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掲載日:2023年7月13日

血液・腫瘍科

血液・腫瘍科のご紹介

外来診療日程

血液・腫瘍科とは

血液・腫瘍科では、造血器腫瘍に対する治療全般、固形腫瘍に対する化学療法、良性の血液疾患全般の診療をしています。
造血器腫瘍とは、白血病・悪性リンパ腫などの血液がん、固形腫瘍とは、神経芽腫・横紋筋肉腫・肝芽腫・腎芽腫・脳腫瘍などの小児がんのことで、良性血液疾患とは再生不良性貧血・血友病・遺伝性球状赤血球症、免疫性血小板減少症などです。
特に造血幹細胞移植の経験が多く、再発・難治性の患者さんの受け入れも積極的に行っています。
固形腫瘍は手術も含め総合的な治療が必要となります。小児外科・脳神経外科・病理診断科・放射線科、他職種のスタッフと連携を取りながら診療にあたっています。

血液・腫瘍科 科長あいさつ

みなさん、こんにちは。血液腫瘍科の診療責任者を務めている康勝好です。
血液腫瘍科の診療の中心は小児がんの診療であり、当センターは日本国内でも小児がんの患者さんの数がもっとも多い病院の1つです。小児がんというと、きわめてまれで、なかなか治らない病気というイメージをもっておられる方はまだまだたくさんいらっしゃると思います。しかし実は、小児がんの患者さんの数は、年間2000-2500人で、事故等を除いた小児の病死の原因としては第1位であり、それほどまれな病気ではありません。将来的には、成人人口の約5%が小児がん経験者になると予想されているくらいです。
小児がんの治療も現在では非常に進歩しており、約80%の患者さんが完全に治るようになっています。当センターは小児がんが治った患者さんの数も日本で最も多い病院の1つであり、私は外来で小児がんを克服して元気に人生を満喫している患者さんをたくさん拝見しています。ただ一部の患者さんでは病気そのものや治療のために長期的な合併症をかかえていることも事実であり、今後は治るだけではなく、できるだけ長期合併症が少なくQOL(生活の質)が保たれた形での治癒が求められています。私たち血液腫瘍科では患者さんやご家族と一緒によりよい小児がんの治癒を目指して努力していきたいと考えています。
血液腫瘍科では、もちろん小児がん以外の血液の病気もたくさん診ています。埼玉県は小児人口が多い割に専門病院が少ないために私たちの病院には何百万人に一人といった、非常にめずらしい病気も含めて多くの血液の病気の患者さんが来られています。血友病については未治療で初めて診断される小児の患者さん(PUPSと言います)が平均して年間約5人と比較的多く来られています。また小児では成人に比べて少ない、慢性免疫性血小板減少症(慢性ITP)の患者さんもたくさん拝見しています。私たちは小児がん以外の血液の病気についても、世界的に標準的な治療を提供できるように、また新しいよい治療を開発できるように努力しています。
血液腫瘍科というと少し怖いイメージをもたれる方もいらっしゃると思いますが、ありふれた病気も含めてきちんと対応していきますのでどうぞ安心して受診してください。

血液・腫瘍科の特色と取り組み

血液・腫瘍科の特色

埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科は、小児の血液疾患、小児がんを専門に診療しています。
当院の特徴は、最新の化学療法から骨髄バンクまたは臍帯血バンクからの幹細胞移植まで、他施設へ転院することなく、自施設で一連の診療の流れとして、滞りなく治療を遂行できることです。これは臍帯血バンク、骨髄バンクが設立された当初から認定病院となり、積極的に経験を積んできたことによるものです。また神経芽腫や横紋筋肉腫などの小児がんにおいても、外科・放射線科・病理などの院内各科と連携し、診療科間の壁のない効率的な治療を行っています。
また現在の治療のみではなかなか治らない難治性の患者さんのための新しい治療の開発にも積極的に取り組んでおり、新しい薬を開発する治験を数多く行っています。一方、当センターでは実施していない治験については、患者さんの利益を最優先して、治験実施施設に積極的に紹介するようにしています。

