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「3.11」 高谷こずえ

掲載日:2021年7月15日

「3.11」 高谷こずえ 

TITLE

「3.11」

ARTIST

高谷こずえ / TAKAYA Kozue
社会福祉法人みぬま福祉会 はれ所属

Review

高谷こずえさんは、10年以上前から、はさみで様々な色の折り紙を切り、貼り合わせる作品を作り続けている。それ以前は、工芸品等をつくっていたそうだ。

はさみや折り紙にもこだわりがある。こずえさんは、切りやすいはさみをお店でしっかり選んできたそうだ。折り紙も、「100均」ショップなどの様々な色があるものを使う。キラキラの折り紙、単色の折り紙を三角などに切り、油絵のように重ね、貼りあわせていく。

最初にタイトルを決め、即興で作っていくのがこずえさんのスタイルだ。インスピレーションは好きなものから。朝やお昼にご飯を買いにいくとき。好きな歌手のコンサートに行った時、ドレスや音楽から。本やCMから。好きなものの世界が、折り紙を貼り合わせて表現されていく。

どのように作品を作っているのですか、との問いに「感動してもらえるように、見ている人が素敵だね、と言ってもらえるように作っています」と答えてくれた。見ている人にもパワーをもらってほしいというこずえさんの優しさが見えた。

この作品は、「3.11」というタイトルである。高谷さんの他の作品と大きく違うところは、3色で作られている、網目状のような折り紙を裏も表も貼り合わせているところだ。他の作品とは違うエネルギーが発せられていた。
「3.11の後、2週間ほどで作った。テレビで車が潰れていたり、津波で家がぐちゃぐちゃになっているところを表した。作っていて辛かったし、見ていて悲しかった。だけど見ている人が元気になってほしかったから作った。見ている人に、3.11で被災した人に、元気になってほしい」と言っていた。黒と銀の微妙な隙間が、こずえさんの重い、ゆらいだ気持ちを表し、こずえさんの思いを伝える。

東京家政大学家政学部造形表現学科4年 加藤 唯