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掲載日:2025年9月19日

令和6年度終了研究課題(大気環境担当 R5~R6 道路周辺の大気中アンモニア濃度への自動車排出ガスの影響)

(大気環境担当:松本、長谷川、市川、村田、佐坂;温暖化対策担当:武藤;研究推進室:米持)

アンモニア(NH3)は、大気中の主要な塩基性物質であり、硫黄酸化物や窒素酸化物などの大気中の酸性物質の中和に大きな役割を果たしている。その結果、PM2.5等微小領域の二次粒子の生成に寄与している。このように、環境の酸性化や生態影響を検討する上でも極めて重要な物質である。

NH3の主な発生源として、家畜排泄物や農地への施肥などがよく知られているが、自動車(主にガソリン車の三元触媒)からも排出されており、都市部においては自動車が重要な発生源と考えられる。当所では、2000年~2007年に埼玉県内の幹線道路周辺等で調査を実施し、自動車由来のNH3が周囲の大気濃度に影響を及ぼしていることを確認している。この調査から約15年が経過し、NOx濃度が大きく低下するなど自動車排出ガスの組成や総量が大きく変化した可能性があるが、国内の自動車由来NH3の測定例は少なく、その実態については不明な点が多い。

本研究では、幹線道路周辺等のNH3濃度について現状を把握し、この15年間の道路周辺のNH3濃度変化の有無と低公害車普及状況等との関係を検討して、自動車由来NH3の現時点における重要度を明らかにすることを目的とする。

《研究の概要》(PDF:309KB)

令和7年度第1回研究審査会コメント

  • 本研究では、まずは、実際の現場でNOxとNH3の関係把握が行われており、明確な因果関係が得られている。今回の研究ではこれで十分である。次の段階として、その仕組み、それが生ずる自然条件の把握、その自然界や人間生活への影響把握と、道は長いが一つ一つ進められるとよい。
  • 県内を網羅する形での分析試料取得体制や、学会発表も活発に行っており高い評価に値する。
  • 埼玉県における大気中のアンモニアと交通量との関係について実測と解析による貴重なデータが得られています。難しいとは思いますが、研究成果を実際にどう活用するかについて何らかの提案があればよかったと思われます。
  • 今後、水素キャリア等としてアンモニアの利用が進み、環境大気への影響が懸念されるなか、将来のアンモニアの環境動態や汚染源の解明に向けた研究の基盤となる重要なデータが得られていると評価できます。
  • 測定事例が限られているアンモニアの多地点長期観測を行い貴重な結果を得ている。窒素循環汚染の観点から農業由来のアンモニアが問題となっているが、場所によっては自動車由来も考慮すべきであることを示したことは評価できる。
  • 近年、PM2.5の発生に関して農業(土壌)由来のアンモニアの影響について検討されている事例を見かけていたが、本課題では自動車排ガスという点から、アンモニア発生量の実測値を得られたということで、学術的に重要なデータ取得ができたと判断できる。直接的な有害物質ではないが、今後のPM2.5関連研究に有益な情報を与える意義のある研究と判断できる。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

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