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掲載日:2025年3月26日
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埼玉県内の糖尿病患者は約38万4千人(厚生労働省、令和4年国民生活基礎調査)と推計されています。食生活の欧米化に伴うカロリー摂取量の増加や、パソコンおよび車の普及による運動不足などが重なり、食事と運動のバランスが崩れていることが、この増加の一因と考えられます。
糖尿病は初期段階では自覚症状が現れない場合が多く、適切な治療を受けるとともに、食事や運動などの生活習慣を改善しなければ、気付かないうちに重症化する可能性があります。そして、糖尿病の恐ろしさは重症化して合併症を発症することです。その中でも腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症は、進行すると人工透析治療が必要になる場合があります。
人工透析治療とは、腎臓機能が著しく低下した際に、腎臓の代わりに体の中に溜まった余分な水分や尿毒素などを体外へと排出する治療法です。
具体的には、血液透析と腹膜透析の2種類があり、血液透析は主に透析施設で行われ、週に3日、1回あたり約4時間が標準的な治療時間とされています。この長時間の治療は、患者さんの日常生活に負担となることもあります。
さらに、人工透析治療に要する医療費は、一人当たり年間約500万円とされており、この費用は社会全体で負担する仕組みになっています。
糖尿病性腎症については、医療機関での治療と併せて、生活習慣(食事、運動など)の見直しを行うことで、病状の維持や一定程度の改善が期待できる病気です。
県では平成26年度から、一部の市町村の国民健康保険加入者を対象に糖尿病性腎症重症化予防対策を実施しています。これは保険者(国民健康保険や健康保険を管轄する者)が保有する特定健診やレセプト(診療報酬明細書)のデータを活用して、糖尿病が重症化するリスクが高い方を対象に、次の取組を実施するものです。
(1)糖尿病治療を受けていない方、中断されている方に対して、医療機関への受診の呼びかけ(受診勧奨)
(2)糖尿病治療のために通院されている方で生活習慣の見直しが必要な方に対して、生活習慣改善のための支援の実施(保健指導)
(3) 保健指導が修了した方に対する継続的な病状の確認及び自己管理維持のための支援の実施(継続支援)
こうした取組を通じて、人工透析への移行の防止を図り、健康寿命の延伸と医療費の増加抑制を目指していきます。
平成26年5月に、糖尿病性腎症の重症化予防を推進するための実施事項等を定めた糖尿病性腎症重症化予防プログラムを作成しました。(令和6年11月改訂)
【作成者】埼玉県医師会、埼玉糖尿病対策推進会議、埼玉県
【内容】 糖尿病性腎症の重症化が推測される方(ハイリスク者)の抽出基準や受診勧奨、保健指導の方法など
糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、埼玉県国民健康保険団体連合会による共同事業方式により、平成26年度に19市町で事業を開始、令和6年度は52市町が事業を行っています。
52市町:さいたま市、川越市、熊谷市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、
狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、
桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、
ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、小川町、川島町、吉見町、
鳩山町、ときがわ町、美里町、神川町、上里町、宮代町、杉戸町、松伏町
また、共同事業方式ではなく、独自で重症化予防対策を実施する市町村を支援し、全県での展開を推進します。
受診勧奨により医療機関を未受診だった方、治療を中断していた方が医療機関を受診しました。また、保健指導又は継続支援により指導を受けた方の検査数値は、合併症予防のための目標値を維持していました。
(2)令和5年度保健指導・継続支援の結果(PDF:386KB)
国は、埼玉県医師会・埼玉糖尿病対策推進会議・埼玉県の「三者連携」と、多くの市町村が事業に参加する「市町村広域展開」の仕組みを「埼玉県方式」として、このモデルを全国に普及させることを目指しています。
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