血液・腫瘍科が力を入れている取り組み:臨床研究・臨床試験

血液・腫瘍科が力を入れている取り組みとして、多施設共同研究への参加およびそこで行われている臨床試験への参加があげられます。
当センターの血液・腫瘍科は1983年の開院当初から東京小児がん研究グループ(TCCSG)の基幹病院として、主に関東地区の小児血液腫瘍疾患の専門施設と連携して多施設共同研究に参加し、診療実績を上げてきました。2003年にはそういった地域に根ざした小児血液腫瘍疾患の研究グループの連合体として、日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)が発足しました。血液・腫瘍科ではこのJPLSGの活動にも積極的に取り組み、JPLSGとして開始された白血病・リンパ腫の臨床試験にもその立案段階から関わって積極的に参加しています。
ここで行われている臨床試験とは新薬の開発などを目的とした実験的な内容を含むものだけではありません。いままで、地域ごと、施設ごとに細かい部分ではバラバラに行われていたさまざまな診断・治療を全国的な基準で統一し、そこで決められたルールに則って診断・治療を行っていこうというものです。対象疾患である患者さんはこれらの臨床試験に参加することにより、その時点で最善と考えられる治療を受けることができ、中央診断の実施により他の施設の専門家の目を通して診断の確かさが保証されます。また治療計画書に書かれたさまざまな規定に従った治療を受けることによりその安全性が確保され、副作用などの情報を共有することにより予測が難しかった健康被害を防ぐことができます。そしてこれらの情報を積み重ねることによって日本のこどもに対する安全で有効な治療法が確立されることになり、将来同じ病気になったこどもたちの治療に役立つことになります。
小児の悪性固形腫瘍の分野でも横紋肉腫、神経芽腫、肝芽腫、脳腫瘍に対しそれぞれ、日本横紋筋肉腫研究グループ(JRSG)、日本神経芽腫研究グループ(JNBSG)、日本小児肝癌スタディグループ(JPLT)、小児脳腫瘍コンソーシアム(JPBTC)に参加してきました。2014年12月にはこれらの小児がん臨床試験グループが統合し、オールジャパンで一丸となった日本小児がん研究グループ(JCCG)が発足しました。当センターは早くからこのような小児がん研究グループの統合を積極的に主張し、尽力してきました。当センターのJCCGの臨床試験への登録数は日本一です(当院で参加している臨床試験のページへリンク)。また当科の康はJCCGの理事であり、前駆B細胞性急性リンパ性白血病に対する臨床試験(ALL-B12、ALL-B19)の研究代表者も務めています。康以外の血液腫瘍科の現メンバーや卒業生の多くもJCCGの様々な委員会で中心的な立場で活躍しています。当センターは今後もJCCGの中核施設の1つとして小児がんの診療、研究に取り組んでいきます。
臨床試験に該当しない・行われていない疾患の患者様に対しては、これまでの世界中の報告において標準治療であり、かつ成績・安全性の確かな治療を常にアップデートして提供させていただきたいと考えています。

血液・腫瘍科へご受診・ご紹介いただくには

血液・腫瘍科を受診いただく場合、原則として紹介医の先生からの紹介状が必要です。外来診療日は月曜日から金曜日の午前中と火曜日の午後です。
いずれの診療日でも初診を受け付けますので、紹介医の先生からの診療情報提供書をご用意いただき、受診予約を電話(総合受付係048-601-0489)にてお取り下さい。
血液検査結果・画像診断などの資料がある場合はそれもあわせてお持ち下さい。
尚、患者さんが緊急を要する場合には、紹介医の先生から直接お電話(緊急時:代表048-601-2200)をいただければいつでも対応いたします。

セカンドオピニオンを希望される場合には通常の外来日以外に診察・相談を設定しますので、あらかじめ予約の際にお申し出下さい。診察日を設定後に再度ご連絡を致します。(セカンドオピニオン外来のご案内

