知事と学生の意見交換会(平成30年度)
埼玉県と埼玉大学では、平成22年度から学生が知事に政策提言を行う取組を行っています。これは若者の感性を県政に生かすとともに、学生の生きた学習の場として活用することを目的としています。
平成30年度の実施状況
11月1日に埼玉大学総合研究棟1階シアター教室にて知事との意見交換会を開催しました。
1. 未来への道を拓く -ビッグデータ活用-(工学部・久保田尚ゼミ)
【政策提言の要約】
- カーナビデータに加え、デリバリーバイクやシェアサイクルのGPSデータ、SNSやキャッシュレス決済データを交通安全対策や観光振興に活用する。
【知事のコメント要旨】
- これまでは車だけでデリバリーバイクのデータは考えていなかった。シェアサイクルの導入市町村は限られていて台数も少ないため、ビッグデータまでは行かないのではないか。事故危険個所は決まった傾向があるので、このデータ利用を関係市町村にも持ちかけてみたい。
- 観光では宿泊客が少ない。どうすれば客単価を上げられるか考えなければならない。インバウンドも考え国籍、性別、コース別などの必要なデータ分析が必要。すぐに採用ではなく、検討課題である。
2. 開かれた子ども食堂を目指して -地域交流とともに-(経済学部・江口幸治ゼミ)
【政策提言の要約】
- 「子ども食堂=貧困対策」のイメージを払しょくし、米作り等を体験できる「子ども植堂」を提案。農業体験を通じて子供の自立性を育み、地域全体で成長を支えていく。
【知事のコメント要旨】
- 自分で何かをして達成感を感じるというのはいい。今の子ども食堂でも、勉強したり周囲の人から色々なものを感じているだろうが、自然との共生によりもっと強いものを身につける可能性がある。
- 子ども食堂の視察は1つでなく、もっと見てもらいたい。複数見ることで多面的な見方ができるようになるかもしれない。経験と言うのは1つではなく2つ以上、それだけでも全然違ってくる。
3. 「空白の19~24」 -政治は僕らにリーチするか-(経済学部・松本正生ゼミ)
【政策提言の要約】
- 若者(19歳~24歳)の投票率を高めるため、小中高の主権者教育の改善(例:デザート選挙)、若者向けの新たな情報発信(バーチャル知事)を提案。
【知事のコメント要旨】
- 圧倒されながら聞いた。主権者教育で一番わかりやすかったのは、デザート選挙。投票で物事が変わることを学べる。生活の実感に関わるものをどれだけ発信できるかに尽きる。
- 生活に根差した情報をどれだけアピールできるかが課題だ。
4. 次世代が誇りを持てる商店街(経済学部・川端庸子ゼミ)
【政策提言の要約】
- 星川商店街(熊谷市)をモデルに、親子連れなど多くの人が商店街に足を運ぶしかけを提案(絵本カフェや親子カフェ、だるま市等イベント体験ツアー)
【知事のコメント要旨】
- 「親子カフェ」は子育て支援の基本が押さえられている。事業としてペイできるか、利益を出せるスキームなのかを詰めることが必要。
- SNSの輪を広げるひとに特典を与えるというのも良い。いろいろネタは出てきそうだ。
- 「実際に行く、見る」「ヒアリングする」ことを通じて、実現可能性を高めてほしかった。
5. あなたの一歩が未来を変える! -新・埼玉県コバトン健康マイレージの提案-(経済学部・齋藤友之ゼミ)
【政策提言の要約】
- 友達紹介によるポイント付与、ゲーム感覚で「思わず歩いてしまう」しかけ(歩数を増やすことでモンスターを攻撃)など若い健康無関心層をとらえる仕組みを提案。
【知事のコメント要旨】
- 全く新しい発想。こういう現代的な手法を使うのは面白い。やはり「面白い」というのは大事だ。
- 実現可能性が高そうである。システム開発の試算があったが、仮にシステム開発に少しお金がかかったとしても、医療費が無限に増えていく見合いを考えれば場合によっては安いかもしれない。