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掲載日:2020年9月23日
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今月号は、杉戸農業高校 米本真弓 養護教諭の取組を紹介します。
米本養護教諭は、生徒の健康管理や各種検診・調査等の事務を他分掌との調整を図りながら、円滑な保健室運営を実践されています。
また、特別支援教育に高い見識を持ち、生徒一人一人の状況に応じたきめ細やかな対応により生徒指導の充実を図るなど、学校の課題解決に向けて積極的に取り組まれています。明るく献身的で親切な対応から、生徒はもとより、教職員からの信頼も厚い先生です。
高校3年生の時、進学のための論文を先生に添削してもらったんですね。
当時、社会福祉のニーズが高まっていたので、そのような関係の仕事をしたいと思って、論文の内容もそうしたものだったんです。
論文を読んでくれた先生が、「あなたはすごくパワフルだから、お年寄りよりも若い人を相手にする方がいいんじゃないかな。養護教諭なんてどう」なんて勧められたんです。
養護教諭の仕事がどういうものなのか知らなかったですし、全く興味もなかったんですけど。養護教諭に向いていると言われたのかなって。そんな勘違いから興味を持ち始めたのがきっかけですね。
また、小・中・高校と、私は学校がとにかく大好きで、そんな楽しい学校に教員として関われるんだったら、すごく良い話だなと思ったことも覚えています。
養護教諭はどのような仕事をするのか知りたくて、まずは保健室に話を聞きに行ったんですね。私が通っていた高校では、養護の先生がお二方いたんですけど。
いろいろ話をする中で、2人とも同じ短期大学出身で養護教諭の免許を取得したということでしたので、私も同じ短大を志望することにしました。そこに行けば、養護の先生になれるんだっていう感じで(笑)
短大では、子供の頃からの憧れで養護教諭を目指している学生がほとんどでしたね。私は、本当に全くのノープランでしたが、今思えばそれが逆に良かったと思っています。
養護教諭とはこういうものだという変なイメージを持たないで、この仕事に向き合えたことですね。それが今はすごくプラスに働いているなと感じています。
保健室にいるということが最も重要な仕事ですが、高校では、様々な事務処理のほかに、悩みを抱えて相談に来る生徒もいるので、生徒を迎える体制を整えたりなどの環境整備にも力を入れています。どんなときでもにこやかに声を掛けられるよう意識していますね。また、生徒の健康課題に対する取り組みも行っています。本校は農業高校ということで、熱中症対策として集会形式の保健指導なんかもしています。
学校は多くの行事があるので、各種行事の前には、その行事に対しての対応というものが出てきます。
例えば、文化祭では、保健所に提出する書類をまとめたり、事故がないように危機管理についてチェックしたりしていますね。
本校では、普通高校と比べて多くの食品を取り扱うので、細菌検査の量がとても多いんですよ。そうしたこともミスや漏れのないように注意しつつ、細々した事務を適切に処理していくことがメインになります。
また、生徒が怪我をしたときの対応はもちろん、その後の手続きなんかもありますね。
どんなに忙しくても、どんなに事務仕事がたまっていても、生徒が来たときは生徒と話すことを最優先します。その生徒と向き合って、少しでも気持ちが楽になればと思って。
例えば、中学校の時にいじめを受けていたり、不登校になったりなど、心の傷というか、そういうものを抱えて入学してくる生徒もいますので、そうした子供たちのリカバリーの場になれば良いと感じています。
私だけではなく、本校の教職員はみんなそう思っているので、一人一人が生徒に対して、とても手厚く話しかけたり、話を聞いたりということを大切にしています。
なるべく来やすい雰囲気をつくるようにしています。保健室という空間もそうなんですけど、何より生徒との対話が大事だと思っていますので、どんなときでも生徒との時間は大切にしています。
生徒と向き合うときには、生徒の良いところを特に見るようにしています。良いところも悪いところもあるように、一面的でないのが人間じゃないですか。ですから、生徒の良いところをしっかりと見ることを心掛けています。
農業高校の特徴の1つだと思うんですけど、子供たちの学力に差があるんですね。将来は、農業関係の仕事をしたいという高い志を持っていて、いわゆる進学校に通える生徒もいる一方で、座学中心の勉強が苦手なため、実習中心である本校のような学校を選択する生徒もいます。
