ゼビュディ」、「ロナプリーブ」、「エバシェルド」)
※新型コロナウイルス感染症のために処方された薬剤であっても、カロナールやフスコデ等は、対象の薬剤ではないため、公費補助対象外です。
また、上記感染症治療薬に関するものであっても、処方箋料、調剤料等は公費対象外です。
※中和抗体薬「ゼビュディ」「ロナプリーブ」「エバシェルド」については、令和5年9月20日現在、一般流通が開始されておらず、国購入品の無償譲渡のみとなっております。国購入品については、医療機関や薬局で薬剤料を診療報酬算定しませんので、この限りではありません。
具体的には、「ゼビュディ」「ロナプリーブ」については、令和5年10月1日以降も、引き続き自己負担を求めないでください。
「エバシェルド」については、令和5年10月1日以降も、投与時自己負担は3100円(税込)以下となります。
※「ラゲブリオ」「パキロビッド」「ゾコーバ」「ベクルリー」について、国購入品の新規譲渡は行っておりませんが、国購入品の在庫があり、処方する場合には、自己負担を求めないでください。
3 公費負担の内容
(1) 令和5年5月8日~令和5年9月30日
上記の新型コロナウイルス感染症治療薬の薬剤費について保険適用後に残る自己負担額の全額を公費負担
(2) 令和5年10月1日~令和6年3月31日
上記の新型コロナウイルス感染症治療薬の薬剤費について保険適用後に残る自己負担額の一部を公費負担
医療機関・薬局の窓口で、医療費の自己負担割合に応じて、患者さんは下記の金額をお支払いいただきます。
- 医療費の自己負担割合が1割の方3000円
- 医療費の自己負担割合が2割の方6000円
- 医療費の自己負担割合が3割の方9000円
〈例〉医療費の自己負担割合が1割の方が、ラゲブリオを5日間40カプセル処方された場合
保険適用後に残る自己負担額:9430円 (94300円の1割)
患者の自己負担額:3000円 (自己負担割合が1割なので3000円)
※治療薬の薬剤料にかかる自己負担額(3000円、6000円、9000円)のほかに、医療機関でかかる診察料や、薬局でかかる調剤料などは、通常どおり自己負担が発生します。
※国が購入し、医療機関へ無償譲渡されていた治療薬については、10月以降も、自己負担を求めないでください。
4 患者個人における手続き等
患者個人から県への申請等はありません。
(医療機関等から審査支払機関を通じたレセプト請求による申請となります。)
2-3.【入院公費】新型コロナウイルス感染症に係る入院診療に要した費用の一部を補助する公費について
1 対象者
新型コロナウイルス感染症の入院患者
※新型コロナウイルス感染症に係る医療費自己負担額が高額になった方が、補助の対象です。対象になるかは、こちらの目安(PDF:100KB)をご参考にしてください。
2 対象となる医療
新型コロナウイルス感染症に係る医療費
(対象外の費用)
- リネン代等の医療保険の対象とならない費用や、高額療養費制度の対象外となる入院に係る食事代(標準負担額)は、公費補助の対象外です。
- 入院時の新型コロナウイルス感染症治療薬の薬剤費は【治療薬公費】の対象となります。
- 新型コロナウイルス感染症以外の疾患の医療費は公費補助の対象外です。
3 公費負担の内容
(1) 令和5年5月8日~令和5年9月30日
医療保険各制度における月間の高額療養費算定基準額(高額療養費制度の自己負担限度額)から、原則2万円を減額した額が自己負担の上限となるよう、一部自己負担額を補助します。
- 具体的な自己負担の上限金額等についてはこちら(PDF:815KB)をご覧ください。
- 新型コロナウイルス感染症に係る月間の高額療養費算定時には、【治療薬公費】対象となる薬剤費は除きます。
- 本補助が月単位で行われることを踏まえ、令和5年5月1日から、公費負担者番号等の取扱いが変わります。また、令和5年5月7日までに新型コロナウイルス感染症により入院し、5月8日以降も新型コロナウイルス感染症患者として入院する場合、経過措置等がございます。詳しくはこちら(PDF:323KB)をご確認ください。
(2) 令和5年10月1日~令和6年3月31日
医療保険各制度における月間の高額療養費算定基準額(高額療養費制度の自己負担限度額)から、原則1万円を減額した額が自己負担の上限となるよう、一部自己負担額を補助します。
- 具体的な自己負担の上限金額等についてはこちら(PDF:116KB)をご覧ください。
- 入院中に治療薬公費の対象となる薬剤を処方する場合
