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掲載日:2020年11月30日
史跡・埋蔵文化財担当からのお知らせ
埋蔵文化財は文化財保護法をはじめとした法体系によって保護されており、土木工事等をする場合、法的な手続きが必要になります。
埋蔵文化財は貴重な国民共有の財産であり、掘削等によって壊すことなく、保存されることが望まれます。そのために、工事の方法を工夫したり、場所をほんの少しずらしたりするだけで、破壊から防ぐことができることも少なくありません。工事の計画を変更することで、工事の予定や開発事業全体への影響が少なく、発掘調査が不要な場合もあります。
ここでは、埋蔵文化財保護に関する法的な手続きについて説明します。
「家やマンションを建てたい」「店舗や工場を建てたい」「造成したい」「道路を造りたい」「整地して駐車場を造りたい」など、土木工事や土地開発事業を行う際に、その事業地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」(あらかじめ遺跡の存在が認められ、市町村または県教育委員会が公にしている地図と台帳に登録されている土地)になっていると、法律(文化財保護法)に定められた手続きや文化財の保護措置が必要になります。
「家やマンションを建てたい」「店舗や工場を建てたい」「造成したい」「道路を造りたい」「整地して駐車場を造りたい」ときはその場所が周知の埋蔵文化財包蔵地になっていないか確認をして下さい。確認先はその事業を行う土地がある市町村教育委員会の埋蔵文化財担当課所です。なお、国県等の公共事業については県教育委員会文化資源課となります。
市町村または県教育委員会で確認し、担当者の意見をお聞きいただいた結果については、以下の説明をお読みの上、必要な手続き等をおとりください。
(1)事業地内に「周知の埋蔵文化財包蔵地がある」「周知の埋蔵文化財包蔵地が近くにある」「遺跡がありそうだという情報がある」→2~8へ
(2)事業地内に「周知の埋蔵文化財包蔵地がない」「遺跡がありそうだという情報がない」→予定通りに工事着工が可能です。手続き等も必要ありません。
住宅の建築や道路を造る計画がおおよそ決まっている場合は、市町村教育委員会、県教育委員会文化資源課は、その工事の予定される場所を試し掘りして(これを試掘調査または確認調査といいます。)、埋蔵文化財の有無や内容を調べます。
この調査はすべての行政指導のもとになる非常に重要な調査です。(試掘・確認調査をしなくても、周囲に試掘等の情報から、開発予定地の状況がわかる場合もあります。)
埋蔵文化財は周知の埋蔵文化財包蔵地の全体にあるわけではなく、ある部分に固まっていたり、ほとんど何もない部分があります。一方、周知の埋蔵文化財包蔵地の範囲の外まで埋蔵文化財が続いていることもあります。
試掘・確認調査は包蔵地内だけで行うのではなく、周囲の状況からわかっている場合を除き、包蔵地内では必ず行い、包蔵地に近い場所や遺跡がありそうな場所では極力実施することになっています。
試掘調査の結果から埋蔵文化財の状況がわかると、工事の計画とつきあわせ、埋蔵文化財の取扱いについて事業主さんとご相談(協議)することになります。
埋蔵文化財は現状のまま保存することが一番です。掘り起こしてしまうと遺跡が破壊されて、その価値が損なわれてしまうためです。
現状保存ができない場合でも、掘削を行わず盛土した上での工事で現地の地下に保存できないか、建物の場所を変えて埋蔵文化財の破壊を避けることができないか等をご相談します。
埋蔵文化財が破壊されることになると、工事が遅れるばかりか、事業主さんが記録して保存するための発掘調査を行わなければなりません。埋蔵文化財を保護することで、こうしたことを避けることができます。
市町村教育委員会または県教育委員会と事業主さんとで相談(協議)した結果、埋蔵文化財保護を盛り込んだ工事の計画が決定します。事業地を変更したり、建物の基礎を浅くしたり、建物を建てる場所や向きを変えたり、いろいろなことが考えられます。
しかし、工事内容を変更できず、どうしても埋蔵文化財を現状保存できない場合には、工事を開始する前に、発掘調査を行い、遺跡を記録することによって保存する措置があります。「記録保存のための発掘調査」といいます。
周知の埋蔵文化財包蔵地内で開発を行おうとする方は、工事計画が決まった時点で、民間の開発では文化財保護法第93条第1項に基づく届出を、国・県・市町村の開発では同法第94条第1項に基づく通知を県教育委員会あてに提出することになっています。