小児がん治療後の長期フォローアップ(LTFU)について

小児がんの治療成績は向上し、小児がん経験者の約80%以上が治癒するようになってきました。

一方で、健康上の問題を抱えている方もいらっしゃいます。近年、小児がん経験者を長期的に支援するためにLTFUの必要性が明らかになってきました。

小児がん治療後のLTFU外来

この外来では、小児がん全般の治療終了後に現れることがある晩期合併症(心機能障害、成長障害、内分泌異常、不妊症、肥満、二次がんなど)の予防・早期発見、成人の診療科への紹介など様々な問題について対応しています。診察時間は約1時間です。(晩期合併症のご案内)(PDF:302KB)

受診が途切れている方、成人した方でも、治療終了時に受けた説明を再度確認したい方、何か気になっている方は、担当医師または小児がん相談支援センターにご相談されるか、外来の予約をお取りください。

当センター受診歴のない方は他院からの紹介状が必要となりますので、まずは小児がん相談支援センターにご相談ください。なお、当センターは小児専門病院のため、初診は18歳以下(高校生年齢まで)とさせていただいております。

LTFU外来診察:第1週から第4週月曜日(午後)

午前10時に生理検査室にて心電図および心エコー検査、診察前に診察前血液検査が予約されていますので、余裕をもってご来院ください。

造血細胞移植後LTFU外来

造血細胞移植を受けた方には、特に「造血細胞移植後LTFU外来」があります。

造血細胞移植による移植片対宿主病GVHDをはじめとした合併症などは、退院後も長期に渡って影響が残ることがあります。移植後の合併症や退院後の生活で困っていることなどについて看護師がお話を伺い、医師や薬剤師と共に支援いたします。

造血細胞移植後LTFU外来:第2週・第4週火曜日(午前)、第4週金曜日(午前)

 
午前

診察前検査

午前10時から

造血細胞移植

第2週・第4週

   

造血細胞移植

第4週

午後

小児がん全般

毎週

       

血液・腫瘍科の診療実績

1.疾患別入院患者数(実数)

疾患別入院患者数(実数)(PDF:60KB)

疾患名 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
ALL(急性リンパ性白血病) 70 69 61 75 63 62
AML(急性骨髄性白血病) 23 12 18 23 19 12
AUL(急性分類不能型白血病) 0 0 0 0 0 0
MDS(骨髄異形成症候群) 11 14 11 13 6 12
CML(慢性骨髄性白血病) 4 6 6 2 1 3
その他の白血病 3 1 2 3 5 6
悪性リンパ腫 10 10 7 11 12 11
神経芽腫 11 19 21 17 19 15
横紋筋肉腫 6 6 1 1 5 3
脳腫瘍 42 43 30 32 27 30
その他の腫瘍性疾患 45 33 22 31 31 31
再生不良性貧血および類縁疾患 13 10 8 12 9 7
血友病ないし関連疾患 4 5 4 5 4 10
特発性血小板減少性紫斑病 11 14 16 19 11 22
その他良性疾患 41 17 24 41 46

31

造血幹細胞移植ドナー 4 13 5 9 3 9
合計 298 272 236 294 261 264

2.外来初診患者内訳数

外来初診患者内訳数(PDF:98KB)

疾患名 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
ALL(急性リンパ性白血病) 18 22 23 29 23

18

AML(急性骨髄性白血病) 15 9 4 10 8 8
TAM(一過性骨髄異形成) 7 3 9 3 3 5
MDS(骨髄異形成症候群) 2 4 2 5 3 2
JMML(若年性骨髄単球性白血病) 0 1 1 0 0 0
CML(慢性骨髄性白血病) 1 1 4 2 0 1
その他の白血病 1 1 0 0 0 1
悪性リンパ腫 7 3 6 6 3 3
神経芽腫 4 7 7 8 7 7
その他の固形腫瘍1 60 64 51 40 52 64
再生不良性貧血および類縁疾患 5 4 7 5 1 4
貧血その他良性血液疾患2 66 55 54 55 63 77
副腎白質ジストロフィー 1 2 0 0 1 0
その他良性疾患3 53 52 46 64 50 57
合計 240 228 214 227 214 247

