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掲載日:2024年4月2日

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答申第87号 「ドラッグストアーに薬剤師がいないという特定個人からの申し出の回答」の部分開示決定(平成18年5月30日)

答申第87号(諮問第110号)

答申

1 審査会の結論

埼玉県知事(以下「実施機関」という。)が、平成17年9月21日付けで行った「ドラッグストアーに薬剤師がいないという特定個人からの申し出の回答」(以下「本件文書」という。)の部分開示決定で、実施機関が開示することとした情報のうち、次の部分は開示するべきではない。

(1) 本件文書第2ページ、2の(3)第7行目、行頭19文字目から20文字目まで

(2) 本件文書第2ページ、2の(3)第9行目、行頭5文字目から7文字目まで

(3) 本件文書第2ページ、3の第4行目、行頭4文字目から5文字目まで

(上記(1)から(3)までの文字数に、句読点及び括弧の記号を含み、空欄を含まない。)

2 異議申立て及び審査の経緯

(1) 開示請求者(実施機関の許可を受け本件異議申立てに参加。以下「参加人」という。)は、平成17年9月7日付けで埼玉県情報公開条例(以下「条例」という。)第7条の規定に基づき、実施機関に対し、特定個人の申し出に対し特定2法人の特定店舗について調査した報告内容についての開示を請求した。

(2) 実施機関は、本件請求に対する公文書を本件文書と特定した上で、個人の氏名を除いて部分開示決定を行うことが適当であると判断し、条例第17条第2項の規定に基づき、本件文書に記載された特定2法人に対し意見書提出の機会を設けたところ、当該特定2法人から部分開示決定に反対する旨の反対意見書が提出された。

(3) 実施機関は、当該特定2法人から反対意見書の提出を受けてもなお個人の氏名を除いて部分開示決定を行うことが適当と判断し、平成17年9月21日付けで参加人に対し公文書部分開示決定通知書を、同日付けで当該特定2法人に対し公文書開示決定に係る通知書を送付した。

(4) 当該特定2法人のうち1法人(以下「申立人」という。)は、平成17年10月4日付けの異議申立書により実施機関に対し、本件文書を開示すべきではないとして異議申立て(以下「異議申立て」という。)を行った。

(5) 当審査会は、異議申立てについて平成17年10月5日付けで実施機関から条例第22条の規定に基づく諮問を受けた。

(6) 当審査会は、本件審査に際し、実施機関から平成17年11月8日付けの開示決定等理由説明書(以下「理由説明書」という。)の提出を受け、また、平成18年1月20日に実施機関の意見を聴取した。

(7) 当審査会は、平成17年12月28日に申立人から反論書の提出を受け、また、平成18年3月17日に申立人の口頭意見陳述を聴取した。

(8) 当審査会は、平成18年4月20日に参加人の口頭意見陳述を聴取した。

3 申立人の主張の要旨

申立人が、主張している内容はおおむね次のとおりである。

(1) 本件文書にある申立人に関する薬事法に基づく実施機関の評価について、申立人はそのような認識をしていない。

(2) 薬剤師常駐を求める行政指導の精神・意図には、一定の評価がされるべきではあるが、薬剤師の常駐は薬事法及び政令省令の直接の要請であるとはいえないことも明らかである。薬事法に基づく実施機関の一方的判断が開示されるなら、申立人には、本件文書の開示によって保護される利益に比してはるかに重大な不利益が生じるため、本件は条例第10条第2号ただし書に該当しない。

(3) 実施機関は条例第10条第2号ただし書の適用について実質的な理由を明らかにしていない。これでは、申立人の意見書の提出を認め、当事者双方の言い分を十分聞いた上で審議・答申しようとする条例第26条の趣旨を没却する。

4 実施機関の主張の要旨

実施機関が、主張している内容はおおむね次のとおりである。

(1) 本件文書における条例第10条第2号の「法人不利益情報」の開示について本件文書が開示されることにより申立人にとって不利益が生じる可能性があるのは、

  • ア 県民からの情報に基づき、臨時の監視上の行政調査が行われた事実
  • イ 行政調査の結果、問題を指摘され、行政指導を受けた事実(行政指導は、県の「指導方針」に基づくものである。)
  • ウ 本件文書中に、申立人に関する特定の法令に基づく実施機関の評価が記載されていることといった事項が、対象となった個別の店舗や会社の名称とともに開示されるためである。

異議申立ての理由は、上記ウに関するものであり、上記ア及びイについては、異議の申立てがなかったものと思慮される。
ウについては、条例第10条第2号(法人の不利益情報)に該当する可能性が考えられるが、条例第10条第2号ただし書(人の生命、健康又は生活を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報)に該当すると考えられることから開示決定したものである。

(2) 申立人に関する薬事法に基づく実施機関の評価について

実施機関は、薬局等の許可について、「埼玉県薬局等許可の審査基準及び指導基準」を定めている。
薬局については、この「埼玉県薬局等許可の審査基準及び指導基準」中の審査基準で「薬局開設者は、開局中は、薬剤師を常時配置すること。」と規定し、一般販売業については、同様に「開店中は、常時、少なくとも1名の薬剤師を配置していること。」と規定されている。
したがって、開業時間中の一定の時間帯に薬剤師が不在であることは、行政手続法に規定する審査基準に適合せず、許可要件を満たしておらず、薬事法に基づく評価結果に至る。