提出の時期は、民間の開発では60日前までに市町村教育委員会に届け出なければならないことになっています(文化財保護法第93条第1項)。
国・県・地方公共団体等の開発では、本来は計画策定前に通知をして協議することになっています(文化財保護法第94条第1項)。
届出・通知には、決まった形(様式)の文書を用いることになっています。様式は文化資源課史跡・埋蔵文化財担当のホームページでダウンロードできます。
93条・94条様式(ワード:45KB) 記入例(PDF:163KB)
色々な計画変更によって可能な埋蔵文化財の保護状況に対応して、4でいただいた届出や通知に対して、県教育委員会(政令指定都市内の案件では政令指定都市教育委員会)は4つの種類の行政指導や勧告をしています。
〔指導・勧告の種類〕
(1)「慎重工事」→ 工事に着手できます
試掘・確認調査の結果、事業地に埋蔵文化財がないと考えられる結果が得られた場合に限って、予定通り工事着工を進めていただきます。
ただし、工事中に埋蔵文化財が発見された場合には、すぐに工事を中止し、法に基づく届出・通知を提出した市町村または県教育委員会にお知らせいただく必要があります。
(2)「工事立会」→ 文化財担当職員立会のもと工事に着手できます
試掘・確認調査の結果、事業地に埋蔵文化財があることが確かめられた場合でも、工事計画の変更等で埋蔵文化財が破壊されない場合、市町村または県の担当職員が確認することで、工事が可能な場合があります。重要な埋蔵文化財が出土したり一部が破壊されたりする場合には、その場で、一時的に工事を中断していただいて、測量や写真撮影を行う場合もあります。
また電柱設置のための掘削のように、本来、埋蔵文化財が破壊されることが確実であっても、事業地が狭く発掘調査ができない場合や、発掘調査が安全に実施できない場合等でも、担当職員による立会とする場合があります。
(3)「発掘調査」
試掘・確認調査の結果、事業地に埋蔵文化財があることが確かめられ、協議しても計画や設計の変更ができなかったり、計画を変更しても埋蔵文化財を破壊したり影響を与えてしまうことが避けられない場合には、記録保存のための発掘調査を行います。この場合の発掘調査とは、現地での発掘作業から、その後出土した遺物や遺跡の記録類の整理作業を行い「発掘調査報告書」を作成・刊行するまでのことを指します。
なお、試掘・確認調査を実施できない場合でも、重要な埋蔵文化財があることが確実な場合は、発掘調査の指導・勧告を行う場合があります。
(制度上、発掘調査を実施するのは事業主さんご本人になります。しかし通常は事業主さんは専門的な発掘調査ができないため、市町村教育委員会や県教育委員会設立の財団が調査を実施します。)その費用については、事業主さんのご負担になります。ただし、ご自分が住むための住宅や個人の農地整備などは、国・県・市町村が費用を負担しており、原則的に事業主さんの負担はありません。
〔開発事業者と文化財保護措置についての協議〕
事業主さんと市町村または県教育委員会で、発掘調査の方法、期間などについて詳細な打合せを行います。人を多く導入することで調査日数の短縮が可能か、重機を利用することで費用の短縮が可能か等、できるだけ負担の少ない方法が検討されます。
発掘調査は現地での発掘作業の後、出土した遺物等の整理作業を行い、「発掘調査報告書」を作成・刊行した時点で終了となります。現地での発掘作業が終了した後、工事施工が可能になると同時に整理作業・報告書作成が引き続き行われることになります。発掘調査が全て終了するまでの期間、事業主さんには文化財保護についてご協力をお願いいたします。
もし工事中に土器や石器等の遺物や古墳・貝塚等の遺跡などを見つけたら、どうすればよいのでしょうか。偶然発見した土器や石器、古墳、貝塚等の遺跡は、法律(文化財保護法)で、掘ったり持ち帰ったりしてはいけないことになっています。
この場合、市町村教育委員会文化財担当または県教育委員会文化資源課に速やかに連絡をお願いします。なお、地中からの出土品については、遺失物法の埋蔵物としての取扱いをしなければなりません。いわゆる落し物と同じ扱いです。したがって、警察への届出等が必要です。
わたしたちの個性と歴史・伝統・文化の礎となる埋蔵文化財の保護について、ご理解とご協力をお願いいたします。
埼玉県内の埋蔵文化財包蔵地の範囲をご案内いたします。
なお、最新の埋蔵文化財包蔵地の範囲については、必ず当該市町村の文化財担当窓口にお問い合わせください。
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