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掲載日:2021年4月13日

【レポート2】 ケイアイスター不動産株式会社

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「私たち、土地買い女子」――など、数々のネーミングと人材を生み出すKEIAI。”日本一憧れの会社”を目指して

d’s JOURNAL編集部
取材・データ協力:ケイアイスター不動産株式会社/埼玉県ウーマノミクス課

「日本一憧れの会社をつくる」――。ケイアイスター不動産社長の塙圭二氏のもと、そこで働く従業員すべてが多様性を発揮して活躍できるダイバーシティ&インクルージョンを推し進めてきた結果、「働きがいのある会社」「多様な働き方実践企業」など数々の認定を受けた同社。2016年からは「不動産業界女性活躍No.1」を取り組みのメッセージとして掲げ、「K女ミライプロジェクト」「IKIIKIme. (イキイキミー)」「ふどうさん女子」など不動産業界に関わるすべての女性を応援するためのさまざまな施策を実施してきました。建設・不動産業界では革新的な会社風土や制度整備、そしてその取り組みについて迫ります。

 

埼玉県から全国展開した総合不動産企業は女性活躍推進の環境が整っていた

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1990年11月設立、地域密着型の総合不動産企業として、1都11県、首都圏を中心に多角的な事業を展開するケイアイスター不動産株式会社(本社:埼玉県本庄市、代表取締役:塙 圭二)。住まいに関する多様なニーズやライフスタイルに対して、エリアの特性に適した提案で、急成長を続ける新進気鋭の会社です。従業員数は1,448名(連結/2020年4月1日現在)とその規模をいまなお拡大させています。

事業内容は、総合不動産企業を冠するにふさわしく豊富に展開。戸建分譲事業、注文住宅事業、総合不動産流通事業、アセット事業、管理事業、宅地造成など多岐にわたります。

また一方で、「日本一憧れの会社」というビジョンを持ち、不動産業界のイメージアップや地位向上の責務を果たすべく、働き方改革や女性活躍推進活動、障がい者や外国人雇用などを中心としたダイバーシティ&インクルージョンに向けた取り組みも実施。そんな同社は、Great Place To Work(R)Institute Japanが実施する2021年度版「働きがいのある会社」大規模部門に選出されています

さらに、埼玉県が展開するウーマノミクスプロジェクトにおいても「多様な働き方実践企業」として最上位のプラチナ認定を受けています。同部門では、それまでゴールド認定を取得していましたが、2019年4月の更新において、認定基準6項目が該当しプラチナ認定へ――。男女に関係なくすべての従業員の働き方を見直す取り組みが評価されたそうです。そのほか「くるみん」「えるぼし」認定、そして2年連続で選定された「なでしこ銘柄」など、その実績は各所のお墨付きです。

さて、これらの輝かしい認定履歴を誇る同社の働く環境はどのようなものなのでしょうか。今回はダイバーシティ推進室の方々にお話しを聞きました。

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女性営業少なめ…から一転

「私が当社の新卒採用で入社した約10年前は、不動産・建設(ビルダー)業界そのものに活躍の場を求めてくる女性は少なめでした。特に女性営業の絶対数が少なく当時は私のような新卒で女性営業職はかなり希少でしたね」

そう自身の当時の様子を振り返るのは、同社でZuZu都市開発事業部 執行役員 事業部長 兼ダイバーシティ推進室室長の千田悠可さん。

賃貸仲介、売買仲介などの不動産仲介業の現在では、営業職に就いている女性も多く見られます。しかし2010年前後までは不動産流通、アセット事業、宅地造成などに関わる法人営業部門などでは、お客様の都合に合わせて柔軟に動く営業職は、ライフステージの変化が顕著に仕事へ影響する女性にとっては活躍しづらい職種だったようです。

しかし千田さんが入社して3~4年後、会社の環境が大きく変わることになります。それは当時、地域の商圏ニーズをすくい上げる会社のひとつでしかなかった同社が、社長の掲げた「日本一の憧れの会社を目指す」をモットーに、住宅総合会社として事業を全国に展開。そして急成長期間に入ったことへ端を発します。

