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掲載日:2025年10月23日



「Hug」
ビクター タン / VICTOR Tan
本庄市在住
私たちは彫刻と出会ったとき、どうやってそれと向き合うだろうか。どうやってそれを感じるだろうか。
私は今まで、彫刻は“見る”ものとばかり思っていた気がする。“見る”こと、が、鑑賞することそのもののように思い込んでいた気がする。
ビクタータンさんの彫刻は、“触れ合う”ことが“見る”よりも前にある。
受け手側は、実際に“触れる”ことで、彼の作品と出会う。
私が本作品と出会ったとき、ビクタータンさんは作品を抱いてみて、と勧めてくれた。繊細に編まれた赤ちゃんは、触ったら変形してしまいそうで少し怖かった。抱いてみた感触は、意外に丈夫。本物の赤ちゃんのようなサイズ感と丸み。抱いている時間が長くなるほど、不思議な愛着が湧いてくる。
作品との距離がゼロになるとき、私は作者との距離も限りなく近くなるのを感じた。作品が、切り離された他者ではなく、確かにここにあるんだなあと、実感する時間だった。
作品のタイトルは「Hug」、みなさんもギュッと、思い思いに“Hug”してほしい。
武蔵野美術大学 造形学部 空間演出デザイン学科 2年
増田 陽月 / MASUDA Haruru