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掲載日:2019年5月22日

平成26年6月定例会 一般質問 質疑質問・答弁全文 (菅 克己議員)

気象予報の精度について

Q 菅 克己議員(民主・無所属)

日本の災害対応は、市町村が主に対応することが法体系の基本になっています。米国のように災害発生時には国がトップダウンで対処することにはなっておりません。現状の法体系では、市町村が災害により大きな被害を受けているにもかかわらず、市町村が復旧・復興業務の多くを担わなければなりません。日本の方式は発災後、綿密な対応ができる一方で、市町村の負担は膨大なものになります。激甚災害が発生した場合は、なおさら困難な状況になります。そこを都道府県がどう応援するか、他の市町村がどう支援するかが、今後の大きな課題です。ただ、その大前提にあるのは、災害対応の主たる担い手である市町村ができることを責任放棄することなく、最大限の努力をしなければならないということです。
私は、今回の大雪対応について、埼玉県の今後の危機管理の在り方を検証するため、埼玉県が自衛隊の撤収要請を行った翌々日の2月25日火曜日に独自に秩父の関係機関に出向き、聞き取り調査を行いました。秩父県土整備事務所、秩父市役所災害対策本部、旧大滝村役場だった秩父市大滝総合支庁、小鹿野町役場の関係者にそれぞれ一時間ほど聞き取りをしました。
災害対応は初動がとても重要です。そこで、2月14日の初動がどうだったのか整理します。埼玉県秩父県土整備事務所では大雪が降る前日、2月13日金曜日の段階で大雪に備え業者への準備指示を行い、大雪注意報が出た2月14日金曜日9時22分、待機班体制を敷き、被害情報の収集を始め、時間外を通常の体制に増員し2班13名体制で、2月16日日曜日は対応できる職員23名で対応しました。そのほか危機管理防災部やほかの県出先機関にも待機体制を事前に敷き対処しました。
一方、最も影響の出た秩父市では、2月14日金曜日までに市役所に常駐したのは夜半まで1名、夜半過ぎに2名、ようやく夜が明けて2月15日土曜日8時に災害対策本部が設置のため8名の職員が市役所に招集された状況と聞き及びます。災害対策の現場を取り仕切る秩父市の側は、その段階で大混乱に陥っていました。混乱を解消するために自衛隊の力を借りたいという思いは分かりますが、災害発生時に重要なのは事態の把握であり、情報収集です。それがままならない状況だからすぐに自衛隊の派遣要請をするのは、あまりにも安易だと言わざるを得ません。
あえて苦言を呈したいと思いますが、秩父市の側が埼玉県側と同じように、大雪警報が出ていた2月14日金曜日晩から禁足令をかけて職員を常駐させ、いろいろな準備をしていればこれほどまでの混乱に陥ることはなかったと考えます。事実、小鹿野町や横瀬町は秩父市とは違った対応でした。
2月14日の秩父市の大雪対処の検証は、今後秩父市側がしっかりと行っていただくとして、以下、県の側が教訓とすべき点を検証します。
地震と違い、風水害や雪害はある程度気象予報により事前の準備で対応が可能です。現在、埼玉県は県内の気象予報を民間の気象予報会社のA社に委託しています。ほかにも川越、川口、所沢などは市独自に別のB社に委託しております。そこで、今回の2月14日金曜日の大雪の際の民間気象予報会社が出した降雪予報データを比較検証しました。議長にお許しをいただきましたので、パネルで説明をいたします。
県が委託しているA社の予報は、ここにありますように予報対象地域として埼玉、東京、千葉、神奈川の一都三県を関東南部と表現し、そして2月13日木曜日夕方でありますが、この段階ではA社は予報がありません。そして、2月14日金曜日午前中、30センチから50センチの降雪量を予報しています。2月14日金曜日午後には20から40センチ、少ないように見えますが、これはこの後降る予想の数字であります。
一方で、B社の予報は関東南部といった大くくりの予報ではなく、秩父地域という地域限定の予報で、既にこの13日夕方の段階から50センチから70センチ、そして2月14日金曜日午前中には50センチから70センチ、14日午後には30センチから50センチという感じで予報を出しております。
県が委託しているA社の予報は防災情報システムに自動的に掲載され、ネットを通じて県内市町村にも配信されます。気象について素人の私が見てもA社の情報に基づき対応の仕方を判断したら準備は甘くなり、B社の予報だったら厳重な警戒をしなければならないと認識をするのではないでしょうか。A社の予報は木曜日は予報値がなく、金曜日は若干多いというイメージです。禁足令をかけるような判断をするのに遅れを生じないでしょうか。2月15日は土曜日ですので職員は休みです。禁足令をかけるにしても2月14日午前中、又は午後の早い段階での予報情報がとても重要な判断材料になります。
近年、気象予報の業務委託は新興企業の参入で、破格の値段で受注する業者が増えています。受注額は以前の半分以下でたたき合いの状況です。気象予報の業務委託は情報の質は問われず、言葉は悪いのですが、予報が当たっていようが間違っていようが、精度が良いか悪いかは無関係です。気象予報の内容は業者によって異なり、細かな地域に分けて個別の予報を提供できるか否かといった対応可能なサービスの内容も違います。
秩父地域の予報は、A社の予報のように埼玉県を含む一都三県を関東南部として予報を出すような状況でいいのか、違和感を持つのは私だけでしょうか。気象予報の業務委託は安かろう悪かろうでは駄目なのであります。人の命を守るための情報を買いたたいては命を軽んずることになると思うからです。
そこで、質問です。防災気象情報提供業務委託の平成26年度業務の発注仕様書では、異常気象時の臨時予報についてはほとんど取り決めがありません。埼玉県内を北部、南部、秩父の三つの地区に分けて臨時予報を作成するようにすべきと思いますが、危機管理防災部長に今後の方針について伺います。

