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掲載日:2025年6月19日
「VIVA LA ROCK 2023」
安田 拓海 / YASUDA Takumi
社会福祉法人みぬま福祉会 工房集
ゴールデンウィークにさいたまスーパーアリーナで開催される室内ロック・フェスティバル「VIVA LA ROCK」。そこでは様々な楽器の音が飛び交い、観客達は手を挙げ体を揺らしながら盛り上がる。
安田さんは聴覚障害があり音を聴くことはできないが、音楽を振動として身体で感じ取り、その感動を豊かに表現したのがこの刺繍作品だ。
VIVA LA ROCK でのライブ鑑賞は、2019 年と2023 年の2 回。2019 年のライブ鑑賞後にも体験を基にした刺繍作品を創り上げた。本作品は2023年に制作したものになり、本人も完成度に満足しているとのこと。
刺繍による表現で作品を創り始めたのはVIVA LA ROCK がきっかけである。
以前は絵画で様々な表現をしていたが、ライブでの感動をどのように表現しようかと思案していた際に、施設職員のアドバイスもあって、学生時代から得意だった刺繍の技法を用いて創作することに決めたそうだ。
創作においては、ビーズやボタンなどを使って作品を立体的に見せるとともに、様々な色の刺繍糸を用いて、モチーフを豊かに表現している。
特に、ミラーボールによる反射や光の加減は、刺繍糸の色を変化させることによって見事に表現されている。
作品の創作は紙に下書きをして、それをチャコペンで布に描くところから始まる。そして、様々な色や太さの糸を丹念に選び、一針一針丁寧に縫い進め、玉どめを繰り返しながら刺繍を創り上げていく。
大音量の音楽とファンの歓声に包まれたライブ会場を緻密に表現しながら、その盛り上がりや熱量も伝えてくれる楽しさにあふれた作品となっている。
埼玉学園大学 子ども発達学科 3年
関 優合奈