トップページ > 県政情報・統計 > 情報公開 > 情報公開審査会 > 平成15年度情報公開審査会答申 > 答申第27号 「県立○○高等学校の平成14年度入試関係の以下の文書 一般募集入学者選抜評定基準 (表2)基準一覧」の部分開示決定(平成16年3月25日)
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掲載日:2024年3月26日
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答申第27号(諮問第37号)
答申
1 審査会の結論
埼玉県教育委員会(以下「実施機関」という。)が、本件異議申立ての対象となった次の公文書(以下「本件対象文書」という。)について部分開示とした決定は、妥当である。
平成14年度入試関係の以下の文書
2 異議申立て及び審査の経緯
(1) 本件異議申立人(以下「申立人」という。)は、平成14年3月19日に、埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し本件対象文書の開示請求を行った。
(2) 実施機関は、本件対象文書について、評定基準に関する部分を、条例第10条第5号に該当するため不開示とするのが適当であると判断し、平成14年4月17日付けの公文書部分開示決定通知書により、申立人にその旨を通知した。
(3) 申立人は、平成14年6月25日付けの異議申立書により、実施機関に対し、本件情報は条例第10条第5号には該当しないため、開示すべきであるとして異議申立てを行った。
(4) 当審査会は、本件異議申立てについて平成14年10月24日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。
(5) 当審査会は、実施機関から平成15年11月26日付けの「開示決定等理由説明書」の提出を受けた。
(6) 当審査会は、平成16年1月27日に、実施機関の職員から事情聴取を行った。
なお、申立人から反論書の提出はなく、口頭での意見陳述についても求めがなかった。
3 申立人の主張の要旨
申立人は、本件対象文書のうち不開示とされた「評定基準に関する部分」(以下「本件情報」という。)を開示するよう主張するが、その理由は、次のとおりである。
本件情報は、開示することにより、学校運営に多大な影響を及ぼし、教育行政の適正な運営に支障を及ぼすおそれがあるとは考えられず、埼玉県情報公開条例第10条第5号の不開示情報に該当しない。
4 実施機関の主張の要旨
異議申立てに対する実施機関の主張は、おおむね次のとおりである。
本件情報のうち、一般募集入学者選抜評定基準の「ア 学力検査を実施しない教科」 「イ 観点別学習状況の記録」「ウ 選択教科の学習の記録」「オ 行動の記録」の評定の基準が開示されると、各高等学校間の評定値の差のみが強調され、学校間の序列化につながるおそれがある。このことにより、例えば受検生が序列に従った高等学校の選択を行うなど、受検生がそれぞれの個性や適性にあった高等学校を選択するよう指導を行っている中学校の進路指導に著しい支障を生じるおそれがあり、教育行政の適正な運営に支障を及ぼすおそれがある。
また、一般募集入学者選抜評定基準の「エ 特別活動の記録」及び〈表2〉基準一覧の評定基準は、これが開示されると、例えば入試のために生徒会活動をする生徒が出るなど、中学校の教育活動を歪めるおそれがあり、教育行政の適正な運営に支障を及ぼすおそれがある。
5 審査会の判断
(1) 本件対象文書について
本件対象文書は、県立○○○高等学校が、平成14年度の一般募集入学者選抜を実施するにあたり、調査書に記載された内容について評定を行うために定めた基準であり、評定の基準等が具体的に記載されている。
一般募集入学者選抜評定基準には、「ア 学力検査を実施しない教科」「イ 観点別学習状況の記録」「ウ 選択教科の学習の記録」「エ 特別活動の記録」「オ 行動の記録」について、それぞれの評定項目と、その評定の基準が具体的に記載されている。
また、〈表2〉基準一覧には、その他に評定の対象とする活動と評定の基準が具体的に記載されている。
(2) 条例第10条第5号の該当性について
本号は、県、国又は他の地方公共団体の機関が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示情報として規定している。
本件情報は、県立○○○高等学校の一般入学者選抜に係る合否判定基準の一部であることから、本号に規定する県の機関が行う事務又は事業に関する情報であることは明らかである。
もともと、県立高等学校の入学者選抜については、実施機関が各年度ごとに「埼玉県公立高等学校入学者選抜要領」を定め、入学者選抜の県全体の基準を公開している。そして、この「選抜要領」の基準に基づき、各高等学校では、校長を委員長とする選抜委員会を設けて、それぞれの高等学校の特色に配慮しつつ、その教育を受けるにふさわしい能力・適性等を判定するための基準を設定し、それをもとに選抜の資料等の評定を行っている。したがって、各高等学校の評定基準はそれぞれ異なるものである。
本件情報は、県立○○○高等学校が、入学者選抜を行うために定めた、調査書記載の内容についての具体的な評定基準である。
この基準のうち、「ア 学力検査を実施しない教科」「イ 観点別学習状況の記録」「ウ 選択教科の学習の記録」「オ 行動の記録」の評定基準については、公にすると、各高等学校間の評定値の差のみが強調され、受検生に与える影響は小さくないといえる。現在、中学校においては、生徒に自分の将来や適性等を考えさせ、その上で各高等学校の特色や内容、校風、難易度などを幅広く考えて志望校を選択するように進路指導が行われているが、本件情報を開示することになれば、進路指導等の事務の適正な遂行がむずかしくなる場合もあると認められる。よって、本件情報は、公にすることにより、進路指導等の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第10条第5号に該当するものといえる。
また、「エ 特別活動の記録」及び「〈表2〉基準一覧」の評定基準についても、公にすることにより、例えば生徒会活動が入学者選抜に影響するか否かが明白になり、もっぱら当該高等学校入学者選抜のためだけに、生徒会活動への参加を決める事例が出てくる可能性もあるなど、中学校の本来の教育活動を歪めるおそれがある情報であると認められることから、現状では同様に本号に該当するものということができる。
以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
6 附帯意見
入学者選抜の透明性を求める社会の要請は年々高まってきている。当審査会は、実施機関に対し、各県立高等学校の入学者選抜評定基準の定め方及びその開示方法について、早急に検討を行い、生徒が自己の適性にあった学校をより適切に選択できるようにするための努力を望むものである。
審議の経過
年月日 |
内容 |
---|---|
平成14年10月24日 |
諮問を受ける(諮問第37号) |
平成15年11月26日 |
諮問庁より開示決定等理由説明書を受理 |
平成16年1月27日(第31回審査会) |
実施機関より意見聴取及び審議 |
平成16年2月16日(第32回審査会) |
審議 |
平成16年3月1日(第33回審査会) |
審議 |
平成16年3月25日 |
答申 |
氏名 |
現職 |
備考 |
---|---|---|
礒野 弥生 |
東京経済大学教授 |
|
遠藤 順子 |
弁護士 |
会長職務代理者 |
大橋 豊彦 |
尚美学園大学教授 |
会長 |
田村 泰俊 |
明治学院大学教授 |
|
野村 武司 |
獨協大学助教授 |
|
馬橋 隆紀 |
弁護士 |
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