新型コロナウイルス感染症治療薬を含む新型コロナウイルス感染症に係る全ての医療費からみた自己負担割合相当額が、 医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円 を減額した額に達するかどうかを判断することとし、
(1) 達する場合には、新型コロナウイルス感染症に係る患者負担額は、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額を適用する(新型コロナウイルス感染症治療薬の医療費については、新型コロナウイルス感染症に係る入院の医療費に含める)。→入院公費のみ。治療薬公費は適用しない。
(2) 達しない場合には、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額する措置は適用せず、新型コロナウイルス感染症治療薬の患者負担額についてのみ、自己負担上限額を、医療費の自己負担割合が1割の方で 3,000 円、2割の方で 6,000 円、3割の方で 9,000 円とする公費支援を適用する(治療薬を除いた新型コロナウイルス感染症に係る入院医療費は、公費支援を適用せず、医療保険として請求する)。→治療薬公費のみ
4 患者個人における手続き等
患者個人から県への申請等はありません。ただし、入院期間中に医療機関に対して患者さんの所得区分が分かる情報を提供する必要があります。
(医療機関等において、オンライン資格確認等システム又は限度額適用認定証により患者さんの所得区分を確認した後、審査支払機関を通じたレセプト請求による申請となります。)
3. 医療機関における手続き等
3-1.手続き等について
- 上記コロナ公費は、保険医療機関、保険薬局等であれば、請求することができます。保健所や埼玉県等への申請手続きはありません。
- 診療・検査医療機関(外来対応医療機関)でなくても、コロナ公費を請求することができます。
- レセプトを通じて、埼玉県へご請求ください。
- 入院公費については、オンライン資格確認等システム又は限度額適用認定証により、患者さんの所得区分を確認した後、審査支払機関を通じたレセプト請求をお願いします。
オンライン資格確認等システムを導入されている医療機関においては、マイナンバーカードが無くても、健康保険証及び本人の口頭での同意があれば、限度額を確認することができます。
【参考】厚生労働省ホームページ:オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)
3-2.公費番号について
所在地が埼玉県の保険医療機関、保険薬局は、以下の公費番号でご請求ください。(さいたま市、川越市、越谷市、川口市も共通の番号です。)
10月1日以降も番号に変更はありません。
保険医療機関、保険薬局の所在地に対応する公費負担者番号をご記載ください。
【入院公費】
- 公費負担者番号28110708
- 公費受給者番号9999996
【治療薬公費】
- 公費負担者番号28110807
- 公費受給者番号9999996
※ 例えば、処方箋を交付した保険医療機関が東京都内にあり、埼玉県内の保険薬局が応需し、調剤した場合は、保険薬局の所在地の公費負担者番号をご記載ください。
関連通知等
4. よくある質問
Q1 保険医療機関が治療薬公費対象薬剤を院外処方する際に、保険医療機関は処方箋に、公費負担者番号及び公費受給者番号を記載しなければならないか。また、保険薬局において、公費負担者番号及び公費受給者番号が記載されていない処方箋を受け取った場合に、治療薬公費の対象とすることはできないか。
A1 保険医療機関が治療薬公費対象薬剤を院外処方する際に、保険医療機関は処方箋に、公費負担者番号及び公費受給者番号を、できる限り記載してください。仮に、保険薬局において、公費負担者番号及び公費受給者番号が記載されていない処方箋を受け取った場合であっても、保険薬局において公費負担者番号及び公費受給者番号を調剤報酬明細書へ記載し、治療薬公費の対象としていただくことができます。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら(問1及び問2)
Q2 新型コロナウイルス感染症治療薬の種類によって、10 月以降の自己負担上限額に違いはあるのか。
A2 新型コロナウイルス感染症治療薬の種類によって、自己負担上限額に違いはない。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q3 生活保護単独の被保護者については、10月以降も治療薬及び入院医療費の公費支援の対象となるのか。
