• トップページ
  • 診療のご案内
  • センターのご紹介
  • 当施設について
  • 診療関連部門診療科のご案内
  • 採用案内

ここから本文です。

 

掲載日:2020年1月7日

乳房再建手術

はじめに・当院での乳房再建手術の現況

埼玉県立がんセンターでは、乳腺外科・形成外科が協力して乳房再建の手術を行っています。
対象は、これから乳癌手術を受けられる患者さん、またすでに乳癌手術を受けられた患者さんです。乳癌手術を受けられた患者さんが、失われた乳房をとりもどすことで、治療後の生活の質(Quality of life)の向上につながることを目的としています。
当院では2005年より、主に乳房切除術後の患者さんを対象に乳房再建手術を行っており、手術数は増加傾向にあります(下図参照)。当院での再建手術の特徴としては、乳癌手術と同時に行う即時再建術だけでなく、乳癌手術をすでに受けられた患者さんに対する二期的再建術や、乳房温存術に対する再建術など、さまざまなケースに対応可能な点であるといえます。また、乳腺外科と形成外科との連携が良好であり、乳癌の治療に配慮した再建術の計画をたてています。

乳房再建手術

(グラフ中の数字は、乳房切除術に対する即時再建術と二期的再建術の合計。乳房温存術に対する再建術は含めていない)

治療の進め方について

乳房再建手術は乳癌治療の一環であるため、乳癌の手術治療および手術以外の治療(化学療法・放射線療法・内分泌療法など)も考慮に入れたうえで行っています。当院で行っている乳房再建手術のおおまかな治療の流れとしては以下の3通りがあります。

  • a.乳癌手術と同時に乳房再建手術を行う方法(即時再建術)
    この方法には、手術が一度で済むという利点があります。ただ、乳癌の場合、術後の治療は、手術で取った癌の性状や腋窩リンパ節転移の状態を考慮して決めるため、術後の治療法が決定していない段階での再建となるという欠点があります。
  • b.乳癌手術と同時に組織拡張器(エキスパンダー)をいれておき、後日乳房再建手術を行う方法
    この方法では、乳癌手術の際にエキスパンダーと呼ばれる医療用具(手術方法の部分参照)を切除した部分に入れておきます。そして術後の治療が落ち着いた段階で、あらためて乳房再建手術を行います。
    二度の手術が必要となりますが、術後の治療のめどがついてから乳房再建手術が行えます。また、エキスパンダーを膨らましておくことで、術後治療の期間中も乳房をなくした喪失感を感じずにすみます。その後再建した乳房もより違和感がないものになるという利点もあります。また、乳癌手術の段階では再建手術の方法に迷いがある場合、手術後じっくり時間をかけて決めることができます。
  • c.乳癌手術のあと、時間をおいて乳房再建手術を行う方法(二期的再建術)
    当院もしくはほかの病院で乳癌手術を受け、その時は再建術を受けなかった場合も、当院で乳房再建手術が可能です。乳房再建手術は、手術後長期間経過していても受けることができます。

再建手術の方法について

続いて、乳房再建手術の方法についてご説明します。乳房再建手術には、おおまかにわけて自分の組織を移動させる方法と、人工物を用いる方法の2通りがあります。

自分の組織を用いる方法にはさまざまな手術法がありますが、当院で行っている方法は、主に背中の組織を移動させる方法と、下腹部の組織を移動させる方法の2通りです。自分の組織を移動させる方法は保険適応の手術ですので、健康保険が使えます。
人工物を用いる方法では、シリコンインプラントで乳房の形態を再現しますが、自費治療となります。人工物での再建に関してもご相談に乗っています。

それぞれの方法に一長一短がありますので、以下に詳しくご説明します。また、治療の流れの部分で述べた、エキスパンダーについてもご説明します。

エキスパンダーについて

組織拡張器(エキスパンダー)は、シリコン製の「水ふうせん」のようなものです。乳癌手術の際に大胸筋という胸の筋肉の下に入れます。手術後に少しずつ生理食塩水を注入して「水ふうせん」をふくらまし、乳癌手術の際に切除した分の皮膚を伸ばして再建に備えます。伸ばした皮膚はもともとの胸の皮膚であるため、再建手術で形成された乳房はより違和感のないものとなります。
その他の利点として、ある程度長期間入れておくことができるため、丁度良い大きさまでふくらました状態で術後の補助療法を受けることができます。そのため、補助療法の期間中の乳房の喪失感を軽減する効果もあります。また、術後の治療のめどが立った段階で、患者さんの都合に合わせて再建時期を決めることができます。

エキスパンダー

背中の組織を移動させる方法

広背筋皮弁法(こうはいきんひべんほう)は、背中の組織を移動させて乳房の形を作る方法です。
背中(腰骨の上あたり)の脂肪組織を利用して乳房を形成しますが、脂肪組織をそのまま移動させたのでは、血液の巡りがないため組織が壊死してしまいます。そのため、広背筋という背中の筋肉をつけて移動させます。
この筋肉の血流を利用して、脂肪組織を血流が保たれたまま胸へ移動させます。安定した血流が得られる安全性の高い方法として、乳房再建手術に広く用いられています。

