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掲載日:2020年12月8日
生き抜くための安全教育 ~自分の頭で考え行動できる知恵と力~
埼玉県高等学校安全教育研究会長 山本美苗
(埼玉県立越谷南高等学校長)
子供たちが安心して安全に学校生活を送るために、さまざまな安全教育がなされ、安全対策も取られています。にもかかわらず、心配の種は減りません。
高齢者の運転事故が増え、電動式でスピードが出る自転車も出現しました。登下校時の不審者による被害もなくならず、命まで失う事件が起きています。災害も地震、津波、竜巻、大雨、大雪、噴火、ミサイル・・・「想定外」が増えました。
守れる大人がいつもそばにいるとは限りません。大人より先の未来を生きる子供たちには、自分を守り、人を守れる大人に成長していってもらわなければなりません。
「机の下にもぐる」が刷り込まれ、家で地震が来た時にも学校と同様の机を探し、部屋の中を右往左往する子供がいます。目的は「頭を守ること」なのですが・・・
命を守る基本を教える。守るべきルールを教える。自分の頭で考え、判断できるように育てる。これが安全教育の本意だと考えます。大切なことほどシンプルです。
すべてに共通する「何が何でも生き抜くための知恵と力(自助)」をできるだけ多く身につけさせたいものです。「今、地震が来たら」「今、交通事故にあったら」「痴漢にあったら」とその状況を想像し、行動を考えてみるだけでも経験値は上がります。家庭でも試してみるといいと思います。
また、「人に教えること」は、理解を深めるのにとても有効です。埼玉県教育委員会と協力して行っている「高校生の自転車安全運転推進研修会」は、代表生徒が学んだ内容もとに、自分の学校で生徒に伝達講習を行います。
人に伝える努力は、生徒の意識を成長させています。自分の身が守れれば、助けあう(共助)余裕も出てきます。
自分の命を守りぬき、人を思いやれる子供が育つよう、お力添えください。
■県教育委員会からのメッセージ
熱中症から身を守るために(保健体育課)
昨年の夏も、熱中症が数多く報告されました。
気温の高い日が続くこれからの時期に備え、熱中症予防について正しく理解し、御家庭においても対策に万全を期すことが重要です。
○熱中症予防 5つのポイント
1 上手にエアコンを
暑さで徐々に体力が低下し、室内でも熱中症になることがあります。節電中でも上手にエアコンを使っていきましょう。
2 暑くなる日は要注意
熱中症は、暑い環境に長時間さらされることにより発症します。
また、湿度が高いと体からの汗の蒸発が妨げられ、体温が上昇しやすくなってしまいます。猛暑の時は、エアコンの効いた室内など、早めに涼しいところに避難しましょう。
3 水分をこまめに補給
のどが渇く前に水分を補給しましょう。
汗には塩分が含まれています。大量の汗をかいたら、水分とともに塩分も取りましょう。
4 「おかしい!?」と思ったら病院へ
熱中症は、めまい、頭痛、吐き気、倦怠感などの症状から、ひどいときには意識を失い、命の危険になることもあります。
「おかしい」と思ったら、涼しいところに避難し、医療機関に相談しましょう。
5 周りの人にも気配りを
自分のことだけでなく、声を掛け合うなど、周りの人の体調にも気を配りましょう。
スポーツ等行事を実施する時は気温や参加者の体調を考慮して熱中症を防ぎましょう。
〇参考となるWEBサイト
【熱中症に関する情報】
・厚生労働省(熱中症関連情報)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/
・環境省:熱中症予防情報サイト
(暑さ指数(WBGT)を用いた予防情報)
(熱中症環境保健マニュアル)
http://www.wbgt.env.go.jp/heatillness_manual.php
・独立行政法人日本スポーツ振興センター
(熱中症を予防しよう)
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/default.aspx?Tabid=114
・公益財団法人日本スポーツ協会(熱中症を防ごう)
http://www.japan-sports.or.jp/medicine/guidebook1.html
今月号は、県立川口北高等学校 井上 大 業務主任の取組を紹介します。
業務主任として学校の施設や設備の管理を行う井上業務主任。
専門的な知識や技能だけではなく、持ち前のコミュニケーション能力を活かし、学校を利用する人たちが安全で快適に過ごせる空間づくりに貢献しています。
(インタビューの一部)
Q.施設整備を行う上で気を付けている点、意識している点があれば教えてください。
A.学校なので授業中に音が出る作業というのはなかなかできないんですね。
ですのでテスト期間の授業のない午後ですとか生徒のいない移動教室の時間帯を狙って作業をしています。
あとは自分が直したところで、例えばネジが飛び出していたとかで生徒がけがすることがないよう細かなことも気を付けて作業していますね。
Q.単純に施設や物を直すだけでなく学校生活の様々なことに気を配っているんですね。そうすると先生方とのコミュニケーションが大事になってくるんでしょうか。
A.そうですね。すごく大事だと思います。
物を直す技術力だけではなく、仕事を進めるうえでの調整力も必要ですね。
例えば「こんなものが欲しい」という要望があっても、事務の方では予算的にすぐに購入するのが難しいということもあります。そんな時は「すぐには購入できないみたいだから、代わりにこうしたものなら用意できるよ」と事務の方と先生方の間の調整などもしたりしますね。
それと本校では先生方が「あそこがちょっと調子悪いみたい」「あの部分が壊れかけてるよ」と直せるうちに報告してくれることが多くて非常に助かってますね。完全に壊れてどうしようもなくなってからではこちらも手を出せなくなってしまいますので(笑)。やはり学校は広いのですべてのことを把握するのはなかなか難しくて、実際に使用している人からの情報があると仕事がしやすいですね。
