環境科学国際センター > 試験研究の取組 > 研究評価の取組 > 平成30年度第1回研究評価 > H30第1回審査会コメント1/研究課題(大気 H30 長期観測に基づく揮発性有機化合物)

ここから本文です。

ページ番号:182019

掲載日:2023年1月12日

環境科学国際センター研究課題(大気環境担当/H30)

長期観測に基づく揮発性有機化合物の化学性状および発生源解析

(大気環境担当:藤井、米持、佐坂、野尻、長谷川/H30)

 埼玉県は全国的にみて、光化学オキシダント(Ox: 大部分がオゾン(O3))による大気汚染が深刻な地域の一つです。O3は前駆体物質である窒素酸化物と揮発性有機化合物(VOC)が大気中で反応して生成するため、O3(すなわちOx)生成はNOxとVOCが鍵を握っています。当センターでは約10年前から県内の大気環境中のVOC組成調査に取り組み、VOC成分種の中でも芳香族とアルデヒド類が高いO3生成ポテンシャルを秘めていることを示しました。よって、O3生成ポテンシャルを抑制するためには、これらの化合物群の発生源対策が有効であると考えられます。しかし、VOC化合物の一つをとっても、様々な発生源から大気中に排出されるケースが大半です。よって、効果的な発生源対策を講じる上で「どのVOC化合物が、どの発生源から、どの程度寄与しているのか」についての知見を得る必要があります。以上を踏まえ、本研究では当センターで蓄積した長期観測VOC成分濃度データを基に、暖候期の実大気環境からみて高いO3生成ポテンシャルを秘めているVOCの主要発生源の特定およびその寄与率を推定することを主目的とします。

《研究の概要》(PDF:288KB)

 

平成30年度 第1回 研究審査会 コメント

研究課題

長期観測に基づく揮発性有機化合物の化学性状および発生源解析

研究審査会コメント

  • 光化学オキシダントによる大気汚染が深刻な埼玉県における喫緊の課題に対して掲げられた研究課題であり、研究所の中期計画にも適合する点で、大いに評価できます。VOC種別の発生源情報を提供することを成果にひとつに掲げており、埼玉県における最も深刻な大気汚染問題を解決するために役立つ研究といえます。
  • 主要発生源及びその地理的起源の特定により、従来に比べより詳細な科学情報に基づく具体対策の提案(と効果の検討)が可能になることから、その有用性は大きいです。  
  • 本研究では4つの観測地点で得られたVOCsの化学分析データを、本計画では、PMFモデル、PSCFモデルを利用して解析することが計画されています。今後、様々な気象データ、地理的データを加えておく余地が残されており、さらに、精緻なモデルに改良されていくこと等、発展性、将来性も高いです。
  • データの量にもよるが、考えられる季節変動(濃度の高い時期)なども考慮した条件を設定して、発生源特定・寄与率推定に近づけて頂きたい。
  • VOCの発生源及び地理的起源解析が目的であれば、PRTRデータを活用する方法も非常に有効なはずです。本研究によるレセプター側からの解析結果の妥当性の検証にPRTRデータを用いるのではなく、PRTRデータと本研究の解析結果とが、互いに補完的な役割を果たしつつ、発生源特定に現実的に資すること(解析結果の評価をすることではなく)を目標とすることもご検討いただいた方がよいと感じます。

お問い合わせ

環境部 環境科学国際センター 研究企画室

郵便番号347-0115 埼玉県加須市上種足914 埼玉県環境科学国際センター

ファックス:0480-70-2031

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?