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掲載日:2022年11月8日

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働く障害者と事業主のインタビュー《平成27年度》

働く障害者の応援レポート

 

障害者福祉・障害者雇用に関心のある方々にご協力いただき、障害者が働く企業を訪問して、障害者本人や企業の担当者にインタビューしていただいたものです。なお、【 】はインタビューを受けて頂いた従業員の方の障害種別、《 》は訪問企業の主たる事業内容です。

1 【精神】《医療・福祉》公益財団法人西熊谷病院

2 【精神】《製造業》タワーベーカリー株式会社

 

  1 公益財団法人西熊谷病院の障害者雇用

インタビューした日:平成27年8月25日

インタビューした方:経営企画部 係長 鮎澤 信江さん、男性Yさん(51)

協力レポーター:中塚さん(深谷市)、田中郁子さん(毛呂山町)

nisikumagaya【企業概要】

名称:公益財団法人西熊谷病院

所在地:熊谷市石原572

事業内容:精神科病院の運営、精神障害者生活訓練施設「向陽寮」・地域生活支援セ

ンター「向陽」の運営、熊谷准看護学校の運営

総社員数:414名 (うち障害者数:9名)

企業の方へのインタビュー(レポーター中塚さん)

 

  西熊谷病院は大正13年に創立された、約500床ある大きな精神科病院です。

  障害者雇用については、企業が法定雇用率を達成するため、企業の中に障害者を雇用するグループを作り、清掃などの仕事を請け負っているというイメージが私にはありました。

  病院での障害者雇用はどのような取り組みをしているのでしょうか。経営企画部の鮎澤さんにお話を伺いました。

tatishigoto(1)障害者雇用のきっかけ

  精神障害者の社会復帰を支援するために平成18年4月から雇用に取り組んでいます。精神障害を持った方は会社に障害をオープンにすることが難しく、調子が悪くなっても会社にそれを伝えることができないので、就労が長続きしないことがあります。はじめは、そういった方が働き続けるための訓練の場として始めましたが、今は就労の場です。平成18年のスタート時から雇用が続いている方もいます。

(2)仕事の内容は

  患者さんの身の回りの世話をしている方、病棟の清掃をしている方、作業療法のお手伝いをしている方、日用品の在庫管理等の事務をしている方など、それぞれの部門で働いています。

(3)採用時に心がけること

 「働きたいと希望している人がいる」とのデイケア施設からの紹介で就労なさる方が多いです。病院なので、困ったことがあれば医師に相談できるし、本人も病院内ということで安心できるようです。はじめは短い時間で働き始めて、慣れるにしたがって徐々に時間をのばすようにしています。採用のポイントは自己管理ができること、家族などまわりのフォローがあることです。

(4)雇用してよかったことは

  精神科の医療機関にいながら、障害者のみなさんが想像よりもはるかに能力のあることを知りませんでした。障害をお持ちであってもみなさん高い能力を持っているということがわかりました。

(5)これから始める企業へのアドバイス

  県障害者雇用サポートセンター、地域の障害者就労支援センターなど、利用できる機関はできるだけ使ったほうがいいと思います。雇用管理に関することや、障害者の方にどういった仕事を任せればよいか等のアドバイスなど、こまかくフォローしてもらえます。

(6)インタビューしての感想

  精神障害は見えない障害なので、社会の理解も難しいことと思います。病院だからこそ、障害の理解があって雇用が続いているという面もあるようです。これからは、一般の企業でも障害の理解が一層進めば良いと思いました。最後に、鮎澤さんの「障害を持っていても働いて生活する、というあたりまえのことができるお手伝いを少しでもできればよい」という言葉が心に残りました。

 

障害のある方へのインタビュー(レポーター田中 郁子さん)

 

  今回インタビューさせていただいたYさんは51歳男性です。

  大学卒業後、公務員として働いていましたが30代で統合失調症を発症。現在も1日3回服薬されている方です。

  まず誠実で真面目そうな印象を受けました。現在の仕事に就いて5年で、それ以前は、同じ敷地内のデイケアに通っていたとのことです。就職のきっかけは、そのデイケアで軽作業を週3~4日していて、自分でも忍耐力と集中力がついて自信を持ちはじめたときにデイケアスタッフに勧められたことだそうです。

  勤務は午前8時30分~午後3時30分(6時間勤務の昼休み1時間)。通勤は電車で約1時間かかるそうです。 desuku

  仕事は、病院内で使用する事務用品や日用品の在庫管理・受発注です。

  最初は数を間違えないことやパソコン入力に苦労されたそうですが、わからないことは上司や周りの人に聞いて乗り越えてきたとのことで、今では職場での信頼も厚く自信をもって仕事に取り組んでいる様子がうかがえました。

  また、所属している総務課の皆さんが彼を温かく見守っていらっしゃるのを感じました。

 仕事をしていく中で、「挨拶をしっかりする!わからないことは、人に聞く!」と、とても意欲的で、この5年間仕事を辞めたいと思ったことはないそうです。

(発症後、会社で働いたこともあったそうですが、体力的な問題等で離職されているので、そういう経験も活かされているのかもしれません。)

 またプライベートでは朝、出勤前の1時間の散歩や休みの前日にお酒(焼酎)を呑むこと、そして料理をすることが気分転換になるそうでカレーライスや麻婆豆腐、冷や汁などをよく作るそうです。いろいろなことに挑戦しているのだなあと、感心致しました。

