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掲載日:2023年6月16日
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埼玉県内の糖尿病患者は約36万人(厚生労働省、令和元年国民生活基礎調査)と推計されます。この背景には、食生活の欧米化によるカロリーの過大摂取や、パソコンの普及やモータリゼーション(車社会化)による運動量の減少などにより、食と運動の適正なバランスが崩れてきていることが原因の一つであると考えられます。
糖尿病は初期段階では自覚症状が現れない場合も多く、適切な治療を受けるとともに生活習慣(食事、運動など)を改善しないと気付かないうちに重症化してしまいます。糖尿病の恐ろしさは重症化して合併症を発症することです。なかでも腎臓の機能が低下する糖尿病性腎症は、末期には人工透析治療に移行してしまうおそれがあります。人工透析治療は、週3回の通院、1回当たり4~5時間を要するなど患者さんの日常生活に大きな負担となります。また、人工透析治療に要する医療費は一人当たり年間500万円にものぼり、社会全体で負担することになります。これは人工透析移行前の一人当たり年間医療費50万円に比べて10倍の金額になります。
平成13年 | 平成25年 | 平成26年 | 平成27年 | 平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 令和元年 | 令和2年 | 令和3年 | |
人工透析患者数 (A) |
9,962人 | 16,753人 | 17,130人 | 17,469人 | 18,207人 | 17,969人 | 18,562人 | 19,312人 | 19,654人 | 19,666人 |
うち糖尿病性腎症が原因で 人工透析となった患者数(B) |
2,691人 | 6,742人 | 6,931人 | 7,032人 | 7,419人 | 7,233人 | 7,462人 | 7,833人 | 7,989人 | 7,935人 |
人工透析患者のうち 糖尿病性腎症患者の割合 (B/A) |
27.0% | 40.2% | 40.5% | 40.3% | 40.7% | 40.3% | 40.2% | 40.6% | 40.6% | 40.3% |
出典:埼玉県衛生研究所「埼玉県における慢性透析療法の現況」
糖尿病性腎症については、医療機関での治療と併せ、生活習慣(食事、運動など)の見直しにより病状の維持又は一定程度の改善が期待できます。県では平成26年度から一部の市町村の国民健康保険加入者を対象に、糖尿病性腎症重症化予防対策を始めました。これは保険者(国民健康保険や健康保険を管轄する者)が保有する特定健診やレセプト(診療報酬明細書)のデータを活用して、糖尿病が重症化するリスクが高い方を対象に、次の取組を実施するものです。
(1)糖尿病治療を受けていない方、中断されている方に対して、医療機関への受診の呼びかけ(受診勧奨)
(2)糖尿病治療のために通院されている方で生活習慣の見直しが必要な方に対して、生活習慣改善のための支援の実施(保健指導)
(3) 保健指導が修了した方に対する継続的な病状の確認及び自己管理維持のための支援の実施(継続支援)
こうした取組により人工透析移行防止を図り、健康寿命の延伸と医療費の増加抑制につなげていきます。
平成26年5月に、糖尿病性腎症の重症化予防を推進するための実施事項等を定めた糖尿病性腎症重症化予防プログラムを作成しました。
【作成者】埼玉県医師会、埼玉糖尿病対策推進会議、埼玉県
【内容】 糖尿病性腎症の重症化が推測される方(ハイリスク者)の抽出基準や受診勧奨、保健指導の方法など
糖尿病性腎症重症化予防プログラムに基づき、埼玉県国民健康保険団体連合会による共同事業方式により、平成26年度に19市町で事業を開始、令和4年度は52市町が事業を行っています。
52市町:さいたま市、川越市、熊谷市、行田市、所沢市、飯能市、加須市、本庄市、東松山市、春日部市、
狭山市、羽生市、鴻巣市、上尾市、草加市、越谷市、戸田市、入間市、朝霞市、志木市、和光市、新座市、
桶川市、久喜市、北本市、八潮市、富士見市、三郷市、蓮田市、坂戸市、幸手市、鶴ヶ島市、日高市、
ふじみ野市、白岡市、伊奈町、三芳町、毛呂山町、越生町、滑川町、嵐山町、小川町、川島町、吉見町、
鳩山町、ときがわ町、美里町、神川町、上里町、宮代町、杉戸町、松伏町
また、共同事業方式ではなく、独自で重症化予防対策を実施する市町村を支援し、全県での展開を推進します。
受診勧奨により医療機関を未受診だった方、治療を中断していた方が医療機関を受診しました。また、保健指導又は継続支援により指導を受けた方の検査数値は、合併症予防のための目標値を維持していました。
国は、埼玉県医師会・埼玉糖尿病対策推進会議・埼玉県の「三者連携」と多くの市町村が事業に参加する「市町村広域展開」の仕組みを「埼玉県方式」として全国への普及を目指しています。
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