組織規模が大きくなっていくとともに「多様な働き方を実現できる会社にしたい」「さまざまな年代の方がそのライフステージに関わりなく生き生きと働ける環境を整えたい」といった声が次第に内部から起こってきており、それに対し同社は、社長ほか全従業員の想いをひとつにして会社改革に臨んでいったのです。その結果、以下のような制度が生まれ、あるいは見直されていきました。

・在宅勤務制度
・時差勤務制度(対象児童範囲:子が小学6年生になるまで)
・職掌制度
・ジョブローテーション
・人事評価制度
・永年勤続表彰
・生理、結婚休暇
・慶弔金制度
・産休・育休、リフレッシュ、介護休業制度
・時短勤務制度
・女性のお悩み相談室(ホットライン)
・住宅購入手当
・クラフトマン制度(社員職人) ほか

現在は、時差勤務制度を利用してフルタイムで働くママ社員は珍しくなく、また長期での育休を取得する男性社員も増加傾向にある環境になったと言います。

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それにより一気に活躍が目覚ましくなったのが女性従業員。ライフステージに合わせた部署異動やポジションチェンジなどを進めた結果、全社の女性従業員の割合は、それまでの1割未満から3割強まで増加することとなったのです

さらに、後述する分譲住宅商品開発プロジェクト「IKIIKIme.(イキイキミー)」などにより、商品開発を行うスキームと体制も誕生。これは各店舗や部署から女性社員が集まり、今後増加していくワーキングマザーとその家族が、より快適に過ごすためにはどのような間取りやデザインが良いのかを女性目線で話し合い商品化するというもの。共働き世帯のお客様のことを考え、コンセントの位置や使い勝手などを考慮した「女性視点ならではの提案」で売り上げ・シェアも大きく伸ばすことができたのでした。

こうした成果について同社の総務部総務課 兼 ダイバーシティ推進室、柿崎真奈さんは伝えます。

「私が入社した当初はもちろん在宅勤務制度などなく、長く働けるかなどその見通しも不安でした。しかしその後、私も二児の母となり、会社の環境が徐々に整えられてきたタイミングで産休・育休制度や時短勤務などを活用するようになりました。そのためライフステージが変わった現在でもストレスなく働き続けられるようになっています。社内全体で『働きやすい環境とは何か』を追求した結果だと思いますね」。
 

「K女ミライプロジェクト」で企業PRのほか採用の効果も向上させる

男女に関係なく、あらゆる年代の従業員がライフステージの変化に関わりなく生き生きと働ける――。そんな環境と体制をつくり上げていった同社は2017年8月に社長直轄部門としてダイバーシティ推進室が設立されました。以降、同社はさらに加速度的に成長。ところが別の問題も浮かび上がってきます。

「ダイバーシティ推進室が立ち上がってから、女性現場監督数は4倍、女性管理職数は17倍、女性の育休復帰率は100%と、大きな効果を得ることができました。しかし組織が変わっていく中で新たな課題も見えてきました。それは若年層でも優秀な人材に仕事を任せる、いわゆる抜擢人事を進めていく反面、結婚や出産を迎える部下に対して、若年管理職が的確な働き方の提案をできていなかったり、ライフステージの違いからその対応が完全ではなかったのです。そこで現状を変えるため、ある取り組みを業界に先駆けて始めました」(千田さん)。

 

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そして千田さんを筆頭に立ち上げたのが、業界での女性活躍推進とその啓蒙・認知拡大を目的とした活動「K女ミライプロジェクト」です。同プロジェクトは、各部署から召集した女性従業員10名で組織されました。主な活動は以下の4つの取り組みです。

1. 「K女」という造語を作り、K女の定義を定め合言葉として社内に浸透させる
2. K女ミライプロジェクトによる女性限定のセミナーを開催
3. 女性が考える女性目線での分譲住宅商品開発プロジェクト「IKIIKIme.(イキイキミー)」
4. 人材採用についての取り組み

2.の女性限定セミナーについては、社内で活躍中のワーキングマザーを招き、「ママ女子会」や座談会、ワークショップなどを行うことで、実体験を共有し多様な働き方のイメージをもってもらうことを狙いとしたそうです。さらに、営業や施工管理など普段関わることのない女性従業員同士のつながりをつくることで、社内での結束を固めることにもつながったと言います。