A 小島敏幸 危機管理防災部長

現在、県では熊谷地方気象台の気象情報のほか、防災気象情報提供業務を委託し、民間事業者からも気象情報を収集しております。
これらの情報は、埼玉県防災情報システムを介して、市町村などに自動配信し防災対策に活用されております。
大雪や大雨などの気象予報の予報区分について、気象台は県内を南部、北部及び秩父地方の3区分で発表しております。
一方、民間事業者の予報区分は、関東南部、関東北部と大くくりではありますが、例えば、台風の進路や雨量、落雷の予報などについて気象台とは異なる独自の分析で予報をしております。
この予報区分は気温や降水量などの気象特性、平野や山間地などの地理的特性など様々な観点から決定されているものと伺っております。
県では、気象台の予報を基本とし、民間事業者の情報はこれを補完するものとして災害対策に活用しております。
もちろん、予報区分が細分化されている方が利用価値が高いと考えます。
今後、委託する予報の地域区分を細分化することにつきましては、防災対策上の効果を第一に考えて検討いたします。

再Q 菅 克己議員(民主・無所属)

気象予報の問題ですが、先ほど危機管理防災部長の答弁では、防災上の観点を考慮して今後検討していきたいという御答弁でありました。最初に趣旨だけお話ししますと、何で三地区に分ける臨時情報を仕様書に盛り込めないのかと。市町村が、先ほどもありましたとおり、この情報は共有化して判断の重要な材料にしています。もちろん気象庁が出す予報と、その民間の気象予報会社が出す予報を参考にしながら判断をするわけでありますが、実際にこのボードでお示ししたとおり、これほど大きく違ったわけです。
例えば、この30、50と50、70というのは大きく違います。なぜかというと、これ降雪量のデータです。多分雪が降っても積もるのは半分ぐらいということになりますと、これ多分25センチぐらい、確かに混乱するけれども大々的な対処しなくてもいいなと、多分このデータだけ見るとそう思っちゃいます。例えば秩父市がそうだったとは私は思いませんが、ただ、実際にこれほど大きく違ったわけです。入札時、先ほどお話ししたとおり、予報が当たったか、精度が高かったか、入札でまるきり考慮されないというのは発注の仕方としてどうなのかなということがあります。どう考えても、例えば福島県では浜通り、中通り、会津と三つ分かれています。気象庁の予報は大体さいたま市と熊谷しか出ないです。
我々としては、やはり秩父は全く違う気象だと私は思いますし、そういう意味で秩父の安全を守るためにも、こういった異常気象時の臨時予報を三地区に分けるのがなぜできないのか。前向きな検討ではなく、今回の教訓をしっかりと捉えるならば、しっかり三地区に分けるべきだと思いますが、もう一度御答弁をお願いいたします。

再A 小島敏幸 危機管理防災部長

防災に関わることでございますので、調査の上、直ちに対応するようにいたします。

  • 上記質問・答弁は速報版です。
  • 上記質問・答弁は、一問一答形式でご覧いただけるように編集しているため、正式な会議録とは若干異なります。

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議会事務局 政策調査課  

郵便番号330-9301 埼玉県さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 議事堂1階

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