A3 生活保護単独の被保護者に対して新型コロナウイルス感染症治療薬を使用した場合には、その薬剤費について、引き続き、全額(10 割)を公費支援の対象とする。医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額を自己負担の上限とする措置については、公的医療保険に加入しておらず、高額療養費制度の対象でないことから、引き続き、対象とならない。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q4 生活保護単独の被保護者以外で、公的医療保険に加入していない場合、10月以降、治療薬及び入院医療費の公費支援の対象となるのか。
A4 公的医療保険に加入していない方に対して新型コロナウイルス感染症治療薬を使用した場合、その薬剤費については、9月末までの取扱いとは異なり、全額自己負担となる。また、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額を自己負担の上限とする措置についても、高額療養費制度の対象でないことから、引き続き対象とならない。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q5 治療薬の自己負担上限額について、「1回の治療当たり」とあるが、同一の月に複数の治療薬を使用した場合はどうなるのか。
A5 同一の月に、複数の新型コロナウイルス感染症治療薬を使用した場合は、 その薬剤費について、レセプト単位で自己負担上限額を適用する。
○ 例えば、同一の月に入院及び外来で治療薬を使用した場合は、レセプトが分かれるため、それぞれで自己負担が発生する。一方、同一の月に、同一の医療機関の入院で複数の治療薬を使用した場合や、同一の医療機関の外来及び同一の薬局で複数の治療薬を処方された場合等は、レセプトが一つになるため、自己負担上限額の適用も当該月に一回となる。
○ 同一の治療薬を、月を跨いで使用した場合は、レセプトが分かれるため、月ごとに自己負担上限額を適用する。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q6 入院において、治療薬の公費支援はどのように適用するのか。
A6 入院については、はじめに、新型コロナウイルス感染症治療薬を含む新型コロナウイルス感染症に係る全ての医療費からみた自己負担割合相当額が、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額に達するかどうかを判断することとし、
(1) 達する場合には、新型コロナウイルス感染症に係る患者負担額は、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担限度額から原則1万円を減額した額を適用する(新型コロナウイルス感染症治療薬の医療費については、新型コロナウイルス感染症に係る入院の医療費に含める)。
(2) 達しない場合には、医療保険各制度における高額療養費制度の自己負担 限度額から原則1万円を減額する措置は適用せず、新型コロナウイルス感染症治療薬の患者負担額についてのみ、自己負担上限額を、医療費の自己負担割合が1割の方で 3,000 円、2割の方で 6,000 円、3割の方で 9,000 円とする公費支援を適用する(治療薬を除いた新型コロナウイルス感染症に係る入院医療費は、公費支援を適用せず、医療保険として請求する)。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q7 令和5年10月1日以降、国が購入し、医療機関へ無償譲渡されていた治療薬(国購入品)については、自己負担割合に基づく自己負担を求めますか。
A7 医療機関へ無償譲渡されていた治療薬については、引き続き、自己負担を求めないでください。
ゼビュディ、ロナプリーブについては、現在、国購入品しか流通しておりませんので、令和5年10月1日以降も、自己負担を求めないでください。
エバシェルドについても、現在、国購入品しか流通しておりませんので、令和5年10月1日以降も、投与時自己負担は3,100円(税込)以下となります。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
Q8 月の途中で 75歳に達し、医療費の自己負担割合が変更になった場合、治療薬や入院医療費の公費支援はどうなるのか。
