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掲載日:2023年12月1日

平成29年12月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文(神谷大輔議員)

保育所等をめぐる不適切な事案への対応について

Q 神谷大輔議員(自民

昨年あたりから、保育所や認定こども園に関しては、その中でもいわゆる「ブラック保育園」と言われる不適切な運営事案をめぐる報道が目立っています。一口に不適切な運営といっても、その内容は様々な問題を含んでいるものと考えています。
もちろん、保育所等の指導監督権限は、その施設がある市町村であることは認識しておりますが、待機児童の解消を重要施策として掲げている埼玉県にとって、マスコミ等の報道されているような不適切な事案がもし県内で起きていたら大変なことであると思っております。
まず、一部の事案を紹介させていただきます。
ある保育園運営グループでは、薬品箱の不備、転落防止柵の不備、外階段に侵入防止チェーンの不備など、全10項目に対し都から整備の不備を指導されましたが、その対応として周辺保育室から医務関連物品、可動間仕切りを運び、写真を撮り、是正報告書に追記するよう指示したメールの存在が報道され、偽装工作ともとれるような場当たり的な対応が報道されました。
また、ある認定こども園では、ある情報を受け、抜き打ちの特別監査を行い、数々の不正が発覚しています。内容としては、正規定員46人のほかに22人を私的契約児として定員を超えて預かったことや、この46人の給食を私的契約児を含めた69人で分け合っていたこと、それから保育士の人数を水増しして給付金を不正受給していました。それから、保育士賃金の薄給問題は周知のとおりで、更に長時間労働やサービス残業が常態化し、業界に広くまん延しているのではないかと危惧をいたすところです。
先ほど申した保育士の水増しにより、保育士は少人数で仕事を強いられていたと見られ、保育の安全性も問われる状態であったと推察を持つところです。
そういった中、ある保育園を運営しているグループでは、保育士に賞与を渡す際、1年間辞職しませんとの誓約書を提出させるといった報道を拝見し、一部の保育園にパワーハラスメントや、それに近い労使関係が行われている懸念を危惧しています。実際、不適切な運営等に関する情報提供がなされなければ、保育所等の認可は書類上の審査が中心で、経営状態などを数字で判断せざるを得ず、実態を把握することは困難であろうと思います。先ほど申した事例の一つには、待機児童の解消を急ぐ余り、審査が甘くなったのではないかという声が言われています。
そもそも、市町村による実地検査の頻度や抜き打ち監査のタイミングについての国の明確な指針がないことによって、市町村により検査の時期等にばらつきが生じ、その結果、保育の実態を把握できない状況が生じているのではないかと考えているところです。地元の朝霞市もそうですが、地域によっては急速に増えた保育所等に対し、人員配置がないまま職員の負担が増え、実態の把握、また把握後の対応が後手に回っているのではないかと考えられます。
このように、保育の質や安全性を脅かす様々な状況が露呈しており、この現状を冷静に見つめなくてはならないと考えます。また、このような多くの報道等に接していると、報じられるものは氷山の一角であり、実情は更にひどい状況なのではないかと危惧を抱いてしまいます。
そこで、幾つか質問いたします。
1点目として、一義的には市町村が把握することになっていますが、県では保育の実態をどこまで行われているのでしょうか。また、県で実態把握をした後、市町村への対応はなされているのでしょうか。
2点目として、埼玉県内では先ほど申したような不適切な事案は起きていないのでしょうか。あるとすれば、どのような事案があったのか。また、それを解決するに当たり、どのような対応をされたのでしょうか。
3点目として、事案紹介の中で保育士の労働条件についても、先ほど述べさせていただきましたが、賃金もさることながら、希望と夢を持ち、次世代の子供たちに向かって働いていただくための埼玉県として、他県には余りない取組や就業定着支援など、何か行われているのでしょうか。
以上について、福祉部長にお伺いします。

A 田島   浩   福祉部長

まず、県では保育の実態把握はどこまで行われているのか、また、県で実態把握をした後、市町村への対応はなされているのかについてでございます。
県、政令指定都市、中核市は、児童福祉法に基づく保育所の認可権者として、職員配置や設備の状況などについて条例で定める基準への適合状況を監査により確認しております。
また、市町村は、子ども・子育て支援法に基づき、保育所等の運営全般や給付費について確認しています。
県の監査では、書類による確認だけではなく、施設内の巡視を行うとともに、保育士に直接話を聞き、安全への配慮や時間外勤務の状況などについても確認しております。
平成28年度の保育所の監査で基準に適合していないとして改善を指導した事例は157件で、具体的には、消火訓練を毎月実施していないものが34件、朝の早い時間帯の保育士不足が15件などとなっております。
いずれも、全て改善されており、認可取消、業務停止といった行政処分を行ったものはありませんでした。
県で行った監査の結果については、全て速やかに市町村に通知し、情報を共有するとともに、改善に向けて協力して取り組んでおります。
次に、埼玉県内では不適切な事案は発生しているのか、あるとすればどのような事案があったのか、また、それを解決するに当たりどのような対応がされたのかについてでございます。
平成28年度に県内市町村が把握した保育所等の不適切な事案は199件ありました。
具体的には、職員配置や設備の基準に関するものが64件、保育の個別指導計画が作成されていない、保育士の言葉遣いが乱暴であるといった児童の処遇に関するものが32件などとなっております。
なお、認可取消などの行政処分に至る案件はありませんでした。
これらの199件は市町村が全て改善を指導し、162件は改善されておりますが、残りの37件については、現在も継続して指導している状況と聞いております。
県としては、こうした不適切な事例が速やかに改善されるよう市町村からの相談に随時応じるとともに、効果的な立入調査の方法などについて助言をしております。
最後に、埼玉県として他県にあまり無い取組や就業定着支援など何か行われているのかについてでございます。
新任保育士が働き続ける上での課題として、処遇改善のほか、「人間関係」が多く挙げられております。
このため、新たな取組として、今年度から勤務経験3年未満の新任保育士を対象に就業継続のためのセミナーを実施しております。
セミナーでは、保育士の多くが悩んでいる職場の人間関係や保護者対応に役立つノウハウを学んでおります。
また、働きやすい職場づくりに当たっては、保育所の経営者・管理者の果たす役割が重要です。
このため、保育所の経営者・管理者を対象に、施設の安全管理に加えて、今年度から新たに、職員の就業継続につながる研修を実施しております。
研修では、職員の定着につながる取組や、保護者や地域住民との交流がうまく図られている成功事例を学んでおります。
今後とも、保育士の就業定着支援をしっかり行ってまいります。

 

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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