5 参加人の主張の要旨

参加人が、主張している内容はおおむね次のとおりである。

(1) 埼玉県情報公開審査会は、本件について答申を速やかに行うべきである。

(2) 実施機関は、本件文書の開示の実施を速やかに行うべきである。

6 審査会の判断

(1) 本件文書について

本件文書は、特定のドラッグストアに薬剤師がいないという特定の個人からの申し出に対する回答案を記載した公文書である。
本件文書を当審査会で見分したところ、本件文書には申立人を含む薬品販売業者である特定2法人に対する実施機関の調査結果の概要及び今後の対応、並びに当該調査の契機となった申し出を行った特定個人に対する回答案等が記載され、特定個人が識別できる個人に関する情報、申立人を含む特定法人に関する特定の法令に基づく実施機関の評価についての情報等が記載されていた。

(2) 本件処分と異議申立て等について

本件処分は、本件文書のうち、特定個人が識別できる個人に関する情報を条例第10条第1号に該当するものとして不開示とし、その余について開示する公文書部分開示決定処分である。
異議申立ては、本件文書に記載された申立人に関する情報を開示しないよう求めるものであって、本件処分の不開示部分を争うものではない。
なお、開示の実施に先立ち、申立人から異議申立てと同時に執行停止の申立てがあり、実施機関が本件処分の執行を停止したことにより、本件文書の開示の実施は行われていない。
参加人は、本件処分の執行が停止されていることから、当審査会が速やかに答申し、実施機関も早期に開示を実施すべきであると主張する。

(3) 条例第10条第2号の該当性について

ア 実施機関の理由説明書及び意見陳述によると、実施機関は、特定法人に関し条例第10条第2号に規定する「法人の不利益情報」を本件文書は含んでいたが、同号ただし書の「人の生命、健康又は生活を保護するため公にすることが必要であると認められる情報」と判断し、個人を識別することができることになる情報を除き、本件文書を部分開示すると決定したと説明する。

イ 申立人の反論書、口頭意見陳述及び意見書によると、申立人は、実施機関が開示しようとする申立人を含む特定法人に関する薬事法に基づく実施機関の評価部分は、条例第10条第2号ただし書に該当しない旨、また、実施機関の説明は実質的な理由を明らかにしていない旨を主張する。

ウ 当審査会は、条例第10条第2号の該当性について、次のとおり判断する。
条例第10条第2号は、法人その他の団体に関する情報であって、公にすることにより当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの、ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要であると認められる情報を除き、これを不開示とする旨規定する。
本件文書は、全体として特定の法人に関する情報である。このうち、申立人を含む特定法人に関する薬事法に基づく実施機関の評価に当たる次の(1)から(3)までの各情報は、当該法人の正当な利益を害するおそれがある情報である。その余の情報は、これを開示しても当該法人の正当な利益を害するおそれがない、あるいは、開示することで当該法人に不利益が生ずることがあるとしても、それは薬局として受忍すべきものであって、条例第10条第2号本文に規定する「正当な利益」を害するとまでは言えない情報であって、条例第10条第2号本文に該当しない。

  • (1) 本件文書 第2ページ 2の(3)第7行目、行頭19文字目から20文字目まで
  • (2) 本件文書 第2ページ 2の(3)第9行目、行頭5文字目から7文字目まで
  • (3) 本件文書 第2ページ 3の第4行目、行頭4文字目から5文字目まで

(上記(1)から(3)までの文字数に、句読点及び括弧の記号を含み、空欄は含まない。)

実施機関は、上記(1)から(3)までの各情報について、いずれも条例第10条第2号ただし書に該当するとし、人の生命、健康等を保護するために公にすることが必要であると認められると主張するが、その理由とするところは抽象的な説明であり、人の生命、健康等を保護するために当該各情報を公にする必要のあることについての具体的な説明ではない。当審査会は、この説明をもって条例第10条第2号ただし書に該当するとして、条例に基づく情報公開制度で公にする必要があると認めることはできない。
なお、薬事法において薬剤師の配置については多様な解釈が示されているところであり、個々の事案における薬事法の適用については極めて流動的である。本件文書に記載されている事業に対する薬事法の解釈及び適用については当審査会は判断しないが、上記(1)から(3)までの各情報は、申立人らに関して実施機関の指導方針に適合しない事実(この情報は開示することとなっている。)を前提に実施機関として判断した薬事法に基づく評価であって、この評価を開示しないことで人の生命、健康等が保護できなくなるものと判断することはできない。
よって、本件文書の開示部分のうち上記(1)から(3)までの各情報は、条例第10条第2号の本文に該当するものの、ただし書には該当せず、開示すべきではない。

以上のことから、「1 審査会の結論」のとおり判断する。

(答申に関与した委員の氏名)
城口美恵子、田村泰俊、山口道昭

審議の経過

年月日

内容

平成17年10月5日

諮問を受ける(諮問第110号)

平成17年11月8日

実施機関から開示決定等理由説明書を受理

平成17年12月22日

審議(第三部会第9回審査会)

平成18年1月20日

実施機関から意見聴取及び審議(第三部会第10回審査会)

平成18年2月22日

審議(第三部会第11回審査会)

平成18年3月17日

申立人から口頭意見陳述及び審議(第三部会第12回審査会)

平成18年4月20日

参加人から口頭意見陳述及び審議(第三部会第13回審査会)

平成18年5月10日

審議(第三部会第14回審査会)

平成18年5月30日

答申(答申第87号)

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郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県衛生会館1階

ファックス:048-830-4721

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