 これから働きたいと思っている方へのアドバイスをお聞きしたところ「どんな仕事も1年を通してやってみないとわからないので、最低でも1年、そして石の上にも三年の言葉もあるように辛抱してやってみることが大切だと思います。」と、おっしゃっていました。

 インタビューの最中も落ち着いた話し方で、ひとつひとつ丁寧に答えてくださり、最初に受けた印象通りの誠実で真面目な方でした。

 そして仕事も私生活も充実している日々を過ごされていることに感銘を受けました。

 Yさん、ありがとうございました。

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  2 タワーベーカリー株式会社の障害者雇用

インタビューした日:平成28年2月18日tower-bakery

インタビューした方:管理部  伊藤 徹美さん、男性Yさん(45)

協力レポーター:並木 静子さん(越谷市)、青木 律子さん(さいたま市)

【企業概要】

名称:タワーベーカリー株式会社

所在地:越谷市西方2986-2

事業内容:コンビニ(セブン-イレブン)向け菓子パン類の製造

総従業員数:514名 (うち障害者数:13名)

 

企業の方へのインタビュー(レポーター 並木 静子さん)

   タワーベーカリーは、セブン-イレブンに供給する菓子パン類を製造する会社として、1994年に設立panされました。

 障害者雇用は2006年からで、当時雇用された方のうち3名の障害者が今も就労を継続しています。現在13名の障害者が就労し、雇用率は2%を超えています。

 

 身体障害者2名は、健常者と同じ製造ラインで働き、夜勤もこなします。知的障害者7名は、指導者とともにグループで仕事をし、天板の清掃やゴミ出し等を担当しています。精神障害者4名は、原材料の計量やパンを入れる箱の洗浄をしています。一緒に働く人たちに障害を理解してもらい、周りからサポートを受けています。

 

 障害者の採用にあたっては、個々の能力を見てどのような仕事ができるかを考えます。障害者雇用の担当者の伊藤さんは、「能力の高い人もいるので、もっと伸ばしてあげられれば」と話してくださいました。

 

見学させていただいた感想:並木 静子さん

   朝の9時半頃、タワーベーカリー本社玄関前に到着しました。

 ちょうど勤務交代の時間帯だったようで、従業員の方たちが出勤してきました。自転車通勤の若い方が多く、私にも明るく声をかけてくれました。外国人従業員の方も「おはようございます」と、挨拶をしてくれました。(200人以上の外国人の方が就労しているそうです。)

 食品を扱う会社なので、工場や製造現場への入退出は、食品の安全への配慮の為、厳しいチェックが行われています。私たちも時計やアクセサリーを外しました。このようにして、私たちは安全で美味しいパンを、安心して購入できるのだと思いました。

 

障害のある方へのインタビュー(レポーター 青木 律子さん)

   今回インタビューをさせていただいたYさんは、45歳の男性です。平成27年11月に入社し、現在は主に原材料の計量を担当しています。

   Yさんは入社する前に、作業所でパンを作って売る仕事をしていました。就職を考えて作業所のスタッフと相談し、ハローワークに求職を申し込んだところ、タワーベーカリー(株)を紹介されました。Yさん自身パンが好きで、会社が自宅から通える範囲にあることから応募し、採用が決まりました。

  

  Yさんは作業所でもパンを作っていましたが、そこでは冷凍生地を仕入れて焼いていました。一方現在の会社では、粉からパンを作ります。しかも商品によって使う粉が異なります。Yさんによれば「粉を量るのが面白い」とのことでした。

  またYさんは作業所と会社の違いとして、会社の方が大規模で、生産ラインや役割分担がきちんとしている点をあげています。ysan

 

 入社したばかりの頃は、久しぶりの立ち仕事なのでYさんは体力的に不安があったとのことでした。慣れないうちは、仕事を終えて家に帰ると、疲れてすぐに寝てしまうような状態でした。でも1か月くらいで慣れたそうです。

   Yさんは仕事で体を使うようになって、適度な疲れからすっきり眠れるようになったそうです。現在の仕事に就く前は、眠れないことがあったとのことでした。

 

 仕事を続けるうえで、Yさんは夜更かしをしないように心がけています。薬は1日1回、夜に家で服用します。飲み忘れた場合は、朝に飲んでもよいとのことです。また通院は月に1回、仕事が休みの日にしています。

 

 精神障害のある人が仕事を続けるうえで大事なことを、Yさんは次のようにあげています。

 ・あせらない。無理しない。

 ・小さいことを一つずつ積み上げていく。小さいことを積み上げると自信につながる。

 ・一人で抱え込まない。話せるところは、オープンにして話したほうがよい。

 Yさん自身も、入社間もない頃はもっとシンプルな仕事から始めて、それから現在の仕事を担当するようになったとのことです。

   さらにYさんは、将来的に仕事の幅を広げたいと思っています。会社としても、本人やマネージャーと相談しながら少しずつ仕事を拡大したいと考えています。

 

見学させていただいた感想:青木 律子さん

  衛生上の理由から、製造現場に入る前には決められた方法で身支度を念入りに行います。私たちもそのような手順を経てから現場にうかがいました。手を洗う方法や衣服のほこりを落とす方法などがわからず戸惑っていると、すぐに近くにいる従業員の方が親切に教えてくれました。

  またYさんも「まわりに教えてくれる人がいる」「質問や相談がしやすい雰囲気がある」といったことを、職場の良い点としてあげていました。障害のある人が仕事を続けるうえでは、こうした雰囲気が大事になってくるように思います。

  

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