特に、4.人材採用の取り組みについては大きく奏功したそうです。例えば、男女ともに働きやすい環境を整えていることをメディアなどを通して業界内外へアピール。採用活動にも良い影響を与え、毎年50名ほど新しい仲間が集うようになっていきました。さらに同社では女性営業も多く活躍するようになりましたが、建設部門でも女性施工管理(現場監督)が徐々に増加傾向へ。現在は57名の監督のうち、8名は女性という構成となりました。

さらに職種のイメージアップ活動にも余念がありません。採用活動においても、不動産仕入営業は「土地買い女子」、建設の施工監督は「ヘルメットガール」など次々とキャッチ―なネーミングを誕生させ、「硬いイメージ」や「残業が多くて就業環境が悪い」といった不動産・建設業特有の印象を払拭していったのでした。これらも各媒体や発信チャネルで同社のことをPRし続けたのです。

同社で新卒採用から入社、現在は総務部総務課兼 ダイバーシティ推進室で活躍する益子真央さんは、そんな同社の社風と取り組みに興味を持ったひとり。

「もともと人が暮らす住宅そのものに興味があり、子供のころからモデルルーム見学などが好きでした。いつしか住宅に関わる仕事がしたいと思うようになり、そんなタイミングで見知った当社は『日本一憧れの会社を目指している』や『業界のイメージアップに注力している』『女性が生き生きと活躍している』などトピックスが多く、素直にここで働きたいと考え飛び込んでみたのです。結果は正解でしたね(笑)」。

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攻める姿勢が業界と社会を変えていく

現在の同社は、さらなる業界のイメージアップと啓蒙活動に傾注しています。というのも、不動産業界には、まだまだ「長時間労働」「男性が台頭する」という偏った業界イメージが根強く存在します。実際に、不動産業界の離職率は11.5%(※)。各業界の中においても特に高い傾向にあります。

今後は少子高齢化による人材不足、高年齢者雇用安定法による70歳定年制度導入、そして女性活躍推進などクリアしていかなければならない課題が多い中、業界イメージの払しょくとその地位向上を果たさなければ、不動産業界全体と会社の未来も明るくないという考えが同社にはあり、そのため先述のような推進力が生まれていたのです。

直近の活動も精力的です。例えば2018年、ネーミングライツパートナーとして、本社の立地する埼玉県本庄市に市民球場の「ケイアイスタジアム」を誕生させました。地方自治体との連携をより強固にして、地元の雇用や新たな住宅ニーズの創造を積極的にすくい上げていった成果だと言います。このように自社だけでは完結せず、さまざまな業界やステークホルダーを巻き込んで共に成長していくのがケイアイスター流。

業界の中ではまだ新しく若い同社。ですが、女性活躍推進などのさまざまな活動を率先して行っており、不動産業界のイメージアップに貢献しています。中途採用2年目で参事を務めている井桁敦子さんは、お話しの最後をこう締めくくります。

「日本の産業構造はこの先変わっていくものと思いますが、住まいに関しては普遍的なものです。私はその普遍性を求めて入社しましたが、それ以上に業界を活性化させたいと思う社長の掲げる理念や、当社自体の持つベンチャーマインドにも惹かれています。常に新しいことを追いかける風土と環境が当社にはありますので、業界活性化と会社の進化の一端を担えていることが、いまは幸せですね。もちろん会社の働きやすい環境のおかげで、毎日を生き生きと過ごせています」。

(※)厚生労働省 平成 28 年雇用動向調査結果の概況より

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【取材後記】

ダイバーシティ&インクルージョンの推進で業界をけん引するケイアイスター不動産。同業界では厳しい就業環境や男性優位などのイメージで、業界全体のイメージアップにはまだまだ時間がかかると思われます。そんな中、女性が活躍できる環境を整えることで会社全体の成長を果たした同社の事例は学ぶべき点が多数あります。今回、d’s journalの取材を受けていただいたダイバーシティ推進室の方たちは、皆一様に明朗快活で、ご自身の仕事にかける意気込みや業界の未来のことについて、生き生きと語ってくださいました。会社を活性化するのはそこで働く従業員そのもの。従業員の力で会社が元気になっていく成功モデルをしっかりと見せていただきました。

 

取材・文、編集/d’s journal編集部
採用で組織をデザインする「d’s journal」https://www.dodadsj.com/

 

 

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