学力の高い生徒に対しては、先生方も進学という面でのサポートがしやすいんですけど。
学力が上がらない理由は様々ですが、1つに学習障害というものもあります。そういう生徒の存在に気付いていても、具体的な対処法がこれまではわからなかった。勉強が苦手な生徒への1つの対策として手を挙げたんです。
学校に派遣される専門家の意見を聞きながら、具体的な手立てを探していくものです。加えて、校内研修を通じて、特別支援教育への理解を深めていきました。
県事業での学校の取組や、教職員や生徒の協力的な雰囲気などから、担当課である特別支援教育課からお話をいただき、平成26年度からの2年間、事業の委嘱を引き受けました。
スクールクラスター支援員の派遣ですね。
だいたい週1回のペースです。
スクールカウンセラーは、希望がある生徒と直接面談をします。生徒と話をしながら、悩みなどの整理をする手助けをしていくことが主な業務です。
スクールクラスター支援員は、教職員間で少し支援が必要かなと思われる生徒に対する具体的なアドバイスをしていただいています。
こういうところは良いので伸ばしましょうとか、こういうところはこういうふうに補っていきましょうというものです。そうしたアドバイスを、まずは我々にしていただきます。
はい。直接、生徒との面談を通して、生徒自身の自己理解につなげる支援をしていただいています。
スクールクラスター支援員とは、学校という組織をうまく機能させるための潤滑油のようなものです。
これまで週1回ペースで生徒や我々の相談にも乗っていただいたのに、急にいなくなってしまうと私たちがスクールクラスター支援員ロスを起こしてしまうので、学校の予算で月1回程度来ていただいているんですよ。
組織で動くことはとても大変なことです。生徒との対話から見えてきた実態を先生方に伝えていく。養護教諭としての仕事を通じて、少しずつ私の考えも伝え、理解していただく。それを繰り返していくことで、学校全体でやっていかなければいけないねっていう雰囲気をつくっていく。
そうしたことができるのも養護教諭の強みじゃないかと感じています。もちろん、最終的には協力してくださった先生方のおかげなんですけど。
先生方は、どうしても1対40とか、クラスという集団を通して生徒を見ることが多くなりますよね。私の仕事は、1対1で生徒に対応することが多いんです。生徒と1対1で対話するなかで、今クラスで起きていることや問題などが見えてきます。先生方とは全く逆なんですよ。
先生方と情報共有していくなかで、お互いの情報がうまくかみ合ったとき、互いにないものを補え、シナジーを発揮できるのではなかいと思っています。
何年かやってきて、私が見つけた答えは個別対応なんだと思っています。個々の対応をしっかりやることがいわゆる特別支援教育なのではないかと。
すごく漠然とした答えですけど、これってすごく養護教諭の仕事にも通じるものがあるんですよ。
生徒一人一人との対応を通して、生徒のニーズにうまく答えていくようなところが共通するなと思っています。
保健室って、怪我をしたり体調を崩したりして弱っているときや、悩み事があるときに来るところなんですよね。ですから、養護教諭は、いつも元気でニコニコ明るくしていないと務まらないというか、そうあるべき場所だと思っています。いつも元気でいようという気持ちと、子供たちの成長を手助けしたいという志を持って、養護の先生になっていただければと思いますね。
養護教諭が、特別支援コーディネーターをやることに対して、どうなのかなという想いもあったそうです。
「ただ、私としては、養護教諭の仕事と似たもの、近いものがあるから、やることに対しての抵抗はなかったですし、すんなりとやることができたと思っています。でも、やっぱりそれは先生方の協力のおかげで、それ以外なにものでもないんですけど」と語る米本養護教諭。
先生自身も学校という組織の潤滑油として貢献されていることが十分に伝わってきました。
学校への想いからか、無意識に杉戸農業高校のイメージカラーである緑の洋服が増えてきたそうです。ちなみに、大の楽天ファンとのこと。先生の元気の源でもあるそうです。ちょっとした楽天グッズを持っていけば、先生の元気も更にアップすること間違いなしですね。
生徒への愛情溢れる、笑顔の素敵な先生でした。
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