広背筋皮弁法

広背筋皮弁法の長所・短所は以下の通りです。

【長所】

  • 自分の組織なので時間とともになじみ、人工物と異なり露出などのトラブルの心配がない。
  • 年齢とともに下垂し、自然な外見が維持できる。
  • 下腹部の組織を移動させる方法と比較し、術後の安静期間・入院期間が短い。

【短所】

  • 背中に手術の傷ができ、術後、背中のツッパリ感がでることがある。
  • 肩の筋力が若干弱くなる(日常生活には影響しない程度)。
  • 下腹部の組織を移動させる方法と比較し、移動できる組織の量が少ないため、大きな乳房を形成するのには不向き。
  • 乳癌手術の際の皮膚の切除範囲によっては、背中の皮膚が胸に出る場合がある。
  • 術後、背中に水のたまりが生じ、短期間の外来通院を要する。

下腹部の組織を移動させる方法

腹直筋皮弁法(ふくちょくきんひべんほう)は、下腹部の組織を移動させて乳房の形を作る方法です。
下腹部の脂肪組織を利用して乳房を形成しますが、脂肪組織をそのまま移動させたのでは、血液の巡りがないため組織が壊死してしまいます。そのため、腹直筋という背中の筋肉をつけて移動させます。この筋肉の血流を利用して、脂肪組織を血流が保たれたまま胸へ移動させます。下腹部は、だれしも脂肪組織が豊富な部位であり、柔らかな乳房を形成するのには優れた方法であると言え、広く行われている方法です。

腹直筋皮弁法

腹直筋皮弁法の長所・短所は以下の通りです。

【長所】

  • 自分の組織なので時間とともになじみ、人工物と異なり露出などのトラブルの心配がない。
  • 年齢とともに下垂し、自然な外見が維持できる。
  • 背中の組織を移動させる方法と比較し、移動できる組織が多いため、大きな乳房でも余裕を持って再建できる。

【短所】

  • 下腹部に手術の傷ができる。
  • 腹筋が若干弱くなり、まれにだが腹壁ヘルニアを発症する場合がある。
  • 背中の組織を移動させる方法と比較し、術後の安静期間・入院期間が長い。
  • 乳癌手術の際の皮膚の切除範囲によっては、下腹部の皮膚が胸に出る場合がある。

従来の腹直筋皮弁法は筋肉をつけたまま脂肪組織を移動させます。そのため、術後腹筋が弱くなったり、腹壁ヘルニアになる可能性があります。また、筋肉から遠い部分の脂肪組織は血の巡りが悪くなるという欠点もあります。

そのような短所を改善した手術法が、遊離腹直筋皮弁法(ゆうりふくちょくきんひべんほう)です。
この手術法は、筋肉を移動させず、筋肉から外した細い血管と脂肪組織だけを移動させ、胸部で血管をつないで血の巡りを回復させます。血管をつなぐ時は顕微鏡を使って行う、比較的新しい方法です。この方法は筋肉を犠牲にせず、またより多くの脂肪組織を血の巡りの良い状態で移動させることができます。短所は、高度の手技を要するため手術時間が長くなることが挙げられます。

遊離腹直筋皮弁法

人工物を用いる方法

シリコンでできた人工乳房を使って乳房を形成する方法です。
乳癌の手術では乳房の皮膚も同時に取る場合があり、シリコンを入れる前に足りない分の皮膚を伸ばす必要があります。そのため、1回目の手術ではエキスパンダーを入れ、術後徐々に皮膚を伸ばし、十分に皮膚が伸びた所で、シリコンでできた人工乳房に入れ替える手術をします。

人工物を用いる方法の長所・短所は以下の通りです。

【長所】

  • 手術時間・術後の安静期間・入院期間が短い。
  • 体の他の部分に手術の傷がつかない。

【短所】

  • 2回の手術が必要。
  • 加齢とともに乳房の左右の形の差が目立つようになる。
  • ある程度下垂している乳房や、大きい乳房の再建には不向き。
  • 術後、シリコンが破損したり、露出・感染などの危険性がある。

おわりに

乳癌の治療は個別化が進み、手術や補助治療の内容はそれぞれの患者さんで異なります。
当院では、以上のような治療の流れ・手術の方法から、乳癌の治療内容を考慮したうえで、患者さんのご希望を最優先にして治療方針を決定しています。また、ほかの病院で乳癌手術を受けた方の再建術のご相談もお受けします。その際は、主治医より治療経過等を紹介状に記載していただき、形成外科の外来を受診下さい。

お問い合わせ

病院局 がんセンター  

郵便番号362-0806 埼玉県北足立郡伊奈町小室780番地 埼玉県立がんセンター

ファックス:048-722-1129

検査や治療又は診療の内容に関する個別のご相談には応じかねます。
がん相談については、地域連携・相談支援センターをご利用ください。
地域連携・相談支援センター連絡先
電話:048-722-1111
受付時間 平日9時00分~16時00分

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?