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掲載日:2020年11月10日
骨軟部腫瘍は多数の組織型からなりますが、非常に稀な「希少腫瘍」を含めてほとんどすべての病名に対応可能です。以下、当科で治療可能な主な腫瘍名を記載します。
肉腫(サルコーマ)は稀な病気である上に発生部位もタイプ(組織診断名)も多彩なため、薬物療法や放射線療法の効きやすさも様々です。中には手術ができないほど広がった状態で見つかった方でも、手術療法のほか放射線療法、抗がん剤などの薬物療法を組み合わせた集学的治療によって治るタイプがあり、その機会を逃してはなりません。逆に薬物療法などが効きづらいタイプも多く、いずれも当院では抗がん剤の専門医と密に連携し、分子標的薬などの新規の薬剤による治療も行いながら、患者さんの生活に沿って治療を行っています。
また別の選択肢として、稀な病気ゆえに定まった治療が少ないことから、よりよい治療を目指した臨床試験または治験と呼ばれる新しい治療の試みも提案できるよう他施設と連携する体制を取っています。
「がんロコモ」は具体的に、がんの骨転移による痛みや骨折、脊椎転移による四肢麻痺のほか、抗がん剤の副作用による手足末梢のしびれや動かしにくさ、手術による運動器障害、長期入院治療と安静に伴う体力・筋力の低下や、がんそのものの進行による衰弱等が原因となって引き起こされます。「がんロコモ」の患者さまはPSが低下し、がん治療の非適応や中断につながります。「がんロコモ」に早期に気づき治療介入することにより、PSが維持・改善され、結果としてがん治療が継続可能となり、入院期間の短縮や生命予後改善につながる可能性があります。
がんロコモに対するケアは、緩和的ステージにある患者さまや、脊椎転移による完全麻痺の方も対象とします。がんの終末期でも痛みを出さずに動かせる関節を確認してリハビリを行うことや、下肢麻痺の方でも残存する運動機能を最大限維持することで、身体的・精神的・社会的にも患者さまの生活の質を高めることが可能となります。
○当科における「がんロコモケア」の取り組み
2018年より、整形外科医、理学療法士、看護師からなる運動器ケアチームを形成し、月2回の定例運動器ケアとして、入院患者様のための「がんロコモ回診」を行っています。がん治療中の骨転移に対する専門的診察・治療のほか、骨転移以外の四肢・関節の痛みについても診療します。また、治療に伴って生じる体力・筋力や移動能力の低下が起きにくいよう、多職種が連携して、早期のがんロコモ発見と予防的なリハビリ介入に努めています。
○骨転移キャンサーボード
当科では、骨転移患者様の診療の質を高めるために、月1回の骨転移患者さまに関する多職種会議である、骨転移キャンサーボードを開催しています。治療を担当する主治医の先生のみでは判断の難しい、骨や関節の健康状態の診断と、日常生活動作がどこまで可能かなどの専門的な判断を行っています。
当科では、以下の多施設共同研究グループに参加(またはオブザーバー参加)し、癌に対する標準治療の確立、進歩のために研究協力を行っています。
日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG:Japan Clinical Oncology Group):オブザーバー参加
骨軟部肉腫治療研究会(JMOG:Japanese Musculoskeletal Oncology Group)
骨軟部腫瘍診療担当医:五木田茶舞、澤村千草、眞鍋淳(非常勤)、川口智義(非常勤)
手術件数 2017年度
手術名 |
件数 |
良性骨・軟部腫瘍 |
153 |
悪性骨・軟部腫瘍 |
68 |
転移性腫瘍 |
12 |
その他 |
4 |
合計 |
247 |
手術件数 2018年度
手術名 |
件数 |
良性骨・軟部腫瘍 |
166 |
悪性骨・軟部腫瘍 |
86 |
転移性腫瘍 |
27 |
その他 |
13 |
合計 |
292 |
科長兼部長/平成11年 弘前大学卒
平成22年~平成29年 がん研有明病院整形外科勤務
専門 |
骨軟部腫瘍 サルコーマ がんの骨転移 がんの運動ケア(がんロコモ) |
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資格 |
日本整形外科学会専門医・指導医 埼玉整形外科研究会 常任理事 埼玉県整形外科勤務医部会 幹事 関東骨軟部基礎を語る会 幹事 埼玉骨軟部腫瘍研究会世話人 埼玉県小児がん診療病院連携協議会 オブザーバー 重粒子線治療・骨軟部腫瘍専門部会員 軟部腫瘍診療ガイドライン委員 デスモイド診療ガイドライン委員 |
副部長/平成11年 東京医科歯科大学卒 東京医科歯科大学大学院卒 ハーバード大学公衆衛生大学院卒
専門 |
骨軟部腫瘍 転移性骨腫瘍 小児の骨軟部腫瘍 |
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資格 |
日本整形外科学会専門医 日本がん治療認定医機構認定医 医学博士 米国骨軟部腫瘍学会会員 |
医員/平成27年 東京医科歯科大学卒
専門 |
整形外科 一般 |
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非常勤/昭和53年東京医科歯科大学卒/1984年~2010年 癌研究会附属病院整形外科勤務 2010年4月~2017年3月 埼玉県立がんセンター 整形外科科長兼部長 2017年4月~現職
専門 |
骨軟部腫瘍の診断と治療 |
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資格 |
東京医科歯科大学整形外科 臨床教授 日本整形外科学会整形外科専門医・指導医 脊椎脊髄病医 日本がん治療認定医機構 暫定指導医・認定医 埼玉骨軟部腫瘍研究会代表世話人 関東骨転移研究会代表世話人 医学博士 |
非常勤/昭和42年 熊本大学医学部卒
専門 |
骨軟部腫瘍 |
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資格 |
日本癌治療学会名誉会員(功労会員) 日本整形外科名誉会員 優秀専門臨床医 医学博士 日本整形外科学会 認定医 |
非常勤/平成30年 東京医科歯科大学卒
専門 |
整形外科 |
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