A8 75歳到達月の治療薬や入院医療費の公費支援後の自己負担上限額については、到達日前後の自己負担上限額をそれぞれ1/2とする。
○ 例えば、到達日を境に自己負担割合が2割から1割に変更になる場合、治療薬については、当該月の到達日前の自己負担上限額は 3,000円、当該月の到達日後は 1,500円となる。
<具体例> 投与開始日が10月11 日、75歳の誕生日が10月12日の患者が、国保では2割負担、後期高齢では1割負担の場合、10月11日分は2割負担なので上限 6,000円のところ1/2となって 3,000円、10月12日以降分は1割負担なので上限3,000円のところ1/2となって 1,500円となり、10月の自己負担上限額は合計で 4,500円となる。
→関連厚生労働省事務連絡はこちら
5. 患者様向けリーフレットをご活用ください
埼玉県作成
厚生労働省作成
6. 診療報酬上の特例について(外来)
令和5年5月8日以降の新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いのうち、外来医療機関に係る部分の概要は以下のとおりです。
令和5年10月1日から一部変更があります。詳細は関連通知をご確認ください。
また、診療報酬に関するお問い合わせは、関東信越厚生局指導監査課へお願いいたします。
令和5年5月8日~令和5年9月30日
1. 院内感染対策関係(旧:院内トリアージ実施料)
新型コロナウイルス感染症患者又は新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合
(1)受入患者をかかりつけ患者のみに限定しない形で、診療・検査医療機関(外来対応医療機関)として、埼玉県のホームページで公表される医療機関
(受入患者を限定しない形に令和5年8月末までの間に移行する診療・検査医療機関(外来対応医療機関)を含む)
院内トリアージ実施料として300点
(2)上記(1)以外の医療機関
B000の2に規定する特定疾患療養管理料「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数として147点
2. 新型コロナウイルス感染症患者への診療関係(旧:救急医療管理加算Ⅰ)
入院中の患者以外の新型コロナウイルス感染症患者に対し、新型コロナウイルス感染症に係る診療(往診、訪問診療及び電話や情報通信機器を用いた診療を除く。)において、家庭内の感染防止策や、重症化した場合の対応等の療養上の指導を実施した場合
B000の2に規定する特定疾患療養管理料「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数として147点
- 発症日(無症状病原体保有者の場合は検体採取日)から起算して7日以内に限り算定できる
- 指導内容の要点を診療録に記載すること
3.入院調整関係(新設)
新型コロナウイルス感染症患者について、入院調整を行った上で、入院先の医療機関に対し診療情報を示す文書を添えて患者の紹介を行い、診療情報提供料Ⅰを算定する場合
救急医療管理加算Ⅰとして950点
令和5年10月1日以降
※令和6年度診療報酬改定において、診療報酬の特例ではなく、恒常的な感染症対応として見直しを行うとされています。
1. 院内感染対策関係
新型コロナウイルス感染症患者又は新型コロナウイルス感染症であることが疑われる者に対し、必要な感染予防策を講じた上で外来診療を実施した場合
(1)受入患者をかかりつけ患者のみに限定しない形で、診療・検査医療機関(外来対応医療機関)として、埼玉県のホームページで公表される医療機関
B000の2に規定する特定疾患療養管理料「許可病床数が100床未満の病院の場合」の点数として147点
(2)上記(1)以外の医療機関
A000の注9に規定する夜間・早朝等加算の点数として50点
2. 新型コロナウイルス感染症患者への診療関係
入院中の患者以外の新型コロナウイルス感染症患者に対し、新型コロナウイルス感染症に係る診療(往診、訪問診療及び電話や情報通信機器を用いた診療を除く。)において、家庭内の感染防止策や、重症化した場合の対応等の療養上の指導を実施した場合
⇒終了
3.入院調整関係
新型コロナウイルス感染症患者について、入院調整を行った上で、入院先の医療機関に対し診療情報を示す文書を添えて患者の紹介を行い、診療情報提供料Ⅰを算定する場合
B009の注17に規定する療養情報提供加算の100分の200に相当する点数として100点
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