なのでこちらも話しかけてもらいやすい雰囲気を心がけていますね。黙々と作業をしてしてしまうと話しかけづらいみたいで誰もなにも言ってくれなくなってしまうんですよ(笑)。
○平成30年5月31日、さいたま市内で、埼玉県家庭教育アドバイザ-の指導力の向上を図るフォローアップ研修を実施しました。
今月と来月にわたり、研修の様子を御紹介します。
●「木の上に立って見ましょう」~家庭教育におけるコーチング~
今回の研修では、「家庭教育におけるコーチング」をテーマに、東京ガス埼玉支社長の阿久根謙司氏に御講演いただきました。
阿久根氏は、東京ガス株式会社に入社し、社会人野球の選手・コーチ・監督を歴任された後、サッカーJリーグ『FC東京』の社長となられました。
阿久根氏は2011年にFC東京がJ2に降格したその後に社長として就任し、その後わずか1年でJ1復帰を成し遂げました。その時に培ったコーチングの理論やスキルを、家庭教育の知見から、次の通りお話しいただきました。
◎日本は「指示待ち族」を増産しています。
その背景には、少子化による過保護、親や先生による教え込み、そして何より、日本に根強く残る「沈黙は金」といった風潮が起因しています。
先の見えない時代が到来した今、自ら考え変革していく人材を社会は求めています。しかし、実際に入社してくるのは指示待ち族です。このギャップを、どうすればよいのでしょうか。
◎「指示待ち族」をつくる原因は、ずばり大人の関わり方にあります。
少年野球では、監督やコーチのサインによって、指示を受ける子供がいます。技術や作戦を教え込んできたことで、子供が指示を待つようになることは、当然のことです。さらに、失敗を叱られれば、失敗してはいけないという心理が働き、挑戦しようという気持ちに意識は向かなくなります。
こうしたことは、監督やコーチだけでなく、日常の保護者と子供との関わりの中でも、あるのではないでしょうか。
それでは、主体的に行動し、自立した人材を育成するために、大人は子供にどのように関わればよいのでしょうか。
次号は、阿久根氏の実践された「自立」を促すコーチングの在り方について、御紹介します。御期待ください。
○埼玉県では、学校や幼稚園・保育所等、公民館や企業などで行う家庭教育学級や子育て講座に「埼玉県家庭教育アドバイザー」を無料で派遣しています。少人数のサークルや親子が参加する集まりなどにも派遣することができます。
詳しくは埼玉県生涯学習推進課のホームページを御覧ください。
○中学校(技術・家庭科 技術分野)編
~「便利」なモノの「便利ポイント」に気付こう~
私たちの生活ではたくさんのものを大変便利に利用しています。100円ショップの便利グッズは安価で工夫されており、消費者にとって「ちょっと買ってみようか」と思わせるモノであふれています。
便利になった日常生活ですが、次のような「モノの見方・考え方」をしてもらえるといいかもしれません。
○ワンポイントアドバイス!
生活の中にある「便利」なモノの「便利なポイント」に気付いてみよう。
例えば、「鉛筆」が六角形なのは、転がらないため、持ちやすいためです。親指・人差し指・中指の3点で握って押さえるので3の倍数であることが便利なのです。
「鉛筆」を開発した人は、「利用する人のことを考えて」心配りをしているのです。モノを作るときには「利用者目線に立つ」ことが基本です。「気付く」ということを日頃から訓練すると新たなモノの「見方・考え方」ができるようになります。
見た目も書き味も普通のボールペンと変わらないのに、専用の消しゴムでこすると、きれいに文字を消すことができる「消せるボールペン」という商品は、2014年には全世界で10億本を売り上げました。
「熱で色が変わるインク」は1970年代に開発され、マグカップなどにお湯を注ぐと色が出てくる仕掛けで利用されていました。その発想をボールペンへ転換させることで、ボールペンを利用する文化が広がっている海外でもヒット商品になりました。
当たり前のことから、様々な視点を持つこと、探ってみること。モノの「見方・考え方」を豊かにすることは、私たちの生活を豊かにすることにつながります。豊かな発想の力は学力を伸ばすことにもつながります。
夏休みの宿題に「発明創意くふう展」があります。普段の生活の気付きを、発明創意くふう展の作品作りに活かしてみるよう、一言アドバイスをしてみてください。
県立図書館司書がおすすめする児童書を御紹介します。
■『おすのつぼにすんでいたおばあさん』
ルーマー・ゴッデン/文
なかがわちひろ訳・絵
徳間書店 2001年(対象:小学校低学年)
昔、お酢のつぼの形をした小さな家におばあさんが住んでいました。太った猫のモルトと一緒に、貧乏でも満足して暮らしていました。ところがある日、小さな魚の王さまを助けたことから「望みをすべてかなえよう」と言われます。最初は「なんにもありません」と言っていたおばあさんですが、「あったかい夕飯」から始まり「庭のある家」「家具」「新しい服」と、願いはだんだん大きく、わがままになっていきます。とうとう小さな魚の王さまは怒り、全てを消してしまいます。
お酢のつぼの家とは、ビールを作る材料のホップをかわかすための古い乾燥所のことだと言われています。搭のような建物で、風車をはずしたその様子が、お酢を作るのに使われていた石のつぼとよく似ていたので「お酢のつぼの家」と呼ばれていました。
このお話は、作者の家に語り継がれてきた昔話に、猫のモルトを登場させたものです。おばあさんとモルトは「たいせつなもの」を教えてくれます。
こちらで紹介している本は、「彩の国わくわくこどもページ」「埼玉県立図書館こどもページ」にも掲載しています。興味のある方は、こちらのページもご覧ください。
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