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掲載日:2026年9月1日

令和8年度研究課題 (水環境担当 R7~R8 希少種ムサシトミヨからのDNA放出特性に関する検討)

(水環境:木持、渡邊、田中)

熊谷市及び埼玉県の魚であるムサシトミヨPungitius sp.はトゲウオ科トミヨ属に属し、体長3〜6cmの小型の淡水魚である。かつては東京都や埼玉県の湧水や湧水からの細流での生息記録があるが、現在は埼玉県熊谷市内の元荒川最上流域のみ生息が確認されている。本種の生息環境は、地球温暖化による河川水温上昇や排水等による水質汚濁のリスクにさらされている。また生息地周辺では、自噴する湧水は枯渇しており、熊谷市ムサシトミヨ保護センター等で地下水を汲み上げ水源を維持している。ごく最近、重要な水源の一つであった民間の養鱒場の廃業に伴い河川流量が半減し、水源維持の困難さに直面する等、その生息基盤は極めて脆弱なのが現状である。

ムサシトミヨの保護保全を進める上では、生息状況の把握が重要である。捕獲による本種の個体数調査は概ね5年ごとに実施されており、近年は減少傾向が指摘されている。しかしながら、特に稀少生物の捕獲調査は、調査行為自体が生息環境を破壊する恐れがあるため、調査頻度を増やすことは難しい。一方で近年急速に発展している環境DNA分析は、水質分析であるため、生息環境の非破壊な調査手法である。従って、調査頻度の増大が可能となる。一般に、捕獲調査と環境DNA分析は相互に補完し合う特徴を持つことから、両手法の併用により調査の効率化と精度の改善が期待される。

本研究では、ムサシトミヨの生息調査への環境DNA分析の将来的な適用を見据え、本種からのDNA放出特性について、環境DNA種特異的解析を用いて明らかにするとともに、フィールド調査への実用可能性の検討を行う。

《研究の概要》(PDF:549KB)

令和8年度第1回研究審査会コメント

  • 希少種の保全上の切り札となりうる環境DNAでの調査の実施に向け、着実に技術開発を進め重要な成果を得ている。今後の野外調査での活用に向けて、大いに期待できる研究実績である。
  • ムサシトミヨの環境DNA検出系構築は重要な第一歩であると思います。環境中でのDNA分解過程解明についても取り組むことができれば興味ある課題と思われます。採捕調査による環境撹乱を回避するため、環境DNAでの生息調査が可能になることを期待します。
  • 水槽水試料のDNA放出速度の分析結果について、成長段階の異なる個体群で異なる傾向が示されるとの報告がありました。その傾向が生じる原因は単一ではないかもしれず、その説明をより自信をもってできるように研究を詰めていくことが重要と考えます。今後の展開について、季節毎の分析で生息数の増減傾向は把握できそうとのみ見通しを示されていますが、その見立ての妥当性にも影響しうると考えます。
  • インターカレータ法によるムサシトミヨDNAの検出系を構築し、河川水中の環境DNA濃度レベルでも十分な検出・定量が可能であることを示した点は評価できる。今後、生息地への影響リスクが低いモニタリング手法としての発展が期待される。
  • 環境DNAによる希少種の存在特定に関して、十分な検出ができることを確認されている。また、特定のフィールドでの試験も実施し、フィールド調査の適用可能性も示している。先端的な研究手法であり、さらなる成果を期待できる研究と判断できる。

お問い合わせ

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郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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