1その他の固形腫瘍内訳

その他の固形腫瘍内訳 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
胚細胞性腫瘍 4 9 7 7 5 6
ランゲルハンス組織球症 2 11 4 5 6 4
ユーイング肉腫 2 0 1 3 3 0
上咽頭がん 0 0 0 0 0 0
肝腫瘍 3 5 5 4 1 1
脳腫瘍 17 14 13 7 14 18
ウイルムス腫瘍 0 1 1 0 0 0
横紋筋肉腫 2 2 2 2 2 2
網膜芽腫 2 1 3 0 2 0
腎細胞がん 0 0 0 0 0 0
腎芽腫 0 3 1 0 1 1
血管腫 10 12 11 7 17 20
リンパ管腫 4 2 0 1 0 1
その他 14 4 3 4 1 11
合計 60 64 51 40

52

64

2貧血その他良性血液疾患内訳

貧血その他良性血液疾患内訳 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
特発性血小板減少性紫斑病 13 9 10 10 17 10
鉄欠乏性貧血 7 4 3 3 7 6
溶血性貧血 9 7 6 12 6 9
伝染性単核症 0 0 1 1 2 2
血友病 4 3 4 5 3 8
血球貪食症候群 0 2 3 3 7 4
免疫不全症 0 0 0 0 0 0
好中球減少症 11 8 10 7 3 6
その他 22 22 17 14 18 32
合計 66 55 54 55 63 77

3その他良性疾患内訳

その他良性疾患内訳 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
リンパ節炎 4 3 3 1 3 2
骨髄/末梢血幹細胞提供者 4 8 5 9 4 9
自己血採取 0 0 0 0 0 0
その他 45 41 38 54 43 46
合計 53 52 46 64 50 57

セカンドオピニオン

セカンドオピニオン 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
件数 9 10 14 9 12 15

3.造血幹細胞移植件数

造血幹細胞移植件数(PDF:34KB)

造血幹細胞移植 令和4年度 令和3年度 令和2年度 令和元年度 平成30年度 平成29年度
血縁者間同種骨髄移植 1 10 4 5 2 7
非血縁者間同種骨髄移植 6 3 4 5 3 6
同種末梢血幹細胞移植 2 0 1 2 1 2
非血縁者間臍帯血移植 9 6 6 7 8 6
自家造血幹細胞移植 10 21 14 7 10 8
合計 28 40 29 26 24 29

学術的業績

学術的業績(小児がん拠点病院のページへリンク)

現在施行中の臨床試験・治験

現在施行中の臨床試験・治験(小児がん拠点病院のページへリンク)

血液・腫瘍科のスタッフ紹介

LTFU外来のスタッフ紹介

  • 川村 眞智子(非常勤)
  • 塩味 正栄(非常勤)
  • 瓜生 久美子(非常勤)

お知らせ

  • 埼玉県立小児医療センターは、紹介制です。医療機関の紹介状を必ずお持ちください。
  • 受診される方はあらかじめ予約センター(048-601-0489)にお電話いただき予約を取って受診してください。

プレスリリース(令和5年5月17日)
急性リンパ性白血病治療の改善ー長期合併症を減らしつつ生存率向上を実現ー

多施設共同臨床試験結果が、科学誌「Lancet Haematology」に掲載

当センターが参加した多施設共同臨床試験結果が、科学誌「Lancet Haematology」に2023年5月9日にオンライン発行されました。

本研究は、日本小児がん研究グループ(JCCG)と成人白血病共同研究機構(JALSG)の共同で実施した、急性リンパ性白血病に対する多施設共同臨床試験です。全国125施設の共同臨床試験で、当センター小児がんセンター長の康勝好、血液腫瘍科医長の大嶋宏一が研究運営に重要な役割で参加していました。

これまで治療成績が不良であったT細胞性急性リンパ性白血病の生存率を従来の約70%から91.3%まで改善することができ、同時に副作用の強い「放射線治療」や「造血幹細胞移植」を受ける患者の割合を減らすことに成功しました。

この治療成績は世界における今後の治療方針にも大きな影響を与えることが期待されます。

<資料提供>急性リンパ性白血病治療の改善ー長期合併症を減らしつつ生存率向上を実現ー(PDF:268KB)

 

お問い合わせ

地方独立行政法人埼玉県立病院機構 埼玉県立小児医療センター  

郵便番号330-8777 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地2

ファックス:048-601-2201

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